1著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。
この条文が問われた枝 4問
正しい。112条2項の廃棄等の請求は同条1項の差止請求を「するに際し」行うものであるから、存続期間の満了で差止請求ができなくなれば、残った印刷物の廃棄だけを請求することはできない。
112条1項は、著作権者等が侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止又は予防を請求できると定め、2項は「前項の規定による請求をするに際し」、侵害の行為によって作成された物の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求できると定める。廃棄等の請求は、差止めの実効性を確保するために差止請求に付随して認められるものであり、独立の請求権ではない。著作権の存続期間が満了すれば著作物は誰でも自由に利用できるようになり、侵害の停止又は予防という目的自体が消えるから、差止請求はできなくなる。差止請求ができない以上、それに際して行う廃棄請求も根拠を失う。したがって、存続期間中の侵害により作成された小説の印刷物が残っていても、満了後にその廃棄を請求することはできず、本枝は条文の構造のとおりである。

著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。
- 請求できる者:著作者、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者
- 相手方:侵害する者又は侵害するおそれがある者。故意・過失は要らない
- 内容:侵害の停止又は予防(1項)
- 付随する請求:侵害の行為を組成した物、侵害の行為によって作成された物、専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の必要な措置(2項)。差止請求をするに際して行う
- 存続期間の満了後は差止請求ができず、廃棄だけを請求することもできない
誤り。違うのは「当該ピアノが現実に専ら侵害の行為に供されたことを認定しなければならない」の部分である。112条2項の「専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具」は廃棄の対象を限定する文言であり、その他の侵害の停止又は予防に必要な措置として撤去を命じるのに、専ら侵害に供されたことの認定は要らない。
112条2項は、差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によって作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができると定める。「専ら」の限定は、他の用途にも使える機械や器具を一律に廃棄させるのは行き過ぎになるため、廃棄という最も強い措置の対象を絞ったものである。しかし条文は廃棄のほかに「その他の侵害の停止又は予防に必要な措置」を広く認めており、店舗からのピアノの撤去は廃棄ではなくこちらに当たる。ライブバーの無断演奏が争われた大阪高判平成20年9月17日は、ピアノが適法な演奏にも使える器具であっても、現実の使用の態様が主として無断演奏であって侵害が続くおそれがあれば、撤去は侵害の予防に必要な措置に当たるとした。枝は廃棄の要件である「専ら」を撤去にまで持ち込んでいる点でずれている。

著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。
- 請求できる者:著作者、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者。利用の許諾を受けた者(63条)は入らない
- 相手:権利を侵害する者又は侵害するおそれがある者。故意・過失は要らない
- 内容:侵害の停止又は予防の請求。これをするに際し、廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求できる(2項)。廃棄の対象となる機械・器具は専ら侵害の行為に供されたものに限る
正しい。著作者は著作者人格権を侵害する者に対し侵害の停止又は予防を請求でき(112条1項)、故意又は過失による侵害には損害賠償を請求でき、著作者人格権の侵害には刑事罰の規定もある(119条2項1号)。
112条1項は、著作者は、その著作者人格権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。差止請求に故意や過失は要らず、侵害の事実があれば足りる。損害賠償は民法709条の不法行為によるものであり、故意又は過失により著作者人格権を侵害した者に対して請求でき、115条はこれに代えて又はこれとともに、著作者であることを確保し、又は訂正その他名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することも認める。さらに119条2項1号は、著作者人格権を侵害した者を5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定めるから、侵害行為に刑事罰が適用される場合もある。この罪は123条1項の親告罪であり、著作者の告訴がなければ公訴を提起できないが、適用される場合があることに変わりはない。民事の差止めと損害賠償、刑事罰の三つがそろうとする枝は正しい。

著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求できる者:著作者、著作権者、出版権者、実演家、著作隣接権者である。利用の許諾を受けた者(63条)は入らない
- 相手:権利を侵害する者又は侵害するおそれがある者である。故意・過失は要らない
- 内容:侵害の停止又は予防の請求である。これをするに際し、廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求できる(2項)
- 刑事罰:著作者人格権の侵害は5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又は併科(119条2項1号)で、親告罪である(123条1項)
正しい。117条は、共有に係る著作権の各著作権者が他の著作権者の同意を得ないで112条の差止請求をすることができると定めている。
117条1項は、共同著作物の各著作者又は各著作権者は、他の著作者又は他の著作権者の同意を得ないで、112条の規定による請求又は自己の持分に対する損害の賠償の請求若しくは自己の持分に応じた不当利得の返還の請求をすることができると定め、2項でこれを共有に係る著作権の侵害に準用する。65条2項は共有著作権の行使に共有者全員の合意を求めるが、これは利用許諾のように権利の内容を積極的に実現する場面の規律であり、侵害を止めさせる請求は権利を守る保存行為であって、他の共有者の利益を害することがないから、各共有者が単独でできるとされている。損害賠償と不当利得の返還は自己の持分の範囲に限られるのに対し、差止請求は侵害の停止又は予防という性質上、持分に分けられず全部について請求できる。各共有者が単独で差止請求をすることができるとする本枝は正しい。

共同著作物の各著作者又は各著作権者は、他の著作者又は他の著作権者の同意を得ないで、第百十二条の規定による請求又はその著作権の侵害に係る自己の持分に対する損害の賠償の請求若しくは自己の持分に応じた不当利得の返還の請求をすることができる。
- 持分の譲渡・質権設定(65条1項):他の共有者の同意が要る
- 著作権の行使(65条2項):利用許諾を含め、共有者全員の合意が要る。正当な理由がない限り合意の成立を妨げられない(3項)
- 差止請求(117条):各共有者が他の同意を得ないで単独でできる
- 損害賠償・不当利得返還(117条):自己の持分に対する分を単独で請求できる














