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出願の分割と変更(10条の2・13条・13条の2)しゅつがんのぶんかつとへんこう

意匠 第3章 出願(組物・内装・関連意匠・秘密意匠・分割変更・優先権) 短答で19枝

出願の分割とは、二以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を、審査・審判・再審に係属している間に一又は二以上の新たな意匠登録出願とする10条の2の手続です。出願の変更とは、特許出願(最初の拒絶査定の謄本の送達の日から3月まで)又は実用新案登録出願(時期の制限なし)を意匠登録出願に変える13条の手続で、いずれも新たな出願はもとの出願の時にしたものとみなされます。

甲が一枚の願書に花瓶と皿の図面を入れて出願し、7条違反の拒絶理由を受けたとします。出し直すと出願日が遅れ、その間に他人が似た意匠を出願していれば負けてしまいます。10条の2の分割は、一部を新たな出願にしてもとの出願の時にしたものとみなすことで、出願日を守ったまま直す手続です。13条の変更は、特許出願や実用新案登録出願として出したものを意匠登録出願に変える手続で、同じく出願日が遡ります。ただし、出願と同時に出すべき書面まで遡らせると不公平なので、新規性喪失の例外と優先権の書類には例外があります。

特許庁の出願窓口の場面。先生が窓口担当役(札「特許庁 出願窓口」)でカウンターの内側に立ち、左に「もとの出願(花瓶と皿)」と書かれた願書、右に「新たな出願(皿)」と書かれた願書を並べ、右の願書から左の願書へ矢印を引いて札「もとの出願の時にし

分割は二以上の意匠を包含する出願について審査・審判・再審に係属している間に限りでき、審決取消訴訟の係属中はできません

10条の2第1項は、意匠登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、二以上の意匠を包含する出願の一部を一又は二以上の新たな意匠登録出願にすることを認めます。「審査、審判又は再審に係属している場合、当該出願の一部を1又は2以上の新たな意匠登録出願とすることができる」という枝は正しいです。拒絶査定の謄本の送達後は出願が特許庁に係属していないので、分割するには拒絶査定不服審判を請求して審判に係属させる必要があります。「拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合」に分割できるという枝は誤りです(訴訟の係属は審査・審判・再審のいずれでもないからです)。分割できるのは二以上の意匠を包含する出願だけなので、統一のある組物の意匠や、使用状態を示す参考図だけに現れた意匠は分割できません。

分割・変更後の新たな出願はもとの出願の時にしたものとみなされますが、4条3項の書面と優先権の書類は新たな出願と同時に提出したものとみなされ、秘密請求の書面は含まれません

10条の2第2項本文は、新たな出願をもとの出願の時にしたものとみなします。ただし書は、4条3項の新規性喪失の例外の書面と、15条1項で準用する特許法43条1項・2項の優先権の主張と書類について遡及を外し、3項が、もとの出願について提出されたこれらの書面・書類を新たな出願と同時に提出されたものとみなします。もとの出願で提出した書面が新たな出願に引き継がれるので、新規性喪失の例外の「旨の書面を、新たな意匠登録出願と同時に提出しなければ」適用を受けられないという枝は誤りです。13条6項が同じ規定を変更に準用するので、特許出願で提出された書面は「当該変更に係る意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなされる」という枝は正しいです。引き継がれるのは4条3項の書面と優先権の書類だけです。「もとの意匠登録出願について提出された秘密請求期間を記載した書面は、当該新たな意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなされる」という枝は誤りです(秘密にすることの請求は新たな出願で改めて行います)。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立つ。横軸の左から札「もとの出願(4条3項の書面を同時に提出)」「秘密にすることの請求」「分割:新たな出願」が立ち、「新たな出願」の札から「もとの出願」の札へ太い矢印が戻り、
  • もとの出願の時にしたものとみなす新規性・先願・3条の2・関連意匠の10年・存続期間の起算はもとの出願の日で見ます(10条の2第2項本文・13条6項)
  • 新たな出願と同時に提出したものとみなす4条3項の書面・証明書と、特許法43条の優先権の主張・優先権書類です(10条の2第3項)
  • 引き継がれないもの秘密にすることの請求(14条2項)は新たな出願で改めて行います

特許出願からの変更は最初の拒絶査定の謄本の送達の日から3月までで、審判請求の後でも3月内ならでき、実用新案登録出願からの変更に期間の制限はありません

13条1項は特許出願人に意匠登録出願への変更を認め、ただし書で、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月を経過した後はできないとします。特許法46条の意匠出願からの変更のような出願日からの外枠はありません。基準は査定の謄本の送達であって審判請求ではないので、「拒絶査定不服審判を請求した後は、その特許出願を意匠登録出願に変更することができる場合はない」という枝は誤りです(審判請求後でも3月内なら変更できるからです)。一方、拒絶審決の謄本の送達から「当該謄本の送達があった日から3月以内であれば、当該出願を意匠登録出願に変更することができる」という枝は誤りです(最初の査定が基準で、審決は基準になりません)。この3月は、特許法4条で拒絶査定不服審判の請求期間が延長されたときはその分だけ延長されたものとみなされるので(13条3項)、「特許出願を意匠登録出願に変更することができる期間は、延長されることはない」という枝は誤りです。13条2項の実用新案登録出願からの変更には期間の制限がなく、出願が係属している間はいつでもできます。商標登録出願から意匠登録出願への変更は認められていません。変更があると、もとの出願は取り下げたものとみなされます(13条4項)。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から札「特許出願」「最初の拒絶査定の謄本の送達」「拒絶査定不服審判の請求」「送達から3月」「拒絶審決」が立ち、「最初の拒絶査定の謄本の送

特許出願の変更には仮専用実施権者の承諾が要り、仮通常実施権者の承諾は要らず、仮通常実施権は設定登録後に通常実施権とみなされます

13条5項は、特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り変更を認めます。変更でもとの特許出願が取り下げたものとみなされ、仮専用実施権者の地位が失われるからです。「仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り」変更できるという枝は正しく、「仮通常実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り」変更できるという枝は誤りです(5項が挙げるのは仮専用実施権者だけだからです)。仮通常実施権者の保護は承諾ではなく権利の引継ぎで図ります。5条の2により、仮通常実施権が許諾された特許出願から変更された意匠登録出願について意匠権の設定の登録があったときは、「当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、通常実施権が許諾されたものとみなされる」という枝は正しいです。

変更出願は特許出願の時にしたものとみなされるので、その後の販売では新規性を失わず、3条の2や優先期間はもとの出願日で判断し、秘密請求は変更後の出願でもできます

遡及の効果は変更にも及びます。特許出願の3月後に販売で意匠を公開してから変更した場合、変更後の出願は特許出願の時にしたものとみなされ、販売はその後の事実なので新規性を失いません。「出願Bについて新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための手続を行わなければ」拒絶を回避できないという枝は誤りです。遡及は不利にも働きます。他人の先願の出願日後・公報発行日前にされた特許出願から変更した出願は、その特許出願の時の出願として3条の2の対象になるので、「出願Bは意匠法第3条の2の規定により拒絶されない」という枝は誤りです。パリ条約の優先権では、実用新案登録出願を意匠登録出願に変更したときの優先期間は意匠の6月で(パリ条約4条E(1))、第一国出願から7月後の実用新案登録出願を変更しても「出願Cにおいて優先権主張の効果が認められる」という枝は誤りです。秘密にすることの請求は出願と同時又は第1年分の登録料の納付と同時にでき(14条2項)、もとの特許出願が出願公開されていても妨げになりません。出願公開された特許出願を変更した場合でも「第1年分の登録料を納付するのと同時に、その意匠を秘密にすることを請求することができる」という枝は正しいです。特許協力条約に基づく国際出願からの変更は、国内移行の手続と手数料の納付の後でなければできません(13条の2)。

意匠法10条の2第1項

意匠登録出願人は、意匠登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、二以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を一又は二以上の新たな意匠登録出願とすることができる。

意匠法13条1項

特許出願人は、その特許出願を意匠登録出願に変更することができる。ただし、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月を経過した後は、この限りでない。

意匠法13条2項

実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を意匠登録出願に変更することができる。

意匠法13条5項

特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、第一項の規定による出願の変更をすることができる。

試験ではこう問われる

  1. 分割は審査・審判・再審の係属中に限る。拒絶査定の謄本送達後は審判請求が要り、審決取消訴訟の係属中は分割できない
  2. 新たな出願はもとの出願の時にしたものとみなす。4条3項の書面と優先権の書類はもとの出願のものが新出願と同時に提出されたものとみなされ、改めて同時に出す必要はない
  3. 秘密請求の書面は10条の2第3項の対象外。分割後の新出願で改めて請求する
  4. 特許出願からの変更は最初の拒絶査定の謄本送達から3月まで。審判請求後でも3月内なら可、拒絶審決後は不可。期間は特許法4条の延長に連動して延びる
  5. 実用新案登録出願からの変更は期間の制限なし。商標登録出願からは変更できない。変更するともとの出願は取下げ擬制
  6. 仮専用実施権者の承諾が要る。仮通常実施権者の承諾は不要で、設定登録後に通常実施権が許諾されたものとみなされる
  7. 変更出願は特許出願の時の出願として扱うので、その後の販売は新規性を害さず、他人の先願との3条の2は特許出願の日で判断する
  8. 出願公開された特許出願から変更しても秘密請求できる。実用新案登録出願から変更した出願の優先期間は意匠の6月

この用語が問われた枝

令和7年度 問26 枝ニ正しい

意匠登録出願人は、2以上の意匠を包含する意匠登録出願が、審査、審判又は再審に係属している場合、当該出願の一部を1又は2以上の新たな意匠登録出願とすることができる。

令和5年度 問27 枝ニ誤り

意匠登録出願人は、意匠登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合、2以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を1又は2以上の新たな意匠登録出願とすることができる。

令和7年度 問26 枝イ誤り

意匠登録出願人は、新規性の喪失の例外の規定の適用を受けようとする意匠登録出願について、分割により新たな意匠登録出願とする場合には、新規性の喪失の例外の規定の適用を受けようとする旨の書面を、新たな意匠登録出願と同時に提出しなければ、新たな意匠登録出願について新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができない。

平成28年度 問22 枝ハ誤り

意匠登録出願を分割して新たな意匠登録出願をする場合には、もとの意匠登録出願について提出された秘密請求期間を記載した書面は、当該新たな意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなされる。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

意匠を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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