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特許料(107〜112条の3)とっきょりょう

特許・実用新案 第5章 特許権の効力・実施権・特許料 短答で29枝

特許料とは、特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者が、設定の登録の日から存続期間の満了までの各年について一件ごとに納付しなければならない料金です(107条)。第1年から第3年までの分は査定又は審決の謄本の送達から30日以内に一時に納付し、第4年以後の各年分は前年以前に納付します(108条)。

特許査定が出ても、それだけで特許権は生まれません。第1年から第3年までの特許料を納めて初めて設定の登録がされ、特許権が発生します。その後も毎年、翌年分の特許料を前もって納め続けなければ権利は消えます。権利を維持するのに毎年お金がかかるのは、使わなくなった特許を自然に手放させて、技術を早く皆のものに戻すためです。うっかり納め忘れた人のために6月の追納と、それも過ぎたときの回復の制度があり、その間に実施を始めた第三者をどう守るかまで条文で決まっています。

特許庁の窓口の場面。先生が特許庁の窓口職員役(札「特許庁」)でカウンターの内側に座り、「特許査定の謄本」と書かれた紙と「特許料納付書:第1年〜第3年分」と書かれた紙を並べている。カウンターの外に出願人の男性(札「出願人」)が立ち、吹き出し「

第1年から第3年までの分は査定又は審決の謄本の送達から30日以内に一時に納付し、第4年以後の各年分は前年以前に納付します

108条1項により、第1年から第3年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に一時に納付しなければなりません。特許法には「30日以内に一時に納付しなければならない旨の規定があり」、実用新案法32条1項には登録料を出願と同時(変更・分割の場合はその変更・分割と同時)に一時に納付する規定があるという枝は正しいです。この30日は、特許庁長官が納付すべき者の請求により30日以内を限り延長でき(108条3項)、遠隔又は交通不便の地にある者のためには4条でも延長できます。責めに帰することができない理由があれば、理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内かつ期間の経過後6月以内に納付できます(108条4項)。納付も免除・猶予もなければ設定の登録はされず、特許庁長官は18条1項でその手続を却下することができます。第4年以後の各年分は108条2項により前年以前に納付すればよく、まとめて先に納めることもできます。したがって、第4年以後の分は「数年分を一時に納付することはできない」という枝は誤りです。第4年以後の分には3項のような延長はなく、納め遅れは追納で処理します。66条2項により、設定の登録は第1年から第3年分の納付があったときのほか、その納付の免除又は猶予があったときにもされるので、「特許料の納付がなくても特許権の設定の登録がされる場合がある」という枝は正しいです。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から順に札「特許査定の謄本の送達」「30日」「設定の登録」「第4年」「第5年」が立つ。「特許査定の謄本の送達」から「30日」の区間に帯と

特許料は一件ごとに請求項の数に応じた額で、国に属する特許権には課されず、減免を受ける者を含む共有では持分の割合で合算します

107条1項により、特許料は各年について一件ごとに、基本額に一請求項につき定められた額を加えた額です。2項により、この規定は国に属する特許権には適用されないので、「日本国は常に特許料を納付しなければならない」という枝は誤りです。3項により、特許権が国又は減免を受ける者を含む者の共有に係る場合で持分の定めがあるときは、国以外の各共有者ごとに特許料の金額(減免を受ける者はその減免後の金額)に持分の割合を乗じた額を合算した額になり、国以外の者が納付します。軽減を受けない民間企業と軽減を受ける大学の技術移転機関の共有で、企業の納付額に持分の割合を乗じた額と技術移転機関の「軽減後の納付額に持分の割合を乗じた額を合算した額」が特許料になるという枝は正しいです。10円未満の端数は切り捨てます(4項)。納付は特許印紙が原則で、省令で定める場合は現金でもできます(5項)。109条により、特許庁長官は資力を考慮して政令で定める要件に該当する者が納付困難と認めるときは、特許料を軽減し若しくは免除し、又は納付を猶予することができます。猶予しかできないわけではないので、「特許料の軽減や免除をすることはできない」という枝は誤りです。109条の2は中小企業者や試験研究機関等への減免・猶予です。

  • 納付する者特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者です。国に属する特許権には107条1項は適用されません
  • 額一件ごとに基本額と一請求項ごとの額の合計です(107条1項)。請求項の一部だけの納付はありません
  • 共有減免を受ける者を含む共有で持分の定めがあれば、各共有者ごとの額に持分の割合を乗じて合算します(3項)。10円未満は切り捨てます(4項)
  • 減免・猶予資力要件に該当する者(109条)、中小企業者・試験研究機関等(109条の2)について、特許庁長官が軽減・免除又は猶予をすることができます
  • 納付方法特許印紙が原則で、省令で定める場合は現金です(107条5項)

利害関係人その他の納付すべき者以外の者は、納付すべき者の意に反しても特許料を納付でき、現に利益を受ける限度で費用の償還を請求できます

110条1項により、利害関係人その他の特許料を納付すべき者以外の者は、納付すべき者の意に反しても特許料を納付することができます。以前は納付できるのが利害関係人に限られていましたが、令和3年改正で利害関係人でない者も納付できるようになりました。意に反しても納付できる点は改正の前後で変わりません。通常実施権者のように権利の存続に利益を持つ者が、権利者の怠慢で権利を失うのを防ぐためです。「納付すべき者の意に反しても、特許料を納付することができる」という枝は正しく、実施許諾の交渉中の者が「特許権者が実施許諾を明確に拒絶している場合でも」納付できるという枝も正しいです。納付した者は、納付すべき者が現に利益を受ける限度でその費用の償還を請求できます(2項)。特許料は特許権一件ごとに請求項の数に応じて納めるもので、一部の請求項分だけを納める制度はないので、一つの請求項にだけ利害関係を有する利害関係人は「当該請求項に対応する額を納付すればよい」という枝は誤りです。

第4年以後の分は納付期間の経過後6月以内に割増特許料と一緒に追納でき、追納がなければ納付期間の経過の時に遡って消滅し、故意でなければ回復できます

112条1項により、特許権者は108条2項の期間又は109条・109条の2の猶予後の期間内に特許料を納付できないときは、その期間の経過後6月以内に追納することができます。追納には同額の割増特許料を添えなければなりませんが、責めに帰することができない理由で納付できなかったときは割増特許料は要りません(2項)。追納期間内に納付すれば特許権は途切れずに存続し、効力の制限はありません。したがって、納付期間の経過後6月以内に追納したときでも「納付期間の経過から特許料及び割増特許料の納付までの間におけるその特許発明の実施には、特許権の効力は及ばない」という枝は誤りです。追納期間内にも納付しなければ、特許権は108条2項本文の期間の経過の時に遡って消滅したものとみなされ(4項)、猶予された特許料を納付しなかったときは初めから存在しなかったものとみなされます(6項)。その後も、原特許権者は経済産業省令で定める期間内に限り特許料と割増特許料を追納して特許権を回復できますが、故意に追納期間内に納付しなかったと認められる場合は回復できません(112条の2第1項)。以前は「正当な理由」が要件でしたが、令和3年改正で「故意によるものでないこと」に変わりました。回復があったときは、特許権は納付期間の経過の時に遡って存続していたもの、又は初めから存在していたものとみなされます(2項)。112条の3は、回復した特許権の効力を、追納期間の経過後回復の登録前に輸入し又は国内で生産・取得した物と、その間の当該発明の実施等には及ばないとします。回復前に権利が消えていると信じて実施を始めた第三者を守るためです。効力が及ばないのは追納期間の経過後の行為に限られるので、「納付期限経過の翌日に行われた、当該特許権に係る発明の実施行為に及ぶ」という枝は正しく、「特許料の納付期限から追納による特許権の回復の登録前の当該発明の実施には及ばない」という枝は誤りです。猶予された特許料の不納で特許権が初めから存在しなかったものとみなされると、65条5項により補償金請求権も初めから生じなかったものとみなされますが、112条の2第2項で回復した場合は除かれるので、「当該補償金請求権を行使することができる場合はない」という枝は誤りです。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から順に札「納付期間の経過(108条2項)」「6月」「回復の登録」が立つ。「納付期間の経過」から「6月」の区間に帯と札「追納できる(11

既納の特許料の返還は、過誤納と、取消決定又は無効審決が確定した年の翌年以後の各年分に限られ、納付した者の請求が要ります

111条1項により、既納の特許料は、過誤納の特許料(1号)、取消決定又は特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分(2号)、延長登録を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分のうち本来の存続期間の満了の翌年以後の分(3号)に限り、納付した者の請求により返還されます。2号は審決が「確定した年」の翌年以後の分なので、無効審決から2年以上たって確定した場合に「当該審決がなされた年の翌年以後の各年分の特許料の返還を受けることができる」という枝は誤りです。特許権を放棄しても返還事由には当たらないので、「特許権を放棄した年の翌年以後の各年分の特許料は、納付した者の請求により返還されることがある」という枝は誤りです。訂正審判で請求項を削除しても同じく返還されません。返還の請求は、過誤納の分は納付した日から1年、2号・3号の分は確定した日から6月を経過すると請求できず(2項)、責めに帰することができない理由があれば追完できます(3項)。

特許庁の窓口の場面。先生が特許庁の窓口職員役(札「特許庁」)でカウンターの内側に座り、「既納の特許料の返還請求書」と書かれた紙を手にしている。カウンターの外に特許権者の男性(札「元の特許権者」)が立ち、吹き出し「特許権を放棄しました。先に納
特許法108条1項・2項本文

前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第四年以後の各年分の特許料は、前年以前に納付しなければならない。

特許法112条1項

特許権者は、第百八条第二項に規定する期間又は第百九条若しくは第百九条の二の規定による納付の猶予後の期間内に特許料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内にその特許料を追納することができる。

特許法112条4項

特許権者が第一項の規定により特許料を追納することができる期間内に、第百八条第二項本文に規定する期間内に納付すべきであつた特許料及び第二項の規定により納付すべき割増特許料を納付しないときは、その特許権は、同条第二項本文に規定する期間の経過の時に遡つて消滅したものとみなす。

特許法112条の3第2項1号

前条第二項の規定により回復した特許権の効力は、第百十二条第一項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
一 当該発明の実施

試験ではこう問われる

  1. 第1年から第3年分は査定謄本の送達から30日以内に一時納付(30日の延長と4条の延長あり)。実用新案の登録料は出願と同時。第4年以後は前年以前で、数年分をまとめて納められる
  2. 免除又は猶予があれば納付がなくても設定の登録がされる(66条2項)。国に属する特許権に特許料はない
  3. 減免を受ける者を含む共有は、各共有者の額(減免後)に持分の割合を乗じて合算する。109条は軽減・免除・猶予のいずれもできる
  4. 納付すべき者以外の者は意に反しても納付できる(令和3年改正で利害関係人以外にも広がった)。償還は現に利益を受ける限度。請求項の一部だけの納付はない
  5. 追納は6月以内に割増特許料と一緒。追納期間内の納付なら効力の制限はない。追納がなければ納付期間の経過の時に遡って消滅し、猶予分の不納は初めから存在しなかったものとみなす
  6. 回復は故意でなければ省令の期間内に追納できる(112条の2)。効力が及ばないのは追納期間の経過後回復の登録前の実施等で、追納期間内の実施には及ぶ
  7. 回復すれば補償金請求権も行使できる場合がある(65条5項のかっこ書)
  8. 返還は過誤納と、取消決定・無効審決が確定した年の翌年以後の分だけ。放棄や訂正による請求項の削除では返還されない。返還には納付した者の請求が要る

この用語が問われた枝

令和元年度 問16 枝ニ正しい

特許法には、第1年から第3年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった日から30日以内に一時に納付しなければならない旨の規定があり、実用新案法には、第1年から第3年までの各年分の登録料は、実用新案登録出願と同時に(出願の変更又は出願の分割があった場合にあっては、その出願の変更又は出願の分割と同時に)一時に納付しなければならない旨の規定がある。

令和元年度 問16 枝イ誤り

特許権の設定の登録の日から存続期間の満了までの各年分の特許料について、第1年から第3年までの各年分の特許料は一時に納付しなければならないが、第4年以後の各年分の特許料は、前年に納付しなければならず、数年分を一時に納付することはできない。

令和元年度 問9 枝ロ正しい

特許法上の規定によれば、第1年から第3年までの各年分の特許料の納付がなくても特許権の設定の登録がされる場合がある。

平成30年度 問7 枝ニ誤り

日本国に属する特許権について、日本国は常に特許料を納付しなければならない。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

特許・実用新案を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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