実演家人格権は、実演家の一身に専属し、譲渡することができない。
この条文が問われた枝 2問
誤り。違うのは「実演家の死後における人格的利益の保護は認められていない」の部分である。101条の3は実演家の死後も実演家人格権の侵害となるべき行為を禁止し、116条1項で遺族が差止め等を請求できる。
101条の2は実演家人格権が実演家の一身に専属し譲渡することができないと定めるため、実演家人格権そのものは実演家の死亡によって消滅する。しかし101条の3は、実演を公衆に提供し又は提示する者は、実演家の死後においても、実演家が生存しているとしたならばその実演家人格権の侵害となるべき行為をしてはならないと定める。実演家の名誉や声望は死後も実演とともに残るため、権利は消滅しても人格的利益は保護し続ける仕組みである。その実効性を確保するため、116条1項は遺族が、101条の3に違反する者に112条の差止請求を、故意又は過失により違反した者に115条の名誉回復等の措置の請求をすることができるとする。これは著作者の死後の人格的利益を守る60条と同じ構造であり、枝は前半の消滅だけを見て後半の保護を否定している。

実演を公衆に提供し、又は提示する者は、その実演の実演家の死後においても、実演家が生存しているとしたならばその実演家人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該実演家の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。
誤り。違うのは「実演家の著作隣接権の存続期間の満了とともに消滅する」の部分である。実演家人格権は実演家の一身に専属する権利であり、財産権である著作隣接権の存続期間とは連動しない。
101条の2は、実演家人格権は実演家の一身に専属し、譲渡することができないと定める。101条2項1号は著作隣接権の存続期間を実演が行われた日の属する年の翌年から起算して70年を経過した時に満了するとするが、89条5項が示すとおり実演家人格権は著作隣接権に含まれず、この存続期間の規律を受けない。人格権は実演家という人と切り離せない権利であるから、実演家が生存する限り存続し、実演から70年が経っても失われない。逆に実演家が死亡すれば一身専属性により消滅するが、101条の3が実演家の死後においても実演家人格権の侵害となるべき行為を禁じ、116条の遺族の請求と120条の罰則で守られる。著作隣接権の存続期間の満了とともに消滅するとする点がずれている。著作者人格権が著作権の存続期間と連動せず、59条・60条で同じ仕組みになっているのと対応する。

実演家人格権は、実演家の一身に専属し、譲渡することができない。