1著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第二項、第三項若しくは第六項から第八項までの規定により著作権、出版権若しくは著作隣接権(同項の規定による場合にあつては、同条第九項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第五号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第十項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第六号に掲げる者を除く。)は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第八項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
2 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
3 第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
4 侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等の公衆への提示を行つた者(当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等と侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等以外の相当数のウェブサイト等(第百十三条第四項に規定するウェブサイト等をいう。以下この号及び次号において同じ。)とを包括しているウェブサイト等において、単に当該公衆への提示の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。)
5 侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等を行つた者(当該公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等とそれ以外の相当数のウェブサイト等とを包括しているウェブサイト等又は当該侵害著作物等利用容易化プログラム及び侵害著作物等利用容易化プログラム以外の相当数のプログラムの公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等において、単に当該侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化プログラムにより提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。)
6 第百十三条第五項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
3次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、録音録画有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)又は著作隣接権を侵害する送信可能化(国外で行われる送信可能化であつて、国内で行われたとしたならば著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)に係る自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(以下この号及び次項において「有償著作物等特定侵害録音録画」という。)を、自ら有償著作物等特定侵害録音録画であることを知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者
2 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、著作物(著作権の目的となつているものに限る。以下この号において同じ。)であつて有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権を侵害しないものに限る。)の著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この号及び第五項において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び第五項において「有償著作物特定侵害複製」という。)を、自ら有償著作物特定侵害複製であることを知りながら行つて著作権を侵害する行為(当該著作物の種類及び用途並びに当該有償著作物特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)を継続的に又は反復して行つた者
4前項第一号に掲げる者には、有償著作物等特定侵害録音録画を、自ら有償著作物等特定侵害録音録画であることを重大な過失により知らないで行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者を含むものと解釈してはならない。
5第三項第二号に掲げる者には、有償著作物特定侵害複製を、自ら有償著作物特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行つて著作権を侵害する行為を継続的に又は反復して行つた者を含むものと解釈してはならない。
この条文が問われた枝 4問
誤り。違うのは「著作権侵害罪はすべて、非親告罪となった」の部分である。119条1項の著作権侵害罪は123条1項により親告罪が原則で、非親告罪となったのは123条2項の場合に限られる。
123条1項は、119条1項から3項までの罪などについて、告訴がなければ公訴を提起することができないと定める。訴追するかどうかを権利者の意思に委ねる趣旨である。環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う整備法による改正で非親告罪化が図られたが、123条2項が親告罪の規定を適用しないとするのは、行為の対価として財産上の利益を受ける目的又は有償著作物等の提供若しくは提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的で、有償著作物等を原作のまま複製した複製物を公衆に譲渡し若しくは原作のまま公衆送信し、又はそのために複製する行為により犯した119条1項の罪に限られる。海賊版の販売や配信のように権利者の市場を直接奪う行為だけを対象とし、二次創作などは引き続き親告罪に残して萎縮を避けたものである。したがって、著作権侵害罪がすべて非親告罪になったとする本枝は誤りである。

前項の規定は、次に掲げる行為の対価として財産上の利益を受ける目的又は有償著作物等の提供若しくは提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的で、次の各号のいずれかに掲げる行為を行うことにより犯した第百十九条第一項の罪については、適用しない。
- 119条1項の著作権・出版権・著作隣接権の侵害罪であること
- 行為の対価として財産上の利益を受ける目的、又は有償著作物等の提供若しくは提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的があること
- 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信すること(1号)、若しくはそのために複製すること(2号)
- 著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る
- 有償著作物等とは、有償で公衆に提供又は提示されている著作物又は実演等である(3項)
誤り。違うのは「著作者人格権のみなし侵害は、刑事罰の対象ではない」の部分である。119条2項1号が除くのは113条8項のみなし侵害だけで、113条11項のみなし侵害は刑事罰の対象となる。
119条2項1号は、著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者を刑事罰の対象とし、括弧書きで113条8項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行った者だけを除いている。113条8項は、著作者人格権や著作隣接権を侵害する行為によって作成された物を情を知って頒布するなどの行為をみなし侵害とするもので、直接の侵害者と同じ刑罰を科すには行為の性質が間接的すぎるため刑事罰から外されている。これに対し、113条11項の著作者の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為は、著作物を利用する者自身が著作者の人格的利益を直接に害する行為であり、除外の対象に挙げられていない。みなし侵害も「侵害した者」に含まれるから、11項の行為は119条2項1号の罪に当たり、123条1項により親告罪として告訴があれば公訴が提起される。本枝は、みなし侵害であれば一律に刑事罰の対象外になるとしている点で条文とずれている。

著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第八項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
- 著作者人格権・実演家人格権を侵害した者は刑事罰の対象となる
- 113条8項のみなし侵害(人格権侵害により作成された物の頒布など)は除かれる
- 113条11項のみなし侵害(名誉又は声望を害する方法による利用)は除かれず、刑事罰の対象となる
- 119条2項1号の罪は親告罪である(123条1項)
誤り。違うのは「告訴がなくても公訴を提起することができる」の部分である。リーチサイトの公衆への提示の罪は119条2項4号に定められ、123条1項により119条1項から3項までの罪は告訴がなければ公訴を提起できない。
侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等の公衆への提示を行った者は、119条2項4号により5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処され、又は併科される。そして123条1項は、119条1項から3項まで、120条の2第3号から6号まで、121条の2及び122条の3第1項の罪を、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪とする。著作権侵害は権利者の経済的利益に関わる私益的な性格が強く、訴追するかどうかを権利者の意思に委ねる趣旨である。123条2項が非親告罪とするのは、対価目的又は権利者の利益を害する目的で有償著作物等を原作のまま公衆に譲渡・公衆送信し、又はそのために複製する119条1項の罪に限られ、119条2項の罪は含まれない。リーチサイトの罪も親告罪の枠に置かれたままであり、枝は123条2項の例外をリーチサイトにまで広げている。

第百十九条第一項から第三項まで、第百二十条の二第三号から第六号まで、第百二十一条の二及び前条第一項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
- 親告罪(123条1項):119条1項〜3項(侵害罪・人格権侵害罪・リーチサイト・違法ダウンロード)、120条の2第3号〜6号、121条の2、122条の3第1項
- 非親告罪となる場合(123条2項):対価目的又は権利者の利益を害する目的で、有償著作物等を原作のまま公衆に譲渡・公衆送信し、又はそのために複製し、権利者の利益が不当に害される場合の119条1項の罪
- もともと非親告罪:120条(60条違反)、120条の2第1号・2号(回避装置の提供・業としての回避)、121条(著作者名の詐称)、122条(出所明示違反)
正しい。著作者は著作者人格権を侵害する者に対し侵害の停止又は予防を請求でき(112条1項)、故意又は過失による侵害には損害賠償を請求でき、著作者人格権の侵害には刑事罰の規定もある(119条2項1号)。
112条1項は、著作者は、その著作者人格権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。差止請求に故意や過失は要らず、侵害の事実があれば足りる。損害賠償は民法709条の不法行為によるものであり、故意又は過失により著作者人格権を侵害した者に対して請求でき、115条はこれに代えて又はこれとともに、著作者であることを確保し、又は訂正その他名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することも認める。さらに119条2項1号は、著作者人格権を侵害した者を5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定めるから、侵害行為に刑事罰が適用される場合もある。この罪は123条1項の親告罪であり、著作者の告訴がなければ公訴を提起できないが、適用される場合があることに変わりはない。民事の差止めと損害賠償、刑事罰の三つがそろうとする枝は正しい。

著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求できる者:著作者、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者である。利用の許諾を受けた者(63条)は入らない
- 相手:権利を侵害する者又は侵害するおそれがある者である。故意・過失は要らない
- 内容:侵害の停止又は予防の請求である。これをするに際し、廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求できる(2項)
- 刑事罰:著作者人格権の侵害は5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又は併科(119条2項1号)で、親告罪である(123条1項)


