著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
この条文が問われた枝 3問
誤り。違うのは「相続によって、被相続人である著作者から相続人に移転する」の部分である。著作者人格権は著作者の一身に専属し(59条)、相続の対象にならず、著作者の死亡によって消滅する。
59条は、著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができないと定める。一身に専属するとは、その権利が著作者という人そのものと切り離せないことをいい、契約で他人に譲渡できないだけでなく、民法896条ただし書により被相続人の一身に専属した権利は相続の対象から外れるから、著作者が死亡しても相続人に移転せず消滅する。著作者人格権が守るのは著作者本人の名誉や感情であり、別の人に移して行使させる性質のものではないからである。ただし著作者の死後に著作物が改変されたり無断で公表されたりすれば著作者の人格的利益はなお害されるので、60条が著作者が存しているとしたならば著作者人格権の侵害となるべき行為を禁止し、116条が遺族に差止請求や名誉回復の措置の請求を認めている。これは遺族が自らの立場で請求する仕組みであって、著作者人格権そのものが相続されたわけではない。相続人に移転するとする枝は誤りである。

著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
誤り。違うのは「これらの権利が乙社に帰属する旨が明記されている場合には、乙社が有する」の部分である。著作権は譲渡できるが、著作者人格権は著作者の一身に専属し、合意があっても乙社に移らない。
2条1項2号は著作者を著作物を創作する者と定め、17条1項により著作者は創作と同時に著作者人格権と著作権を享有する。志望理由書を書いたのは甲であり、乙社は募集要項を出しただけで創作に関与していないから、著作者は甲である。そのうえで61条1項は著作権をその全部又は一部について譲渡できると定めるので、募集要項の記載を甲が応募によって受け入れたとみれば、著作権が乙社に移ることはあり得る。しかし59条は著作者人格権を著作者の一身に専属し譲渡することができないものとしており、人格的な利益は著作者本人から切り離せないという理屈で、契約や募集要項に明記しても乙社には帰属しない。著作権と著作者人格権の両方を乙社が有するとする点で枝はずれている。15条の職務著作であれば乙社が著作者となって人格権まで持つが、就職活動中の学生は乙社の業務に従事する者ではない。

著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
| 権利 | 譲渡 |
|---|---|
| 著作権(21条〜28条) | 61条1項により全部又は一部を譲渡できる。27条・28条の権利は特掲がなければ留保と推定される(61条2項) |
| 著作者人格権(18条〜20条) | 59条により一身専属で譲渡できない。契約で特掲しても無効で、死亡により消滅する |
誤り。違うのは「著作権の存続期間の満了とともに消滅する」の部分である。存続期間の定めがあるのは著作権だけで、著作者人格権は著作者の一身に専属し、法人が著作者である間は著作権の満了後も存続する。出題当時は団体名義の著作物の保護期間が公表後50年(平成30年改正前)であったが、結論は変わらない。
59条は著作者人格権を著作者の一身に専属し譲渡することができないものと定め、著作者が存する限り著作者とともにあるという性質を与えている。これに対して51条から54条までの存続期間は著作権について置かれた定めであり、53条1項が法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権を公表後70年を経過するまで存続させるのも、著作権の話である。著作者人格権は財産的な利用を一定期間で社会に開放するという著作権の制度趣旨とは別に、著作者の人格的な利益を守る権利であるから、著作権の終期と連動させる理由がないという理屈である。15条の職務著作により法人が著作者となる場合、17条1項により法人も著作者人格権を享有し、その権利は法人が存続する限り続く。したがって法人の著作者人格権は著作権の存続期間の満了によっては消滅せず、法人が解散して存しなくなったときに消滅する。

著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。


