1著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
この条文が問われた枝 5問
誤り。違うのは「創作者である従業者乙は、著作者人格権を行使できる」の部分である。職務著作が成立すると著作者は法人甲であり、著作者人格権も甲に生じるから、乙は行使できない。
15条2項により職務上作成されたプログラムの著作者は法人等とされ、17条1項は、著作者が著作者人格権と著作権を享有すると定める。職務著作は、実際に手を動かした従業者ではなく法人等を初めから著作者とする制度であり、著作権が従業者から法人等へ移転するのではない。著作者人格権は著作者の一身に専属し譲渡することができない(59条)が、職務著作では乙が一度も著作者になっていないから、乙に著作者人格権が生じる余地がなく、譲渡の可否を論じる前提を欠く。公表権、氏名表示権、同一性保持権はいずれも著作者である甲に生じ、甲が行使する。したがって法人甲において職務著作が成立したプログラムについて、創作者である乙が著作者人格権を行使できるとする枝は誤りである。従業者に権利を残したいなら、作成の時における契約や勤務規則で乙を著作者とする別段の定めを置く必要がある。

著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
誤り。違うのは「撮影された人物が著作権者となる」の部分である。著作権は著作物を創作した著作者が享有するから、契約がなければ撮影したカメラマンが著作者であると同時に著作権者である。
著作権法2条1項2号は著作者を著作物を創作する者と定め、17条1項は著作者が著作者人格権と著作権を享有すると定める。著作権は創作という事実によって創作者のもとに生じる権利であり、方式も契約も要らず、契約で動かせるのは生じた後の著作権の譲渡だけである。人物を撮影した写真の著作物で創作をしたのは、被写体の選択や構図、シャッターチャンスに個性を表した撮影者のカメラマンであって、撮影された人物は表現の対象になったにすぎず、創作をしていない。したがって特段の契約がなければ、著作者も著作権者もカメラマンであり、被写体の人物が著作権者になることはない。枝は著作者と著作権者を別人に分けているが、分かれるのは譲渡や29条のような特別の定めがある場合だけである。撮影された人物に残るのは、肖像に関する人格的な利益であって著作権ではない。

著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
誤り。違うのは「著作隣接権の発生には文化庁への登録が必要である」の部分である。実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない(89条5項)。
89条5項は、前各項の権利の享有にはいかなる方式の履行をも要しないと定める。著作者人格権及び著作権の享有について17条2項が同じ文言で無方式主義を採るのと並べて、著作隣接権についても、実演を行い、音を最初に固定し、放送又は有線放送を行うという行為があれば、登録や表示などの手続なしに権利が生じる仕組みを明らかにしたものである。実演や放送は日々大量に行われ、一つ一つを登録してから保護する運用は現実的でない。したがって著作隣接権は、著作者の権利と同じく無方式で発生し、文化庁への登録は発生の要件ではない。枝は、著作者の権利とは異なり登録が必要であるとしており、両者を同じ無方式主義で扱う89条5項と17条2項とずれている。著作隣接権にも104条で著作権の登録に関する規定が準用されるが、これは譲渡等の対抗要件としての登録であって、権利の発生とは関係がない。

前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
誤り。違うのは「その文書の著作権は、原始的に甲社に帰属する」の部分である。著作権は著作者が原始的に享有し、文書を作成した丙の使用者である乙社が15条1項により著作者となるから、委託者の甲社は譲渡を受けない限り著作権を取得しない。
17条1項は、著作者が著作者人格権と著作権を享有すると定め、2条1項2号は著作者を著作物を創作する者とする。著作権は創作の事実によって著作者に原始的に発生するのであり、創作を依頼したことや費用を負担したことでは発生しない。文書を実際に作成したのは乙社の従業者丙であり、乙社の発意に基づき業務に従事する丙が職務上作成し、乙社の名義で公表するものであれば、15条1項により著作者は乙社となる。15条の職務著作は使用者とその業務に従事する者との間でだけ働く仕組みであり、委託契約で結ばれた甲社と乙社の間には及ばないから、甲社が著作者になることはない。したがって文書の著作権は原始的に乙社に帰属し、甲社がこれを得るには乙社から譲渡を受けるか、利用許諾を得るほかない。枝は、委託者を創作者と同じに扱っている点で17条1項・15条1項とずれている。

著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
- 発意:法人等の発意に基づくことである。業務の指示や企画に基づいていれば足りる
- 主体:法人等の業務に従事する者が作成することである。雇用関係のある従業者が典型で、外部の小説家への依頼は当たらない
- 職務上:職務として作成することである。職務と無関係に作ったものは勤務規則で法人等の著作物にできない
- 公表名義:法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであることである。未公表でも公表するなら法人等名義になるものを含む。プログラムには要らない
- 別段の定め:作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがないことである。従業者を著作者とする定めは有効である
誤り。違うのは「これらの権利が乙社に帰属する旨が明記されている場合には、乙社が有する」の部分である。著作権は譲渡できるが、著作者人格権は著作者の一身に専属し、合意があっても乙社に移らない。
2条1項2号は著作者を著作物を創作する者と定め、17条1項により著作者は創作と同時に著作者人格権と著作権を享有する。志望理由書を書いたのは甲であり、乙社は募集要項を出しただけで創作に関与していないから、著作者は甲である。そのうえで61条1項は著作権をその全部又は一部について譲渡できると定めるので、募集要項の記載を甲が応募によって受け入れたとみれば、著作権が乙社に移ることはあり得る。しかし59条は著作者人格権を著作者の一身に専属し譲渡することができないものとしており、人格的な利益は著作者本人から切り離せないという理屈で、契約や募集要項に明記しても乙社には帰属しない。著作権と著作者人格権の両方を乙社が有するとする点で枝はずれている。15条の職務著作であれば乙社が著作者となって人格権まで持つが、就職活動中の学生は乙社の業務に従事する者ではない。

著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
| 権利 | 譲渡 |
|---|---|
| 著作権(21条〜28条) | 61条1項により全部又は一部を譲渡できる。27条・28条の権利は特掲がなければ留保と推定される(61条2項) |
| 著作者人格権(18条〜20条) | 59条により一身専属で譲渡できない。契約で特掲しても無効で、死亡により消滅する |