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取下げ・期間の計算・誤記の訂正・不可抗力の救済(47条・規則80・82の4・90の2・91・92の2)とりさげきかんのけいさんごきのていせいふかこうりょくのきゅうさい

条約 第2章 PCT 国際段階 短答で18枝

取下げとは、出願人が優先日から30月を経過する前にいつでも、国際出願、指定、優先権の主張、国際予備審査の請求又は選択を通告によってやめることです。期間の計算とは事象が生じた日の翌日から起算して応当日に満了させる規則80の決まりで、誤記の訂正と不可抗力の救済とは、明白な誤記を権限のある機関の許可で直し、戦争・天災・感染症などで守れなかった期間の遅滞を許容する規則91・82の4の仕組みです。

国際出願をした後で事業の方針が変わり、出願そのものや一部の国の指定、優先権の主張をやめたいことがあります。逆に、期限の数え方を誤ったり、書類に明らかな書き間違いがあったり、災害や通信障害で期限を守れなかったりすることもあります。PCTは、こうした場面を規則でまとめて扱い、取下げは優先日から30月を経過する前ならいつでも通告でできるとし、期間の数え方を翌日起算と応当日で統一し、明白な誤記の訂正と不可抗力の救済の窓口を決めています。各国の手続に進む前の国際段階で、出願人の選択と救済を同じ物差しで扱うためです。

国際事務局の窓口の場面。先生が国際事務局の職員役(札「国際事務局」)でカウンターの内側に座り、壁に4枚の掲示が並んでいる。掲示はそれぞれ「取下げ:優先日から30月を経過する前にいつでも(規則90の2)」「期間の計算:翌日から起算し応当日に満

国際出願・指定・優先権の主張・国際予備審査の請求・選択は、優先日から30月を経過する前にいつでも取り下げられ、通告の受領の時に効力を生じます

規則90の2は、取下げの対象ごとに同じ型で定めます。出願人は優先日から30月を経過する前にいつでも、国際出願(規則90の2.1)、指定国の指定(規則90の2.2)、優先権の主張(規則90の2.3)、国際予備審査の請求又は選択(規則90の2.4)を取り下げることができます。請求又は選択のいずれか若しくはすべてを「優先日から30月を経過する前にいつでも、取り下げることができる」という枝は正しいです。国際出願・指定・優先権の主張の取下げは、出願人の選択により国際事務局、受理官庁又は、39条(1)の規定が適用される場合には「国際予備審査機関に対する出願人の通告の受領の時に効力を生ずる」という枝のとおりで、国際調査機関は受け手になりません。これに対し、請求又は選択の取下げは国際事務局に対する通告の受領の時に効力を生じ、出願人が通告を国際予備審査機関に提出した場合には機関が受理の日付を付して国際事務局に送付し、通告は「付された日付に国際事務局に提出されたものとみなす」という枝は正しいです(規則90の2.4(b)(c))。取下げの通告には出願人全員が署名し、共通の代表者とみなされた出願人は他の出願人の代わりに署名する権限がありません(規則90の2.5)。取下げの通告が国際公開の技術的な準備の完了前に国際事務局に到達すれば国際公開は行われません(規則90の2.1(c))。取下げは、23条(2)又は40条(2)の明示の請求で既に処理や審査を開始している指定官庁・選択官庁には効力を生じません(規則90の2.6(a))。

3つの建物を横に並べた図。左から看板「受理官庁」「国際事務局」「国際予備審査機関」。それぞれの建物の入口に郵便受けの絵があり、受理官庁と国際事務局の郵便受けに札「国際出願・指定・優先権の主張の取下げの通告」、国際予備審査機関の郵便受けに札「

全指定の取下げは国際出願の取下げとみなされ、国内特許と広域特許の双方の指定の取下げは別段の表示がなければ国内特許のみで、優先権の主張の取下げで優先日が変われば未満了の期間は変更後の優先日から起算します

「すべての指定国の指定の取下げは、国際出願の取下げとみなされる」という枝は正しいです(規則90の2.2(c))。選択された国の指定を取り下げると、対応する選択の取下げを伴います(規則90の2.2(a))。国内特許及び広域特許の双方を受けるために国を指定した場合、その国の指定の取下げは、別段の表示がある場合を除くほか国内特許を受けるための指定のみの取下げを意味します(規則90の2.2(b))。「国内特許及び広域特許の双方の取下げを意味するものと扱われる」という枝は誤りです(広域特許のための指定は残るからです)。優先権の主張の取下げにより優先日に変更が生じる場合には、もとの優先日から起算してまだ満了していない期間は変更の後の優先日から起算しますが、21条(2)(a)の国際公開の期間については、取下げの通告が国際公開の技術的な準備の完了後に国際事務局に到達したときはもとの優先日を基礎に公開できます(規則90の2.3(d)(e))。未満了の期間は「常に、変更の後の優先日から起算する」という枝は誤りです。37条(4)により、国際予備審査の請求又は選択の取下げは関係締約国に関する限り国際出願の取下げとみなすのが原則ですが、22条の期間の満了前に行われた場合には国際出願の取下げとはみなしません。22条の期間の満了前の取下げで「常に、国際出願が取り下げられたとみなされる」という枝は誤りです。

  • 取り下げられるもの国際出願、指定、優先権の主張、補充調査請求、国際予備審査の請求、選択です(規則90の2.1〜.4)
  • 時期優先日から30月を経過する前にいつでもです。補充調査請求は補充国際調査報告等の送付の日より前です
  • 通告の受け手国際出願・指定・優先権の主張は国際事務局、受理官庁、39条(1)が適用される場合の国際予備審査機関です。請求・選択は国際事務局です(機関に出せば受理日付で国際事務局に提出したものとみなします)
  • 効果国際段階の処理は中止します。既に処理・審査を開始した指定官庁・選択官庁には効力が生じません(規則90の2.6)。記録原本の送付前の取下げなら国際出願手数料が払い戻されます(規則15.4)

期間は事象が生じた日の翌日から起算して月・年の期間は応当日に満了し、起算日は事象の地の日付、末日は提出地の日付で、末日が休日なら後続の日に繰り延べます

規則80は期間の計算を定めます。年又は月をもって定めた期間は、当該事象が生じた日の翌日から起算し、その後の年又は月において事象が生じた日に応当する日に満了し、応当する日がないときはその月の末日に満了します(規則80.1、80.2)。日をもって定めた期間も翌日から起算し、該当する日数の最終の日に満了します(規則80.3)。日で定めた期間は「当該事象が生じた日の翌日から起算する」という枝は正しいです。月で定めた期間の例として、優先日が閏年の2月29日のとき、「優先日から19月」は19月後の9月に29日があるので、「最も早い場合、2017年9月29日(金)に満了する」という枝は正しいです(末日の30日に満了するのは応当日がない月だけだからです)。期間の起算日の日付は事象が生じた時のその地における日付、末日の日付は文書が提出され又は手数料が支払われるべき地における日付です(規則80.4)。「期間の末日の日付は、当該期間の起算日の根拠となった当該事象が生じた時の当該地における日付とする」という枝は誤りです(起算日と末日の規律を取り違えているからです)。末日が官庁の閉庁日や郵便物が配達されない日、法定の休日に当たるときは、それらに該当しない後続の最初の日に満了します(規則80.5)。日付は西暦紀元及びグレゴリー暦で表示し、他の暦を用いるときは併記します(規則79.1)。出願人や各官庁・機関は「西暦紀元及びグレゴリー暦によって日付を表示する」という枝は正しいです。条約の第1章・第2章に定める期間は、60条の改正によるほか、総会又は通信による投票での締約国の全会一致の決定で変更できます(47条(2))。

壁掛けの大きなカレンダーを中心にした図。先生が先生役(札「先生」)でカレンダーの横に立ち、指し棒で日付を示している。カレンダーは2枚並び、左が「2月」で29日に丸印と札「優先日(事象が生じた日)」、その翌日の3月1日側に札「翌日から起算」。

戦争・天災・感染症・電子通信の不通などで期間を守れなかったときは期間満了後6月以内の証拠提出で遅滞が許容され、官庁や機関は2月を超えない延長期間を設定できます

規則82の4.1は、関係者が住所・営業所の地又は滞在地において戦争、革命、市民暴動、同盟罷業、天災、感染症、電子通信サービスの全般的な不通その他これらに類する事由により、受理官庁、国際調査機関、補充調査のために指定された機関、国際予備審査機関又は国際事務局に対する行為の期間を守れなかったこと、及び合理的にできる限り速やかに適切な措置をとったことを示す証拠を、期間の満了後6月以内に提出すれば、その状況が受け手にとって満足なものである場合に遅滞を許容すると定めます。官庁や機関は公表した条件に従って証拠の必要性を放棄することもできます(規則82の4.1(d))。官庁が認める電子的な通信手段の不通による不遵守は、回復後最初の就業日に行為がされたことを条件に許容する旨を定めることができます(規則82の4.2)。さらに規則82の4.3により、官庁・機関・国際事務局の所在する国がこれらの事由による全般的な混乱に直面し、当事者が期間内に行為を行うことを妨げられる場合には、規則に定める期間を延長できるように「延長期間を設定することができる」という枝は正しく、延長期間は開始日から2月を超えず、必要なら追加の延長期間を設定できます。指定官庁・選択官庁は、既に22条・39条の行為を済ませた出願人についてはこれらの許容や延長を考慮する必要がありません。

明白な誤記の訂正は権限のある機関の許可により優先日から26月以内に請求し、出願時の誤記の訂正は国際出願日から有効で、名義等の変更の記録は30月後の要請では記録されません

国際出願又は出願人が提出した他の書類中の明白な誤記は、出願人の請求により、権限のある機関の許可を得て訂正できます(規則91.1(a)(b))。権限のある機関は、願書の誤記は受理官庁、明細書・請求の範囲・図面の誤記は国際調査機関、国際予備審査の請求がされて取り下げられておらず規則69.1の開始日が過ぎていれば明細書等や19条・34条の補正書の誤記は国際予備審査機関、その他の書類はそれを受けた官庁・機関です。訂正は、関連する書類に現れるもの以外のことが意図されており、提出された訂正以外は何も意図されていなかったことが機関にとって明白な場合にのみ許可されます(規則91.1(c))。要約の誤記、国際出願の要素や用紙の欠落、優先日が変わる優先権の主張の誤記は訂正できません(規則91.1(g))。訂正の請求は優先日から26月以内に権限のある機関に提出します(規則91.2)。許可された訂正は、出願時の国際出願の部分の誤記なら国際出願日から、その他の書類の誤記ならその書類の提出日から有効です(規則91.3(c))。出願時の国際出願の誤記の訂正が「当該訂正のための請求が提出された日から、有効となる」という枝は誤りです。拒否された訂正請求は、2月以内の要請があれば請求・理由・意見が公表されます(規則91.3(d))。出願人や代理人・発明者の名義、氏名、住所、国籍、あて名の変更は、出願人又は受理官庁の要請に基づき国際事務局が記録しますが、優先日から30月の期間の満了後に要請を受理した場合には記録しません(規則92の2.1)。「いかなる場合であっても願書における出願人の名義」等の変更を記録しなければならないという枝は誤りです。出願人は優先日から14月を経過した後は、受理官庁に対し、自己の有する国際出願の写しが「出願時における国際出願と同一であることの認証を請求できる」という枝は正しく、認証された謄本を国際事務局に送付できます(規則22.1(d))。

PCT規則90の2.1

(a) 出願人は、優先日から三十箇月を経過する前にいつでも、国際出願を取り下げることができる。
(b) 取下げは、出願人の選択により国際事務局、受理官庁又は、第三十九条(1)の規定が適用される場合には、国際予備審査機関に対する出願人からの通告の受領の時に効力を生ずる。
(c) 出願人、受理官庁又は国際予備審査機関により送付された取下げの通告が国際公開の技術的な準備が完了する前に国際事務局に到達した場合には、取り下げられた国際出願の国際公開は、行わない。

PCT規則80.2

期間を定めるのに月をもつてしている場合には、期間は、当該事象が生じた日の翌日から起算し、該当するその後の月において当該事象が生じた日に応当する日に満了する。ただし、その月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

試験ではこう問われる

  1. 国際出願・指定・優先権の主張・請求・選択はどれも優先日から30月を経過する前にいつでも取り下げられる(規則90の2)。「国際公開の準備完了前に限り」「受理の日から30月」は誤り
  2. 国際出願の取下げの通告の受け手は国際事務局・受理官庁・(39条(1)が適用される場合)国際予備審査機関。請求・選択の取下げは国際事務局に対する通告で効力が生じ、機関に出せば受理日付で国際事務局に提出したものとみなす
  3. 全指定の取下げは国際出願の取下げとみなす。国内特許と広域特許の双方の指定の取下げは別段の表示がなければ国内特許のみ
  4. 優先権の主張の取下げで優先日が変われば未満了の期間は変更後の優先日から起算するが、公開準備完了後の通告なら国際事務局はもとの優先日で公開できる。「常に」は誤り
  5. 22条の期間満了前の請求・選択の取下げは国際出願の取下げとみなさない(37条(4)(b))
  6. 期間は翌日起算・応当日満了・応当日がなければ月末(規則80.1〜80.3)。起算日は事象の地の日付、末日は提出地の日付(規則80.4)。休日なら後続の日(規則80.5)。日付はグレゴリー暦(規則79.1)
  7. 不可抗力は期間満了後6月以内の証拠提出で遅滞を許容(規則82の4.1)。官庁・機関は2月を超えない延長期間を設定できる(規則82の4.3)
  8. 明白な誤記の訂正は権限のある機関の許可、請求は優先日から26月以内、出願時の誤記は国際出願日から有効(規則91)。名義等の変更の記録は30月後の要請では記録しない(規則92の2)。14月経過後は写しの同一性の認証を請求できる(規則22.1(d))

この用語が問われた枝

令和4年度 問43 枝ニ正しい

出願人は、国際予備審査の請求又は選択国の選択のいずれか若しくはすべてを優先日から30月を経過する前にいつでも、取り下げることができる。

令和2年度 問45 枝ロ正しい

国際出願の取下げは、出願人の選択により国際事務局、受理官庁又は、条約第39条(1)の規定が適用される場合には、国際予備審査機関に対する出願人の通告の受領の時に効力を生ずる。

令和2年度 問45 枝ホ正しい

出願人が国際予備審査の請求の取下げの通告を国際予備審査機関に提出した場合には、その国際予備審査機関は、その通告に受理の日付を付して速やかに国際事務局にその通告を送付し、その通告は、付された日付に国際事務局に提出されたものとみなす。

令和2年度 問45 枝ニ正しい

すべての指定国の指定の取下げは、国際出願の取下げとみなされる。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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