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19条補正と34条補正(19条・34条(2)(b)・規則46・66)じゅうきゅうじょうほせいとさんじゅうよんじょうほせい

条約 第2章 PCT 国際段階 短答で15枝

19条補正とは、出願人が国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出して、国際出願の請求の範囲について1回に限りする補正です。34条補正とは、国際予備審査を請求した出願人が、国際予備審査報告が作成される前に、請求の範囲、明細書及び図面について国際予備審査機関にする補正です。

国際出願をした甲が国際調査報告を受け取り、引用された文献を見て請求の範囲を狭めたいと思ったとします。各国に移行する前に直す機会が、PCTには2回用意されています。1回目が19条補正で、国際公開に補正後の請求の範囲を載せられるように、請求の範囲だけを1回に限り国際事務局に出します。2回目が34条補正で、国際予備審査を請求した出願人が、審査機関との対話の中で明細書や図面まで直せます。入口と範囲が違うのは、19条補正が公開のための補正で、34条補正が審査のための補正だからです。

国際出願の流れを示す横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から順に札「国際出願」「国際調査報告」「19条補正:請求の範囲だけ・1回」「国際公開」「国際予備審査の請求」「34条

19条補正は、国際調査報告を受け取った後に、請求の範囲だけを1回に限り、国際公開の言語で直接国際事務局に提出します

19条(1)は、出願人が国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について1回に限り補正をすることができると定めます。期間は、国際調査機関による国際事務局及び出願人への国際調査報告の送付の日から2月又は優先日から16月のうち遅く満了する方です(規則46.1)。提出先は国際事務局であり、規則46.2は補正書を直接国際事務局に提出すると定めます。国際調査報告を受け取った後に「請求の範囲について1回に限り補正をすることができる」という枝は正しいです。これに対し、同じ期間内に「国際調査機関に補正書を提出することにより」補正できるという枝は誤りです(提出先は国際調査機関ではなく国際事務局だからです)。19条補正書は「直接国際事務局に提出する」という枝は正しいです。言語は、国際出願が国際公開に用いられる言語以外の言語でされた場合には国際公開の言語です(規則46.3)。この場合に19条の「補正は、国際出願の言語でする」という枝は誤りです(公開に載せる補正なので、公開の言語でするからです)。なお、国際調査機関が17条(2)(a)の宣言をして国際調査報告を作成しなかった場合は、受け取る報告がないので19条補正の機会はありません。

国際事務局の窓口の場面。先生が国際事務局の職員役(札「国際事務局」)でカウンターの内側に座り、「補正書(第19条):請求の範囲の差替え用紙」と書かれた書類を受け取っている。カウンターの外に出願人の男性(札「出願人」)が立ち、手に「国際調査報
  • 時期国際調査報告の送付の日から2月又は優先日から16月の遅い方までです(規則46.1)。期間後でも国際公開の技術的な準備の完了前に国際事務局に到達すれば期間の末日に受理したものとみなされます
  • 対象請求の範囲だけです。明細書・図面は19条では補正できません
  • 回数1回に限ります
  • 提出先直接国際事務局です(規則46.2)。受理官庁・国際調査機関ではありません
  • 言語国際公開の言語です(規則46.3)

19条補正は完全な一式の請求の範囲の差替え用紙と根拠を示す書簡で行い、国際公開には出願時と補正後の請求の範囲の全文を含めます

補正の形式は規則46.5が定めます。出願人は、最初に提出したすべての請求の範囲と差し替えるために、完全な一式の請求の範囲を含む差替え用紙を提出しなければならず、差替え用紙には、補正により異なるものとなる請求の範囲と削除された請求の範囲を特定し、出願時における国際出願中の補正の根拠を表示した書簡を添付します。「完全な一式の請求の範囲を含む差替え用紙を提出しなければならない」という枝は正しく、「出願時における国際出願中の補正の根拠の表示を記載した書簡を提出する」という枝も正しいです。出願人は同時に、補正並びにその補正が明細書及び図面に与えることのある影響についての簡単な説明書を提出することもできます(19条(1)第2文、規則46.4)。19条補正がされると、国際公開には出願時における請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文を含めます(規則48.2(f))。国際公開には「出願時における請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文を含める」という枝は正しいです。補正は出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはなりませんが(19条(2))、指定国の国内法令がその範囲を超える補正を認めている場合には、(2)に従わないことはその指定国でいかなる影響も及ぼしません(19条(3))。国内法令が認めている場合に19条(2)に従わないことは「当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない」という枝は正しいです。

34条補正は、国際予備審査の請求書の提出の時から国際予備審査報告が作成されるまでの間、請求の範囲・明細書・図面について国際予備審査機関にしますが、報告の作成開始後に受理された補正書は考慮されないことがあります

34条(2)(b)は、出願人が国際予備審査報告が作成される前に、所定の方法で及び所定の期間内に、請求の範囲、明細書及び図面について補正をする権利を有すると定めます。規則66.1(b)により、出願人は国際予備審査の請求書の提出の時又は国際予備審査報告が作成されるまでの間、34条の規定に基づく補正書を提出することができます。「国際予備審査の請求書の提出の時又は国際予備審査報告が作成されるまでの間」34条補正書を提出できるという枝は正しいです。回数の制限はなく、答弁のたびに補正できます。ただし規則66.4の2により、国際予備審査機関が書面による見解又は国際予備審査報告の作成を開始した後に受理した補正書、抗弁、明白な誤記の訂正は、その見解又は報告のために考慮に入れることを必要としません。作成開始後に受理した補正書を「考慮に入れなければならない」という枝は誤りです(考慮に入れるかどうかは機関の裁量だからです)。形式は、明細書又は図面を補正する場合には、補正により先に提出した用紙と異なることとなるすべての用紙について差替え用紙を提出するのが原則ですが、一の用紙の全体が削除される場合は書簡で通知すれば足ります(規則66.8(a)(b))。「いかなるときも、補正のため、先に提出した用紙と異なる国際出願のすべての用紙について差替え用紙を提出しなければならない」という枝は誤りです。請求の範囲の補正には規則46.5を準用し、提出した一式の請求の範囲が、最初の請求の範囲や先の19条補正・34条補正の請求の範囲と差し替わります(規則66.8(c))。

国際予備審査機関の審査室の場面。先生が審査官役(札「国際予備審査機関」)で机に座り、机の上に「国際予備審査報告(作成中)」と書かれた書類が開かれている。机の上の別の束に「補正書(第34条):明細書・請求の範囲・図面の差替え用紙+書簡」の表紙
  • 19条補正の対象・回数・相手請求の範囲だけ、1回、国際事務局です
  • 34条補正の対象・回数・相手請求の範囲、明細書及び図面、回数の制限なし、国際予備審査機関です
  • 19条補正の時期国際調査報告の送付の日から2月又は優先日から16月の遅い方までです
  • 34条補正の時期国際予備審査の請求書の提出の時から国際予備審査報告が作成されるまでです。作成開始後の受理は考慮されないことがあります
  • 公開との関係19条補正は国際公開に出願時と補正後の請求の範囲の全文が載ります。34条補正は国際予備審査の一件書類として秘密に保たれ、報告の附属書類として選択官庁に送られます
  • 開示の範囲どちらも出願時における国際出願の開示の範囲を超えられません(19条(2)、34条(2)(b))

開示の範囲を超える34条補正は、補正がされなかったものとして報告を作成して理由を表示し、補正書の差替え用紙は報告の附属書類になります

国際予備審査機関が、補正が出願時における国際出願の開示の範囲を超えてされたものと認める場合には、報告はその補正がされなかったものとして作成し、報告にはその旨と開示の範囲を超えてされた補正と認める理由を表示します(規則70.2(c))。理由を表示すると共に「当該補正後の請求の範囲に基づいて報告を作成する」という枝は誤りです(超えた補正は無かったものとして扱うからです)。その前提として、機関は補正が開示の範囲を超えると認めたときは書面による見解で出願人に通知し、答弁の機会を与えます(規則66.2(a)(iv))。34条補正を含む差替え用紙と書簡、19条補正を含む差替え用紙と書簡は、国際予備審査報告の附属書類として添付されます(規則70.16)。国際予備審査の一件書類は38条により秘密に保たれ、報告の作成後の選択官庁を除き、出願人の請求又は承諾がなければ知得されません。19条補正書や34条補正書の中の明白な誤記は、国際予備審査の請求が行われて取り下げられておらず、規則69.1により国際予備審査を開始する日が過ぎている場合には、国際予備審査機関が権限のある機関として訂正を許可します(規則91.1(b)(iii))。この場合に34条補正書の明白な誤記を「国際予備審査機関の許可に従い訂正することができる」という枝は正しいです。

19条補正を国際予備審査で考慮させるには請求書の補正に関する記述で表示し、補正書の写しは国際事務局が国際予備審査機関に送ります

19条補正と34条補正は同じ国際出願で重なることがあります。出願人は、19条補正が行われた場合には、国際予備審査の請求書の補正に関する記述で、その補正を考慮するか、34条補正により取り消されたものとみなすかを表示します(規則53.9(a))。考慮を希望する場合に請求書とともに補正書の写しを提出することは望ましいとされるにとどまり、19条補正書の写しは国際事務局が国際予備審査機関に速やかに送付します(規則62.1(ii))。したがって、国際予備審査で考慮されるためには「補正書の写しを国際予備審査機関に提出しなければならない」という枝は誤りです。逆に、請求書を先に出してから19条補正をすることもできます。規則62.2は、19条補正書の提出の時に請求書が既に提出されている場合を想定し、出願人が写しを国際予備審査機関にも提出することが望ましいこと、いかなる場合にも国際事務局が写しを送付することを定めます。19条補正書の提出の時に「国際予備審査の請求書が既に管轄国際予備審査機関に提出されている場合がある」という枝は正しいです。請求書の提出前にした19条補正は、34条補正により差し替えられ又は取り消されたものとみなされる場合を除き、国際予備審査のために考慮に入れます(規則66.1(c))。日本を指定国とする国際特許出願では、日本語特許出願の19条補正は184条の7、34条補正は184条の8により、国内処理基準時の属する日までに補正書の写し(34条補正の外国語特許出願は翻訳文)を提出すれば特許法17条の2第1項の補正がされたものとみなされます。外国語特許出願の19条補正は、補正後の請求の範囲の翻訳文を提出すればそれが願書に添付した特許請求の範囲とみなされます(184条の4第2項・184条の6第3項)。

国際事務局と国際予備審査機関の2つの建物を左右に並べた図。左の建物に看板「国際事務局」、右の建物に看板「国際予備審査機関」。左の建物から右の建物へ太い矢印が伸び、矢印の上に「19条補正書の写し・書簡の写しを速やかに送付(規則62.1・62.
特許協力条約19条(1)

出願人は、国際調査報告を受け取つた後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について一回に限り補正をすることができる。出願人は、同時に、補正並びにその補正が明細書及び図面に与えることのある影響につき、規則の定めるところにより簡単な説明書を提出することができる。

特許協力条約34条(2)(b)

(a) 出願人は、国際予備審査機関と口頭及び書面で連絡する権利を有する。
(b) 出願人は、国際予備審査報告が作成される前に、所定の方法で及び所定の期間内に、請求の範囲、明細書及び図面について補正をする権利を有する。この補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。
(c) 出願人は、国際予備審査機関が次のすべての条件が満たされていると認める場合を除くほか、少なくとも一回当該国際予備審査機関から書面による見解を示される。
(i) 発明が前条(1)に規定する基準に適合していること。
(ii) 国際出願が当該国際予備審査機関の点検した範囲内でこの条約及び規則に定める要件を満たしていること。
(iii) 当該国際予備審査機関が次条(2)の末文の意見を述べることを意図していないこと。
(d) 出願人は、書面による見解に対して答弁をすることができる。

試験ではこう問われる

  1. 19条補正は国際調査報告を受け取った後、請求の範囲について1回に限り。提出先は直接国際事務局で、「国際調査機関に補正書を提出することにより」という枝は誤り
  2. 期間は国際調査報告の送付の日から2月又は優先日から16月の遅い方(規則46.1)。言語は国際公開の言語で、「補正は、国際出願の言語でする」という枝は誤り
  3. 形式は完全な一式の請求の範囲の差替え用紙と、補正の根拠を表示した書簡(規則46.5)。国際公開には出願時と補正後の請求の範囲の全文を含める(規則48.2(f))
  4. 開示の範囲を超える19条補正でも、指定国の国内法令が認めていればその指定国ではいかなる影響も及ぼさない(19条(3))
  5. 34条補正は国際予備審査の請求書の提出の時から報告の作成までの間、請求の範囲・明細書・図面について国際予備審査機関に。作成開始後に受理した補正書は考慮に入れることを必要としない(規則66.4の2)ので、「考慮に入れなければならない」という枝は誤り
  6. 明細書・図面の34条補正は異なることとなるすべての用紙の差替え用紙が原則だが、一の用紙の全体の削除は書簡で足りる(規則66.8)
  7. 開示の範囲を超える34条補正は、補正がされなかったものとして報告を作成し理由を表示する(規則70.2(c))。補正後の請求の範囲で報告を作るという枝は誤り
  8. 19条補正書の写しは国際事務局が国際予備審査機関に送るので、出願人の提出は望ましいにとどまる(規則53.9・62.1)。「提出しなければならない」という枝は誤り。請求書の後に19条補正をする場合もある(規則62.2)

この用語が問われた枝

平成28年度 問42 枝ホ正しい

出願人は、国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に特許協力条約第19条の規定に基づく補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について1回に限り補正をすることができる。

令和4年度 問42 枝ハ誤り

出願人は、国際調査報告を国際調査機関から受け取った後、国際調査機関による国際事務局及び出願人への国際調査報告の送付の日から2月の期間又は優先日から 16 月の期間のうちいずれか遅く満了する期間内に国際調査機関に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について1回に限り補正することができる。

令和元年度 問41 枝ホ正しい

条約第19条の規定に基づく補正書は、直接国際事務局に提出する。

平成29年度 問42 枝ホ誤り

国際出願が国際公開に用いられる言語以外の言語でされた場合には、特許協力条約第19条の規定に基づく補正は、国際出願の言語でする。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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