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意匠権の設定登録・意匠公報・存続期間(20条・21条・66条)いしょうけんのせっていとうろく・いしょうこうほう・そんぞくきかん

意匠 第4章 審査・補正・登録 短答で65枝

意匠権の設定登録とは、第1年分の登録料の納付があったときに特許庁が意匠権を設定の登録することで、意匠権はこの登録により発生します(20条1項・2項)。設定登録があったときは意匠権者・出願の番号と年月日・登録番号・願書と図面等の内容を意匠公報に掲載し(20条3項)、意匠権の存続期間は意匠登録出願の日から25年で終了します(21条)。

登録をすべき旨の査定が届いても、それだけでは意匠権はまだありません。出願人が第1年分の登録料を納めると特許庁が意匠原簿に設定の登録をし、その登録の時に意匠権が生まれます。生まれた権利は意匠公報で世の中に知らされ、出願の日から25年たつと終わります。登録の日ではなく出願の日から数えるのは、審査に時間がかかった出願ほど権利が長く続くという不公平をなくすためで、特許と同じ考え方です。

特許庁の窓口の場面。先生が特許庁の職員役(札「特許庁」)でカウンターの内側に座り、「意匠原簿」と書かれた大きな帳簿に「設定の登録」と書き込んでいる。カウンターの外に出願人の男性(札「意匠権者」)が立ち、「第1年分の登録料 納付書」と書かれた

意匠権は設定の登録により発生し、第1年分の登録料の納付があったときに設定の登録をします

20条1項は意匠権は設定の登録により発生すると定め、2項は42条1項の第1年分の登録料の納付があったときに設定の登録をすると定めます。第1年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に納付します(43条1項)。特許のように第1年から第3年分を一時に納めるのではなく第1年分だけで足りるので、設定の登録を受けるために「第1年から第3年分の登録料を納付しなければならない」という枝は誤りです。権利が発生するのは登録の時であり、62条の意匠登録証は登録があった後に意匠権者へ交付される証書にすぎないので、意匠登録証の交付を待たずに意匠権を行使できます。設定の登録は61条1項1号により意匠原簿に登録する事項で、国際登録を基礎とした意匠権では60条の19第1項の読替えにより原簿に登録するのは設定・信託による変更・存続期間の満了による消滅・処分の制限に限られ、回復は入りません。これらが「いずれも特許庁に備える意匠原簿に登録される事項である」という枝は、回復を含めている点で誤りです。国際意匠登録出願では登録料ではなく個別指定手数料を国際事務局に払うので、60条の13により意匠登録をすべき旨の査定又は審決があったときに設定の登録をします。

  • 発生の時設定の登録の時です(20条1項)。査定の時でも登録証の交付の時でもありません
  • 登録の条件第1年分の登録料の納付です(20条2項)。査定又は審決の謄本の送達から30日以内に納めます(43条1項)
  • 国際意匠登録出願個別指定手数料を払うので、意匠登録をすべき旨の査定又は審決があったときに設定の登録をします(60条の13)
  • 意匠登録証設定の登録があったときに特許庁長官が意匠権者に交付します(62条)。権利行使の要件ではありません

設定の登録があったときは意匠権者・出願番号・登録番号・願書と図面等の内容を意匠公報に掲載し、秘密意匠の図面等は期間経過後に掲載します

意匠には出願公開がないので、出願の内容が初めて公になるのは設定の登録後の意匠公報です。20条3項は、設定の登録があったときは意匠権者の氏名又は名称及び住所又は居所、意匠登録出願の番号及び年月日、登録番号及び設定の登録の年月日、願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容を意匠公報に掲載しなければならないと定めます。14条1項で秘密にすることを請求した意匠は、願書と図面等の内容だけを指定した期間の経過後遅滞なく掲載します(20条4項)。意匠公報は3条の2の引用になる公報でもあり、先願が20条3項により掲載された意匠公報(秘密意匠の願書と図面等の内容を20条4項により期間経過後に掲載したものを除く)の発行の日前にされた同一人の後願には3条の2が適用されません。このほか66条3項は、同日出願の協議が成立せず9条2項後段で拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した出願についても、出願人・出願の番号と年月日・願書と図面等の内容を意匠公報に掲載させます。拒絶された出願でも先願の地位を失う代わりに、その内容を3条の2の引用にするためです。その中に秘密にすることを請求した出願があるときは、全ての出願の願書と図面等の内容を、確定の日から指定した期間のうち最も長い期間の経過後に掲載するので、1年と2年の秘密請求をした出願と請求のない出願が同日出願で協議不成立となった場合に、請求のない出願Cの内容も「拒絶をすべき旨の査定が確定した日から2年の経過後遅滞なく意匠公報に掲載される」という枝は正しいです。

特許庁の公報閲覧室の場面。先生が先生役(札「先生」)で机の上に「意匠公報」と書かれた冊子を2冊並べている。左の冊子は開いていて「意匠権者/出願番号・出願日/登録番号・登録日/願書と図面の内容」の項目と花瓶の図が見える。右の冊子は「秘密意匠」

存続期間は意匠登録出願の日から25年で、関連意匠は基礎意匠の出願の日から25年であり、延長の制度はありません

21条1項は、意匠権(関連意匠の意匠権を除く)の存続期間は意匠登録出願の日から25年をもって終了すると定め、2項は関連意匠の意匠権の存続期間はその基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了すると定めます。起算点は出願の日なので、令和6年2月1日に出願された意匠の意匠権の存続期間は「設定の登録の日から 25 年をもって終了する」という枝は誤りで、存続期間は「意匠権の設定の登録の日から 25 年をもって終了し」、関連意匠は基礎意匠の設定の登録の日から25年という枝も誤りです。関連意匠の起算点は日本における基礎意匠の現実の出願の日で、10条1項のようにパリ条約の優先権の主張を伴う場合に最初の出願の日と読む規定はないので、関連意匠の存続期間は「当該基礎意匠の第一国の出願日から 25 年をもって終了する」という枝は誤りです。13条で特許出願から変更した意匠登録出願は13条6項で準用する10条の2第2項により特許出願の時にしたものとみなされるので、その意匠権は「特許出願Aの出願日から25年を超えて存続する場合はない」という枝は正しいです。関連意匠は基礎意匠と同じ日から数えるので、関連意匠の意匠権が基礎意匠の意匠権の「存続期間の満了を超えて存続することはない」という枝は正しく、基礎意匠の存続期間の満了と同時に関連意匠の意匠権も消滅したという相手方の主張には理由があります。特許法67条のような存続期間の延長の制度は意匠法にありません。なお、この25年は令和元年改正で令和2年4月1日以後の出願から適用されるもので、それより前は設定の登録の日から20年(平成18年改正前は15年)で、関連意匠は本意匠の設定の登録の日から20年でした。平成25年度の枝で、関連意匠の存続期間を「その本意匠の意匠登録出願の日から20年」とするものが誤りとされているのは当時の規定によるもので、現行法では基礎意匠の出願の日から25年です。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から順に札「意匠登録出願の日」「登録査定」「第1年分の登録料の納付・設定の登録」「意匠公報の発行」「出願の日から25年:存続期間の満了」
  • 通常の意匠権意匠登録出願の日から25年です(21条1項)
  • 関連意匠の意匠権基礎意匠の意匠登録出願の日から25年です(21条2項)。優先日ではなく日本の出願の日です
  • 変更出願・分割出願もとの出願の時にしたものとみなされるので、もとの出願の日から25年です(10条の2第2項・13条6項)
  • 延長ありません。特許法67条のような延長登録の制度は意匠法にありません
  • 旧法令和元年改正前の出願は設定の登録の日から20年(平成18年改正前は15年)、関連意匠は本意匠の設定の登録の日から20年でした

存続期間の満了後は差止請求ができませんが、存続中の侵害による損害賠償は請求できます

37条1項の差止請求は、自己の意匠権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して侵害の停止又は予防を求めるもので、存続期間の満了で意匠権が消滅した後は守るべき権利がないので請求できません。これに対し、存続期間中の侵害によって生じた損害賠償請求権は民法709条により侵害の時に発生した債権で、意匠権が消滅しても消えません。したがって、意匠権の存続期間満了後であっても、存続期間中の相手方の行為により生じた「損害の賠償を請求することができる場合がある」という枝は正しく、存続期間満了により消滅した後は「意匠権侵害に基づく差止と損害賠償のいずれも請求することができない」という枝は誤りです。

意匠法20条1項

意匠権は、設定の登録により発生する。

意匠法20条2項

第四十二条第一項の規定による第一年分の登録料の納付があつたときは、意匠権の設定の登録をする。

意匠法21条1項

意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。

意匠法21条2項

関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。

試験ではこう問われる

  1. 意匠権は設定の登録により発生し、意匠登録証の交付は権利行使の要件ではない
  2. 設定の登録に要るのは第1年分の登録料だけ。「第1年から第3年分の登録料を納付しなければならない」という枝は誤り。国際意匠登録出願は査定・審決で設定登録(60条の13)
  3. 存続期間は出願の日から25年。「設定の登録の日から 25 年をもって終了する」という枝は誤り。延長の制度はない
  4. 関連意匠は基礎意匠の出願の日から25年で、基礎意匠と同時に満了する。「当該基礎意匠の第一国の出願日から 25 年」という枝は誤り
  5. 特許出願から変更した出願は特許出願の時にしたものとみなされるので、特許出願の日から25年を超えない
  6. 旧法の枝は設定の登録の日から20年(関連意匠は本意匠の設定の登録の日から20年)。現行法と取り違えない
  7. 設定登録後の意匠公報に願書と図面等の内容を掲載する。秘密意匠はその部分だけ期間経過後に掲載(20条4項)。同日出願の協議不成立で拒絶が確定した出願も掲載し、秘密請求があれば最も長い期間の経過後(66条3項)
  8. 存続期間の満了後は差止請求はできないが、存続中の侵害による損害賠償は請求できる

この用語が問われた枝

令和7年度 問28 枝ニ誤り

国際登録を基礎とした意匠権についての意匠権の設定、信託による変更、消滅(存続期間の満了によるものに限る。)、回復又は処分の制限は、いずれも特許庁に備える意匠原簿に登録される事項である。

平成28年度 問22 枝ホ正しい

甲は、意匠登録出願Aについて1年、意匠登録出願Bについて2年の期間を指定してそれらの意匠を秘密にすることを請求して出願し、乙は、秘密意匠の請求なく意匠登録出願Cをした。意匠登録出願A、B、Cは同日に出願されたものであり、協議不成立により拒絶をすべき旨の査定が確定した。この場合、意匠登録出願Cに係る願書及び願書に添付した図面等の内容は、拒絶をすべき旨の査定が確定した日から2年の経過後遅滞なく意匠公報に掲載される。

令和6年度 問22 枝イ誤り

令和6年2月1日に出願された意匠に係る意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、設定の登録の日から 25 年をもって終了する。

令和4年度 問28 枝ニ誤り

意匠権の存続期間は、意匠権の設定の登録の日から 25 年をもって終了し、関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠権の設定の登録の日から 25年をもって終了する。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

意匠を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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