1この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
1 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
2 音楽の著作物
3 舞踊又は無言劇の著作物
4 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
5 建築の著作物
6 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
7 映画の著作物
8 写真の著作物
9 プログラムの著作物
2事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
1 プログラム言語プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
2 規約特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
3 解法プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
この条文が問われた枝 14問
誤り。違うのは「プログラムの著作物には該当しない」の部分である。プログラムの定義は電子計算機に対する指令の組合せとしての表現であり、機器に組み込まれているかどうかは要件になっていない。
2条1項10号の2は、プログラムを、電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものと定義し、10条1項9号はプログラムの著作物を著作物の例として掲げる。この定義が見ているのは、指令の組合せという表現の形であって、そのプログラムがどのような機器で動くか、独立した製品として流通するか、ほかの装置に組み込まれているかは問うていない。自動車のナビゲーション用プログラムも、地図情報を処理して経路を示すという一の結果を得るために電子計算機への指令を組み合わせたものであるから、プログラムの定義に当たり、指令の組合せに作成者の個性が表れていれば2条1項1号の創作性も満たしてプログラムの著作物となる。本枝は自動車に組み込まれていることを理由に該当性を否定しており、定義の要件にない事情で結論を変えている点がずれている。

プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。
誤り。違うのは「自然物を用いているので、美術の著作物には該当しない」の部分である。著作物性は思想又は感情を創作的に表現したものかどうかで決まり、素材が自然物であることは否定の理由にならない。
2条1項1号は、著作物を、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものと定義し、10条1項4号は絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物を例示する。著作物の要件は表現に作成者の個性が表れているかどうかであり、表現に用いる素材の種類は条文のどこにも要件とされていない。花材や枝葉そのものは自然物であって誰の思想も表現していないが、生け花はその花材を選び、組み合わせ、配置して一つの造形を作り出すものであり、その選択・組合せ・配置に作成者の個性が表れていれば、思想又は感情を創作的に表現した美術の著作物となり得る。本枝は自然物を用いていることだけを理由に美術の著作物への該当を一律に否定しており、創作性の有無で判断する条文の構造と食い違う。

著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
- 思想又は感情:人の考えや気持ちが元になっていることである。単なる事実やデータそのものは当たらない
- 創作的に:作成者の個性が何らかの形で表れていることである。ありふれた表現、機械的な再現は当たらない
- 表現したもの:外に表された具体的な表現が対象で、アイデアや着想そのものは対象にならない
- 文芸、学術、美術又は音楽の範囲:知的・文化的な精神活動の所産であることを広く言う要件で、素材や用途で直ちに外す趣旨ではない
正しい。10条1項3号は著作物の例示として舞踊又は無言劇の著作物を挙げており、身体的動作から構成される舞踊も2条1項1号の要件を満たせば著作物として保護される。
2条1項1号は、著作物を思想又は感情を創作的に表現したものであって文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものと定義し、10条1項はその例示としておおむね次のとおりと述べて、3号に舞踊又は無言劇の著作物を掲げる。表現の媒体は言葉や音や絵に限られず、人の身体の動きそのものによる表現も、振付に作者の個性が表れていれば創作的な表現である。舞踊が例示に明記されているのは、身体的動作による表現が文芸や音楽と同じく文化的所産として保護に値するからである。したがって舞踊は著作物として保護されることがあり、枝の記述は正しい。物への固定が要件とされるのは2条3項の映画の著作物だけであり、紙や映像に記録されていない即興の舞踊であっても、創作性があれば著作物になる。

著作物思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
- 一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
- 二 音楽の著作物
- 三 舞踊又は無言劇の著作物
- 四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
- 五 建築の著作物
- 六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
- 七 映画の著作物
- 八 写真の著作物
- 九 プログラムの著作物
- 例示であるから、九つに当てはまらない表現物も2条1項1号を満たせば著作物になる
誤り。違うのは「例示規定に列挙された著作物に該当しない表現物は、著作物として保護し得ない」の部分である。10条1項は例示であり、列挙に当たらなくても2条1項1号を満たせば著作物となる。
10条1項は、この法律にいう著作物を「例示すると、おおむね次のとおりである」と定めて言語、音楽、舞踊又は無言劇、美術、建築、図形、映画、写真、プログラムの九つを挙げる。文言のとおりこれは例示であって、著作物の範囲を画するのは2条1項1号の定義であり、思想又は感情を創作的に表現したものであって文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであれば著作物となる。表現の形式は技術や文化の変化とともに増えるから、法は定義で枠を決め、典型例を列挙して理解の手がかりにする構造をとっている。したがって、九つの列挙のいずれにも当たらない表現物でも、定義を満たす限り著作物として保護される。本枝は例示を限定列挙と読み替えており、ここが条文とずれている。なお、これとは逆に、13条は法令や判決のように定義を満たしても権利の目的とならない著作物を個別に定めている。

この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
- 一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
- 二 音楽の著作物 三 舞踊又は無言劇の著作物
- 四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物 五 建築の著作物
- 六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
- 七 映画の著作物 八 写真の著作物 九 プログラムの著作物
- これらは例示であり、列挙に当たらない表現物も2条1項1号の定義を満たせば著作物となる
誤り。違うのは「作成・発行する地図は、著作権の目的とはならない」の部分である。地図は10条1項6号に例示された図形の著作物であり、国の機関が作成したものでも13条のいずれの号にも当たらない。
10条1項6号は、地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物を著作物の例示として掲げる。地図は地形や施設のうち何を取り上げてどう表現するかの選択に作成者の個性が表れるため、創作性があれば著作物として保護される。一方で13条が権利の目的から外すのは、憲法その他の法令、国等が発する告示・訓令・通達、裁判所の判決等、及びこれらの国等による翻訳物・編集物に限られる。これらは国民に周知し遵守させるべき公的な規範や判断であるという性質から自由利用を認めたものであり、国の機関が作成したというだけで著作物が権利の対象から外れるわけではない。国土地理院の地図は法令でも告示でも判決でもないため13条に当たらず、国が著作権を有する地図の著作物として扱われる。枝は作成主体が国であることと13条の対象であることを混同している。

地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
正しい。10条2項が、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は1項1号に掲げる言語の著作物に該当しないと明文で定めている。
10条2項は、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第1号に掲げる著作物に該当しないと定める。前項第1号とは小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物である。著作物は2条1項1号により思想又は感情を創作的に表現したものに限られ、人事異動や死亡記事、事故の発生日時と場所を伝えるだけの短い記事は、誰が書いても同じになる事実の記述であって表現に個性が表れない。10条2項はこの当然の帰結を言語の著作物について確認した規定であり、新たに保護の例外を作るものではない。したがって報道であっても、記者が事実の選択や構成、表現に工夫を凝らした記事は言語の著作物として保護され、外れるのはあくまで事実の伝達にすぎないものである。枝は条文の文言をそのまま述べており正しい。

事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
正しい。10条3項は、プログラムの著作物に対する保護がそのプログラムを作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばないと定めている。
著作権法10条3項は、プログラムの著作物に対する保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばないと定め、プログラム言語をプログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系、規約を特定のプログラムにおけるプログラム言語の用法についての特別の約束、解法をプログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法と定義する。著作権法が保護するのは具体的な表現であって、表現の手段である言語や約束事、表現の元になる考え方である解法まで独占させると、他人が同じ言語や手順で別のプログラムを書くことができなくなり、ソフトウェアの開発を妨げるからである。枝のいう記述するための言語やルールはプログラム言語と規約に、論理的手順(アルゴリズム)は解法に当たるから、保護が及ばないとする枝は正しい。保護されるのは、それらを用いて書かれた指令の組合せの具体的な表現である。

第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
| 用語 | 意義 |
|---|---|
| プログラム言語 | プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系 |
| 規約 | 特定のプログラムにおけるプログラム言語の用法についての特別の約束 |
| 解法 | プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法 |
正しい。設計図は10条1項6号の学術的な性質を有する図面として、図面の表現に創作性があればそれ自体が著作物となり、建築物が建築の著作物に当たるかどうかに左右されない。
著作権法10条1項は著作物を例示し、5号に建築の著作物、6号に地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物を別々に掲げる。建築の著作物は建築物という立体の表現を、図形の著作物は図面という平面の表現をそれぞれ保護するもので、両者は対象も創作性の判断も別である。建築物の設計図は、線や記号、寸法の表し方などの図面としての表現に作成者の個性が表れていれば、学術的な性質を有する図面として図形の著作物になる。その設計図に従って造られる建築物が、一般的な住宅のように建築の著作物に当たらないものであっても、図面の著作物性には影響しない。したがって枝は正しい。逆に設計図が図形の著作物であっても、その設計図に従って建築物を建てる行為は、建築物自体が建築の著作物でない限り、2条1項15号ロの建築の著作物の複製には当たらない点が対比になる。

地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
正しい。東京タワーの高さという事実をありふれた言い回しで述べただけの文章は、思想又は感情を創作的に表現したものに当たらず、著作物ではない。
著作権法2条1項1号は、著作物を思想又は感情を創作的に表現したものであって文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものと定め、10条2項は事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道が言語の著作物に該当しないと確認している。著作権法が保護するのは表現であって、事実やデータそのものは誰の創作でもなく、独占させれば情報の流通を妨げるからである。東京タワーが333メートルであるという事実を「東京タワーは333メートルである。」と述べる文章は、事実をそのまま伝えるもので、誰が書いても同じになる言い回しに作成者の個性は表れない。したがって創作性がなく、著作物ではないとする枝は正しい。同じ事実を題材にしても、表現の選択や構成に個性が表れた解説文であれば言語の著作物となり得るが、保護はその表現に及ぶだけで、高さという事実自体は誰でも自由に利用できる。

事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
- 思想又は感情:人の考えや気持ちが元になっていることである。単なる事実やデータそのものは当たらない
- 創作的に:作成者の個性が何らかの形で表れていることである。ありふれた表現、機械的な再現、技術的基準どおりの処理は当たらない
- 表現したもの:外に表された具体的な表現が対象で、アイデアや着想そのものは対象にならない
- 文芸、学術、美術又は音楽の範囲:知的・文化的な精神活動の所産であることを広く言う要件で、実用品や技術文書を直ちに外す趣旨ではない
誤り。違うのは「建築物について著作権法による保護を受けることはできなくなった」の部分である。建築の著作物は10条1項5号に例示されており、意匠登録の対象となったことで著作権法の保護から外れることはない。
10条1項5号は建築の著作物を著作物の例示に掲げる。著作権法は2条1項1号の要件を満たす創作的表現を保護し、同じ対象が他の法律で保護されるかどうかを問わない。意匠法は令和元年改正で建築物を意匠登録の対象としたが、意匠法にも著作権法にも、意匠登録を受けられる物を著作権法の保護から除く規定はなく、意匠権と著作権は要件も発生の仕組みも別で、それぞれ独立に成立する。建築物が建築芸術といえる美的創作性を備えていれば、意匠登録の有無にかかわらず建築の著作物として保護され、著作権は創作と同時に無方式で発生する。意匠登録ができるようになったことを理由に、同改正法の施行日以降は著作権法の保護を受けられなくなったとする点がずれている。

建築の著作物
誤り。違うのは「規約は、著作物に当たる」の部分である。プログラムを作成するために用いる規約には10条3項により著作権法の保護が及ばない。
10条3項は、プログラムの著作物に対する著作権法による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばないと定め、同項2号は規約を特定のプログラムにおけるプログラム言語の用法についての特別の約束と定義する。プログラムは指令の組合せとして表現されたものであり、表現として保護されるのはその具体的な記述であって、記述の前提となる言語、約束事、手順の組み方はアイデアや道具に当たる。これらを独占させると同じ規約で別のプログラムを書くこと自体ができなくなるため、保護の対象から明文で外されている。枝は、ゲームソフトのプログラムの著作物を作成するために用いられる規約を著作物に当たるとしており、10条3項が規約を保護の外に置いていることとずれている。規約に従って書かれたプログラム自体が保護されることと、規約そのものが保護されないこととは別である。

第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
| 語 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| プログラム言語 | プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系 | C言語などの言語そのもの |
| 規約 | 特定のプログラムにおけるプログラム言語の用法についての特別の約束 | 通信プロトコル、インタフェースの取り決め |
| 解法 | プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法 | アルゴリズム |
正しい。四字熟語自体はありふれた言葉で言語の著作物にならなくても、書道家が書として表現したものは、文字の形、墨の濃淡、筆の運びなどに思想又は感情が創作的に表現された美術の著作物として保護される。
2条1項1号は、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものを著作物とし、10条1項4号は絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物を例示する。ありふれた四字熟語は、言葉としては誰が使っても同じで創作性を欠くから、言語の著作物にはならない。しかし書は、文字という素材を用いながら、文字の形や大きさ、線の太さと勢い、墨の濃淡とかすれ、字と字の間隔や全体の構成に書き手の個性を表すものであり、言葉の意味とは別に、視覚的な表現として美術の著作物となり得る。保護されるのは言葉そのものではなく、その書道家がその筆で表した具体的な表現であるから、同じ四字熟語を他人が自分の筆で書くことは自由であり、その書を複製したり、忠実に模写したりする行為が侵害になる。したがってありふれた四字熟語を書道家が書として表現したものは著作物として保護される。

絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
正しい。写真が著作物となるには被写体の選択、構図、光量、シャッターチャンス等に撮影者の個性が表れている必要があり、平面のポスターを忠実に撮影しただけの写真は原物を再現したにすぎず、写真の著作物として保護されない。
10条1項8号は写真の著作物を著作物の例示に掲げるが、例示に当たる類型であっても、2条1項1号の思想又は感情を創作的に表現したものでなければ著作物にはならない。写真の創作性は、被写体の選択や組合せ、構図、カメラアングル、光量と陰影、シャッターチャンス、現像や加工の手法などに撮影者の個性が表れることによって認められる。ポスターのような平面の原物を、ゆがみや色の変化がないように忠実に撮影する場合は、原物を正確に再現することが目的であり、撮影者が選択できる要素はほとんどなく、誰が撮っても同じ結果になるから、撮影者の個性が表れる余地がない。したがって交通標語が記載されたポスターを忠実に撮影したにすぎない写真は、機械的な複製に近く、写真の著作物として保護されない。ポスターそのものに創作性があれば、その著作権が及ぶだけである。

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
誤り。違うのは「通常加味される程度の美的創作性を備えていれば、建築の著作物として保護される」の部分である。一般住宅が建築の著作物となるには、建築芸術といえる美的創作性を要するとするのが裁判例である。
10条1項5号は建築の著作物を例示するが、例示に当たるだけでは足りず、2条1項1号の「思想又は感情を創作的に表現したもの」で「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」でなければ著作物にならない。建築物は居住や使用という実用目的を本質とし、設計に多少の美的工夫が加わるのは通常のことである。それを理由に著作物と認めると、同じ間取りや外観の住宅を建てることが複製権侵害になり、住宅の供給が広く妨げられる。そこで裁判例は、一般住宅が建築の著作物となるには、通常加味される程度の美的創作性では足りず、建築芸術といえるような造形芸術としての美的創作性を備えることを要するとした。枝は通常程度の美的創作性で足りるとしている点で誤っている。

著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。









