1映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
2専ら放送事業者が放送又は放送同時配信等のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。
1 その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物について、有線放送し、特定入力型自動公衆送信を行い、又は受信装置を用いて公に伝達する権利
2 その著作物を放送同時配信等する権利及び放送同時配信等されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利
3 その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利
3専ら有線放送事業者が有線放送又は放送同時配信等のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該有線放送事業者に帰属する。
1 その著作物を有線放送する権利及び有線放送されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利
2 その著作物を放送同時配信等する権利及び放送同時配信等されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利
3 その著作物を複製し、又はその複製物により有線放送事業者に頒布する権利
この条文が問われた枝 3問
誤り。違うのは「ここでいう映画の著作物は、その趣旨から、劇場用映画に限られる」の部分である。29条1項の対象は映画の著作物一般であり、2条3項により映画の効果に類似する方法で表現され物に固定された著作物も含まれる。
29条1項は、映画の著作物の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは当該映画製作者に帰属すると定める。映画は多数の寄与者が関わり多額の製作費を要するため、円滑な利用のために著作権を製作に発意と責任を有する映画製作者(2条1項10号)に集める趣旨である。そして2条3項は、映画の著作物に、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ物に固定されている著作物を含むとする。テレビ番組やゲームソフトの映像もこれに当たり、29条1項に劇場用映画に限る文言はない。多数の寄与者と製作者の投資という事情は劇場用映画に特有のものではないから、趣旨から限定する根拠もない。29条2項・3項が放送事業者等の製作する映画の著作物について別の扱いを置いているのも、劇場用以外の映画の著作物が同条の対象であることを前提にしている。

この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。
| 公表の形 | 著作者 | 著作権 | 著作者人格権 |
|---|---|---|---|
| 会社の発意・従業者が職務上作成・会社名義で公表 | 映画会社(15条1項) | 映画会社 | 映画会社 |
| 「監督乙」と表示して公表(会社名義でない) | 監督乙(16条) | 製作参加の約束があれば映画製作者(29条1項) | 監督乙に残る |
正しい。「監督乙」と表示して公表された映画イは甲の著作名義での公表ではないから15条1項の職務著作にならず、著作者は16条により乙、著作権は29条1項により映画製作者の甲に帰属する。
15条1項の職務著作は、法人等が自己の著作の名義の下に公表することを要件とする。映画イは冒頭に「監督乙」と表示して上映されており、甲の著作名義での公表とはいえないから、乙が甲の従業員で職務として監督していても15条1項は適用されない。そこで16条により、制作、監督、演出等を担当して映画の全体的形成に創作的に寄与した監督乙が映画イの著作者となり、著作者人格権は一身専属の権利として乙に残る(17条1項・59条)。他方29条1項は、15条1項の適用を受けない映画の著作物の著作権は、著作者が映画製作者に対し製作に参加することを約束しているときは映画製作者に帰属すると定める。乙は甲の職務として監督しており製作参加の約束があるから、映画イの著作権は映画製作者である甲に帰属する。著作権は甲、著作者人格権は乙とする本枝は正しい。

映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
| 公表の形 | 著作者 | 著作権 | 著作者人格権 |
|---|---|---|---|
| 会社の発意・従業者が職務上作成・会社名義で公表 | 映画会社(15条1項) | 映画会社 | 映画会社 |
| 「監督乙」と表示して公表(会社名義でない) | 監督乙(16条) | 製作参加の約束があれば映画製作者(29条1項) | 監督乙に残る |
誤り。違うのは「当該映画監督は同意したものとみなされる」の部分である。29条により著作権が映画製作者に帰属した場合の公衆への提供・提示についての同意は、18条2項3号により推定されるにとどまる。
18条2項は、著作者は各号に掲げる場合には当該各号に掲げる行為について同意したものと推定すると定め、3号で、29条の規定により映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合に、当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示することを挙げる。映画製作者が著作権を取得しても著作者である監督の公表権は残るため、映画製作者が映画を公開できるように同意を推定する規定であるが、著作者の人格的利益にかかわるため、反証を許す推定にとどめている。同条3項が同意したものとみなすとするのは、情報公開法等により行政機関等に提供した場合など、法律の仕組みに従って公開されることが当初から予定されている場合に限られる。フリーランスの映画監督が16条の著作者として29条1項により映画製作者に著作権を帰属させた場合は2項3号の場面であるから、同意は推定されるのであって、みなされるのではない。本枝はこの点がずれている。

第二十九条の規定によりその映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。
- 2項(推定):未公表の著作物の著作権を譲渡した場合、未公表の美術・写真の著作物の原作品を譲渡した場合、29条により映画の著作権が映画製作者に帰属した場合である
- 3項(みなし):情報公開法等により行政機関等に提供した場合など、法律の定めによる開示が予定されている場合である
- 推定は反証で覆るが、みなしは覆らない