1無名又は変名で公表された著作物の著作者は、現にその著作権を有するかどうかにかかわらず、その著作物についてその実名の登録を受けることができる。
2著作者は、その遺言で指定する者により、死後において前項の登録を受けることができる。
3実名の登録がされている者は、当該登録に係る著作物の著作者と推定する。
この条文が問われた枝 4問
誤り。違うのは「当該登録に係る著作物の著作者とみなされる」の部分である。75条3項の実名の登録の効果は著作者の推定であり、反証で覆る。
75条1項は、無名又は変名で公表された著作物の著作者が実名の登録を受けられることを定め、同条3項は、実名の登録がされている者を当該登録に係る著作物の著作者と推定する。著作者は著作物を創作する者(2条1項2号)であり、誰が著作者かは創作という事実で決まるから、登録という形式で著作者を確定させることはできず、法は立証の負担を軽くする推定にとどめている。推定である以上、実際に創作した者が別にいることを証明すれば覆る。本枝は「みなされる」とするが、みなす規定は反証を許さずに法律上の扱いを確定させるものであり、75条3項の効果とは性質が異なる。14条の表示による著作者の推定も同じく推定であって、登録によって推定が確定に変わるわけではない。

実名の登録がされている者は、当該登録に係る著作物の著作者と推定する。
- 実名の登録(75条):登録を受けた者を著作者と推定する(3項)。無名又は変名で公表した著作物の著作者が受けられる
- 第一発行年月日・第一公表年月日の登録(76条):登録に係る年月日に最初の発行又は公表があったものと推定する(2項)
- 創作年月日の登録(76条の2):プログラムの著作物に限り、創作後6月以内に受けられる。登録に係る年月日に創作があったものと推定する(2項)
- いずれも推定であり、著作物であること自体を推定する登録はない
誤り。違うのは「著作権法において保護される著作物であると推定される」の部分である。実名の登録の効果は著作者の推定(75条3項)に限られ、著作物性を推定する規定はない。
75条3項は、実名の登録がされている者を当該登録に係る著作物の著作者と推定すると定めるだけで、推定の対象は誰が著作者かという点に限られる。著作物は思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(2条1項1号)であり、登録に係る作品がこれに当たるかどうかは、創作性の有無を個別に判断して決まる事柄である。文化庁長官の登録は申請に基づいて原簿に記載する手続であり、作品の創作性を実体的に審査するものではないから、登録を根拠に著作物性まで推定させる仕組みにはなっていない。著作物性が争われれば、登録の有無にかかわらず、著作物であると主張する側がこれを立証することになる。登録の効果は、著作者の推定(75条3項)、最初の発行又は公表の日の推定(76条2項)、創作の日の推定(76条の2第2項)のように条文で個別に定められたものに限られる。

実名の登録がされている者は、当該登録に係る著作物の著作者と推定する。
誤り。違うのは「美術の著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる」の部分である。76条の2第1項により創作年月日の登録を受けられるのはプログラムの著作物の著作者に限られる。
76条の2第1項は、プログラムの著作物の著作者はその著作物について創作年月日の登録を受けることができると定め、ただし書で創作後6月を経過した場合はこの限りでないとする。著作権法の登録は実名の登録(75条)、第一発行年月日等の登録(76条)、著作権の移転等の登録(77条)が基本であり、創作年月日の登録はプログラムについてだけ特に設けられている。プログラムは社内で使われるなど公表されないまま利用されることが多く、第一発行年月日や第一公表年月日の登録では権利の発生時期を立証する手段にならないため、創作の時点そのものを登録できるようにしたのである。美術の著作物にはこの事情がなく、著作者は無名・変名で公表した場合の実名の登録や、著作権者として第一発行年月日等の登録を受けることができるにとどまる。枝は、プログラムに限った登録の制度を美術の著作物にまで広げている。

プログラムの著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる。ただし、その著作物の創作後六月を経過した場合は、この限りでない。
- 実名の登録(75条):無名又は変名で公表された著作物の著作者が受け、登録された者を著作者と推定する
- 第一発行年月日等の登録(76条):著作権者又は無名・変名の著作物の発行者が受け、登録の年月日に最初の発行又は公表があったものと推定する
- 創作年月日の登録(76条の2):プログラムの著作物の著作者だけが、創作後6月以内に受け、登録の年月日に創作があったものと推定する
- 著作権の登録(77条):移転・信託による変更・処分の制限と質権の設定等が、第三者対抗要件になる
- 出版権の登録(88条):出版権の設定・移転等と質権の設定等が、第三者対抗要件になる
正しい。無名又は変名で公表された著作物の著作者は75条1項で実名の登録を受けることができ、登録がされている者は同条3項でその著作物の著作者と推定される。
著作権法75条1項は、無名又は変名で公表された著作物の著作者は、現にその著作権を有するかどうかにかかわらず、その著作物についてその実名の登録を受けることができると定め、同条3項は、実名の登録がされている者を当該登録に係る著作物の著作者と推定する。無名や周知でない変名で公表された著作物には14条の著作者の推定が働かず、誰が著作者かを後から示すのが難しいうえ、52条1項で保護期間が公表後70年に短くなるため、公の登録で著作者を明らかにする道を用意したものである。著作権を譲渡した後でも登録できるのは、著作者であることを示す制度であって著作権の帰属を示す制度ではないからである。したがって実名登録の制度があり、登録によって著作者と推定されるとする枝は正しい。登録によって推定されるのは著作者であることだけで、著作権者であることや著作物であることは推定されない点は14条と同じである。

実名の登録がされている者は、当該登録に係る著作物の著作者と推定する。
- 実名の登録(75条):無名又は変名で公表された著作物の著作者が受け、登録された者を著作者と推定する
- 第一発行年月日等の登録(76条):著作権者又は無名・変名の著作物の発行者が受け、登録の年月日に最初の発行又は公表があったものと推定する
- 創作年月日の登録(76条の2):プログラムの著作物の著作者だけが、創作後6月以内に受け、登録の年月日に創作があったものと推定する
- 著作権の登録(77条):移転・信託による変更・処分の制限と質権の設定等が、第三者対抗要件になる
- 出版権の登録(88条):出版権の設定・移転等と質権の設定等が、第三者対抗要件になる


