弁理士試験AIブートラボ 弁理士AIブートラボ

発明の単一性と追加手数料(3条(4)・17条(3)・34条(3)・規則13・40・68)はつめいのたんいつせいとついかてすうりょう

条約 第2章 PCT 国際段階 短答で14枝

発明の単一性とは、国際出願が一の発明のみ又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明のみに係るものでなければならないという要件です(3条(4)(iii)・規則13.1)。追加手数料とは、国際出願がこの要件を満たしていないと国際調査機関又は国際予備審査機関が認めたときに、主発明以外の発明についても調査や審査を受けるために出願人が支払う手数料です(17条(3)・34条(3))。

一通の国際出願に、互いに関係のない発明をいくつも詰め込めるとしたら、一回分の調査手数料で何件分も調べさせることになり、他の出願人との間で不公平です。そこで条約は、国際出願を一の発明か、ひとつの発明概念でつながる一群の発明に限ります。ただし、違反しても出願が無効になるのではなく、調査や審査の対象を主発明に絞るか、追加手数料を払って残りも対象にしてもらうかを出願人が選ぶ仕組みになっています。

国際調査機関としての特許庁の調査室の場面。先生が国際調査機関の審査官役(札「国際調査機関」)で机に座り、「国際出願:請求の範囲」と書かれた書類を広げている。書類の中に「請求項1:発明イ(主発明)」「請求項2:発明ロ」「請求項3:発明ハ」の行

国際出願は一の発明又は単一の一般的発明概念を形成する一群の発明に係るものでなければならず、特別な技術的特徴の有無で判断します

3条(4)(iii)は、国際出願が所定の発明の単一性の要件を満たすことを求め、規則13.1がその内容を、一の発明のみ又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明のみに係るものでなければならないと定めます。一群の発明の場合に要件が満たされるのは、それらの発明の間に一又は二以上の同一又は対応する特別な技術的特徴を含む技術的な関係があるときに限られます(規則13.2)。「「特別な技術的特徴」とは、請求の範囲に記載された各発明が全体として先行技術に対して行う貢献を明示する技術的特徴をいう」という枝は正しいです。この判断は、発明が別々の請求の範囲に記載されているか一の請求の範囲の中の択一的な形で記載されているかにかかわらず行います(規則13.3)。従属請求の範囲については、規則13.1に従うことを条件として、「相当の数の従属請求の範囲を同一の国際出願に包含させることが許される」という枝は規則13.4のとおり正しいです。実用新案を求める指定国は、国内段階の処理が始まった後は自国の実用新案に関する国内法令の規定を代わりに適用できます(規則13.5)。

  • 要件一の発明のみ、又は単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明のみに係ることです(規則13.1)
  • 一群の発明の基準発明の間に同一又は対応する特別な技術的特徴を含む技術的な関係があることです(規則13.2)
  • 特別な技術的特徴各発明が全体として先行技術に対して行う貢献を明示する技術的特徴です(規則13.2)
  • 記載の形別々の請求の範囲か一の請求の範囲の択一的な形かを問いません(規則13.3)
  • 従属請求の範囲その特徴がそれ自体で発明を構成すると認められても、相当の数なら包含できます(規則13.4)

国際調査機関は単一性を欠くと認めると追加手数料の支払を求め、支払われなくても主発明については国際調査報告を作成します

国際調査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に追加手数料の支払を求めます(17条(3)(a))。求めには理由と額を示し、支払の期間は求めの日から1月で、額は管轄国際調査機関が定め、国際調査機関に直接支払います(規則40.1・40.2(a)(b))。国際調査報告は、請求の範囲に最初に記載されている発明である主発明に係る部分と、所定の期間内に追加手数料が支払われた発明に係る部分について作成します。したがって、追加手数料が支払われないときに「請求の範囲の最初に記載されている発明(「主発明」)に係る部分について、国際調査報告を作成する」という枝は正しく、支払われない場合には「全ての請求項について国際調査報告を作成しない」という枝は誤りです。

国際調査機関としての特許庁の会計の窓口の場面。先生が国際調査機関の職員役(札「国際調査機関」)でカウンターの内側に座り、「追加手数料の支払の求め:求めの日から1月(規則40.1)」と書かれた通知書を差し出している。机の上に二枚の札「主発明(

追加手数料は異議を申し立てて支払うことができ、支払われなかった部分の指定国での取下げ擬制は国内法令が定めることができるにとどまります

出願人は、国際出願が発明の単一性の要件を満たしている旨又は要求された追加手数料の額が過大である旨の理由を示した陳述を添えて、異議を申し立てて追加手数料を支払うことができます(規則40.2(c))。異議は国際調査機関の枠内に設けられた検査機関が審理し、正当と認める限度で追加手数料の全部又は一部の払戻しを命じます。国際調査機関は異議申立手数料を求めることができ、求めの日から1月以内に支払われなければ異議は申し立てられなかったものとみなされ、異議が全面的に正当と認められれば払い戻されます(規則40.2(e))。追加手数料が支払われずに調査されなかった部分については、指定国の国内法令は、国内官庁が支払の求めを正当と認める場合に、出願人が特別手数料を支払わない限りその部分を取り下げられたものとみなすことを定めることができます(17条(3)(b))。定めることができるにとどまるので、指定国の国内官庁は「常にこの部分は取り下げられたものとみなす」という枝は誤りです。

国際予備審査機関は請求の範囲の減縮か追加手数料の支払かを求めることができ、求めずに全体を審査することもできます

国際予備審査機関は、発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し、その選択により要件を満たすように請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができます(34条(3)(a))。求めることが「できる」ので、減縮も追加手数料の支払も求めずに国際出願の全体について国際予備審査を進めることもでき、その場合は見解書と国際予備審査報告に単一性の要件を満たしていないと認めた旨と理由を記載します(規則68.1)。「国際出願の全体について国際予備審査を進めるときがある」という枝は正しいです。求めるときは、要件が満たされることとなる減縮の少なくとも一の可能性、満たしていないと認める理由、求めの日から1月の応答期限、追加手数料の額を明示するので、この内容を述べた「減縮の少なくとも一の可能性を明示する」という枝は正しいです(規則68.2)。出願人は、国際調査の段階と同じく、単一性を満たしている旨又は額が過大である旨の陳述書を添えて異議を申し立てて支払うことができるので(規則68.3(c))、「追加手数料を支払うことができる」という枝は正しいです。反対に、出願人は「異議を申し立てることができない」という枝は誤りです。出願人が求めに応じないときは、主発明であると認められる発明に係る部分について報告を作成します(34条(3)(c))。請求の範囲に最初に記載されている発明を主発明とみなすのはいずれが主発明か疑わしい場合に限られるので(規則68.5)、「常に、請求の範囲に最初に記載されている発明について国際予備審査報告を作成する」という枝は誤りです。出願人が減縮しても単一性を満たすに足りないときは34条(3)(c)により主発明の部分だけ報告を作成するので、減縮後の「一部の発明に係る部分について国際予備審査報告を作成しないことがある」という枝は正しいです(規則68.4)。減縮により審査の対象から外れた部分や主発明に係らない部分は、選択国の国内法令で、特別手数料を支払わない限り取り下げられたものとみなすことを定めることができます(34条(3)(b)(c))。

国際予備審査機関としての特許庁の審査室の場面。先生が国際予備審査機関の審査官役(札「国際予備審査機関」)で机に座り、「求め:請求の範囲の減縮か追加手数料の支払か(34条(3)(a))」と書かれた通知書を手にしている。通知書に「減縮の少なくと

国際調査機関と国際予備審査機関での単一性の扱い

国際調査機関(17条(3)・規則40)国際予備審査機関(34条(3)・規則68)
求めの内容追加手数料の支払を求めます請求の範囲の減縮か追加手数料の支払かを出願人の選択で求めることができます
求めない選択ありません求めずに全体を審査し、見解書と報告に理由を記載できます(規則68.1)
期限求めの日から1月です(規則40.1)求めの日から1月です(規則68.2)
応じないとき主発明(請求の範囲に最初に記載された発明)と支払われた発明について報告を作成します主発明と認められる発明について報告を作成し、最初の発明を主発明とみなすのは疑わしい場合だけです(規則68.5)
異議陳述を添えて異議を申し立てて支払えます(規則40.2(c))陳述書を添えて異議を申し立てて支払えます(規則68.3(c))
国内段階の扱い指定国の国内法令が取下げ擬制を定めることができます(17条(3)(b))選択国の国内法令が取下げ擬制を定めることができます(34条(3)(b)(c))
特許協力条約3条(4)

国際出願は、次の条件に従う。
(i) 所定の言語で作成すること。
(ii) 所定の様式上の要件を満たすこと。
(iii) 所定の発明の単一性の要件を満たすこと。
(iv) 所定の手数料を支払うこと。

試験ではこう問われる

  1. 単一性は一の発明か単一の一般的発明概念を形成する一群の発明(規則13.1)。一群の発明は同一又は対応する特別な技術的特徴を含む技術的な関係があるときに限る(規則13.2)
  2. 特別な技術的特徴は各発明が全体として先行技術に対して行う貢献を明示する技術的特徴(規則13.2)。相当の数の従属請求の範囲は包含できる(規則13.4)
  3. 国際調査機関は追加手数料の支払を求め、不払でも主発明については報告を作成する(17条(3)(a))。「全ての請求項について国際調査報告を作成しない」という枝は誤り
  4. 追加手数料は求めの日から1月以内に国際調査機関に直接支払う(規則40.1・40.2)。異議を申し立てて支払え、検査機関が正当と認めれば払い戻す(規則40.2(c))
  5. 不払部分の指定国での取下げ擬制は国内法令が定めることが「できる」(17条(3)(b))。「常に」取り下げられたものとみなすという枝は誤り
  6. 国際予備審査機関は減縮か追加手数料かを求めることが「できる」。求めずに全体を審査し理由を記載することもある(規則68.1)。求めには減縮の可能性・理由・1月の期限・額を明示する(規則68.2)
  7. 応じなければ主発明について報告を作成し、最初の発明を主発明とみなすのは疑わしい場合だけ(規則68.5)。「常に」最初の発明という枝は誤り。減縮しても足りなければ一部は作成されない(規則68.4)。異議申立てはできる(規則68.3(c))

この用語が問われた枝

令和元年度 問41 枝ハ正しい

発明の単一性の要件に含まれる「特別な技術的特徴」とは、請求の範囲に記載された各発明が全体として先行技術に対して行う貢献を明示する技術的特徴をいう。

令和5年度 問41 枝イ正しい

発明の単一性の要件の規定に従うことを条件として、従属請求の範囲の特徴がそれ自体で発明を構成すると認められる場合であっても、独立請求の範囲に記載されている発明の特定の態様について保護を求める相当の数の従属請求の範囲を同一の国際出願に包含させることが許される。

平成28年度 問42 枝ハ正しい

国際調査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合、出願人に対し追加手数料の支払を求めたにもかかわらず、当該追加手数料が支払われないときには、請求の範囲の最初に記載されている発明(「主発明」)に係る部分について、国際調査報告を作成する。

令和4年度 問41 枝ハ誤り

国際調査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し追加手数料の支払を求めるが、必要な追加手数料が所定の期間内に支払われない場合には、全ての請求項について国際調査報告を作成しない。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

関連する用語

PCT 国際段階

国際出願の出願人・受理官庁・願書(3条・4条・9条・10条・規則4・18・19・90)

国際出願の出願人・受理官庁・願書とは、特許協力条約の締約国の居住者又は国民が受理官庁に対してする国際出願について、...
PCT 国内段階と国内法の特例

指定官庁・選択官庁での国内手続(PCT22〜28条・39〜41条・46条)

指定官庁・選択官庁での国内手続とは、国際出願の出願人が、優先日から30箇月を経過する時までに各指定官庁(国際予備審...
PCT 国際段階

国際調査と調査報告・見解書(15〜18条・20条・規則33〜45の2)

国際調査とは、各国際出願を対象として、総会が選定した国際調査機関が請求の範囲に基づき関連のある先行技術を発見するた...
パリ条約

優先権の効果と複合優先・部分優先(4条B・F・H)

優先権の効果とは、優先期間中にされた後の出願が、その間に行われた他の出願、発明の公表又は実施、意匠に係る物品の販売...
PCT 国内段階と国内法の特例

国際出願法(受理官庁としての特許庁の手続)

国際出願法とは、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律の略称で、日本国特許庁が受理官庁・国際調査機関・国際予備...
PCT 国際段階

19条補正と34条補正(19条・34条(2)(b)・規則46・66)

19条補正とは、出願人が国際調査報告を受け取った後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出して、国際出願の請求の範...