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出願の変更と実用新案登録に基づく特許出願(46条・46条の2)しゅつがんのへんこうとじつようしんあんとうろくにもとづくとっきょしゅつがん

特許・実用新案 第3章 出願(明細書・分割・変更・優先権) 短答で34枝

出願の変更とは、実用新案登録出願又は意匠登録出願を特許出願に変更する46条の仕組みで、もとの出願は取り下げたものとみなされます。実用新案登録に基づく特許出願とは、実用新案権者が自己の実用新案登録に基づいて特許出願をし、その実用新案権を放棄する46条の2の仕組みです。

実用新案で出しておいた考案が思ったより有望で、審査を受けて特許にしたくなることがあります。出し直すと出願日が遅れて先願の地位を失うので、特許法は出願の種類を変える道を二つ用意しています。出願の変更は、実用新案登録出願や意匠登録出願をそのまま特許出願に変え、もとの出願を取り下げたものとみなします(46条)。実用新案登録に基づく特許出願は、無審査で登録された実用新案権を放棄する代わりに、その登録に基づいて特許出願をします(46条の2)。どちらも新たな出願はもとの出願の時にしたものとみなされます。

特許庁の窓口の場面。先生が審査官役(札「審査官」)でカウンターの内側に座り、左手に「実用新案登録出願A」と書かれた書類、右手に「特許出願B(出願Aから変更)」と書かれた書類を持っている。出願Aの書類には大きく「取り下げたものとみなす」の判が

実用新案登録出願は出願の日から3年以内、意匠登録出願は最初の拒絶査定の謄本の送達から3月以内か出願の日から3年以内に特許出願に変更でき、もとの出願は取り下げたものとみなされます

46条1項により、実用新案登録出願人はその実用新案登録出願を特許出願に変更できますが、実用新案登録出願の日から3年を経過した後はできません。実用新案は無審査で早く登録されるため、出願から3年もたてば権利は登録されているのが普通で、その後は46条の2の実用新案登録に基づく特許出願の出番になるからです。2項により、意匠登録出願人はその意匠登録出願を特許出願に変更できますが、拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月を経過した後、又は意匠登録出願の日から3年を経過した後(最初の拒絶査定の謄本の送達から3月以内の期間を除きます)はできません。変更があったときは、もとの出願は4項で取り下げたものとみなされます。放棄の手続は要らないので、実用新案登録出願Aを特許出願Bに変更する場合に「実用新案登録出願Aを放棄しなければならない」という枝は誤りです。反対向きの変更は実用新案法10条と意匠法13条にあり、特許出願から実用新案登録出願への変更は最初の拒絶査定の謄本の送達から3月以内かつ特許出願の日から9年6月以内です。この向きではもとの特許出願が取り下げたものとみなされるので(実用新案法10条5項・意匠法13条4項)、もとの特許出願が出願公開されていたときは、65条5項で補償金請求権は初めから生じなかったものとみなされます。9年6月を過ぎると延長や追完の余地はなく、「特許出願の日から9年6月を経過した後は、いかなる場合であっても」変更できないという枝は正しいです。特許出願から意匠登録出願への変更は最初の拒絶査定の謄本の送達から3月以内です。変更にも44条2項から4項までが準用されるので(46条6項)、変更出願はもとの出願の時にしたものとみなされますが、29条の2の他の特許出願として後願を拒絶する側に立つときは現実の出願日で見ます。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。上の横軸は左から札「実用新案登録出願」「出願の日から3年」が立ち、その区間に帯と札「特許出願に変更できる(46条1項)」。中の横軸は左から札「意
  • 実用新案登録出願から特許出願(46条1項)実用新案登録出願の日から3年以内です。追完は46条5項で理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内かつ期間の経過後6月以内です
  • 意匠登録出願から特許出願(46条2項)最初の拒絶査定の謄本の送達から3月以内、又は意匠登録出願の日から3年以内(3月以内の期間は除きます)です
  • 特許出願から実用新案登録出願(実用新案法10条1項)最初の拒絶査定の謄本の送達から3月以内かつ特許出願の日から9年6月以内です。実用新案登録に基づく特許出願は変更できません
  • 特許出願から意匠登録出願(意匠法13条1項)最初の拒絶査定の謄本の送達から3月以内です
  • もとの出願取り下げたものとみなされます(46条4項、実用新案法10条5項)。変更出願はもとの出願の時にしたものとみなされます

実用新案登録に基づく特許出願は実用新案権を放棄してするもので、特許出願から変更した実用新案登録出願との行き来は認められていません

実用新案法10条1項は、特許出願人がその特許出願を実用新案登録出願に変更できると定めつつ、かっこ書で46条の2第1項の実用新案登録に基づく特許出願を除いています。実用新案権を放棄して特許出願にした後にまた実用新案登録出願へ戻すことを許すと、無審査の登録と審査付きの特許の間を行き来して手続を引き延ばせるからです。したがって、実用新案登録に基づく特許出願の出願人は「その特許出願を実用新案登録出願に変更することができる」という枝は誤りです。一方、実用新案登録出願から46条1項で変更した特許出願は、かっこ書に入っていないので再び実用新案登録出願に変更できます。「実用新案登録出願から変更された特許出願の実用新案登録出願への変更は、禁止されていない」という枝は正しいです。実用新案登録に基づく特許出願から意匠登録出願に変更したものを実用新案登録出願に変更することは、実用新案法10条2項のかっこ書で禁じられています。変更出願と実用新案登録に基づく特許出願はいずれも41条1項2号により国内優先権の主張の基礎にできません。基礎にしたい内容はもとの出願に遡って存在していたはずで、変更をはさんで1年を数え直させる理由がないからです。意匠登録出願を特許出願に変更した後に「その特許出願を基礎とする国内優先権を主張することができる」という枝は誤りです。38条の3第6項により、分割、変更、実用新案登録に基づく特許出願には先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による出願の規定が適用されません。外国語書面出願とすることはできるので、実用新案登録に基づく特許出願を「先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願とすることもできる」という枝は誤りです。

実用新案登録に基づく特許出願は、出願の日から3年の経過、自らの技術評価の請求、他人の技術評価の請求の最初の通知から30日の経過、無効審判の最初の答弁書提出期間の経過で閉ざされ、制限は登録全体に及びます

46条の2第1項は、実用新案権者が自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができるとし、その場合はその実用新案権を放棄しなければならないと定めます。無審査の実用新案権と審査付きの特許権を同じ考案について二重に持たせないためです。できなくなるのは四つの場合です。1号は実用新案登録出願の日から3年を経過したとき、2号は出願人又は権利者が自ら実用新案技術評価を請求したとき、3号は出願人又は権利者でない者がした技術評価の請求に係る実用新案法13条2項の最初の通知を受けた日から30日を経過したとき、4号は実用新案登録無効審判について最初に指定された答弁書提出期間を経過したときです。技術評価の請求は請求項ごとにできますが、46条の2第1項の制限は「その実用新案登録」に基づく特許出願に及ぶので、請求項1についてだけ他人の技術評価の請求があって30日を過ぎたときも、「請求項2又は3に係る考案の実用新案登録に基づく特許出願についてはできる場合がある」という枝は誤りです。3号の30日は4条の延長の対象で、権利者が遠隔又は交通不便の地にあるときは特許庁長官が「請求により又は職権でこの期間を延長することができる」という枝は正しいです。1号と3号の期間は、責めに帰することができない理由があれば3項で追完できます。一つの実用新案登録から複数の特許出願をすることを禁じる規定はないので、「当該実用新案登録に基づく特許出願を複数することができる」という枝は正しいです。出願の後に基礎とした実用新案登録が無効になっても、それを理由に特許出願を却下する規定はないので、「当該実用新案登録に基づく特許出願は却下される」という枝は誤りです。無効審判の請求後に実用新案登録に基づく特許出願がされたときは、審判長が請求人に通知し、請求人は通知を受けた日から30日以内に限り相手方の承諾なく請求を取り下げることができます(実用新案法39条5項・39条の2第3項)。基づく特許出願がされた後は技術評価の請求ができません(実用新案法12条3項)。

特許庁の窓口の場面。先生が審査官役(札「審査官」)でカウンターの内側に座り、「実用新案登録に基づく特許出願」と書かれた願書と「実用新案権の放棄書」の二枚の紙を手にしている。カウンターの外に実用新案権者の男性(札「実用新案権者」)が立ち、吹き

実用新案登録に基づく特許出願は登録時の明細書等の範囲内に限り実用新案登録出願の時にしたものとみなされ、同一の考案との先後願は39条4項のかっこ書で除かれます

46条の2第2項により、実用新案登録に基づく特許出願は、その願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、基礎とされた実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にあるものに限り、その実用新案登録出願の時にしたものとみなされます。基準は登録時の書面で、出願当初の書面ではありません。実用新案登録出願の途中で補正により削られた事項は登録の範囲に入っていないからです。出願当初の明細書等の「範囲内にある限り」実用新案登録出願の時にしたものとみなされるという枝は誤りです。ただし書で、29条の2の他の特許出願となる場面、30条3項、36条の2第2項ただし書(外国語書面出願の翻訳文の期間)、48条の3第2項(出願審査の請求の30日)の適用については遡及しません。特許出願と実用新案登録出願が同日なら39条4項の協議の対象ですが、実用新案登録に基づく特許出願に係る発明とその基礎の実用新案登録に係る考案が同一である場合はかっこ書で除かれています。放棄した権利と新しい出願との間で協議を命じる意味がないからです。

出願の変更や実用新案登録に基づく特許出願には、仮専用実施権者・専用実施権者などの承諾が要る場面と要らない場面があります

特許出願を実用新案登録出願に変更するには、その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾が要ります(実用新案法10条9項)。意匠登録出願への変更も同じです(意匠法13条5項)。審査付きの特許権を前提に設定された仮専用実施権が、無審査の実用新案権や意匠権に姿を変えてしまうからです。「必ず仮専用実施権者の承諾を得る必要がある」という枝は正しいです。これに対し、実用新案登録出願や意匠登録出願を特許出願に変更する46条には承諾の規定がなく、これらの出願には仮専用実施権の制度もありません。意匠登録出願に仮通常実施権を有する者があるときに「その仮通常実施権者の承諾を得なければ」特許出願に変更できないという枝は誤りです。仮通常実施権が許諾されている実用新案登録出願を特許出願に変更したときは、34条の3第8項により、変更後の特許出願に係る特許を受ける権利について設定行為で定めた範囲内で仮通常実施権が許諾されたものとみなされるので、「当該特許出願に係る新たな仮通常実施権の許諾が必要である」という枝は誤りです。実用新案登録に基づく特許出願では、実用新案権者に専用実施権者、質権者又は通常実施権者(職務発明、専用実施権者の許諾、許諾による通常実施権)があるときは、その承諾を得た場合に限り出願できます(46条の2第4項)。あわせて実用新案権を放棄するので、放棄についても専用実施権者等の承諾が要ります(実用新案法26条で準用する97条1項)。専用実施権者から「実用新案登録に基づく特許出願それ自体についての承諾を得る必要がある」という枝は正しいです。委任による代理人は9条により、出願の変更と実用新案登録に基づく特許出願のいずれにも特別の授権が要ります。

特許庁の窓口の場面。先生が審査官役(札「審査官」)でカウンターの内側に座り、左に「特許出願 → 実用新案登録出願に変更:仮専用実施権者の承諾が要る(実用新案法10条9項)」、右に「実用新案登録出願 → 特許出願に変更:承諾の規定なし(46条
特許法46条1項

実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その実用新案登録出願の日から三年を経過した後は、この限りでない。

特許法46条4項

第一項又は第二項の規定による出願の変更があつたときは、もとの出願は、取り下げたものとみなす。

特許法46条の2第1項

実用新案権者は、次に掲げる場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができる。この場合においては、その実用新案権を放棄しなければならない。
一 その実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から三年を経過したとき。
二 その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者から実用新案法第十二条第一項に規定する実用新案技術評価(次号において単に「実用新案技術評価」という。)の請求があつたとき。
三 その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者がした実用新案技術評価の請求に係る実用新案法第十三条第二項の規定による最初の通知を受けた日から三十日を経過したとき。
四 その実用新案登録について請求された実用新案法第三十七条第一項の実用新案登録無効審判について、同法第三十九条第一項の規定により最初に指定された期間を経過したとき。

試験ではこう問われる

  1. 実用新案登録出願から特許出願への変更は出願の日から3年以内。もとの出願は取り下げたものとみなされ、「放棄しなければならない」という枝は誤り
  2. 意匠登録出願から特許出願は最初の拒絶査定の謄本の送達から3月以内又は出願の日から3年以内。特許出願から実用新案登録出願は拒絶査定から3月かつ出願の日から9年6月以内で、9年6月を過ぎれば「いかなる場合であっても」変更できない
  3. 実用新案登録に基づく特許出願は実用新案登録出願に変更できない(実用新案法10条1項かっこ書)。実用新案登録出願から変更した特許出願の再変更は禁止されていない
  4. 変更出願と実用新案登録に基づく特許出願は国内優先権の基礎にできず(41条1項2号)、先の出願を参照する方法でも出願できない(38条の3)。外国語書面出願にはできる
  5. 実用新案登録に基づく特許出願ができなくなる四つの場合(3年、自らの技術評価請求、他人の技術評価請求の最初の通知から30日、無効審判の最初の答弁書提出期間)。制限は登録全体に及び、請求項ごとには切れない。30日は4条で延長できる
  6. 一つの実用新案登録から複数の特許出願ができる。基礎の実用新案登録が後で無効になっても特許出願は却下されない。基づく特許出願の後は技術評価を請求できない
  7. 遡及は登録時の明細書等の範囲内に限る(46条の2第2項)。出願当初の範囲では足りない。29条の2の他の特許出願・30条3項・36条の2第2項ただし書・48条の3第2項には遡及しない
  8. 特許出願から実用新案登録出願・意匠登録出願への変更は仮専用実施権者の承諾が要る。実用新案・意匠登録出願から特許出願への変更に仮通常実施権者の承諾は要らず、仮通常実施権は変更後の出願に許諾されたものとみなす。実用新案登録に基づく特許出願には専用実施権者等の承諾(出願と放棄の両方)が要る

この用語が問われた枝

令和6年度 問11 枝ニ誤り

実用新案登録出願人甲が、その実用新案登録出願Aを特許出願Bに変更する場合、実用新案登録出願Aを放棄しなければならない。

平成28年度 問2 枝イ正しい

特許出願人は、特許出願の日から9年6月を経過した後は、いかなる場合であっても、その特許出願を実用新案登録出願に変更することができない。

令和3年度 問17 枝イ誤り

実用新案登録に基づく特許出願の特許出願人は、その特許出願を実用新案登録出願に変更することができる。

令和2年度 問6 枝ホ正しい

実用新案登録出願から変更された特許出願の実用新案登録出願への変更は、禁止されていないが、実用新案登録に基づく特許出願から変更された意匠登録出願を実用新案登録出願へ変更することは、禁止されている。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

特許・実用新案を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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