拒絶査定不服審判・補正却下決定不服審判と審判手続の準用・審決取消訴訟(44条・45条・55条の2・56条・61条・63条)きょぜつさていふふくしんぱんほせいきゃっかけっていふふくしんぱんとしんぱんてつづきのじゅんようしんけつとりけしそしょう
拒絶査定不服審判とは、拒絶をすべき旨の査定を受けた者が査定の謄本の送達があった日から3月以内に請求できる審判(44条)で、補正の却下の決定に対する審判とは、審査官の却下の決定を受けた者が同じく3月以内に請求できる審判(45条)です。審決取消訴訟とは、取消決定や審決に対する訴えで、63条により東京高等裁判所の専属管轄とされ、56条・61条・63条が審判・再審・訴訟の手続について特許法の規定を準用します。
審査官に拒絶査定をされた出願人は、審判官の合議体にもう一度見てもらえます。それが拒絶査定不服審判(44条)で、審判でも負ければ東京高等裁判所に審決取消訴訟(63条)を起こせます。商標法は審判や訴訟の手続を自前で書かずに、56条・61条・63条で特許法の規定を準用していますが、特許と商標では制度が違うので、前置審査や審決の予告のように準用しない規定と、期間を読み替える規定があります。どれが準用され、どれが外れているかが、この語で問われるところです。

拒絶査定不服審判は査定の謄本の送達があった日から3月以内に請求し、特許法の前置審査は準用されていません
44条1項により、拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定の謄本の送達があった日から3月以内に審判を請求できます。「その査定の謄本の送達があった日から3月以内に審判を請求することができる」という枝は正しいです。2項は救済で、請求する者がその責めに帰することができない理由により期間内に請求できないときは、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては2月)以内で、その期間の経過後6月以内に請求できます。特許法162条の前置審査は、請求と同時に補正があったときに審査官に再審査させる仕組みですが、56条1項の準用の列挙に162条は入っていません。商標の補正は指定商品の削除などで審査官が見直すほどのものでないからです。そこで、指定商品又は指定役務について補正があったときは特許庁長官が「審査官にその請求を審査させなければならない」という枝は誤りです。

審判で請求に理由があるときは商標登録をすべき旨の審決をしますが、さらに審査に付すべき旨の審決をすることもできます
55条の2第2項は、44条1項の審判の請求を理由があるとする場合に16条を準用し、政令で定める期間内に拒絶の理由を発見しないときは商標登録をすべき旨の審決をしなければならないとします。ただし書で、56条1項が準用する特許法160条1項によりさらに審査に付すべき旨の審決をするときはこの限りでないとしているので、査定を取り消す審決は登録審決と差戻しの審決の二通りです。「さらに審査に付すべき旨の審決をするときは、この限りでない」という枝は正しく、査定を取り消すときは「拒絶をすべき旨の査定を取り消すときは、審判官は、商標登録をすべき旨の審決をしなければならない」という枝は誤りです(差戻しの審決もできるからです)。審判で査定の理由と異なる拒絶の理由を発見したときは、55条の2第1項により15条の2・15条の3が準用され、拒絶理由を通知して意見書を出す機会を与えます。
補正の却下への不服は、審査の段階なら45条の審判、審判の段階なら東京高等裁判所への訴えで、新たな出願をしたときは審判を請求できません
審査官が16条の2第1項で要旨変更の補正を決定で却下したときは、出願人は二つの道を選べます。一つは45条1項の補正の却下の決定に対する審判で、決定の謄本の送達があった日から3月以内に請求します。もう一つは、17条の2第1項が準用する意匠法17条の3第1項により、送達の日から3月以内に補正後の指定商品等について新たな商標登録出願をする道で、その出願は手続補正書を提出した時にしたものとみなされます。両方は選べないので、45条1項ただし書により、新たな出願をしたときは審判を請求できません。「当該商標登録出願をした後は、その補正の却下の決定に対する審判を請求することができない」という枝は正しいです。一方、拒絶査定不服審判の中でした補正が却下されたときは、55条の2第3項が16条の2と意匠法17条の3を準用しつつ、「三月」を「三十日」に、「第四十五条第一項の審判を請求したとき」を「第六十三条第一項の訴えを提起したとき」に読み替えます。審判の判断に対してさらに審判を求めることはできないので、不服は63条1項の東京高等裁判所への訴えになり、新出願の期間も30日に縮みます。審判での補正却下について「この決定に対する訴えを東京高等裁判所に提起することができる」という枝は正しく、審判係属中の補正却下に対して「その決定の謄本の送達があった日から3月以内に審判を請求することができる」という枝は誤りです。審判請求人が却下の決定の謄本の送達から30日以内に新たな出願をすれば、「その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなされる」という枝は正しいです。45条の審判で決定を取り消す審決があったときの判断は、56条の2が準用する意匠法51条により審査官を拘束します。

補正の却下の決定への不服の手段
| 審査(16条の2) | 45条1項の審判(謄本送達から3月) | 謄本送達から3月(意匠法17条の3)。新出願をすれば審判は請求できません |
|---|---|---|
| 拒絶査定不服審判(55条の2第3項) | 63条1項の東京高等裁判所への訴え(謄本送達から30日) | 謄本送達から30日に読み替えます |
56条が準用する審判手続には審決の予告が無く、無効審判では請求の理由の要旨を変更する補正ができず、指定商品ごとの取下げは無効審判にだけ準用されます
56条1項は、特許法の審判の請求、審判官、審判の手続、訴訟との関係、費用の規定を列挙して準用します。特許法164条の2の審決の予告は、特許無効審判で被請求人に訂正の機会を与える制度なので、訂正のない商標には準用されていません。無効審判で「審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない」という枝は誤りです。請求書の補正については特許法131条の2第1項を2号・3号を除いて準用し、1号も46条1項の審判以外の審判の請求の理由に限ると読み替えるので、無効審判では「請求の理由の要旨を変更する補正は一切認めらない」という枝は正しいです。審判の請求の取下げは特許法155条1項・2項が準用され、審決が確定するまで取り下げられますが、答弁書の提出後は相手方の承諾が要ります。請求項ごとの取下げを定める155条3項は、56条2項で46条1項の無効審判にだけ準用されるので、不使用取消審判では「審判請求に係る指定商品ごとにその請求を取り下げることができる場合がある」という枝は誤りです。この準用は平成23年改正で加わったもので、それより前の枝では無効審判でも指定商品ごとの取下げはできません。特許法152条の職権進行も準用されるので、不使用取消審判で「被請求人とその代理人のいずれもが口頭審理の期日に出頭しない場合であっても、審判長は審判手続を進行することができる」という枝は正しいです。特許法148条の参加も準用され、商標権について質権を持つ者のように審判の結果に利害関係を有する者は、当事者の一方を補助するため参加できます。
審決取消訴訟は東京高等裁判所の専属管轄で、取消審判の審決は請求人又は被請求人を被告にし、再審は共有者が単独で請求できます
63条1項により、取消決定又は審決に対する訴えと、審判における補正の却下の決定に対する訴えなどは東京高等裁判所の専属管轄です。2項が準用する特許法178条2項により、訴えを提起できるのは当事者、参加人、又は参加を申請してその申請を拒否された者に限られます。登録異議の取消決定について「参加を申請してその申請を拒否された者も、東京高等裁判所に訴えを提起することができる」という枝は正しいです。出訴期間は審決又は決定の謄本の送達があった日から30日で、不変期間です。被告は、特許法179条により原則として特許庁長官ですが、63条2項の読替えにより、46条1項の無効審判と50条1項・51条1項・52条の2第1項・53条1項・53条の2の取消審判、及びこれらの確定審決に対する再審の審決については、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告とします。当事者の対立する審判では、特許庁ではなく相手方と争わせる方が筋が通るからです。取消審判の審決に対する訴えは「東京高等裁判所の専属管轄とし、特許庁長官を被告としなければならない」という枝は誤りです。特許法182条の2も準用されるので、東京高等裁判所は5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をすることができ、「5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をすることができる場合はない」という枝は誤りです。裁判所は、請求に理由があると認めるときは審決又は決定を取り消すだけで、自ら商標登録や取消しを命じることはしません(特許法181条)。不使用取消審判の審決取消訴訟では、審判で提出しなかった使用の証拠も口頭弁論終結時まで提出できるとするのが判例です。再審については、61条が特許法174条3項を準用しますが、共有者全員の共同請求を定める特許法132条3項は含まれていません。共有に係る商標権についての無効審決に対する再審は「甲及び乙が共同して請求する必要がある」という枝は誤りです(商標権を守る側の請求は保存行為として各共有者が単独でできるからです)。

- 準用される主な規定特許法131条の2第1項本文(要旨変更補正の禁止)、132条(共同審判)、134条1項(答弁書)、135条〜154条(審判官・審理・参加・証拠)、155条1項・2項(取下げ)、160条1項(差戻審決)、178条〜182条の2(審決取消訴訟)です
- 準用されない主な規定特許法162条(前置審査)、164条の2(審決の予告)、131条の2第2項(審判長の許可による要旨変更補正)、再審における132条3項(共有者の共同請求)です
- 読み替える規定55条の2第3項で審判中の補正却下の「三月」を「三十日」に、審判の請求を訴えの提起に読み替え、63条2項で取消審判の審決の被告を請求人又は被請求人に読み替えます
商標法44条1項拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に審判を請求することができる。
商標法45条1項第十六条の二第一項の規定による却下の決定を受けた者は、その決定に不服があるときは、その決定の謄本の送達があつた日から三月以内に審判を請求することができる。ただし、第十七条の二第一項において準用する意匠法第十七条の三第一項に規定する新たな商標登録出願をしたときは、この限りでない。
商標法55条の2第3項第十六条の二及び意匠法第十七条の三の規定は、第四十四条第一項の審判に準用する。この場合において、第十六条の二第三項及び同法第十七条の三第一項中「三月」とあるのは「三十日」と、第十六条の二第四項中「第四十五条第一項の審判を請求したとき」とあるのは「第六十三条第一項の訴えを提起したとき」と読み替えるものとする。
商標法63条1項取消決定又は審決に対する訴え、第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する第十六条の二第一項の規定による却下の決定に対する訴え及び登録異議申立書又は審判若しくは再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
試験ではこう問われる
- 拒絶査定不服審判は「その査定の謄本の送達があった日から3月以内に審判を請求することができる」。責めに帰することができない理由なら理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で、期間経過後6月以内
- 前置審査(特許法162条)は準用なし。補正があっても「審査官にその請求を審査させなければならない」という枝は誤り
- 査定を取り消すときは登録審決か差戻審決。「商標登録をすべき旨の審決をしなければならない」という枝は誤り、「さらに審査に付すべき旨の審決をするときは、この限りでない」という枝は正しい
- 審査段階の補正却下は45条の審判(3月)か新出願(3月)で、新出願をした後は「審判を請求することができない」。審判段階の補正却下は「東京高等裁判所に提起することができる」訴えで、「3月以内に審判を請求することができる」という枝は誤り。新出願は30日以内
- 審決の予告(特許法164条の2)は準用なし。無効審判の「請求の理由の要旨を変更する補正は一切認めらない」。指定商品ごとの取下げ(特許法155条3項)は無効審判だけで、不使用取消審判で「指定商品ごとにその請求を取り下げることができる場合がある」という枝は誤り
- 当事者が口頭審理に「出頭しない場合であっても、審判長は審判手続を進行することができる」(特許法152条)
- 審決取消訴訟は東京高等裁判所の専属管轄で30日以内。取消審判の審決は請求人又は被請求人が被告で、「特許庁長官を被告としなければならない」という枝は誤り。5人合議体は可能。参加拒否者も出訴できる
- 再審は共有者が単独で請求できる(特許法132条3項は61条で準用されない)。「甲及び乙が共同して請求する必要がある」という枝は誤り
この用語が問われた枝
拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があった日から3月以内に審判を請求することができるが、当該審判を請求する者がその責めに帰することができない理由によりその期間内にその請求をすることができないときは、その理由がなくなった日から 14 日(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。
特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があった場合において、その請求と同時にその請求に係る商標登録出願の願書に記載された指定商品又は指定役務について補正があったときは、審査官にその請求を審査させなければならない。
拒絶査定に対する審判(商標法第44条第1項)において、拒絶をすべき旨の査定を取り消すときは、審判官は、商標登録をすべき旨の審決をしなければならない。
拒絶査定に対する審判において、当該審判の請求を理由があるとする場合であって、政令で定める期間内に原査定の理由と異なる拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の審決をしなければならないが、さらに審査に付すべき旨の審決をするときは、この限りでない。
枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。
この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。