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国際出願の出願人・受理官庁・願書(3条・4条・9条・10条・規則4・18・19・90)こくさいしゅつがんのしゅつがんにんじゅりかんちょうがんしょ

条約 第2章 PCT 国際段階 短答で56枝

国際出願の出願人・受理官庁・願書とは、特許協力条約の締約国の居住者又は国民が受理官庁に対してする国際出願について、誰が出願できるか(9条・規則18)、どの官庁に出すか(10条・規則19)、願書に何を記載するか(3条・4条・規則4)を定めた仕組みです。願書の提出は国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定を構成します。

日本の会社が同じ発明を十か国で守りたいとき、十か国に別々の様式で出願するのは大変です。特許協力条約は、一通の国際出願を自国の特許庁などの受理官庁に出せば、その日に全ての締約国に正規の国内出願をしたことにする仕組みです。だれが出せるか、どこに出すか、願書に何を書くかは条約と規則で統一されていて、各国が勝手に追加の要件を課すことはできません。

特許庁の受理官庁の窓口の場面。先生が受理官庁の職員役(札「受理官庁」)でカウンターの内側に座り、「国際出願」と大きく書かれた封筒を受け取っている。封筒の脇に札「願書・明細書・請求の範囲・必要な図面・要約」。カウンターの外に出願人の男性(札「

国際出願をすることができるのは締約国の居住者又は国民で、パリ条約の同盟国の国民である必要はありません

9条(1)は、締約国の居住者及び国民は国際出願をすることができると定めます。資格は特許協力条約の締約国との結び付きで決まるので、「特許協力条約の締約国の居住者は、パリ条約の締約国の国民でなくても、国際出願をすることができる」という枝は正しいです。居住者か国民かは受理官庁がその国の国内法令で判断しますが、締約国に現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有することはその国の居住とみなされ、「締約国の国内法令に従って設立された法人は、当該締約国の国民とみなす」という枝は規則18.1(b)のとおり正しいです。出願人が二人以上あるときは、少なくとも一人が9条の資格を有すれば国際出願をする権利があります(規則18.3)。条約の締約国でない国の居住者や国民には資格がありませんが、9条(2)により総会がその国のパリ条約の締約国の居住者及び国民に国際出願を認めることを決定できるので、「国際特許協力同盟の総会は」そのような決定を「することができる」という枝は正しいです。この決定をするのは総会であって国際事務局ではありません。

  • 資格がある者締約国の居住者又は国民です(9条(1))。パリ条約の同盟国の国民であることは要件ではありません
  • 法人締約国の国内法令に従って設立された法人はその国の国民とみなされます(規則18.1(b)(ii))
  • 営業所締約国に現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有することはその国の居住とみなされます(規則18.1(b)(i))
  • 複数の出願人少なくとも一人が資格を有すれば足ります(規則18.3)
  • 非締約国総会がパリ条約の締約国の居住者及び国民に国際出願を認めることを決定できます(9条(2))

国際出願は受理官庁に対してしますが、出す先は居住国・国籍国の国内官庁か国際事務局かを出願人が選べます

10条は、国際出願は所定の受理官庁に対してするものとし、受理官庁が条約と規則に従って点検し処理すると定めます。出願人が選べる受理官庁は規則19.1が定めていて、出願人が居住者である締約国の国内官庁、出願人が国民である締約国の国内官庁、そしてどの締約国の居住者か国民かを問わず国際事務局の三つです。したがって、国際出願は居住国・国籍国の「国内官庁に対してのみ行わなければならない」という枝は誤りです(国際事務局を受理官庁として選ぶこともできるからです)。管轄のない国内官庁に出された国際出願は、国際事務局に代わって受理されたものとみなされて国際事務局に送付され、その国内官庁が受理した日に国際事務局が受理したものとして扱われます(規則19.4)。管轄のある官庁に送り直すのではなく、国際事務局が受理官庁になる点を押さえてください。

三つの窓口が並ぶ場面。先生が先生役(札「先生」)で手前に立ち、三つの窓口を指し棒で示している。左の窓口に札「居住国の国内官庁」、中の窓口に札「国籍国の国内官庁」、右の窓口に札「国際事務局(RO/IB)」。三つの窓口の上に横断幕「受理官庁は出

国際出願は願書・明細書・請求の範囲・必要な図面・要約からなり、要約は技術情報としてのみ用います

3条(2)は、国際出願には条約と規則の定めるところにより、願書、明細書、請求の範囲、必要な図面及び要約を含めると定めます。3条(3)は、要約は技術情報としてのみ用い、他の目的のため、特に求められている保護の範囲を解釈するために考慮に入れてはならないと定めます。「要約は、技術情報としてのみ用いるものとし、他の目的のため、特に、求められている保護の範囲を解釈するために考慮に入れてはならない」という枝は正しいです。3条(4)は、国際出願が所定の言語で作成され、所定の様式上の要件と発明の単一性の要件を満たし、所定の手数料を支払うことを求めます。27条(1)により、国内法令は国際出願の形式や内容について条約と規則と異なる要件や追加の要件を課すことができません。

願書の提出は全ての締約国の指定を構成し、発明者の表示は指定国の国内法令が国内出願の時に要求する場合に限って必要です

4条(1)は、願書に記載する事項として、条約に従って処理すべき旨の申立て、締約国の指定、出願人と代理人の氏名等、発明の名称、発明者の氏名等を挙げます。指定は願書に個別に書くのではなく、規則4.9(a)により願書の提出が国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定を構成します。「国際出願の願書の提出は、国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定を構成する」という枝は正しいです(例外は、自国の先の国内出願に基づく優先権の主張を伴う自国指定でその先の出願が取り下げられたのと同じ効果を生ずる国内法令を持ち所定の通告をした国について、指定しない旨を表示できる場合だけです)。広域特許に関する条約により出願を一部の国に限定できない場合には、「その条約の締約国のうち一の国の指定及び広域特許を受けることを希望する旨の願書の表示は、その条約のすべての締約国の指定とみなす」という枝は4条(1)(ii)のとおり正しいです。発明者の氏名等は、指定国の少なくとも一の国内法令が国内出願の時にその表示を要求する場合に限って願書に記載するので(4条(1)(v)・規則4.1(a)(iv))、「願書には、必ず発明者に関する表示を記載しなければならない」という枝は誤りです。国内出願の時より遅い時に表示することを認める指定国では、願書に表示がなくても「当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない」という枝は4条(4)のとおり正しいです。出願人については、「願書には、指定国ごとに異なる出願人を記載することができる」という枝は規則4.5(d)のとおり正しいです。記載の作法として、自然人の氏名は姓を名の前に記載するので(規則4.4(a))、「名を姓の前に記載する」という枝は誤りです。願書には出願人が署名し、出願人が二人以上あるときは全員が署名するので(規則4.15)、「願書に最初に記載されている出願人が代表して署名をしなければならない」という枝は誤りです。

特許庁の受理官庁の窓口で願書を点検する場面。先生が受理官庁の職員役(札「受理官庁」)で「願書」と書かれた一枚の書類を机に広げている。書類の中に上から「申立て」「指定:願書の提出=全ての締約国の指定(規則4.9)」「出願人:姓を名の前に」「発
  • 申立てこの出願を条約に従って処理すべき旨の申立てです(4条(1)(i))
  • 指定願書の提出が国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定を構成します(規則4.9(a))。広域特許の一国の指定はその条約の全締約国の指定とみなします(4条(1)(ii))
  • 出願人・代理人氏名、あて名、国籍及び住所を記載します。指定国ごとに異なる出願人を記載できます(規則4.5)
  • 発明者指定国の少なくとも一の国内法令が国内出願の時に要求する場合に限って記載します(4条(1)(v)・規則4.1(a)(iv))
  • 氏名の書き方自然人は姓を名の前に書きます(規則4.4(a))
  • 署名出願人が署名し、二人以上なら全員が署名します(規則4.15)

代理人と共通の代表者は受理官庁で手続をする資格で決まり、三つの手数料は受理官庁が受理の日から1月以内に徴収します

受理官庁である国内官庁で手続をする権利を有する者は、出願人の代理人として、受理官庁だけでなく国際事務局、国際調査機関及び国際予備審査機関に対しても出願人を代理することができます(規則90.1(a))。受理官庁は、代理人による代理やあて名の選定を求める国内法令を適用することもできます(27条(7))。出願人が二人以上あって全員を代理する代理人も共通の代表者も選任していないときは、「受理官庁に国際出願をする資格を有する出願人のうち願書に最初に記載された出願人がすべての出願人の共通の代表者とみなされる」という枝は規則90.2(b)のとおり正しいです。ただし、みなされただけの共通の代表者は、国際出願や指定・優先権の主張・予備審査の請求の取下げの通告に他の出願人に代わって署名することはできません(規則90の2.5)。手数料は、受理官庁のための送付手数料(規則14)、国際事務局のための国際出願手数料(規則15)、国際調査機関のための調査手数料(規則16)の三つで、いずれも受理官庁が徴収します。「国際出願手数料は受理官庁が徴収する」という枝は正しいです。支払期限はいずれも受理官庁が国際出願を受理した日から1月以内なので(規則14.1(c)・15.3・16.1(f))、「国際出願手数料は国際出願と同時に受理官庁に支払わなければならない」という枝は誤りです。期限までに支払われないときは受理官庁が求めの日から1月以内の支払を求め、それでも支払われなければ14条(3)により国際出願は取り下げられたものとみなされます(規則16の2.1)。

特許庁の受理官庁の会計の窓口の場面。先生が受理官庁の職員役(札「受理官庁」)でカウンターの内側に座り、机の上に三枚の札「送付手数料(受理官庁のため)」「国際出願手数料(国際事務局のため)」「調査手数料(国際調査機関のため)」を並べている。壁
特許協力条約9条(1)

締約国の居住者及び国民は、国際出願をすることができる。

特許協力条約3条(2)

国際出願は、この条約及び規則の定めるところにより、願書、明細書、請求の範囲、必要な図面及び要約を含むものとする。

特許協力条約4条(1)

願書には、次の事項を記載する。
(i) 国際出願がこの条約に従つて処理されることの申立て
(ii) 国際出願に基づいて発明の保護が求められている一又は二以上の締約国の指定(このように指定される締約国を「指定国」という。)。指定国について広域特許を受けることが可能であり、かつ、出願人が国内特許ではなく広域特許を受けることを希望する場合には、願書にその旨を表示する。広域特許に関する条約により出願人がその条約の締約国のうち一部の国にその出願を限定することができない場合には、その条約の締約国のうち一の国の指定及び広域特許を受けることを希望する旨の表示は、その条約のすべての締約国の指定とみなす。指定国の国内法令に基づきその国の指定が広域特許の出願としての効果を有する場合には、その国の指定は、広域特許を受けることを希望する旨の表示とみなす。
(iii) 出願人及び、該当する場合には、代理人の氏名又は名称並びにこれらの者に関するその他の所定の事項
(iv) 発明の名称
(v) 指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めている場合には、それらの事項。その他の場合には、それらの事項は、願書において又は、指定官庁の属する国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めているときは、当該指定官庁にあてた別個の届出において、表示することができる。

試験ではこう問われる

  1. 出願できるのは締約国の居住者又は国民(9条(1))。「パリ条約の締約国の国民でなくても、国際出願をすることができる」という枝は正しい。法人は設立の国の国民とみなす(規則18.1(b))
  2. 非締約国のパリ条約の締約国の居住者・国民に国際出願を認める決定をするのは総会(9条(2))。国際事務局ではない
  3. 出す先は受理官庁で、居住国・国籍国の国内官庁か国際事務局を出願人が選ぶ(10条・規則19.1)。「国内官庁に対してのみ行わなければならない」という枝は誤り
  4. 国際出願は願書・明細書・請求の範囲・必要な図面・要約からなり、要約は技術情報としてのみ用い保護の範囲の解釈に考慮しない(3条(2)(3))
  5. 願書の提出は国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定を構成する(規則4.9(a))。広域特許の一国の指定はその条約の全締約国の指定とみなす(4条(1)(ii))
  6. 発明者の表示は指定国の少なくとも一の国内法令が国内出願の時に要求する場合に限る(4条(1)(v))。「必ず発明者に関する表示を記載しなければならない」という枝は誤り。遅い時の表示を認める国では影響がない(4条(4))
  7. 指定国ごとに異なる出願人を記載できる(規則4.5(d))。氏名は姓を名の前に(規則4.4(a))。署名は出願人全員(規則4.15)
  8. 代理人も共通の代表者も無ければ、資格のある出願人のうち願書に最初に記載された者が共通の代表者とみなされる(規則90.2(b))が、取下げの通告には署名できない(規則90の2.5)。三つの手数料は受理官庁が徴収し、受理の日から1月以内に支払う(規則14.1(c)・15.3・16.1(f))。「国際出願と同時に」という枝は誤り

この用語が問われた枝

令和3年度 問42 枝ニ正しい

特許協力条約の締約国の居住者は、パリ条約の締約国の国民でなくても、国際出願をすることができる。

平成30年度 問41 枝ニ正しい

国際特許協力同盟の総会は、この条約の締約国ではないが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国であるいずれかの国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができる。

令和元年度 問42 枝ロ正しい

締約国の国内法令に従って設立された法人は、当該締約国の国民とみなす。

令和5年度 問41 枝ロ誤り

国際出願は、出願人がその国民であるか又は居住者である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁に対してのみ行わなければならない。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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