国際予備審査の請求と選択(31条・32条・37条・規則53〜61)こくさいよびしんさのせいきゅうとせんたく
国際予備審査の請求とは、第2章に拘束される締約国の居住者又は国民である出願人が、国際出願とは別個に管轄国際予備審査機関に請求書を提出して、国際出願を国際予備審査の対象とさせる手続です。選択とは、国際予備審査の結果を利用することを出願人が意図する締約国を表示することで、請求書の提出が第2章に拘束される全指定国の選択を構成します。
国際調査報告と見解書を受け取った出願人が、各国に移行する前に特許性についてもう一歩踏み込んだ判断を得て、必要なら明細書まで直したいと考えたとします。そのための第2章の手続が国際予備審査で、出願人が請求してはじめて始まります。請求は国際出願とは別の請求書で管轄国際予備審査機関に出し、請求書を出すと第2章に拘束される指定国がすべて選択国になります。誰が、どこへ、いつまでに、いくら払って請求できるかが細かく決まっているのは、国際予備審査が任意の手続で、各国の審査に先立つ見解を国際段階で一つにまとめる仕組みだからです。

国際予備審査を請求できるのは出願人だけで、第2章に拘束される締約国の居住者又は国民であって、かつ、その締約国の受理官庁に国際出願をした者です
31条(1)により、国際出願は出願人の請求により国際予備審査の対象になります。「出願人以外の国際予備審査の請求により」対象とされる場合があるという枝は誤りです(第三者に請求する資格はないからです)。資格は31条(2)(a)が定め、出願人が第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、「そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは」請求できるという枝は正しいです。住所・国籍と出願先の両方が要ります。二人以上の出願人がある場合は、そのうち少なくとも一人がこの資格を満たせば足ります(規則54.2)。「全ての出願人が、特許協力条約第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民でなければ」請求できないという枝は誤りです。受理官庁としての国際事務局にされた国際出願は、出願人がその居住者又は国民である締約国のために行動するものとみなされます(規則54.3)。いずれの出願人も資格を有しない場合には、請求は行われなかったものとみなされます(規則54.4)。第2章の締約国の居住者又は国民であっても、その締約国の受理官庁に出願していないときは「当該国際予備審査の請求は、行われなかったものとみなされる」という枝は正しいです。なお31条(2)(b)により、総会は非締約国や第2章に拘束されない締約国の居住者又は国民にも請求を認める決定ができます。

請求書は国際出願とは別個に管轄国際予備審査機関に提出し、その提出は第2章に拘束される全指定国の選択を構成して、後にする選択は国際事務局に届け出ます
国際予備審査の請求は国際出願とは別個に行い、請求書には所定の事項を所定の言語及び形式で記載します(31条(3))。記載事項は申立て、出願人及び代理人に関する表示、請求に係る国際出願に関する表示、該当する場合には補正に関する記述で、署名をします(規則53.2)。国際出願は出願人の氏名又は名称、発明の名称、国際出願日、国際出願番号で特定しますが、番号を出願人が知らない場合には受理官庁の名称で足ります(規則53.6)。二人以上の出願人がある場合は請求をしたすべての出願人が署名しますが(規則53.8)、一人の署名があれば欠陥の補充は求められません(規則60.1(aの3))。請求書には国際予備審査の結果を利用することを意図する締約国(選択国)を表示し、選択の対象は既に指定された締約国に限られます(31条(4)(a))。現在は規則53.7により、請求書の提出が指定された国であって「第2章の規定に拘束される全締約国の選択を構成する」という枝のとおり、みなし全選択になります。選択国は後にする選択によって追加でき、「後にする選択によって追加することができない」という枝は誤りです。請求は管轄国際予備審査機関に対して行いますが、後にする選択は国際事務局に届け出ます(31条(6))。「後にする選択は、管轄国際予備審査機関に届け出る」という枝は誤りです(届出先は国際事務局だからです)。各選択官庁は自己が選択官庁とされた旨の通知を国際事務局から受け、この通知は20条の送達とともに送付されます(31条(7)、規則61.2)。
管轄国際予備審査機関は受理官庁又は総会が特定し、国際事務局など管轄外に出された請求書は受理の日付を付けて管轄機関に送付されます
国際予備審査は国際予備審査機関が行い(32条(1))、「受理官庁又は総会は、国際予備審査の請求につき」関係取決めに従い管轄する1又は2以上の機関を特定するという枝は正しいです(32条(2))。31条(2)(a)の通常の請求は受理官庁が、31条(2)(b)の総会の決定による請求は総会が特定し、総会は出願先の国内官庁が国際予備審査機関であればその国内官庁を、そうでなければその国内官庁が推薦する機関を優先させます(規則59.2)。国際予備審査機関は国際調査機関として選定されていることが要件で、16条(3)が準用されます(32条(3))。請求書が受理官庁、国際調査機関、管轄しない国際予備審査機関に提出された場合には受理の日付を付して国際事務局に送付され、国際事務局に提出された場合には国際事務局が日付を付します(規則59.3(a)(b))。国際事務局は、「一の管轄国際予備審査機関のみがある場合には、国際予備審査の請求書を当該国際予備審査機関に送付し、出願人にその旨を通知する」という枝のとおり処理し、二以上あるときは出願人に送付先の表示を求めます(規則59.3(c))。送付された請求書は、最初に付された受理の日付に管轄機関が受理したものとみなされます(規則59.3(e))。日本国特許庁に請求するときは、国際出願法10条により日本語又は経済産業省令で定める外国語で記載した請求書を特許庁長官に提出します。
請求の期間は国際調査報告等の送付から3月又は優先日から22月の遅い方までで、取扱手数料と予備審査手数料はいずれも国際予備審査機関に支払います
請求は、出願人への国際調査報告又は17条(2)(a)の宣言及び国際調査機関の書面による見解の送付から3月、優先日から22月のうち「いずれか遅く満了する期間までにすることができる」という枝は正しいです(規則54の2.1(a))。この期間の経過後にされた請求は提出されなかったものとみなされ、機関はその旨を宣言します(規則54の2.1(b))。遅い方なので、優先日から22月を過ぎていても送付の日から3月以内の請求は適法で、22月経過後なら「当該請求は提出されなかったものとみなされ」るという枝は誤りです。手数料は二つあります。取扱手数料は国際事務局のための手数料で、請求書が提出される国際予備審査機関が徴収し(規則57.1)、予備審査手数料は各国際予備審査機関が自らの任務のために要求できる手数料で、国際予備審査機関に直接支払います(規則58.1)。国際事務局のための「取扱手数料及び国際予備審査機関が要求する予備審査手数料の両方を、当該国際予備審査機関に支払う」という枝は正しいです。支払期間は請求書の提出の日から1月又は優先日から22月の遅い方です(規則57.3、58.1(b))。不足があれば機関が1月以内の支払を求め、応じなければ請求は行われなかったものとみなされます(規則58の2.1)。取扱手数料の払戻しは、機関が請求書を国際事務局に送付する前に請求が取り下げられた場合と、規則54.4又は54の2.1(b)により請求が行われなかったものとみなされた場合です(規則57.4)。資格を有しない出願人の請求も払戻しの対象なので、請求書の送付前の取下げと期間経過後の請求の二つに「限られる」という枝は誤りです。

- 誰が出願人のみです。第2章の締約国の居住者又は国民で、かつ、その締約国の受理官庁(又はそのために行動する受理官庁・RO/IB)に出願した者です。複数なら1人で足ります
- どこへ管轄国際予備審査機関です(31条(6)(a))。後にする選択は国際事務局です(31条(6)(b))。国際事務局に出した請求書は管轄機関に送付されます(規則59.3)
- いつまでに国際調査報告等の送付から3月又は優先日から22月の遅い方までです(規則54の2.1)
- いくら取扱手数料(国際事務局のため)と予備審査手数料(機関のため)を、どちらも国際予備審査機関に支払います(規則57・58)
- 選択請求書の提出が第2章に拘束される全指定国の選択を構成します(規則53.7)。後の選択で追加でき、選択の対象は指定国に限られます
選択の取下げは国際事務局に届け出て、全選択の取下げは請求の取下げとみなされ、22条の期間満了前の取下げは国際出願の取下げとはみなされません
出願人はいずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができ、「すべての選択国の選択が取り下げられた場合には、国際予備審査の請求は、取り下げられたものとみなされる」という枝は正しいです(37条(1)(2))。取下げは国際事務局に届け出て、国際事務局が関係選択官庁と関係国際予備審査機関に通告します(37条(3))。請求又は選択の取下げは、関係締約国に関する限り国際出願の取下げとみなされるのが原則ですが(37条(4)(a))、22条に規定する期間の満了前に行われた場合には国際出願の取下げとはみなしません(37条(4)(b))。22条の期間満了前の取下げで「常に、国際出願が取り下げられたとみなされる」という枝は誤りです(締約国は、その期間内に国内官庁が写し・翻訳文・国内手数料を受け取った場合にのみ(b)を適用する旨を国内法令で定められるにとどまるからです)。請求や選択は優先日から30月を経過する前にいつでも取り下げられます(規則90の2.4)。国際事務局は、請求書の提出後で国際公開の後速やかに、請求書と選択国に関する情報を公報に掲載します(規則61.4)。
特許協力条約31条(1)国際出願は、出願人の国際予備審査の請求により、この条及び次の諸条並びに規則の定めるところにより国際予備審査の対象とする。
試験ではこう問われる
- 請求できるのは出願人のみ(31条(1)(2))。第三者の請求で対象になるという枝は誤り
- 資格は第2章の締約国の居住者又は国民で、かつ、その締約国の受理官庁に出願した者。複数出願人は1人で足りる(規則54.2)ので「全ての出願人が」という枝は誤り。資格がなければ請求は行われなかったものとみなす(規則54.4)
- 請求書の提出は第2章に拘束される全指定国の選択を構成する(規則53.7)。選択国は後の選択で追加でき、後にする選択は管轄機関ではなく国際事務局に届け出る(31条(6)(b))
- 管轄国際予備審査機関は受理官庁又は総会が特定する(32条(2))。国際事務局に出された請求書は、管轄機関が一つなら送付して出願人に通知する(規則59.3)
- 期間は調査報告等の送付から3月又は優先日から22月の遅い方(規則54の2.1)。22月を過ぎても送付から3月以内なら適法
- 取扱手数料も予備審査手数料も国際予備審査機関に支払う(規則57・58)。払戻しは請求書の送付前の取下げと、54.4・54の2.1(b)で行われなかったものとみなされた場合
- 全選択の取下げは請求の取下げとみなす(37条(2))。22条の期間満了前の取下げは国際出願の取下げとみなさない(37条(4)(b))
この用語が問われた枝
出願人が、規則の定めるところによって、条約第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は、国際予備審査の請求をすることができる。
国際予備審査の請求をする出願人が複数である場合には、全ての出願人が、特許協力条約第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民でなければ、国際予備審査の請求をすることができない。
国際予備審査の請求をする出願人が、特許協力条約第2章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、同章の規定に拘束される締約国の受理官庁又はその締約国のために行動する受理官庁に国際出願していないときは、当該国際予備審査の請求は、行われなかったものとみなされる。
出願人以外の国際予備審査の請求により、国際出願が国際予備審査の対象とされる場合がある。
枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。
この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。