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国際出願の資格・本国官庁・国際登録日・領域指定(2条・3条・3条の2・3条の3・4条(2))こくさいしゅつがんのしかくほんごくかんちょうこくさいとうろくびりょういきしてい

条約 第5章 マドリッド協定議定書 短答で4枝

国際出願の資格とは、マドリッド協定の議定書2条(1)で、締約国の官庁にした標章登録出願(基礎出願)又はその官庁の登録簿にされた標章登録(基礎登録)を基礎に、その締約国の国民、その締約国に住所を有する者、又はその締約国に現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有する者が国際登録を求めることができるという定めです。本国官庁とは、その基礎出願又は基礎登録を受けた官庁のことで、国際出願は本国官庁を通じて国際事務局に提出します。

日本の会社が、日本で商標登録出願をした標章を、アメリカや中国でもまとめて守りたいとします。国ごとに代理人を立てて出願する代わりに、日本の特許庁を本国官庁として一通の国際出願を国際事務局に出し、保護を受けたい締約国を指定すれば、国際登録一つで各国の登録と同じ保護が得られます。これがマドリッド協定の議定書の仕組みです。ただし議定書は「自国の官庁に出願又は登録がある者」だけを入口にし、その官庁を通して出させることで、本国官庁が出願人の資格と基礎出願との同一性を点検できるようにしています。

日本の特許庁の商標出願窓口の場面。先生が本国官庁の職員役(札「本国官庁(日本国特許庁)」)でカウンターの内側に立ち、「国際出願の願書:基礎出願 日本の商標登録出願/指定国:米国・中国」と書かれた書類を受け取っている。カウンターの外に出願人の

国際出願ができるのは基礎出願又は基礎登録を持つ者に限られ、その官庁の締約国と国籍・住所・営業所のつながりが要ります

2条(1)は、締約国の官庁にされた標章登録出願(基礎出願)又はその官庁の登録簿にされた標章登録(基礎登録)の出願人又は名義人が、国際登録によって締約国の領域における保護を確保できると定めます。基礎出願だけでなく基礎登録も、基礎登録だけでなく基礎出願も入口になります。そのうえで、基礎出願等が締約国の官庁にされたものであるときは、その者がその締約国の国民であるか、その締約国に住所を有するか、その締約国に現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有することが条件です。基礎出願等が締約国際機関(欧州連合など)の官庁にされたものであるときは、その機関の構成国の国民か、機関の領域内に住所又は現実かつ真正の営業所を有する者であれば足ります。したがって、締約国際機関の官庁にした出願を基礎にする場合に、保護を受けられる者が国である締約国の国民や住所・営業所を有する者に限られるわけではありません。つながりは国籍・住所・営業所のいずれか一つで足りるので、締約国Xの国民が他の締約国Yに住所を有していれば、Y国の官庁への出願を基礎にすることもできます。X国の国民がX国の出願・登録だけを基礎にしなければならないわけではありません。締約国でない国の国民でも、複数の締約国に現実かつ真正の営業所があれば、そのどの締約国の出願・登録でも基礎にでき、最初に出願した締約国のものに限られません。基礎登録の移転を受けた者も、その登録の名義人として、移転先の国とのつながりがあれば国際出願ができます。

  • 基礎にできるもの締約国又は締約国際機関の官庁にされた標章登録出願(基礎出願)、又はその官庁の登録簿にされた標章登録(基礎登録)です
  • 締約国の官庁が基礎のとき出願人・名義人がその締約国の国民であるか、その締約国に住所を有するか、現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有することです
  • 締約国際機関の官庁が基礎のときその機関の構成国の国民であるか、機関の領域内に住所又は現実かつ真正の営業所を有することです
  • 本国官庁基礎出願又は基礎登録を受けた官庁です。国籍国や住所国の官庁を別に本国官庁にすることはできません

国際出願は本国官庁を通じて国際事務局に提出するので、国際事務局への直接出願はできません

2条(2)は、国際登録のための出願を本国官庁を通じて国際事務局に提出すると定めます。本国官庁は、基礎出願又は基礎登録を受けた官庁です。締約国Xにある標章登録の名義人が締約国Yの国民で締約国Zに住所を有する場合でも、基礎登録を受けたのはX国の官庁なので、Y国やZ国の官庁を本国官庁にすることはできません。本国官庁は国際出願の内容が基礎出願等と一致することを証明して国際事務局に送るので、出願人が国際事務局に直接出す道はありません。意匠のハーグ協定のジュネーブ改正協定では国際事務局への直接出願が認められているので、両者を取り違えないようにします。手数料については、議定書が国際事務局の定める手数料を自己の収入として徴収する権利を本国官庁に与えていないので、本国官庁は「国際事務局の定める手数料の支払を求め、かつ、当該手数料を自己の収入として徴収することができる」という枝は誤りです(8条(1)は、本国官庁が自己の収入とするための手数料を出願人又は名義人から徴収することを認めていますが、それは国際事務局の定める手数料とは別のものです)。

国際登録の日は、本国官庁が受理した日から2月以内に国際事務局が受理すれば本国官庁の受理日になり、2月を過ぎれば国際事務局の受理日になります

3条(4)は、国際事務局が、本国官庁を通じて提出された標章を直ちに登録し、国際登録の日を、本国官庁が国際出願を受理した日から2月の期間内に国際事務局が受理した場合はその本国官庁の受理日とし、その期間内に受理されなかった場合は国際事務局が現実に受理した日とすると定めます。本国官庁での点検に時間がかかっても出願人が不利益を受けないよう2月の猶予を置き、本国官庁の遅れがそれを超えたときだけ出願人の負担にする仕組みです。「本国官庁が国際出願を受理した日から2月の期間内に国際事務局が国際出願を受理したときは、当該本国官庁が受理した日を国際登録の日とし、当該2月の期間の満了後に国際事務局が国際出願を受理したときは、国際事務局が受理した日を国際登録の日とする」という枝は正しいです。国際登録の日は、4条(1)の保護の効果の起点であり、6条(3)の5年の従属期間の起算点にもなります。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。上の横軸の左から札「本国官庁が国際出願を受理」「2月」「国際事務局が受理」の順に立ち、国際事務局の札は2月の札より左にある。その脇に看板「2月以

保護の効果は指定した締約国にだけ及び、本国官庁の締約国は出願時にも事後にも指定できません

3条の2は、国際登録による保護の効果が、出願人又は名義人が指定した締約国にのみ及ぶとしたうえで、その官庁が本国官庁である締約国は指定できないと定めます。本国の保護は基礎出願・基礎登録そのもので得られるので、同じ国に国際登録の効果を重ねる必要がないからです。日本国民が日本国特許庁への出願を基礎にした場合、国際出願時にも国際登録の後にも日本を指定することはできません。「その官庁が本国官庁に当たる締約国であっても、そのような指定を行うことができる」という枝も誤りです。3条の3は、国際出願のときの指定のほか、国際登録の後に追加の締約国について保護の拡張を請求できること(事後指定)を定めます。事後指定は国際登録簿に記録された日から効力を生じますが、その効力は国際登録の存続期間と運命を共にし、国際登録の満了の時に失われます。事後指定が「国際登録簿に記録された日から効力を生じ、その日から10年の期間の経過によりその効力を失う」という枝は誤りです。

特許庁の相談室の場面。先生が先生役(札「先生」)で机の上に世界地図を広げ、地図の上に「日本(本国官庁)」「米国」「中国」「欧州連合」の札が置かれている。米国・中国・欧州連合の札には「指定」の判が押され、日本の札には×印が付いている。向かいに

願書では商品・サービスとニース分類の類を書き、色彩を主張するなら色彩を施した写しを添え、優先権はパリ条約4条Dの手続なしで主張できます

3条(2)は、出願人が国際出願の願書で、可能な場合にはニース協定の国際分類に従って一又は二以上の類を指定すると定めます。この類の指定は国際事務局が本国官庁と協力して行う調整に服し、国際事務局の決定が最終的ですが、4条(1)(b)により類の指定は標章に与える保護の範囲を決定するに際して締約国を拘束しません。「類の指定は、標章に与える保護の範囲を決定するに際して締約国を拘束するものではない」という枝は正しいです。3条(3)は、標章の識別性のある特徴として色彩を主張する出願人に、その旨の記載と主張する色彩の特定、及び色彩を施した標章の写しの提出を求めます。「主張する色彩又はその組合せを明示的に特定しなければならず、また、当該標章の色彩を施した写しを提出しなければならない」という枝は正しいです。4条(2)は、国際登録がパリ条約4条Dに定める手続に従うことを要することなく、同条に定める優先権を有すると定めます。優先権の申立てや書類の提出といったパリ条約の国内手続を各指定国でやり直させないためです。パリ条約4条Dの手続に従うことを優先権の条件とするものではありません。ただし願書には先の出願の官庁名と出願日を書く必要があります。日本での国際登録出願の手続は商標法68条の2以下にあり、国際登録に基づく商標権の扱いは商標法68条の9以下にあります。

マドリッド協定の議定書2条

標章について、いずれかの締約国の官庁に標章登録出願をした場合又はいずれかの締約国の官庁の登録簿に標章登録がされた場合には、当該標章登録出願(以下「基礎出願」という。)又は当該標章登録(以下「基礎登録」という。)の名義人は、この議定書の規定に従うことを条件として、世界知的所有権機関(以下「機関」という。)の国際事務局(以下「国際事務局」という。)の登録簿(以下「国際登録簿」という。)への標章登録(以下「国際登録」という。)を受けることにより、当該標章の保護をすべての締約国の領域において確保することができる。

マドリッド協定の議定書3条の3

領域指定は、標章の国際登録の後においても行うことができる。

試験ではこう問われる

  1. 国際出願は本国官庁を通じて国際事務局へ出し、国際事務局に直接出すことはできない
  2. 本国官庁は基礎出願・基礎登録を受けた官庁。国籍国・住所国の官庁を本国官庁にすることはできない
  3. つながりは国籍・住所・営業所のどれか一つ。住所のある他の締約国の出願も基礎にできるので、国籍国の出願に限られない。締約国際機関の官庁が基礎なら構成国の国民・機関領域内の住所や営業所でも足りる
  4. 国際登録の日は本国官庁の受理日から2月以内に国際事務局が受理すれば本国官庁の受理日、2月を過ぎれば国際事務局の受理日
  5. 本国官庁の締約国は出願時も国際登録の後も指定できない。国際登録の後でも日本を指定することはできない
  6. 事後指定は国際登録簿への記録日から効力を生じ、国際登録の満了時に効力を失う。「その日から10年の期間の経過により」失うという枝は誤り
  7. 類の指定は保護の範囲の決定で締約国を拘束しない。色彩を主張するなら色彩を施した写しを出す
  8. 国際登録はパリ条約4条Dの手続を「要することなく」優先権を有する。4条Dの手続を条件にするのは誤り。願書には先の出願の官庁名と日付は書く

この用語が問われた枝

令和6年度 問46 枝ニ誤り

「議定書」において、国際登録による標章の保護の効果は、国際出願の出願人又は国際登録の名義人がいずれかの締約国を指定した場合においてのみ当該いずれかの締約国に及び、その官庁が本国官庁に当たる締約国であっても、そのような指定を行うことができるとされている。

令和7年度 問46 枝ニ正しい

「議定書」において、出願人が国際分類に従って指定した類は、国際事務局が本国官庁と協力して行う調整に服するが、類の指定は、標章に与える保護の範囲を決定するに際して締約国を拘束するものではない。

令和8年度 問46 枝ニ正しい

「議定書」において、出願人は、標章の識別性のある特徴として色彩を主張する場合には、国際出願に際して、色彩を主張する旨を記載し、かつ、主張する色彩又はその組合せを明示的に特定しなければならず、また、当該標章の色彩を施した写しを提出しなければならない。

令和6年度 問46 枝ホ正しい

「議定書」において、国際登録による標章の保護は、その国際登録の日から5年の期間の満了前に基礎出願の取下げを求める申立ての手続が開始され、当該5年の期間の満了後に基礎出願が確定的な決定により取下げを命ぜられた場合は、当該国際登録において指定された商品及びサービスの全部又は一部について主張することができないとされている。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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