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国際出願の資格・内容・出願日(1条・3〜6条・8条・9条)こくさいしゅつがんのしかくないようしゅつがんび

条約 第6章 ハーグ協定ジュネーブ改正協定 短答で19枝

国際出願の資格とは、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定3条で、締約国の国民、締約国である政府間機関の構成国の国民、又は締約国の領域に住所・常居所・現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有する者が国際出願をすることができるという定めです。国際出願は出願人の選択で国際事務局に直接に、又は出願人の締約国の官庁を通じて行い、出願日は国際事務局が受理した日を原則とします。

日本のメーカーが新しい椅子のデザインを欧州や韓国でも守りたいとき、国ごとに意匠出願をする代わりに、ジュネーブの国際事務局に一通の国際出願を出して保護したい国を指定できます。これがハーグ協定のジュネーブ改正協定の国際出願です。商標のマドリッド協定の議定書と違って本国の基礎出願は要らず、国際事務局に直接出すこともできます。その代わり、無審査の国と審査をする国が同じ制度に入っているので、審査官庁を持つ国を指定するときだけ余分な記載を求められることがあり、ここが枝で狙われます。

ジュネーブの国際事務局の受付窓口の場面。先生が国際事務局の職員役(札「国際事務局」)でカウンターの内側に立ち、カウンターの上に「意匠の国際出願:複製物・製品の表示・指定締約国 欧州連合・韓国・米国」と書かれた願書が置かれている。カウンターの

国際出願ができるのは締約国の国民か、締約国の領域に住所・常居所・現実かつ真正の営業所を有する者で、国籍がなくても常居所で足ります

3条は、締約国である国の国民、締約国である政府間機関の構成国の国民、又は締約国の領域に住所、常居所若しくは現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有する者が国際出願をする資格を有すると定めます。つながりの種類に常居所が入っているのがパリ条約やマドリッド協定の議定書との違いで、締約国Z国の国民でなくても「Z国の領域に常居所を有する自然人甲は、国際出願をする資格を有する」という枝は正しいです。このつながりの根拠になる締約国を、協定は出願人の締約国と呼び、間接出願の経由官庁や14条(3)の自己指定の排除の判断に使います。1条(xvii)は、意匠が少なくとも新規性の条件を満たしているかどうかを決定するために職権により審査する官庁を審査官庁と定義します。「当該意匠が少なくとも新規性の条件を満たしているかどうかを決定するために職権により審査する官庁をいう」という枝は正しく、日本国特許庁は審査官庁に当たります。

国際出願は出願人の選択で国際事務局に直接に、又は出願人の締約国の官庁を通じて行い、不備の点検と補正の求めは国際事務局が行います

4条(1)(a)は、国際出願を、出願人の選択により、国際事務局に対して直接に、又は出願人の締約国の官庁を通じて行うことができると定めます。マドリッド協定の議定書が本国官庁経由だけを認めるのと違い、直接出願が原則の一つです。もっとも同(b)により、締約国は自国の官庁を通じた出願を認めない旨を宣言でき、日本を経由する出願は意匠法60条の3が定めます。官庁を通じた間接出願でも、協定及び規則の要件を点検して所定の期間内の補正を求めるのは、8条(1)により国際出願を受理した国際事務局です。間接出願のときに「当該官庁は国際出願の受理の時に当該国際出願が協定及び規則の要件を満たしていないと認めるときには、出願人に対し所定の期間内に必要な補正をするよう求める」という枝は誤りです。8条(2)により、出願人が所定の期間内に補正の求めに応じないときは、国際出願は放棄されたものとみなされますが、不備が5条(2)の追加要素などその締約国だけの要件に関するものなら、その締約国の指定を含まないものとみなされるにとどまります。「締約国の指定を含まないものとみなされた場合を除き、放棄されたものとみなす」という枝は正しいです。

願書には所定の言語の一つで、複製物、製品の表示、指定締約国の表示、手数料を含め、審査官庁の締約国が宣言した要素はその国を指定するときだけ要ります

5条(1)は、国際出願を所定の言語又は所定の言語の一で作成し、国際登録の請求、出願人の所定の事項、意匠の複製物(意匠が平面的で公表の延期の請求があるときは所定の部数の見本で代えられます)、意匠を構成する製品又は意匠が使用される製品の所定の表示、指定締約国の表示、所定の手数料を含めることを求めます。所定の言語は共通規則で定める英語・フランス語・スペイン語なので、「国際出願は、一の所定の言語で作成しなければならない」という枝は正しく、直接出願なら「いずれの締約国の言語でも作成することができる」という枝は誤りです。「意匠の複製物を含めることに代えて、所定の部数の意匠の見本を添付することができる」という枝と、「意匠が使用されることとなる一若しくは二以上の製品の所定の表示を含める」という枝は正しいです。指定締約国の表示は必須で、表示を欠いたときに全部を指定したとみなす定めはないので、表示を含めない場合「すべての締約国を指定したものとみなされる」という枝は誤りです。5条(2)は、審査官庁を持つ締約国が、自国法で出願日を認めるための要素として創作者の特定に関する表示、意匠の複製物又は特徴についての簡潔な説明、請求の範囲のいずれかを要求する旨を宣言で通告した場合に、その締約国を指定する国際出願にその要素を含めなければならないとします。「出願の対象である意匠の複製物又は特徴についての簡潔な説明を含めなければならない場合がある」という枝と、請求の範囲を宣言した締約国について「当該締約国を指定する国際出願に、当該要素を含めることを要する」という枝は正しく、「いずれの締約国を指定する場合でも、出願の対象である意匠の創作者の特定に関する表示を必ず含めなければならない」という枝は誤りです。5条(4)により一の国際出願に所定の条件に従って二以上の意匠を含めることができ(共通規則では同一の類に属する100までの意匠です)、「所定の条件に従い、2以上の意匠を含めることができる」という枝は正しいです。5条(5)により公表の延期の請求も願書に含められます。

特許事務所の作業机の場面。先生が先生役(札「先生」)で机に「国際出願の願書」と書かれた大きな用紙を広げ、用紙の左側に「必須(5条(1)):所定の言語の一つ/意匠の複製物/製品の表示/指定締約国の表示/手数料」の項目に印が付き、右側に「指定国
  • 必須の内容(5条(1))国際登録の請求、出願人の所定の事項、意匠の複製物(平面的で公表延期の請求があれば見本で代替可)、製品の所定の表示、指定締約国の表示、所定の手数料です。言語は所定の言語の一つです
  • 指定国によって要る内容(5条(2))創作者の特定に関する表示、複製物又は特徴の簡潔な説明、請求の範囲のうち、審査官庁の締約国が宣言で通告したものを、その国を指定するときだけ含めます
  • 任意の内容二以上の意匠(5条(4))、公表の延期の請求(5条(5))、優先権の申立て(6条)です
  • 不備への対応(8条)国際事務局が補正を求め、応じなければ放棄とみなします。5条(2)などその国だけの要件の不備は、その国の指定を含まないものとみなします

出願日は国際事務局が受理した日で、出願日の延期を要する不備があれば補正を受理した日になり、パリ条約の優先権も主張できます

9条(1)は、国際事務局に直接された国際出願の出願日を、国際事務局がその国際出願を受理した日とします。「出願日の延期を要する所定の不備がある場合を除くほか、出願日は、国際事務局が当該国際出願を受理した日とする」という枝は正しいです。9条(3)により、受理の日に出願日の延期を要する所定の不備があれば、国際事務局がその不備の補正を受理した日が出願日になります。「国際事務局が当該不備の補正を受理した日が出願日となる」という枝は正しいです。官庁を通じた間接出願の出願日は9条(2)により規則の定めで決まり、所定の期間内に国際事務局に届けばその官庁が受理した日です。6条(1)は、パリ条約の締約国又は世界貿易機関の加盟国においてされた先の出願に基づく優先権をパリ条約4条に基づいて主張する申立てを国際出願に含めることができるとし、6条(2)は国際出願自体がパリ条約4条の正規の出願に当たるとします。「パリ条約の締約国若しくは世界貿易機関の加盟国において又はこれらの国についてされた1又は2以上の先の出願に基づく優先権」を主張する申立てを含めることができるという枝は正しいです。出願日は国際登録の日の基礎にもなり、10条(2)により5条(2)の不備がなければ国際登録の日は出願日と一致します。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。上の横軸は左から札「国際事務局が国際出願を受理」「国際登録」の順で、受理の札の下に看板「不備なし → 出願日=国際事務局の受理日(9条(1))」
ハーグ協定のジュネーブ改正協定4条(1)

[直接又は間接の出願](a) 出願人は、その選択により、国際事務局に対し直接に、又は出願人の締約国の官庁を通じて国際出願をすることができる。
(b) (a)の規定にかかわらず、いずれの締約国も、宣言により、自国の官庁を通じて国際出願をすることができない旨を事務局長に通告することができる。

ハーグ協定のジュネーブ改正協定5条

[同一の国際出願における二以上の意匠]国際出願には、所定の条件に従い、二以上の意匠を含めることができる。

試験ではこう問われる

  1. 資格は国籍のほか住所・常居所・現実かつ真正の営業所。国民でなくても「常居所を有する自然人甲は、国際出願をする資格を有する」
  2. 直接出願と間接出願の選択(4条(1))。間接出願でも補正を求めるのは国際事務局で、経由官庁が求めるという枝は誤り
  3. 言語は所定の言語の一つ(英・仏・西)。直接出願なら「いずれの締約国の言語でも作成することができる」という枝は誤り
  4. 指定締約国の表示は必須。表示を欠いて「すべての締約国を指定したものとみなされる」という枝は誤り
  5. 創作者の表示・簡潔な説明・請求の範囲は審査官庁の締約国が宣言した場合にその国を指定するときだけ。「必ず含めなければならない」という枝は誤りで、「含めなければならない場合がある」という枝は正しい
  6. 平面的な意匠で公表延期の請求があれば複製物の代わりに見本。二以上の意匠を含められる
  7. 補正に応じなければ放棄とみなすが、その国だけの要件の不備はその国の指定を含まないものとみなす(8条(2))
  8. 出願日は国際事務局の受理日。出願日の延期を要する不備があれば補正の受理日。パリ条約・WTO加盟国の先の出願に基づく優先権を主張できる

この用語が問われた枝

令和元年度 問46 枝イ正しい

この改正協定において「審査官庁」とは、意匠の保護を求める出願について、当該意匠が少なくとも新規性の条件を満たしているかどうかを決定するために職権により審査する官庁をいう。

平成30年度 問46 枝ハ正しい

締約国であるZ国の国民ではないが、Z国の領域に常居所を有する自然人甲は、国際出願をする資格を有する。

令和8年度 問46 枝ロ誤り

「協定」において、国際出願が出願人の締約国の官庁を通じてされる場合に、当該官庁は国際出願の受理の時に当該国際出願が協定及び規則の要件を満たしていないと認めるときには、出願人に対し所定の期間内に必要な補正をするよう求める。

平成30年度 問46 枝ホ誤り

国際事務局に対し直接に国際出願をするときは、国際出願はいずれの締約国の言語でも作成することができる。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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