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出願の分割と変更(10条〜12条)しゅつがんのぶんかつとへんこう

商標 第3章 出願 短答で9枝

出願の分割と変更とは、二以上の商品又は役務を指定した商標登録出願の一部を新たな商標登録出願にする手続(10条)と、通常の商標登録出願・団体商標の商標登録出願・地域団体商標の商標登録出願の間(11条)や商標登録出願と防護標章登録出願の間(12条・65条)で出願の種類を切り替える手続で、新たな出願はもとの出願の時にしたものとみなされます。

甲が「ハナ」という商標を菓子とパンの二つの商品について出願したところ、パンについてだけ他人の先願登録商標と似ているとして拒絶理由の通知を受けた場面を考えます。このままでは菓子の分まで登録が遅れるので、パンの分を切り離して別の出願にすれば、菓子は先に登録を受けられます。これが出願の分割で、新たな出願はもとの出願の時にしたものとみなされるので出願日の利益を失いません。出願の変更は、通常の商標登録出願を団体商標や防護標章登録出願に切り替えるように、出願の種類を変える手続です。

特許庁の審査室の場面。先生が審査官役(札「審査官」)で机に座り、机の上に「商標登録願:ハナ/指定商品 菓子・パン」と書かれた1通の願書と、その右に点線の矢印でつながった「新たな商標登録出願:ハナ/指定商品 パン/もとの出願の時にしたものとみ

出願の分割は、審査・審判・再審の係属中又は拒絶審決に対する訴えの係属中で、かつ出願手数料を納付している場合に限ってできます

10条1項は、商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であって、かつ、その出願について76条2項により納付すべき手数料を納付している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定した出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができると定めています。時期の要件と手数料の要件は「かつ」でつながっているので、どちらか一方では足りません。拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合も条文に入っているので、審査・審判・再審に「係属している場合であって、かつ、当該商標登録出願について商標法第76条第2項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り」分割できるとして訴えの係属中を落とした枝は誤りで、訴えが裁判所に係属している場合は「新たな商標登録出願にすることができない」という枝も誤りです。審査に係属していても手数料が納付されていなければ分割できないので、手数料が納付されていない場合は「1の新たな商標登録出願とすることはできない」という枝は正しいです。登録異議の申立てについての審理は商標登録の後の手続なので分割の時期には入っておらず、それを含めて手数料を納付していれば「いつでも」分割できるという枝は誤りです。防護標章登録出願にも68条1項で10条が準用されるので、防護標章登録出願が審査・審判・再審に係属している場合であっても「新たな防護標章登録出願とすることができない」という枝は誤りです。

  • 時期(10条1項)審査、審判若しくは再審に係属している場合、又は拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合です。登録異議の申立てについての審理は入りません
  • 手数料(10条1項)かつ、76条2項の出願手数料を納付していることが必要です
  • 対象二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする出願の一部を、一又は二以上の新たな出願にします
  • 防護標章登録出願68条1項で10条が準用され、同じ要件で分割できます

分割された新たな出願はもとの出願の時にしたものとみなされますが、出願時の特例と優先権の書面の期間は新たな出願の時を基準にし、提出済みの書面は提出されたものとみなされます

10条2項は、新たな商標登録出願はもとの商標登録出願の時にしたものとみなすと定め、8条の先後願や4条1項11号の先願登録商標との関係で出願日の利益を保ちます。ただし書により、9条2項の出願時の特例の書面と、13条1項で準用する特許法43条1項・2項の優先権の主張の書面・優先権証明書類等の提出期間については遡及せず、新たな出願の現実の日から数えます。もっとも10条3項により、もとの出願について提出されたこれらの書面又は書類で新たな出願についても提出しなければならないものは、新たな出願と同時に提出されたものとみなされるので、もう一度出す必要はありません。10条2項・3項は11条6項で出願の変更に、12条3項・65条3項で防護標章登録出願との間の変更にも準用され、出品の時にしたものとみなされた出願を団体商標の商標登録出願に変更した場合、もとの出願の9条2項の書面は「団体商標への出願変更と同時に提出されたものとみなされる」という枝は正しいです。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から順に札「もとの商標登録出願」「分割:新たな商標登録出願」の2本が立ち、新たな出願の札から左へ太い矢印が伸びて「もとの出願の時にしたも

出願の変更は通常・団体・地域団体の商標登録出願の相互と、商標登録出願と防護標章登録出願の相互でできて、査定又は審決が確定するまでにします

11条1項から3項は、団体商標の商標登録出願を通常又は地域団体商標の商標登録出願に、地域団体商標の商標登録出願を通常又は団体商標の商標登録出願に、通常の商標登録出願を団体商標又は地域団体商標の商標登録出願に変更できると定め、三つの種類の間を双方向に行き来できます。4項により、変更は査定又は審決が確定した後はできませんが、確定するまでは査定の後でもできるので、団体商標の商標登録出願人は「査定又は審決がされた後であっても、その商標登録出願を地域団体商標の商標登録出願に変更することができる場合がある」という枝は正しいです。拒絶査定不服審判の請求と同時である必要もありません。変更後の出願が団体商標の商標登録出願なら、7条3項により出願人が7条1項の法人であることを証明する書面を提出しなければならず、「法人であることを証明する書面を特許庁長官に提出しなくてもよい場合がある」という枝は誤りです。商標登録出願と防護標章登録出願の間も、65条1項で商標登録出願を防護標章登録出願に、12条1項で防護標章登録出願を商標登録出願に変更でき、どちらも査定又は審決が確定した後はできません(12条2項・65条2項)。したがって、「商標登録出願を防護標章登録出願に変更することはできない」という枝は誤りです。変更があったときは、もとの出願は取り下げたものとみなされます(11条5項。12条3項・65条3項で準用)。

特許庁の出願窓口の場面。先生が特許庁長官役(札「特許庁長官」)でカウンターの内側に座り、カウンターの上に「通常の商標登録出願」「団体商標の商標登録出願」「地域団体商標の商標登録出願」と書かれた3枚の札が三角形に並び、互いに両方向の矢印でつな

分割と変更の要件の対比

項目出願の分割(10条)出願の変更(11条・12条・65条)
できる時期審査・審判・再審の係属中、又は拒絶審決に対する訴えの係属中で、かつ出願手数料の納付後です査定又は審決が確定するまでです。査定の後でもできます
新たな出願の出願日もとの出願の時にしたものとみなします(9条2項・優先権の書面の期間を除きます)同じです(10条2項の準用)
もとの出願残ります(分割した部分を除きます)取り下げたものとみなします(11条5項)
国際商標登録出願できません(68条の12)できません(68条の13)

国際商標登録出願は出願の分割も変更もできません

マドリッド協定の議定書に基づく国際商標登録出願は国際登録を基礎にするので、日本の特許庁で出願を分割したり種類を変更したりすると国際登録との対応が崩れます。そこで68条の12は10条を、68条の13は11条と65条を国際商標登録出願に適用しないと定めています。したがって、団体商標に係る国際商標登録出願の出願人は「当該出願を地域団体商標の商標登録出願に変更することができる」という枝は誤りです。

商標法10条1項

商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であつて、かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。

商標法10条2項

前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第九条第二項並びに第十三条第一項において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

商標法11条4項

前三項の規定による商標登録出願の変更は、商標登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。

商標法11条5項

第一項から第三項までの規定による商標登録出願の変更があつたときは、もとの商標登録出願は、取り下げたものとみなす。

試験ではこう問われる

  1. 分割の時期は審査・審判・再審の係属中「又は」拒絶審決に対する訴えの係属中で、「かつ」出願手数料の納付が要る。訴えの係属中を落とした枝、訴えの係属中は「できない」という枝はどちらも誤り
  2. 審査に係属していても手数料が納付されていなければ分割できない。登録異議の申立てについての審理の係属中は分割の時期に入らず、「いつでも」分割できるという枝は誤り
  3. 防護標章登録出願も68条1項の準用で分割できる
  4. 分割・変更後の出願はもとの出願の時にしたものとみなされるが、9条2項と優先権の書面の提出期間は新たな出願の時を基準にし、提出済みの書面は同時に提出されたものとみなされる(10条2項・3項)
  5. 変更は査定又は審決が「確定」するまで。査定の後でも変更できる場合がある。団体商標の商標登録出願への変更には7条3項の法人であることを証明する書面が要る
  6. 商標登録出願と防護標章登録出願は相互に変更できる(12条・65条)。変更があればもとの出願は取り下げたものとみなす
  7. 国際商標登録出願は分割も変更もできない(68条の12・68条の13)

この用語が問われた枝

令和元年度 問36 枝イ誤り

商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合であって、かつ、当該商標登録出願について商標法第76条第2項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を1又は2以上の新たな商標登録出願とすることができる。

令和4年度 問34 枝ホ正しい

商標登録出願が審査に係属している場合であっても当該商標登録出願について商標法第76条第2項の規定により納付すべき手数料が納付されていない場合は、2以上の商品を指定商品とする商標登録出願の一部を1の新たな商標登録出願とすることはできない。

令和6年度 問36 枝イ誤り

商標登録出願人は、商標登録出願が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合においては、当該商標登録出願について商標法第 76条第2項の規定により納付すべき手数料を納付していれば、いつでも2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を1又は2以上の新たな商標登録出願とすることができる。

平成28年度 問33 枝ハ誤り

防護標章登録出願人は、当該防護標章登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合であっても、2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする防護標章登録出願の一部を1又は2以上の新たな防護標章登録出願とすることができない。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

商標を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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