拒絶査定不服審判と補正却下決定不服審判(46・47・50〜52条)きょぜつさていふふくしんぱんとほせいきゃっかけっていふふくしんぱん
拒絶査定不服審判とは、拒絶をすべき旨の査定を受けた者が、その査定の謄本の送達があった日から3月以内に請求できる審判です(46条)。補正却下決定不服審判とは、審査官がした17条の2第1項の補正の却下の決定を受けた者が、その決定の謄本の送達があった日から3月以内に請求できる審判です(47条)。
審査官に拒絶査定をされた出願人が、それでも登録を受けたいときに頼るのが拒絶査定不服審判です。審査官一人の判断で終わらせず、3人又は5人の審判官の合議体にもう一度見てもらう仕組みで、査定の謄本の送達から3月以内に請求します。一方、審査の途中で図面の補正が要旨変更だとして却下されたときは、出願そのものではなく却下の決定だけを争う補正却下決定不服審判があります。どちらも特許法の審判の規定を52条で準用しますが、意匠法には特許法のような前置審査がありません。

拒絶査定不服審判は査定の謄本の送達があった日から3月以内に請求し、共有者は全員が共同して請求します
46条1項は、拒絶をすべき旨の査定を受けた者が、その査定の謄本の送達があった日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求できると定めています。平成20年改正前は30日でしたので、「30日以内に限り拒絶査定不服審判を請求することができる」という枝は現行法では誤りです。2項は、その責めに帰することができない理由で期間内に請求できないときに、理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内でその期間の経過後6月以内に請求できるとする救済で、47条2項が補正却下決定不服審判にも準用します。補正却下決定不服審判の請求人が「その期間の経過後6月以内であればその請求を行うことができる」という枝は正しいです。52条が準用する特許法132条3項により、意匠登録を受ける権利の共有者は全員が共同して請求しなければなりません。「共有者の一部の者が拒絶査定不服審判を請求しても、審決をもって却下される」という枝は正しく、補正却下決定不服審判を「意匠登録出願人のうちの一部の者のみであっても」請求できるという枝は誤りです。

審判では査定と異なる拒絶理由を見つけたら通知し、請求の理由の補正は要旨変更でも認められ、審査中にした補正が審判で却下されることもあります
50条3項は、拒絶査定不服審判で査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に特許法50条の拒絶理由の通知を準用します。新たな拒絶理由を通知して「意見書を提出する機会を与えなければ」その理由で請求不成立の審決をできないという枝は正しいです。審判請求書の補正は要旨を変更してはなりませんが、52条で準用する特許法131条の2第1項1号により、無効審判以外の審判の請求の理由の補正は例外なので、拒絶査定不服審判で請求の理由の補正は「要旨の変更にあたるものであっても認められる」という枝は正しいです。50条1項は17条の2と17条の3を審判に準用するので、審判での補正が要旨を変更するものであれば決定をもって却下したうえで補正前の出願を審理します。要旨変更を「理由として審判請求が成り立たない旨の審決をすることができる」という枝は誤りです。審判は審査の続きとして出願全体を見直すので、審査の係属中にした補正であっても審判で要旨変更として却下されることがあり、「審査係属中になされた当該補正が却下されることはない」という枝は誤りです。請求に理由があるときは18条を準用して登録査定をするか、特許法160条1項によりさらに審査に付すべき旨の審決をします(50条2項)。
審判でされた補正の却下の決定には補正却下決定不服審判ではなく審決等取消訴訟で争い、補正後の新出願の期間は3月を30日と読み替えます
補正却下決定不服審判の対象は審査官がした17条の2第1項の却下の決定だけです。拒絶査定不服審判の中で審判官の合議体がした却下の決定は、59条1項により東京高等裁判所への訴えで争います。審判で補正の却下の決定が行われた場合に「補正却下決定不服審判請求をすることができない」という枝は正しく、「審判官の合議体により決定をもって却下された」場合に補正却下決定不服審判を請求できるという枝は誤りです。50条1項は17条の2第3項と17条の3第1項の「三月」を「三十日」と読み替えるので、審判での却下の決定に対する補正後の意匠の新出願は決定の謄本の送達から30日以内です。「3月以内にその補正後の意匠について」新出願をすれば手続補正書を提出した時にしたものとみなされるという枝は誤りで、「3月以内であればいつでも」新出願ができるという枝も誤りです。審決を待つ期間も30日なので、却下の決定の謄本の送達から「3月を経過するまでは審決をすることができない」という枝は誤りです。17条の2第4項の「補正却下決定不服審判を請求したとき」も「59条1項の訴えを提起したとき」と読み替えられ、その判決が確定するまで審理を中止します。

補正却下決定不服審判は決定の謄本の送達から3月以内で、補正後の新出願をしたときは請求できず、取り消す審決の判断は審査官を拘束します
47条1項は、17条の2第1項の却下の決定を受けた者が、決定の謄本の送達があった日から3月以内に補正却下決定不服審判を請求できると定め、ただし書で17条の3第1項の新たな意匠登録出願をしたときは請求できないとしています。新出願をすればもとの出願は取り下げたものとみなされるので、却下を争う実益が無いからです。審査官は、この審判が請求されたときは審決が確定するまで審査を中止し(17条の2第4項)、決定を取り消すべき旨の審決があった場合の判断はその事件について審査官を拘束します(51条)。手続の補正は事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限りできるので(60条の24)、拒絶査定の謄本の送達から「審判を請求する日前までは補正をすることができない」という枝は正しいです。補正却下決定不服審判の係属中も事件は審判に係属しているので図面の補正はでき、「審理結果が通知されるまでは、さらに図面の補正を行うことはできない」という枝は誤りです。
意匠法46条1項拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
意匠法47条1項第十七条の二第一項の規定による却下の決定を受けた者は、その決定に不服があるときは、その決定の謄本の送達があつた日から三月以内に補正却下決定不服審判を請求することができる。ただし、第十七条の三第一項に規定する新たな意匠登録出願をしたときは、この限りでない。
意匠法50条1項第十七条の二及び第十七条の三の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。この場合において、第十七条の二第三項及び第十七条の三第一項中「三月」とあるのは「三十日」と、第十七条の二第四項中「補正却下決定不服審判を請求したとき」とあるのは「第五十九条第一項の訴えを提起したとき」と読み替えるものとする。
試験ではこう問われる
- 拒絶査定不服審判は査定の謄本の送達から3月以内(46条1項)。「30日以内に限り」という枝は平成20年改正前の期間で誤り。帰責事由の無い遅れは理由がなくなった日から14日(在外者2月)以内で期間経過後6月以内
- 共有者は全員で請求する(52条準用 特132条3項)。一部の者の請求は審決をもって却下される。補正却下決定不服審判も同じ
- 審判で査定と異なる拒絶理由を発見したら拒絶理由を通知する(50条3項)。請求の理由の補正は要旨変更でも認められる(特131条の2第1項1号)
- 審判での要旨変更の補正は決定で却下し、要旨変更を理由に請求不成立の審決はしない。審査中の補正も審判で却下されることがある
- 審判でされた補正の却下の決定は補正却下決定不服審判でなく審決等取消訴訟(59条1項)で争う。「審判官の合議体により決定をもって却下された」場合に審判を請求できるという枝は誤り
- 審判での却下後の新出願と審決待ちの期間は3月を30日と読み替える(50条1項)。「3月以内に」新出願という枝、「3月を経過するまでは審決をすることができない」という枝は誤り
- 補正却下決定不服審判は決定の謄本の送達から3月以内で、17条の3の新出願をしたら請求できない。取消審決の判断は審査官を拘束する(51条)
- 補正は審査・審判・再審の係属中だけ(60条の24)。査定の謄本の送達から審判請求までの間はできないが、補正却下決定不服審判の係属中はできる
この用語が問われた枝
拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があった日から 30 日以内に限り拒絶査定不服審判を請求することができる。
補正却下決定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により意匠法第 47 条第1項に規定する期間内にその請求をすることができない場合には、その理由がなくなった日から 14 日以内(在外者にあっては、2月)でその期間の経過後6月以内であればその請求を行うことができる。
意匠登録を受ける権利が共有の場合、共有者の一部の者が拒絶査定不服審判を請求しても、審決をもって却下される。
拒絶査定不服審判において、拒絶をすべき旨の査定の拒絶理由とは異なる新たな拒絶理由が発見された。この場合、審判官は、拒絶の理由を通知し、当該審判の請求人に意見書を提出する機会を与えなければ、その新たな拒絶理由をもって審判請求が成り立たない旨の審決をすることはできない。
枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。
この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。