弁理士試験AIブートラボ 弁理士AIブートラボ

国際予備審査の手続と報告(33〜36条・38条・40〜42条・規則64〜72)こくさいよびしんさのてつづきとほうこく

条約 第2章 PCT 国際段階 短答で90枝

国際予備審査とは、請求の範囲に記載されている発明が新規性、進歩性及び産業上の利用可能性を有するかどうかについて、国際予備審査機関が予備的なかつ拘束力のない見解を示す手続です。国際予備審査報告とは、その結論を各請求の範囲について是・非で記述し、裏付けとなる文献を列記した報告で、国際事務局を通じて各選択官庁に送達されます。

国際予備審査を請求した出願人は、国際予備審査機関から「この請求の範囲は新規性がない」といった書面による見解を受け取り、補正や反論を出して対話し、最後に国際予備審査報告を受け取ります。審査といっても特許を与えるかどうかを決めるのではなく、新規性・進歩性・産業上の利用可能性についての予備的で拘束力のない見解を示すだけです。各国の特許要件は違うので、国際段階ではどの国にも共通する三つの基準だけを見て、特許を受けられるかどうかの陳述は書きません。だから報告は国際公開されず、一件書類も秘密です。

国際予備審査機関の審査室の場面。先生が審査官役(札「国際予備審査機関」)で机に座り、「書面による見解:請求の範囲1は新規性なし(文献A)」と書かれた書類を出願人に渡している。向かいに出願人の男性(札「出願人」)が立ち、「答弁書:抗弁」と「補

国際予備審査は新規性・進歩性・産業上の利用可能性について予備的かつ拘束力のない見解を示すもので、基準日は国際出願日か有効な優先日ですが、優先期間満了後2月以内の出願でも先の出願の日になることがあります

33条(1)は、国際予備審査の目的を、請求の範囲に記載されている発明が新規性、進歩性(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有すると認められるかどうかについての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことと定めます。新規性は規則に定義する先行技術のうちに該当するものがないこと、進歩性は所定の基準日に当該技術分野の専門家にとって先行技術からみて自明でないことで判断し(33条(2)(3))、締約国は自国で特許を与えるかどうかについて追加の又は異なる基準を適用できます(33条(5))。国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れ、関連のある他の文献も考慮できます(33条(6))。先行技術は、世界のいずれかの場所において手段のいかんを問わず公衆が利用することができるようにされているすべてのもので、それが基準日前に生じていることが条件です(規則64.1(a))。基準日は原則として国際出願日ですが、優先権の主張を伴い国際出願日が優先期間内であれば、機関が優先権を有効でないと判断した場合を除き先の出願の日です(規則64.1(b))。「所定の基準日は、常に国際予備審査の対象である国際出願の国際出願日である」という枝は誤りです。さらに、国際出願日が優先期間の満了の日の後であっても満了の日から2月以内であれば、期間経過以外の理由で優先権が無効と判断されない限り先の出願の日が基準日になるので、「当該先の出願の日が、国際予備審査における新規性及び進歩性を有するか否かの判断の基準日となることがある」という枝は正しいです。基準日前に出願され基準日以後に公表された出願・特許は、新規性及び進歩性の判断上「新規性及び進歩性に関する規定の適用上、先行技術の一部とはしない」という枝のとおり先行技術に入れませんが、報告で注意を喚起します(規則64.3、70.10)。口頭による開示など書面による開示以外の開示が基準日前に生じ、その日付が基準日以後の書面に記載されているときも、報告は「当該書面による開示以外の開示につき注意を喚起する場合がある」という枝のとおりで、その種類と日付を表示します(規則64.2、70.9)。進歩性では個々の文献だけでなく文献の結合も考慮します(規則65.1)。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から順に札「先の出願の日」「優先期間の満了(12月)」「満了から2月」「国際出願日」が立つ。「先の出願の日」の札の上に旗の絵と札「基準日

出願人は少なくとも1回書面による見解を示され、補正でも抗弁だけでも答弁でき、答弁期間の延長に回数の制限はなく、追加の機会も与えられます

34条(2)(c)により、出願人は、発明が33条(1)の基準に適合し、国際出願が条約と規則の要件を満たし、機関が明瞭性等の意見を述べる意図がないとすべて認める場合を除いて、少なくとも1回国際予備審査機関から書面による見解を示され、これに答弁することができます(34条(2)(d))。「少なくとも1回、国際予備審査機関から書面による見解を示され」答弁できるという枝は正しいです。国際調査機関が作成した書面による見解は、原則として国際予備審査機関の書面による見解とみなされます(規則66.1の2(a))。「国際予備審査機関の書面による見解とみなされる場合はない」という枝は誤りです。機関は、否定的な報告になると認めた場合のほか、形式又は内容に欠陥があると認めた場合や、補正が開示の範囲を超えると認めた場合にも書面で通知し、その通知で答弁書と、適当な場合には補正書の提出を求めます(規則66.2(a)(c))。答弁の期間は通常2月で、1月未満にはできず、出願人が満了前に請求すれば延長できます(規則66.2(d)(e))。規則は延長の回数を制限していないので、「1回に限り延長することができる」という枝は誤りです。出願人は、補正をすることにより、見解に同意しない場合には抗弁を提出することにより、又はその双方により答弁でき、答弁は国際予備審査機関に直接提出します(規則66.3)。したがって「補正を伴わない抗弁の提出のみによる答弁はすることができない」という枝は誤りです。機関は追加の書面による見解を示すことができ、出願人の請求により「補正書又は抗弁を提出する追加の機会を与えることができる」という枝は正しいです(規則66.4)。電話・書面・面談による非公式の連絡も随時でき、2回以上の面談を認めるかは機関の裁量です(規則66.6)。機関は、国際調査報告の作成後に発行され又は利用可能となった文献を発見するためのトップアップ調査も行います(規則66.1の3)。

  • 見解の回数少なくとも1回です(34条(2)(c))。すべて肯定的で意見も付さない場合は示されません
  • 答弁の手段補正書、抗弁、又はその双方です。国際予備審査機関に直接提出します(規則66.3)
  • 答弁の期間通常は通知の日の後2月、最短1月です。満了前の請求で延長でき、回数の制限はありません(規則66.2(d)(e))
  • 追加の機会機関は追加の見解を示し、出願人の請求で補正書又は抗弁の追加の機会を与えられます(規則66.4)
  • 審査を要しない主題科学・数学の理論、植物・動物の品種と本質的に生物学的な方法(微生物学的方法を除く)、事業活動・精神的行為・遊戯の方法、手術・治療・診断の方法、情報の単なる提示、態勢外のコンピューター・プログラムです(規則67.1)。要しないのであって、行うこともできます

国際予備審査は請求書・手数料・国際調査報告・見解書をすべて受領した時に開始し、報告は優先日から28月・開始から6月・翻訳文受理から6月のうち最も遅い方までに作成します

規則69.1(a)により、国際予備審査機関は、請求書、取扱手数料と予備審査手数料の全額、国際調査報告又は17条(2)(a)の宣言と国際調査機関の書面による見解のすべてを受領した時に国際予備審査を開始します。出願人が規則54の2.1(a)の期間(調査報告等の送付から3月又は優先日から22月の遅い方)の満了まで開始を延期するよう明示的に請求したときだけ開始を待ちます。書類をすべて受領しても早期の開始の請求がない限り「規則に規定する期間の満了前までは、国際予備審査を開始してはならない」という枝は誤りです(原則と例外が逆だからです)。これは令和元年7月の規則改正後の扱いで、改正前は出願人が明示的に早期の開始を請求しない限り22月の満了前は開始しないとされていたので、平成30年度の枝はその旧規則で出ています。19条補正を考慮する旨の記述があるときはその写しの受領まで、34条補正書を請求書とともに提出する旨の記述があるのに補正書がないときはその受領又は求めの期間の満了まで開始しません(規則69.1(c)(e))。国際調査機関が国際予備審査機関を兼ねるときは国際調査と同時に開始できます(規則69.1(b))。報告を作成する期間は、優先日から28月、開始の時から6月、規則55.2の翻訳文を受理した日から6月のうち最も遅く満了する期間です(規則69.2)。「優先日から30月、国際予備審査の開始の時から6月」と翻訳文受理から6月の最も遅い方という枝は誤りです(28月であって30月ではないからです)。

国際予備審査機関の受付の場面。先生が受付の職員役(札「国際予備審査機関」)で机に座り、机の上に4つの受領箱が並び、それぞれに札「請求書」「取扱手数料・予備審査手数料」「国際調査報告」「国際調査機関の書面による見解」が付いて、4つとも中に書類

報告には各請求の範囲について是・非を記述して裏付け文献を列記しますが、国内法令で特許を受けられるかの陳述は書けず、明瞭性や裏付けの意見は付すことができます

35条(2)により、国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができるかどうか、又はそう思われるかどうかについて「いかなる陳述をも記載してはならない」という枝は正しいです。報告には、各請求の範囲について33条(1)から(4)の新規性、進歩性、産業上の利用可能性の基準に適合しているかを「是」「非」の語や記号で記述し、結論を裏付ける文献を列記して必要な説明を付します(規則70.6)。列記するのは関連があると認められる文献で、国際調査報告で引用された文献は機関が関連があると認めた場合にのみ列記すれば足ります(規則70.7(a))。「国際調査報告で引用されている文献はすべて列挙される」という枝は誤りです。説明は、否定的な記述には付し、肯定的な記述には文献から理由を容易に推測できる場合を除いて付します(規則70.8)。35条(2)末文の他の意見として、請求の範囲・明細書・図面の明瞭性や請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされているかの意見を報告に記載することができるので(規則66.2(a)(v)、70.12(ii))、そのような「十分な裏付けをされているかいないかの問題についての意見が付されることはない」という枝は誤りです。34条(4)の事由、つまり規則67.1の審査を要しない主題であって審査しないことを決定した場合や、明瞭性・裏付けの欠如で有意義な見解を示せない場合には、33条(1)の問題を検討せずに出願人にその旨と根拠を通知し、報告にもその見解と根拠を記述します(35条(3))。国際調査報告が作成されていない発明に関する請求の範囲は国際予備審査の対象とすることを要せず、報告にその旨を表示します(規則66.1(e)、70.2(d))。補正が開示の範囲を超えるときは補正がなかったものとして報告を作成し、理由を表示します(規則70.2(c))。報告の表題は「特許性に関する国際予備報告(特許協力条約第二章)」です(規則70.15)。

報告は国際予備審査機関が出願人と国際事務局に同じ日に送付し、国際事務局が各選択官庁に送達するもので、国際公開はされず、選択官庁は他の選択官庁の審査書類を要求できません

36条(1)と規則71.1により、国際予備審査機関は報告と附属書類を国際事務局及び出願人に各1通同一の日に送付し、国際事務局が所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに各選択官庁に送達します(36条(3)(a))。報告は「国際予備審査機関が国際事務局に送付し、国際事務局が出願人及び各選択官庁に送達する」という枝は誤りです(出願人への送付は機関が直接行うからです)。報告の翻訳文は国際事務局により又はその責任において作成され、附属書類(34条補正などの差替え用紙)の翻訳文は出願人が作成して所定の期間内に選択官庁に送付します(36条(2)(b)(3)(b))。選択国が要求できる翻訳は英語への翻訳だけで、国際事務局は翻訳文の写しを選択官庁への送達と同時に出願人にも送付します(規則72.1、72.2)。出願人は翻訳の正確性について書面による意見を作成し、各選択官庁と国際事務局に送付できます(規則72.3)。報告に列記され国際調査報告に列記されていない文献の写しは、出願人又は選択官庁の請求により機関が送付し、請求は国際出願日から7年の期間いつでもできます(36条(4)、規則71.2)。報告は国際公開されず、国際予備審査の一件書類は報告作成後の選択官庁を除いて秘密に保たれます(38条(1))。報告の作成の有無や請求・選択の取下げの有無も、出願人の請求又は承諾がなければ情報提供できません(38条(2))。選択官庁は、出願人の明示の請求がない限り39条の期間の満了前に審査や処理を開始せず(40条)、出願人は各選択官庁で請求の範囲・明細書・図面を補正する機会を与えられ、その期間の満了前に明示の同意なく特許を与え又は拒絶することはできません(41条(1))。報告を受領した選択官庁は、他の選択官庁における審査に係る書類の写しの提出や情報の提供を出願人に要求することができません(42条)。

特許協力条約33条(1)

国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とする。

特許協力条約35条(2)

国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができる発明であるかどうか又は特許を受けることができる発明であると思われるかどうかの問題についてのいかなる陳述をも記載してはならない。国際予備審査報告には、(3)の規定が適用される場合を除くほか、請求の範囲が国際予備審査に当たつての第三十三条(1)から(4)までに規定する新規性、進歩性(自明のものではないこと)及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述する。その記述には、その記述の結論を裏付けると認められる文献を列記するものとし、場合により必要な説明を付する。また、その記述には、規則に定める他の意見を付する。

試験ではこう問われる

  1. 基準日は国際出願日か有効な優先日(規則64.1(b))。「常に国際出願日」という枝は誤り。優先期間満了後2月以内の出願でも先の出願の日が基準日になることがある
  2. 基準日前の出願で基準日以後に公表された出願・特許は先行技術に入れないが報告で注意喚起(規則64.3)。書面による開示以外の開示も日付を示して注意喚起(規則64.2・70.9)
  3. 少なくとも1回書面による見解(34条(2)(c))。国際調査機関の見解書が国際予備審査機関の見解とみなされる(規則66.1の2)
  4. 答弁は補正・抗弁・双方のどれでもよく、国際予備審査機関に直接(規則66.3)。抗弁だけの答弁はできないという枝は誤り。延長に回数制限なし、追加の機会も可(規則66.2・66.4)
  5. 開始は請求書・手数料・調査報告・見解書をすべて受領した時(規則69.1、令和元年改正)。延期は出願人の明示の請求があるときだけ。平成30年度の枝は旧規則
  6. 作成期間は優先日から28月・開始から6月・翻訳文受理から6月の最も遅い方(規則69.2)。「30月」は誤り
  7. 報告に国内法令で特許を受けられるかの陳述は禁止(35条(2))。文献は関連あるものだけ列記(規則70.7)。明瞭性・裏付けの意見は付せる(規則70.12)
  8. 報告は機関が出願人と国際事務局に同日送付し、国際事務局が選択官庁に送達(36条)。報告の翻訳は国際事務局、附属書類の翻訳は出願人。国際公開されず、一件書類は秘密(38条)。選択官庁は他の選択官庁の書類を要求できない(42条)

この用語が問われた枝

令和5年度 問43 枝ロ誤り

国際予備審査に当たっては、請求の範囲に記載されている発明は、所定の基準日に当該技術分野の専門家にとって規則に定義する先行技術からみて自明のものではない場合には、進歩性を有するものとされるが、所定の基準日は、常に国際予備審査の対象である国際出願の国際出願日である。

令和3年度 問43 枝ハ正しい

国際予備審査の対象である国際出願が、先の出願に基づく優先権の主張を伴い、国際出願日が当該優先期間の満了の日の後であるが、当該満了の日から2月の期間内である場合は、当該先の出願の日が、国際予備審査における新規性及び進歩性を有するか否かの判断の基準日となることがある。

令和7年度 問43 枝ロ正しい

規則 64.1に定める基準日前に出願されており又はその基準日前にされた先の出願に基づく優先権の主張を伴っている出願又は特許であって、その基準日と同じ日又はその後に公表されたものは、国際予備審査における新規性及び進歩性に関する規定の適用上、先行技術の一部とはしない。

令和8年度 問44 枝ロ正しい

国際予備審査報告は、口頭による開示、使用、展示その他の書面による開示以外の手段(「書面による開示以外の開示」)によって公衆が利用することができるようにされたことが規則に定める基準日前に生じていた場合において、当該書面による開示以外の開示につき注意を喚起する場合がある。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

関連する用語

PCT 国内段階と国内法の特例

指定官庁・選択官庁での国内手続(PCT22〜28条・39〜41条・46条)

指定官庁・選択官庁での国内手続とは、国際出願の出願人が、優先日から30箇月を経過する時までに各指定官庁(国際予備審...
PCT 国際段階

国際段階の優先権(8条・規則2.4・4.10・17・26の2・49の3・90の2.3)

国際段階の優先権とは、国際出願がパリ条約の同盟国においてした一又は二以上の先の出願に基づく優先権の主張を伴うことが...
PCT 国際段階

国際調査と調査報告・見解書(15〜18条・20条・規則33〜45の2)

国際調査とは、各国際出願を対象として、総会が選定した国際調査機関が請求の範囲に基づき関連のある先行技術を発見するた...
PCT 国際段階

発明の単一性と追加手数料(3条(4)・17条(3)・34条(3)・規則13・40・68)

発明の単一性とは、国際出願が一の発明のみ又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明のみに係るも...
PCT 国際段階

19条補正と34条補正(19条・34条(2)(b)・規則46・66)

19条補正とは、出願人が国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出して、国際出願の請求の範...
PCT 国際段階

国際公開と秘密保持(21条・29条・30条・64条(3)・規則48)

国際公開とは、国際事務局が国際出願の優先日から18月を経過した後速やかに行う、国際出願の公開です。秘密保持とは、国...