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手続の総則(期間の計算・延長、手続能力・代理・在外者、補正命令と却下 3〜5条・7〜16条・17〜18条の2・25条)てつづきのそうそく

特許・実用新案 第1章 発明・特許を受ける権利・手続の総則 短答で31枝

手続の総則とは、特許出願、請求その他特許に関する手続に共通して適用される特許法第1章の規律で、期間の計算と延長(3条〜5条)、未成年者等の手続能力と追認(7条・16条)、在外者の特許管理人と委任による代理人の代理権(8条〜13条・15条)、手続の補正と補正命令・却下(17条・18条・18条の2)、外国人の権利の享有(25条)を定めるものです。

特許庁に書類を出すとき、「30日以内」はいつからいつまでか、未成年の発明者は自分で出願できるのか、外国に住む人は誰を通して手続をするのか、代理人はどこまで本人の代わりができるのかが決まっていないと、手続が進みません。特許法は第1章の総則で、期間の計算と延長、手続をする能力と追認、在外者の特許管理人と委任による代理人の権限、手続の補正と却下のやり方を定めています。特許庁の手続は多数の出願人を同じ物差しで扱う必要があるので、民法の原則を特許の手続に合わせて修正しているのです。

特許庁の窓口の場面。先生が特許庁の職員役(札「特許庁」)でカウンターの内側に座り、「特許出願の取下書」と書かれた書類を手にしている。カウンターの外に代理人の男性(札「委任による代理人」)が立ち、「委任状:出願の手続一切」と書かれた紙を掲げて

期間は初日を算入せず暦に従って計算し、手続についての期間の末日が行政機関の休日に当たるときは翌日が末日になりますが、特許権の存続期間は延びません

3条1項は、期間の初日は算入せず(午前零時から始まるときを除く)、月又は年で定めた期間は暦に従い、月又は年の始めから起算しないときは最後の月又は年の起算日に応当する日の前日に満了すると定めます(応当する日がない月はその月の末日です)。3条2項は、特許出願、請求その他特許に関する手続についての期間の末日が行政機関の休日に当たるときは、その日の翌日を末日とします。休日に窓口が閉まっていて手続ができない不利益を避けるためです。この繰下げは「手続についての期間」に限られるので、出願の日から20年で終了する特許権の存続期間(67条1項)は手続の期間ではなく、末日が休日でも延びません。存続期間の末日が休日なら「その日の翌日をもってその期間の末日となる」という枝は誤りです。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。上の横軸は手続の期間で、左から札「拒絶査定の謄本の送達(初日は算入しない)」「3月の応当日の前日(末日)」が立ち、その末日の札に「日曜日」と書き

遠隔又は交通不便の地にある者のための法定期間の延長は4つの期間だけで、期間内の請求が前提ですが、指定期間の延長は省令で定める期間なら経過後も請求できます

4条は、特許庁長官が遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で延長できる期間を、実用新案登録に基づく特許出願の期間(46条の2第1項3号)、特許料の納付期限(108条1項)、拒絶査定不服審判の請求期間(121条1項)、再審の請求期間(173条1項)の4つに限っています。出願審査の請求をすることができる期間(48条の3)は入っていないので、長官が「出願審査の請求をすることができる期間を延長することができる」という枝は誤りです。要約書の補正ができる期間(17条の3)も対象外です。また4条の延長は期間が進行している間に請求するもので、経過後の延長を認める規定はないので、再審の請求期間が「経過した後であっても」4条で延長を受けられるという枝は誤りです。一方、特許庁長官・審判長・審査官が指定した期間は5条1項で延長でき、経済産業省令で定める期間については経過後も省令で定める期間内に限り延長を請求できます(5条3項)。ただし省令は前置審査で審査官が指定した期間を除いているので、前置審査の拒絶理由通知の指定期間について「その指定期間の経過後であっても、その期間の延長を請求することができる場合がある」という枝は誤りです。

  • 4条で延長できる法定期間46条の2第1項3号・108条1項・121条1項・173条1項の4つです。遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で延長します
  • 対象外の期間出願審査の請求の期間(48条の3)、要約書の補正の期間(17条の3)、存続期間などは延長できません
  • 指定期間(5条)特許庁長官・審判長・審査官が指定した期間は請求により又は職権で延長できます。省令で定める期間は経過後も省令の期間内なら請求できます

未成年者と成年被後見人は法定代理人によって、被保佐人は保佐人の同意を得て手続をしますが、相手方が請求した審判などでは同意が要らず、追認できる者も決まっています

7条1項は、未成年者と成年被後見人は法定代理人によらなければ手続をすることができないとしつつ、未成年者が独立して法律行為をすることができるときは自分で手続ができるとします。例外があるので、「すべての未成年者は、法定代理人によらなければ、特許出願をすることはできない」という枝は誤りです。被保佐人が手続をするには保佐人の同意が要り(2項)、法定代理人が手続をするには後見監督人があるときはその同意が要ります(3項)。ただし、被保佐人又は法定代理人が、その特許権に係る特許異議の申立て又は相手方が請求した審判若しくは再審について手続をするときは、これらの同意は要りません(4項)。受け身の立場で守るための手続まで同意を待たせると、期間を逃して権利を失うおそれがあるからです。成年被後見人が被請求人となる無効審判の手続を成年後見人がするのに「当該成年後見監督人の同意を得なければならない」という枝は誤りです。反対に、他人の特許権に対して自分から特許異議の申立てをするのは守りの手続ではないので、被保佐人が「保佐人の同意を得ることなく、他人が保有する特許権に係る特許異議の申立てについて手続をすることができる」という枝は誤りです。能力を欠いてした手続の追認は16条が定め、未成年者又は成年被後見人がした手続は法定代理人(本人が能力を取得したときは本人)が、被保佐人が同意を得ないでした手続は被保佐人自身が保佐人の同意を得て追認します。保佐人が追認するのではないので、無効審判の請求を「その保佐人が追認することができる」という枝は誤りです。

委任による代理人の代理権は本人の死亡では消滅せず、不利益になる行為には特別の授権が要りますが、在外者の特許管理人は制限がない限り一切の手続を代理します

手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡、本人である法人の合併による消滅、受託者の任務の終了、法定代理人の死亡や代理権の変更・消滅によっては消滅しません(11条)。相続人が代理人を選び直す間に手続が止まるのを防ぐためで、弁理士の代理権が「本人の死亡、本人である受託者の信託に関する任務の終了又は法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅によって消滅する」という枝は誤りです。9条は、国内に住所又は居所を有する者の委任による代理人が特別の授権を得なければできない行為として、出願の変更・放棄・取下げ、延長登録出願の取下げ、請求・申請・申立ての取下げ、41条1項の優先権の主張とその取下げ、実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄、復代理人の選任を列挙しています。本人の地位を失わせたり後戻りできなくしたりする行為だからです。特許出願の分割(44条)はこの列挙にないので、「特別の授権を得なければ、特許法第44条の規定による特許出願の分割をすることができない」という枝は誤りです。国内優先権の主張は列挙されているので、「特別の授権を得なければ、特許法第41条第1項に規定する優先権の主張を伴う特許出願をすることはできない」という枝は正しいです。在外者(国内に住所又は居所、法人は営業所を有しない者)は、政令で定める場合を除き、国内に住所又は居所を有する特許管理人によらなければ手続や処分に対する訴えの提起ができません(8条1項)。政令は特許管理人を有する在外者が日本に滞在している場合を除いているので、その場合に「在外者本人が、特許管理人によらないで手続をし、又は特許法に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができる」という枝は正しいです。特許管理人は、在外者が代理権の範囲を制限したときを除き、一切の手続と処分を不服とする訴訟について本人を代理するので(8条2項)、9条のような特別の授権は要らず、制限していない場合でも「特許出願の取下げ等の在外者の不利益になる手続に関して、当該在外者を代理することができない」という枝は誤りです。在外者の特許権は、特許管理人があればその住所又は居所、なければ特許庁の所在地を財産の所在地とみなして裁判籍を定めます(15条)。在外者である外国人が特許権その他特許に関する権利を享有できるかは、その者の属する国が日本国民に同一の条件で権利の享有を認めているか(相互主義)又は条約に別段の定めがあるかで決まります(25条)。

特許庁の窓口の場面。先生が特許庁の職員役(札「特許庁」)でカウンターの内側に座っている。カウンターの外に日本の弁理士の男性(札「特許管理人(国内に住所)」)が立ち、手に「在外者 甲の委任状(代理権の制限なし)」と書かれた紙と「特許出願の取下
  • 特別の授権が要る行為(9条)出願の変更・放棄・取下げ、延長登録出願の取下げ、請求・申請・申立ての取下げ、国内優先権の主張とその取下げ、実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄、復代理人の選任です
  • 特別の授権が要らない行為特許出願の分割(44条)、補正、出願審査の請求、意見書の提出などです
  • 特許管理人(8条2項)在外者が代理権の範囲を制限したときを除き、一切の手続と訴訟について本人を代理します。特許庁長官は適当でない代理人の改任を命じることができ、特許管理人も対象です(13条2項)

補正命令に応じないときの却下には弁明の機会が要らず、補正できない不適法な手続の却下には弁明書を提出する機会が要りますが、出願日の認定に関わる補完の対象は除かれます

手続をした者は、事件が特許庁に係属している間は手続の補正ができます(17条1項本文)。審査中だけでなく査定の後も特許権の設定の登録までは係属しているので補正できますが、明細書・特許請求の範囲・図面・要約書などの補正は17条の2から17条の5までの定めによる場合に限られ、外国語書面出願の外国語書面と外国語要約書面そのものは補正できません(17条2項)。特許庁長官は、手続が7条1項から3項まで又は9条に違反しているとき、方式に違反しているとき、手数料を納付しないときに、相当の期間を指定して補正を命じることができ(17条3項)、命じられた者が指定した期間内に補正をしないときはその手続を却下できます(18条1項)。この却下は補正の機会をすでに与えた上でするものなので、弁明の機会を与える定めがなく、「弁明書を提出する機会を与えなければ、その手続を却下することができない」という枝は誤りです。一方、不適法な手続であって補正をすることができないものは却下するものとされ(18条の2第1項)、却下しようとするときは理由を通知して相当の期間を指定し、弁明書を提出する機会を与えなければなりません(2項)。「その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面を提出する機会を与えなければならない」という枝は正しいです。ただし、出願人の氏名の記載がないなど38条の2第1項各号に該当する場合は、出願日が認定されず補完の通知の手続に進むので、18条の2の却下からは除かれています。氏名の記載がない出願について弁明書の機会を与えた後に「その特許出願を却下することがある」という枝は誤りです。

  • 17条3項の補正命令手続能力・代理権の違反、方式違反、手数料の不納付のときに、相当の期間を指定して命じます。共同出願違反や記載要件違反は補正命令の事由ではなく拒絶理由です
  • 18条の却下補正命令に応じないとき、又は設定登録を受ける者が特許料を納付しないときに却下できます。弁明の機会は要りません
  • 18条の2の却下補正できない不適法な手続を却下します。理由を通知して弁明書の機会を与えなければなりません。38条の2第1項各号(出願日の認定)の場合は除きます
特許法3条1項1号・2号・2項

期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
2 特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。

特許法4条

特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第四十六条の二第一項第三号、第百八条第一項、第百二十一条第一項又は第百七十三条第一項に規定する期間を延長することができる。

特許法7条4項

被保佐人又は法定代理人が、その特許権に係る特許異議の申立て又は相手方が請求した審判若しくは再審について手続をするときは、前二項の規定は、適用しない。

特許法9条

日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請若しくは申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張若しくはその取下げ、第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄又は復代理人の選任をすることができない。

特許法18条の2

特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする。ただし、第三十八条の二第一項各号に該当する場合は、この限りでない。
2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出する機会を与えなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 初日不算入・応当日の前日・休日の翌日(3条)は手続についての期間だけ。特許権の存続期間の末日が休日でも「その日の翌日をもって」末日にはならない
  2. 4条の延長は46条の2第1項3号・108条1項・121条1項・173条1項の4つだけ。「出願審査の請求をすることができる期間」や要約書の補正期間は延長できず、経過後の延長もない
  3. 指定期間の延長(5条)は省令で定める期間なら経過後も請求できるが、前置審査の指定期間は除かれる
  4. 未成年者も独立して法律行為ができれば自分で手続できる。「すべての未成年者」ができないという枝は誤り
  5. 相手方が請求した審判・再審と自分の特許権に係る異議では保佐人・後見監督人の同意不要(7条4項)。他人の特許権への異議申立ては同意が要る
  6. 被保佐人の手続の追認は「被保佐人が保佐人の同意を得て」する(16条3項)。「保佐人が追認」は誤り
  7. 委任代理人の代理権は本人の死亡等で「消滅しない」(11条)。特別の授権が要る行為は9条の列挙で、分割は不要、優先権の主張・変更・取下げ・審判請求・復代理人選任は必要
  8. 特許管理人は制限がなければ一切の手続を代理(8条2項)。18条の却下に弁明の機会は不要、18条の2の却下には必要で、38条の2第1項各号の場合は除外

この用語が問われた枝

平成29年度 問14 枝ハ誤り

特許権の存続期間は、その期間の末日が行政機関の休日(行政機関の休日に関する法律(昭和 63 年法律第 91 号)第1条第1項各号に掲げる日)である場合には、その日の翌日をもってその期間の末日となる。

令和元年度 問8 枝イ誤り

特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、特許出願について出願審査の請求をすることができる期間を延長することができる。

令和8年度 問3 枝ハ誤り

特許法第173条第1項に基づき再審を請求する者は、同条項に規定する再審を請求できる期間が経過した後であっても、特許法第4条の下、請求により、遠隔又は交通不便の地にある者であることを理由として、特許法第 173条第1項に規定する再審を請求できる期間の延長を受けることができる。

平成29年度 問14 枝ロ誤り

審査官が、拒絶査定不服審判の請求後に特許法第 163 条第2項において準用する同法第 50条の規定により拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた場合、請求人は、その指定期間の経過後であっても、その期間の延長を請求することができる場合がある。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

特許・実用新案を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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