1第二十一条又は第二十三条第一項に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権等保有者」という。)は、その著作物について、文書若しくは図画として出版すること(電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布することを含む。次条第二項及び第八十一条第一号において「出版行為」という。)又は当該方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。以下この章において同じ。)を行うこと(次条第二項及び第八十一条第二号において「公衆送信行為」という。)を引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
2複製権等保有者は、その複製権又は公衆送信権を目的とする質権が設定されているときは、当該質権を有する者の承諾を得た場合に限り、出版権を設定することができるものとする。
この条文が問われた枝 2問
誤り。違うのは「その登録をしなければ、その効力を生じない」の部分である。88条1項1号により出版権の設定は登録しなければ第三者に対抗することができないにとどまり、出版権は複製権等保有者の設定行為によって発生する。
79条1項は、複製権等保有者が出版行為又は公衆送信行為を引き受ける者に対し出版権を設定することができると定め、88条1項は出版権の設定、移転、変更若しくは消滅又は処分の制限を、登録しなければ第三者に対抗することができない事項として掲げる。出版権は著作権の上に設定される排他的な権利であるが、その発生は複製権等保有者と出版者との設定契約によるものであり、登録は著作権の移転と同じく対抗要件にすぎない。同じ著作物について二重に出版権が設定された場合に、登録を受けた出版権者が他方に優先するという場面で意味を持つ。特許法の専用実施権が98条1項2号で設定の登録を効力発生要件とするのとは仕組みが違い、出版権は登録がなくても設定契約の時に発生して出版権者は複製権等保有者に対して権利を主張できる。枝は専用実施権の仕組みを出版権に当てはめており、登録を効力発生要件と読んでいる点が条文と合わない。

出版権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は複製権若しくは公衆送信権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
| 利用許諾(63条) | 出版権(79条〜88条) | |
|---|---|---|
| 設定する者 | 著作権者 | 複製権等保有者(複製権又は公衆送信権を有する者) |
| 権利の性質 | 許諾の範囲内で利用できる利用権で、排他性はない | 原作のまま複製・公衆送信する権利を専有する排他的な権利である |
| 差止請求 | できない(112条1項に挙がっていない) | 出版権者として自ら請求できる |
| 譲渡・再許諾 | 著作権者の承諾があれば譲渡できる(63条3項) | 再許諾には複製権等保有者の承諾が要る(80条3項) |
| 第三者対抗 | 登録なしで対抗できる(63条の2) | 設定の登録が対抗要件である(88条1項1号) |
誤り。違うのは「電子書籍をインターネット上で送信することのみを引き受ける者に対しては設定することができない」の部分である。79条1項は公衆送信行為を引き受ける者にも出版権を設定できると定めている。
著作権法79条1項は、複製権等保有者は、その著作物について、文書若しくは図画として出版すること(出版行為)又は電子計算機の映像面に文書若しくは図画として表示される方式で記録媒体に記録された複製物を用いて公衆送信を行うこと(公衆送信行為)を引き受ける者に対し、出版権を設定することができると定める。出版権は出版者が投資をして原作のまま著作物を世に出す行為を排他的に保護する制度であり、紙の出版と電子書籍の配信とで出版者の立場に違いがないため、平成26年改正で公衆送信行為を引き受ける者にも設定できるようにしたものである。設定する側も、複製権を有する者だけでなく公衆送信権を有する者を含めて複製権等保有者とされ、80条1項2号で出版権者は原作のまま複製物を用いて公衆送信を行う権利を専有する。したがって、電子書籍の送信のみを引き受ける者には設定できないとする枝は誤りである。出版行為と公衆送信行為のどちらか一方だけを内容とする出版権の設定もできる。

第二十一条又は第二十三条第一項に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権等保有者」という。)は、その著作物について、文書若しくは図画として出版すること(電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布することを含む。次条第二項及び第八十一条第一号において「出版行為」という。)又は当該方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。以下この章において同じ。)を行うこと(次条第二項及び第八十一条第二号において「公衆送信行為」という。)を引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
