1著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
2著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものと推定する。
1 その著作物でまだ公表されていないものの著作権を譲渡した場合当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。
2 その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示すること。
3 第二十九条の規定によりその映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。
3著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものとみなす。
1 その著作物でまだ公表されていないものを行政機関(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「行政機関情報公開法」という。)第二条第一項に規定する行政機関をいう。以下同じ。)に提供した場合(行政機関情報公開法第九条第一項の規定による開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。)行政機関情報公開法の規定により行政機関の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること(当該著作物に係る歴史公文書等(公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号。以下「公文書管理法」という。)第二条第六項に規定する歴史公文書等をいう。以下同じ。)が行政機関の長から公文書管理法第八条第一項の規定により国立公文書館等(公文書管理法第二条第三項に規定する国立公文書館等をいう。以下同じ。)に移管された場合(公文書管理法第十六条第一項の規定による利用をさせる旨の決定の時までに当該著作物の著作者が別段の意思表示をした場合を除く。)にあつては、公文書管理法第十六条第一項の規定により国立公文書館等の長(公文書管理法第十五条第一項に規定する国立公文書館等の長をいう。以下同じ。)が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することを含む。)。
2 その著作物でまだ公表されていないものを独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号。以下「独立行政法人等情報公開法」という。)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)に提供した場合(独立行政法人等情報公開法第九条第一項の規定による開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。)独立行政法人等情報公開法の規定により当該独立行政法人等が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること(当該著作物に係る歴史公文書等が当該独立行政法人等から公文書管理法第十一条第四項の規定により国立公文書館等に移管された場合(公文書管理法第十六条第一項の規定による利用をさせる旨の決定の時までに当該著作物の著作者が別段の意思表示をした場合を除く。)にあつては、公文書管理法第十六条第一項の規定により国立公文書館等の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することを含む。)。
3 その著作物でまだ公表されていないものを地方公共団体又は地方独立行政法人に提供した場合(開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。)情報公開条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下同じ。)の規定により当該地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること(当該著作物に係る歴史公文書等が当該地方公共団体又は地方独立行政法人から公文書管理条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する歴史公文書等の適切な保存及び利用について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下同じ。)に基づき地方公文書館等(歴史公文書等の適切な保存及び利用を図る施設として公文書管理条例が定める施設をいう。以下同じ。)に移管された場合(公文書管理条例の規定(公文書管理法第十六条第一項の規定に相当する規定に限る。以下この条において同じ。)による利用をさせる旨の決定の時までに当該著作物の著作者が別段の意思表示をした場合を除く。)にあつては、公文書管理条例の規定により地方公文書館等の長(地方公文書館等が地方公共団体の施設である場合にあつてはその属する地方公共団体の長をいい、地方公文書館等が地方独立行政法人の施設である場合にあつてはその施設を設置した地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することを含む。)。
4 その著作物でまだ公表されていないものを国立公文書館等に提供した場合(公文書管理法第十六条第一項の規定による利用をさせる旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。)同項の規定により国立公文書館等の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること。
5 その著作物でまだ公表されていないものを地方公文書館等に提供した場合(公文書管理条例の規定による利用をさせる旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。)公文書管理条例の規定により地方公文書館等の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること。
4第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
1 行政機関情報公開法第五条の規定により行政機関の長が同条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報が記録されている著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき、又は行政機関情報公開法第七条の規定により行政機関の長が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき。
2 独立行政法人等情報公開法第五条の規定により独立行政法人等が同条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報が記録されている著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき、又は独立行政法人等情報公開法第七条の規定により独立行政法人等が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき。
3 情報公開条例(行政機関情報公開法第十三条第二項及び第三項の規定に相当する規定を設けているものに限る。第五号において同じ。)の規定により地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
4 情報公開条例の規定により地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ハに規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
5 情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第七条の規定に相当するものにより地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示するとき。
6 公文書管理法第十六条第一項の規定により国立公文書館等の長が行政機関情報公開法第五条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報又は独立行政法人等情報公開法第五条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報が記録されている著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示するとき。
7 公文書管理条例(公文書管理法第十八条第二項及び第四項の規定に相当する規定を設けているものに限る。)の規定により地方公文書館等の長が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
8 公文書管理条例の規定により地方公文書館等の長が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ハに規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
この条文が問われた枝 17問
誤り。違うのは「甲の実演家人格権としての公表権の侵害となり得る」の部分である。実演家人格権は氏名表示権と同一性保持権の二つだけで、公表権は定められていない。
89条1項は、実演家は90条の2第1項及び90条の3第1項に規定する権利を実演家人格権として享有すると定め、90条の2第1項は実演家名を表示し又は表示しないこととする氏名表示権を、90条の3第1項は自己の名誉又は声望を害する実演の改変を受けない同一性保持権を定める。著作者人格権には18条の公表権があるが、実演家人格権はこの二つに限られており、未公表の実演を公衆に提示するかどうかを実演家が決める権利は規定されていない。非公開の練習での舞踊を無断で録画してSNSで公開する行為は、91条1項の録画権や92条の2第1項の送信可能化権の侵害となり得るものの、存在しない公表権の侵害にはならない。本枝は著作者人格権にしかない公表権を実演家人格権に含めている点がずれている。

実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。
| 著作者人格権 | 実演家人格権 | |
|---|---|---|
| 公表権 | ある(18条) | ない |
| 氏名表示権 | ある(19条) | ある(90条の2) |
| 同一性保持権 | 意に反する改変を受けない(20条) | 名誉又は声望を害する改変を受けない(90条の3) |
誤り。違うのは「当該ウェブサイトへの掲載についての乙の同意が推定される」の部分である。18条2項1号で推定されるのは譲渡した著作権の行使による公表への同意であり、演奏権だけを譲り受けた甲による楽譜の公衆送信には及ばない。
18条2項1号は、未公表の著作物の著作権を譲渡した場合には、当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示することについて同意したものと推定する。著作権を譲り受けた者がその権利を行使すれば未公表の著作物が公衆に出ることは譲渡の時点で予定されているから、その範囲で公表への同意を推定するのであり、推定の範囲は譲渡した著作権の行使に限られる。甲が譲り受けたのは演奏権だけであるから、推定される同意はコンサートで歌曲を公に演奏することまでである。楽譜をウェブサイトに掲載する行為は23条の公衆送信権の対象であり、乙が譲渡していない権利の行使であるから、18条2項1号の推定は働かず、掲載には乙の公表権についての同意が別に要る。本枝は演奏権の譲渡をもって公衆送信による公表の同意まで推定されるとしており、条文と食い違う。

その著作物でまだ公表されていないものの著作権を譲渡した場合 当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。
誤り。違うのは「そのような当該設計図の公衆への提供・提示は、公表権の侵害とはならない」の部分である。18条3項3号のみなし同意は、開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合には働かない。
18条3項3号は、著作者がその著作物でまだ公表されていないものを地方公共団体に提供した場合には、情報公開条例の規定により当該地方公共団体の機関が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することについて同意したものとみなすと定めるが、かっこ書で、開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除いている。情報公開制度を機能させるために開示への同意をみなしで認める一方、著作者が開示を望まないと表明した場合にまで公表権を奪う必要はないためである。甲は設計図の提出時に公衆への開示を拒絶する旨の通知をあわせて提出しており、これは開示決定の時までにされた別段の意思表示に当たるから、みなし同意は働かない。この状態で情報公開条例に基づき設計図を公衆に提供・提示すれば、18条1項の公表権の侵害となる。本枝は別段の意思表示があってもみなし同意が及ぶとしており、かっこ書の除外と食い違う。

著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものとみなす。
| 18条2項 | 18条3項 | |
|---|---|---|
| 場面 | 未公表の著作物の著作権の譲渡、美術・写真の著作物の原作品の譲渡、29条による映画製作者への帰属 | 未公表の著作物を行政機関・独立行政法人等・地方公共団体等・国立公文書館等に提供 |
| 効果 | 同意したものと推定する(特約や反対の事情で覆る) | 同意したものとみなす(覆らない) |
| 範囲 | 譲渡した著作権の行使、原作品による展示、映画の著作権の行使に限る | 情報公開法令や公文書管理法令による公衆への提供・提示に限る |
| 除外 | 推定を覆す事情(公衆に提示しない旨の特約など) | 開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合 |
正しい。18条2項1号は、未公表の著作物の著作権を譲渡した場合に、著作者がその著作権の行使により公衆に提供し又は提示することに同意したものと推定する。
18条1項は著作者がまだ公表されていない著作物を公衆に提供し又は提示する権利を有すると定め、同条2項1号は、その著作物でまだ公表されていないものの著作権を譲渡した場合には、当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し又は提示することについて著作者が同意したものと推定する。著作権は複製や公衆送信といった著作物を世に出す行為を専有する財産権であるから、未公表のまま著作権を譲渡した著作者は譲受人がその権利を行使して著作物を公表することを当然に予定しているはずであり、譲受人が公表のたびに公表権の同意を取り直さなくて済むように同意を推定したものである。推定にとどまるから、公表しない旨の特約があれば覆るが、枝は推定されると述べるだけであるから正しい。原作品の譲渡についての同じ推定は2号が定め、こちらは原作品による展示の方法での提示に限られる。

その著作物でまだ公表されていないものの著作権を譲渡した場合当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。
- 1号:未公表の著作物の著作権を譲渡した場合は、著作権の行使による公衆への提供・提示に同意したものと推定する
- 2号:未公表の美術の著作物又は写真の著作物の原作品を譲渡した場合は、原作品による展示の方法での公衆への提示に同意したものと推定する
- 3号:29条により映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合は、著作権の行使による公衆への提供・提示に同意したものと推定する
- いずれも推定であるから、反対の特約や意思表示があれば覆る
正しい。18条2項2号は、未公表の美術の著作物又は写真の著作物の原作品を譲渡した場合に、著作者が原作品による展示の方法で公衆に提示することに同意したものと推定する。
18条2項2号は、その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合には、これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示することについて著作者が同意したものと推定する。絵画や彫刻の原作品を買った者は45条1項により原作品を公に展示できるが、未公表の作品についてはなお著作者の公表権が立ちはだかるため、著作者が原作品を手放した以上は展示による公表に同意していると推定して、所有者の展示を可能にしたものである。推定の範囲が原作品による展示の方法に限られているのは、原作品の譲渡から推測できる著作者の意思が展示にとどまり、複製物の出版や公衆送信までは含まないからである。枝は美術の著作物の原作品の譲渡について、原作品による展示の方法での公衆への提示に同意したものと推定されると述べており、2号のとおりであるから正しい。

その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示すること。
誤り。違うのは「これにより当該楽曲は公表されたことになるから、このリポーターが当該楽曲をテレビ番組で放送することは、公表権侵害にあたらない」の部分である。1人に感想を聞くために渡しただけでは公衆への提供ではなく未公表のままである。
4条1項は、著作物が発行され、又は権利者若しくはその許諾を得た者によって上演、演奏、上映、公衆送信、口述若しくは展示の方法で公衆に提示された場合に公表されたものとすると定める。発行も公衆の要求を満たす相当程度の部数の複製物が公衆に頒布されることであり(3条1項)、いずれにせよ公表には公衆への提供又は提示が要る。公衆は不特定の者又は特定かつ多数の者であり(2条5項)、感想を聞くためその限りとして1人の芸能リポーターに録音データを提供する行為は、特定の少数の者への提供であって公衆への提供に当たらない。したがって楽曲は公表されていない。18条1項により、著作者はまだ公表されていない著作物を公衆に提供し又は提示する権利を有するから、リポーターが音楽家の同意なく当該楽曲をテレビ番組で放送することは、公衆送信の方法による公衆への提示であり、公表権の侵害となる。本枝は、少数の者への提供を公表と扱っている点で条文とずれている。

著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
- 発行されたとき:公衆の要求を満たす相当程度の部数の複製物が権利者等により頒布されたとき(3条1項)
- 権利者又はその許諾を得た者等によって上演、演奏、上映、公衆送信、口述若しくは展示の方法で公衆に提示されたとき
- 公衆は不特定の者又は特定かつ多数の者(2条5項)。特定の少数の者への提供・提示は公表にならない
- 同意を得ないで公表された著作物は、なお公表権の対象となる(18条1項括弧書き)
誤り。違うのは「その詩の著作者の有する公表権の侵害となる」の部分である。翻訳物が原著作者の許諾を得た者によって公衆に提示され又は発行されていれば、4条3項・3条2項により原著作物である詩も公表されたものとみなされ、公表権の対象から外れる。
18条1項は、著作者がその著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利を有すると定める。公表権は著作物を世に出すかどうかを著作者自身が決める権利であるから、既に公表された著作物にはもはや働かない。そして4条3項は、二次的著作物である翻訳物が原著作者の権利を有する者又はその許諾を得た者によって上演、演奏、上映、公衆送信若しくは口述の方法で公衆に提示され、又は送信可能化された場合に、原著作物は公表されたものとみなすと定め、3条2項は許諾を得た者が翻訳物の相当部数の複製物を作成し頒布した場合に原著作物は発行されたものとみなすと定める。翻訳物が公衆に届けば原著作物の内容も世に出たといえ、著作者が自ら許諾している以上、公表するかどうかの決定は既にされているからである。枝の詩は許諾を得た翻訳物が広く公表された時点で公表済みとなるため、その後の無断公表は公表権の侵害にならない。

二次的著作物である翻訳物が、第二十八条の規定により第二十二条から第二十四条までに規定する権利と同一の権利を有する者若しくはその許諾を得た者によつて上演、演奏、上映、公衆送信若しくは口述の方法で公衆に提示され、又は第二十八条の規定により第二十三条第一項に規定する権利と同一の権利を有する者若しくはその許諾を得た者によつて送信可能化された場合には、その原著作物は、公表されたものとみなす。
- 公表されたものとする場合(4条1項):発行された場合と、22条から25条までの権利を有する者又はその許諾を得た者等によって上演・演奏・上映・公衆送信・口述・展示の方法で公衆に提示された場合
- 公表されたものとみなす場合(4条2項〜4項):権利者等による送信可能化、翻訳物の公衆への提示(原著作物が公表されたものとみなされる)、45条1項の者による原作品の展示
- 公表されたことにならない場合:著作者の同意を得ない公表(18条1項かっこ書)と、公衆に当たらない特定の少数の者への提供・提示
誤り。違うのは「当該著作物は公表されたものとみなされる」の部分である。18条1項のかっこ書は、著作者の同意を得ないで公表された著作物をまだ公表されていないものに含めており、無断公表の後も著作者は公表権を行使できる。
18条1項は、著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有すると定める。公表権は、著作物を世に出すかどうか、出すとすればいつどのような形で出すかを著作者自身が決める権利であり、他人が無断で公表した事実によって著作者の決定の機会が失われたとすると、権利を侵した者の行為で権利が消える結果になる。そこで条文は、同意を得ないで公表された著作物を公表権との関係ではなお未公表のものとして扱い、著作者が改めて公表の時期や方法を決められるようにしている。4条が公表されたものとする場合として挙げるのも、権利者又はその許諾を得た者による提示であって、無断の提示ではない。何者かによって未公表の著作物が無断で公表されても、当該著作物は公表されたものとみなされないから、枝は誤りである。

著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
- 公表されたものとする場合(4条1項):発行された場合と、22条から25条までの権利を有する者又はその許諾を得た者等によって上演・演奏・上映・公衆送信・口述・展示の方法で公衆に提示された場合である
- 公表されたものとみなす場合(4条2項〜4項):権利者等による送信可能化、翻訳物の公衆への提示、45条1項の者による原作品の展示である
- 公表されたことにならない場合:著作者の同意を得ない公表(18条1項かっこ書)と、公衆に当たらない特定の少数の者への提供・提示である
正しい。友人1人への複製物の譲渡では著作物は未公表のままであり、18条2項2号の同意の推定は原作品を譲渡した場合に限られるから、複製物による公衆への展示は公表権の侵害となる。
著作権法18条1項は、著作者がその著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利を有すると定める。公表とは4条1項の発行や公衆への提示をいい、友人1人に複製物を譲渡しただけでは公衆への提供に当たらないから、その美術の著作物は未公表のままである。18条2項2号は、美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合に、原作品による展示の方法で公衆に提示することについて同意したものと推定するが、この推定は原作品の譲渡に限られ、複製物の譲渡には及ばない。原作品の所有者には45条で展示が認められるため、その前提として公表の同意を推定したものであり、複製物の譲受人にはそのような展示の権限がないからである。したがって、複製物を譲り受けた友人がこれを公衆に展示する行為は、著作者の同意なく未公表の著作物を公衆に提示するものとして公表権の侵害となり、枝は正しい。

その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合 これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示すること。
- 1号:未公表の著作物の著作権を譲渡した場合、著作権の行使により公衆に提供し又は提示することに同意したものと推定する
- 2号:未公表の美術の著作物又は写真の著作物の原作品を譲渡した場合、原作品による展示の方法で公衆に提示することに同意したものと推定する。複製物の譲渡は含まれない
- 3号:29条により映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合、著作権の行使により公衆に提供し又は提示することに同意したものと推定する
- 推定であるから、公衆に提示しない旨の特約があれば覆る。18条3項の行政機関等への提供は同意したものとみなす
誤り。違うのは「当該映画監督は同意したものとみなされる」の部分である。29条により著作権が映画製作者に帰属した場合の公衆への提供・提示についての同意は、18条2項3号により推定されるにとどまる。
18条2項は、著作者は各号に掲げる場合には当該各号に掲げる行為について同意したものと推定すると定め、3号で、29条の規定により映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合に、当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示することを挙げる。映画製作者が著作権を取得しても著作者である監督の公表権は残るため、映画製作者が映画を公開できるように同意を推定する規定であるが、著作者の人格的利益にかかわるため、反証を許す推定にとどめている。同条3項が同意したものとみなすとするのは、情報公開法等により行政機関等に提供した場合など、法律の仕組みに従って公開されることが当初から予定されている場合に限られる。フリーランスの映画監督が16条の著作者として29条1項により映画製作者に著作権を帰属させた場合は2項3号の場面であるから、同意は推定されるのであって、みなされるのではない。本枝はこの点がずれている。

第二十九条の規定によりその映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。
- 2項(推定):未公表の著作物の著作権を譲渡した場合、未公表の美術・写真の著作物の原作品を譲渡した場合、29条により映画の著作権が映画製作者に帰属した場合である
- 3項(みなし):情報公開法等により行政機関等に提供した場合など、法律の定めによる開示が予定されている場合である
- 推定は反証で覆るが、みなしは覆らない
誤り。違うのは「歌手の公表権を侵害する」の部分である。実演家人格権は氏名表示権と同一性保持権の二つであり、実演家に公表権はない。
89条1項は、実演家が享有する権利として、90条の2第1項の氏名表示権と90条の3第1項の同一性保持権を実演家人格権と定義し、これに録音権・録画権、放送権・有線放送権、送信可能化権、譲渡権、貸与権などの財産権を加える。著作者には18条の公表権があるが、実演は多くの場合その場で公衆に見せることを前提に行われ、未公表の実演を公衆に提供するかどうかを実演家に決めさせる必要が著作物ほど大きくないため、平成14年改正で実演家人格権を設けた際も公表権は置かれなかった。未公表の歌唱を無断でインターネット上にアップロードする行為は、歌唱を固定する録音権(91条1項)や、送信可能化権(92条の2第1項)の侵害になり得るほか、歌手名を表示しなければ氏名表示権の問題にもなるが、存在しない公表権を侵害することはない。歌手の公表権を侵害するとする点がずれている。

実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。
| 著作者人格権 | 実演家人格権 | |
|---|---|---|
| 公表権 | ある(18条) | ない |
| 氏名表示権 | ある(19条) | ある(90条の2) |
| 同一性保持権 | 意に反する改変を受けない(20条) | 名誉又は声望を害する改変を受けない(90条の3) |
誤り。違うのは「公表権の侵害となる」の部分である。公表権はまだ公表されていない著作物を公衆に提供し又は提示する権利であり(18条1項)、著作者自身が専門誌で公表した写真は公表済みなので、その後の掲載に公表権は働かない。
18条1項は、著作者はその著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利を有すると定め、かっこ書で同意を得ないで公表された著作物も未公表のものに含める。公表権は、著作物を世に出すかどうか、出すならいつどのような方法で出すかを著作者が決める権利であり、一度著作者の意思で公表されれば、決めるべきことは尽きて権利は消尽する。4条1項により著作物は発行されたときに公表されたものとされるから、著作者が写真の著作物を芸術写真の専門誌で公表した時点で、その写真は公表された著作物になる。その後に他人が著作者の意に反して一般の書籍に掲載しても、未公表の著作物を公衆に提供したことにはならず、公表権の侵害は生じない。枝は、公表権の侵害となるとしており、権利の対象を未公表の著作物に限る18条1項とずれている。この場面で問題になるのは複製権や譲渡権であって、公表権ではない。

著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
- 対象:まだ公表されていない著作物。同意を得ないで公表された著作物を含む(1項かっこ書)
- 公表の意味(4条1項):発行されたとき、又は権利者・許諾を得た者が上演、演奏、上映、公衆送信、口述、展示の方法で公衆に提示したとき
- 一度公表された著作物:著作者の意に反する再掲載があっても公表権の問題にはならない。複製権・譲渡権などで争う
- 同意の推定(2項):未公表の美術・写真の原作品を譲渡したときは展示による公表に同意したものと推定する
誤り。違うのは「その音楽が公に演奏されない限り、公表権の侵害とならない」の部分である。公表権は未公表の著作物を公衆に提供し又は提示する権利であり、譜面をインターネット上に掲載すれば公衆送信の方法で公衆に提示したことになるから、演奏の有無にかかわらず公表権を侵害する。
18条1項は、著作者は、その著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利を有すると定め、4条1項は、著作物が発行され、又は権利者若しくはその許諾を得た者によって上演、演奏、上映、公衆送信、口述若しくは展示の方法で公衆に提示された場合に公表されたものとする。公表権は、著作物を世に出すかどうか、いつどの方法で出すかを著作者だけが決められるようにした人格権であり、公衆に届く方法であれば演奏に限らず、公衆送信も提示の一つとして4条1項に掲げられている。未公表の音楽の著作物の譜面を無断でインターネット上に掲載する行為は、著作物を公衆送信して公衆に提示する行為であるから、23条1項の公衆送信権を侵害するとともに、著作者の同意なく未公表の著作物を公衆に提示するものとして18条1項の公表権も侵害する。音楽の著作物だからといって、公表の方法が演奏に限られるわけではない。

著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
正しい。写真を壁面に映写して公衆に見せる行為は上映であり、未公表の著作物を公衆に提示するので公表権も侵害するが、展示権は美術の著作物又は未発行の写真の著作物を原作品により公に展示する権利であり、映写は原作品による展示でない。
2条1項17号は、上映を著作物を映写幕その他の物に映写することと定め、22条の2は著作者がその著作物を公に上映する権利を専有するとする。写真の著作物を繁華街のビルの壁面に映写して通行人に見せる行為は、壁面という物への映写であり、公衆に直接見せることを目的としているから、公に上映する行為として上映権の侵害となる。さらに18条1項の公表権は、まだ公表されていない著作物を公衆に提供し又は提示する権利であり、4条1項は上映の方法で公衆に提示された場合も公表に含めるから、未公表の写真を無断で映写すれば公表権の侵害にもなる。これに対し25条の展示権は、美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物を、これらの原作品により公に展示する権利に限られている。映写は原作品そのものを置いて見せる行為ではなく、光によって像を映し出す行為であるから、原作品による展示には当たらない。したがって上映権と公表権の侵害にはなるが、展示権の侵害とはならない。

著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。
正しい。18条1項後段により、未公表の著作物を原著作物とする二次的著作物の公表についても原著作者の公表権が及ぶから、小説家の同意なく漫画を公表すれば小説家の公表権を侵害する。
18条1項は、著作者はその著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利を有すると定め、後段で、当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても同様とすると定める。二次的著作物には原著作物の創作的表現が受け継がれているから、二次的著作物が公表されれば原著作物の内容も世に出ることになり、原著作者がいつ、どの形で公表するかを決める利益が損なわれる。そこで公表権は原著作物そのものだけでなく、それを原著作物とする二次的著作物の公表にも及ぶとされた。未公表の小説をもとに描かれた漫画は小説の二次的著作物であり、小説家の同意なくこれを公表する行為は小説家の公表権を侵害する。漫画の著作者が自らの著作物として公表する場合でも、原著作者の同意が要る点は変わらない。氏名表示権(19条1項後段)にも同じ構造の規定がある。

著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
誤り。違うのは「行政機関が情報公開制度に基づいて当該設計図を公衆に提供することは、当該設計図の著作者の公表権の侵害となる」の部分である。未公表の著作物を行政機関に提供した著作者は、18条3項1号により情報公開法による提供・提示に同意したものとみなされる。
18条3項1号は、著作者がその著作物でまだ公表されていないものを行政機関に提供した場合には、開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除き、行政機関情報公開法の規定により行政機関の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することについて同意したものとみなすと定める。行政機関が保有する文書は情報公開請求の対象になり得るものであり、提出した側も開示される可能性を前提に提供しているのが通常であるから、公表権を理由に情報公開を妨げることのないよう、同意を法律上みなすことにしたものである。2項の同意の推定と違って反証では覆らず、著作者が開示決定までに別段の意思表示をした場合だけが除かれる。工場建設の設計図を行政機関に提出した著作者が別段の意思表示をしていなければ、情報公開制度に基づく提供は公表権の侵害にならない。

その著作物でまだ公表されていないものを行政機関(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「行政機関情報公開法」という。)第二条第一項に規定する行政機関をいう。以下同じ。)に提供した場合(行政機関情報公開法第九条第一項の規定による開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。)行政機関情報公開法の規定により行政機関の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること
| 18条2項 | 18条3項 | |
|---|---|---|
| 場面 | 未公表の著作物の著作権の譲渡、美術・写真の著作物の原作品の譲渡、29条による映画製作者への帰属 | 未公表の著作物を行政機関・独立行政法人等・地方公共団体等・国立公文書館等に提供 |
| 効果 | 同意したものと推定する(特約や反対の事情で覆る) | 同意したものとみなす(覆らない) |
| 除外 | 推定を覆す事情(公衆に提示しない旨の特約など) | 開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合 |
誤り。違うのは「公表自体に同意している場合には、公表権の侵害とならない」の部分である。公表権は公表するかどうかに加えて公表の時期と方法を決める権利を含み、指定した時期と異なる時期の公表は同意の範囲を外れる。
18条1項は、著作者がその著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利を有すると定める。未公表の著作物をいつ、どのような方法で世に出すかは著作者の人格的な利益に深く関わるので、公表権は公表するか否かの決定だけでなく、公表の時期及び方法を決定する権利を含むと解されている。著作者が特定の時期を指定して公表に同意した場合、その同意は指定した時期の公表についてのものであって、別の時期に公表することまで許したものではない。したがって、公表自体に同意があっても、指定と異なる時期に公表する行為は同意のない公表として公表権の侵害となる。本枝は公表への同意があれば時期は問わないとしている点でずれている。18条2項・3項の同意の推定やみなしも、同意の範囲を時期や方法まで広げるものではない。

著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。





























