1著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
2著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。
この条文が問われた枝 4問
誤り。違うのは「2095 年5月3日に満了する」の部分である。死後70年の終期は著作者が死亡した日の属する年の翌年から起算するから(57条)、令和77年12月31日の経過で満了する。
51条2項は、著作権が著作者の死後70年を経過するまでの間存続すると定め、57条は、著作者の死後70年の期間の終期を計算するときは著作者が死亡した日の属する年の翌年から起算すると定める。死亡日から日単位で数えると利用者が著作者の命日を正確に調べなければ満了日が分からず、年末で区切れば暦年の初めから一律に計算できるため、暦年主義で終期を揃えたものである。実名で公表された小説Aは52条の無名・変名の著作物に当たらず原則どおり死後起算であり、著作者甲が令和7年5月3日に死亡したのであれば、翌年の令和8年1月1日から70年を数えて令和77年12月31日の経過をもって著作権が満了する。死亡日からちょうど70年後の令和77年5月3日に満了するとする枝は、57条の翌年起算を見落としている点で誤っている。

第五十一条第二項、第五十二条第一項、第五十三条第一項又は第五十四条第一項の場合において、著作者の死後七十年又は著作物の公表後七十年若しくは創作後七十年の期間の終期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する。
- 原則(51条):著作者の死後70年。共同著作物は最終に死亡した著作者の死後70年である
- 無名・変名の著作物(52条):公表後70年。周知の変名、期間内の実名の登録、期間内の実名又は周知の変名での公表があれば原則に戻る
- 団体名義の著作物(53条):公表後70年。創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年である。15条2項の職務著作のプログラムも同じである
- 映画の著作物(54条):公表後70年。創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年で、著作者が誰かを問わない
- 起算(57条):死亡・公表・創作の日の属する年の翌年から起算する
誤り。違うのは「毎回の公表後 70 年を経過するまでの間、存続する」の部分である。著作者のものとして周知の変名の著作物には公表後起算の52条1項が適用されず(同条2項1号)、原則どおり著作者の死後70年である。
52条1項は無名又は変名の著作物の著作権を公表後70年とするが、同条2項1号は、変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるときは1項を適用しないと定める。無名や変名の著作物を公表後起算とするのは、著作者が誰か分からなければ死亡の時も分からず、死後70年という原則を適用しようがないからである。変名でも著作者が誰か周知であれば死亡の時を確かめられるから、原則に戻して51条2項の死後70年で保護する。連載漫画Aの変名は著作者甲のものとして周知であるから、52条1項は働かず、著作権は甲の死後70年まで存続する。56条1項が回を追って公表する著作物の公表の時を毎回の公表の時とするのは、52条1項、53条1項、54条1項の公表後起算の場合の規定であって、死後起算となる本枝の場面では毎回の公表の時を基準にする余地がない。したがって枝は誤っている。

変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき。
誤り。違うのは「当該美術の著作物の著作権は消滅する」の部分である。著作権の消滅事由は保護期間の満了と62条1項の場合に限られ、原作品の滅失は含まれない。
著作権法2条1項1号は著作物を思想又は感情を創作的に表現したものと定め、著作権はこの無体の表現を対象とする権利であって、絵画や書という有体物の原作品の所有権とは別の権利である。著作権が消滅するのは、51条2項以下の保護期間が満了したときと、62条1項が定める著作権者の死亡で相続人がなく国庫に帰属すべきこととなる場合、著作権者である法人の解散で国庫に帰属すべきこととなる場合である。原作品が焼失や破損で消滅しても、表現そのものは複製物や記憶の中に残り得るから、消滅事由に挙げられていない。したがって存続期間が満了していないのに原作品の消滅で著作権が消滅するとする枝は、消滅事由を定めた条文に根拠がない。所有権の対象である原作品と、著作権の対象である著作物を分けて考える点が、45条や47条の原作品の所有者に関する定めの前提でもある。

著作権は、次に掲げる場合には、消滅する。
一 著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百五十九条(残余財産の国庫への帰属)の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
二 著作権者である法人が解散した場合において、その著作権が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第二百三十九条第三項(残余財産の国庫への帰属)その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
- 存続期間の満了:51条から54条までの期間が満了したときに消滅する(57条で翌年から起算する)
- 相続人の不存在(62条1項1号):著作権者が死亡し、民法959条で国庫に帰属すべきこととなるときに消滅する
- 法人の解散(62条1項2号):著作権者である法人が解散し、残余財産として国庫に帰属すべきこととなるときに消滅する
- 消滅しない場合:原作品の滅失、著作者人格権の消滅、質権の設定では著作権は消滅しない
誤り。違うのは「乙のみから許諾を得ることで足りる」の部分である。共同著作物の著作権は最終に死亡した著作者の死後まで存続し、甲の持分は相続人丙が承継しているから、画集への掲載には乙と丙の双方の合意が要る。出題当時は保護期間が死後50年(平成30年改正前)であったが、乙が存命である以上、結論は変わらない。
51条2項は、著作権は著作者の死後70年を経過するまでの間存続すると定め、共同著作物についてはかっこ書で最終に死亡した著作者の死後と読み替える。共同著作物は各人の寄与を分離して利用できないので、著作者の一人が死亡しても存命の著作者の創作的表現が残っている限り全体の保護を打ち切れないという理屈である。画家乙が存命であるから、甲の死亡から51年が経過していても絵画の著作権はなお存続し、甲が持っていた共有持分は相続により丙に承継されている。そして65条2項は共有著作権をその共有者全員の合意によらなければ行使することができないと定めるので、出版社丁が絵画を画集に掲載するには、乙だけでなく丙の許諾も得なければならない。共同著作物の存続期間は持分ごとではなく全体で一本である。出題当時の保護期間は死後50年であったが、共同著作物の終期の決め方は同じである。

著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。
- 原則(51条):著作者の死後70年である。共同著作物は最終に死亡した著作者の死後70年である
- 無名・変名の著作物(52条):公表後70年である。周知の変名、期間内の実名の登録、期間内の実名又は周知の変名での公表があれば原則に戻る
- 団体名義の著作物(53条):公表後70年で、創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年である
- 映画の著作物(54条):公表後70年で、創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年である
- 起算(57条):死亡・公表・創作の日の属する年の翌年から起算する。平成30年改正前は原則が死後50年であった





