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拒絶理由と査定(14条〜16条の2・15条の2・15条の3)きょぜつりゆうとさてい

商標 第4章 審査・登録・登録異議 短答で22枝

拒絶理由とは、審査官が商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない事由として15条各号に定められたものです。査定とは、審査官が審査の結論として出願に対して行う処分で、拒絶の査定(15条)と商標登録の査定(16条)があります。

お店の名前を商標登録出願すると、審査官がその出願を15条各号のどれかに当たるかという目で審査します。当たるときでも、いきなり拒絶するのではなく、まず拒絶の理由を通知して意見書を出す機会を与え(15条の2)、それでも解消しなければ拒絶をすべき旨の査定をします。政令で定める期間内に拒絶の理由が見つからなければ商標登録をすべき旨の査定です(16条)。出願人に反論の機会を保障したうえで、どの瑕疵が登録後の異議や無効までついて回るかを条文ごとに切り分けているのがこの制度です。

特許庁の審査室の場面。先生が審査官役(札「審査官」)で机に座り、「商標登録出願:指定商品 菓子」と書かれた願書を開いている。机の上に「15条 拒絶理由:1号 3条・4条1項など 2号 条約違反 3号 5条5項・6条」と書かれた一覧表の紙。先

15条各号の拒絶理由は、3条・4条1項などの登録要件違反、条約違反、5条5項・6条の出願要件違反の三つに分かれます

15条1号は、商標が3条、4条1項、7条の2第1項、8条2項若しくは5項、51条2項(52条の2第2項で準用する場合を含みます)、53条2項又は77条3項で準用する特許法25条により商標登録をすることができないものであるときです。2号は条約の規定により商標登録をすることができないとき、3号は出願が5条5項又は6条1項若しくは2項の要件を満たしていないときです。1号に挙がる先願の規定は8条2項と5項だけで、8条1項は入っていません。先願が登録されれば後願は4条1項11号で拒絶され、先願がまだ登録されていない間は15条の3の通知で先に知らせる仕組みがあるので、8条1項そのものを拒絶理由に置く必要がないからです。そこで「登録異議の申立ての理由及び商標登録の無効の理由となるが、商標登録出願の拒絶理由とはならない」という枝は正しいです。団体商標の7条3項や地域団体商標の7条の2第4項の書面は願書に添える方式の書類なので、提出がなければ77条2項で準用する特許法17条3項の補正命令と18条の却下で処理され、審査官の拒絶理由にはなりません。「これらの書類の提出がされない場合は、審査官は、商標法第15条第1号(拒絶の査定)に該当する旨の通知をしなければならない」という枝は誤りです。

  • 1号(登録要件違反)3条、4条1項、7条の2第1項、8条2項・5項、51条2項、53条2項、特許法25条(外国人の権利の享有)に当たるときです
  • 2号(条約違反)条約の規定により商標登録をすることができないときです
  • 3号(出願要件違反)5条5項(商標の記載・物件が商標を特定していること)又は6条1項・2項(一商標一出願、区分に従った指定)を満たしていないときです

同じ瑕疵でも、拒絶理由・登録異議の申立ての理由・無効理由のどこまで残るかは条文ごとに違います

15条各号、43条の2各号、46条1項各号を並べると、3条・4条1項・7条の2第1項・8条2項5項・51条2項・53条2項・特許法25条の違反と条約違反は三つのすべてに入ります。8条1項違反は拒絶理由にだけ無く、異議理由と無効理由にはあります。6条1項・2項の違反は、出願の形式に関する瑕疵で登録後に争わせるほどのものではないので、拒絶理由(15条3号)にだけあります。「拒絶理由に該当するが、登録異議申立理由又は無効理由のいずれにも該当しない」という枝と、「そのことを理由として、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することはできない」という枝は正しく、区分に従った指定を欠くことが「拒絶理由だけではなく、無効理由にも該当する」という枝は誤りです。反対に、出願により生じた権利を承継しない者の出願に対する登録(冒認)は46条1項4号の無効理由ですが、審査では見つけにくく43条の2にも挙がっていないので、条約違反と冒認が「いずれも登録異議の申立ての理由及び商標登録の無効の審判の請求の理由となる」という枝は誤りです。パリ条約の同盟国の代理人による無断の登録は53条の2の取消審判の理由であって、異議理由ではありません。「いずれも、登録異議の申立ての理由とすることができる」という枝は誤りです。5条5項違反は、15条3号・43条の2第3号・46条1項3号の三つすべてに置かれています。

特許庁の審査室の壁に掛かった大きな対応表を、先生が先生役(札「先生」)で指し棒で示している場面。表は横に「拒絶理由(15条)」「登録異議の申立ての理由(43条の2)」「無効理由(46条)」の3列、縦に「3条・4条1項・条約違反」「8条1項違
  • 三つすべてに入るもの3条・4条1項・7条の2第1項・8条2項5項・51条2項・53条2項・特許法25条の違反、条約違反、5条5項違反です
  • 拒絶理由に無く、異議・無効にあるもの8条1項違反です
  • 拒絶理由にだけあるもの6条1項・2項違反です
  • 無効理由にだけあるもの冒認(46条1項4号)と、登録後に生じた後発的な無効理由(46条1項5号〜7号)です
  • どれにも入らないもの7条3項・7条の2第4項の書面の不提出(方式の補正命令・却下)、代理人の不正登録(53条の2の取消審判)です

審査官は拒絶査定の前に必ず拒絶理由を通知し、先願の未登録商標があるときは15条の3の通知で先に知らせることができます

審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、出願人に拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければなりません(15条の2)。出願に係る商標が、その出願の日前の他人の出願に係る商標又はこれに類似する商標で、指定商品・指定役務も同一又は類似であるときは、他人の商標がまだ登録されていなくても、それが登録されることにより出願が15条1号に該当することとなる旨を通知し、意見書を提出する機会を与えることができます(15条の3第1項)。この通知が既にされていて、その後に他人の商標が登録されたときは、改めて15条の2の通知をすることを要しません(同条2項)。出願人はすでに同じ理由で意見を述べる機会を得ているからです。「その未登録商標が商標登録されたときは、審査官は、改めて、商標法第15条の2における拒絶理由の通知をしなければならない」という枝は誤りです。

政令で定める期間内に拒絶の理由を発見しないときは登録査定をしなければならず、補正却下の決定があれば3月は査定できません

審査官は、政令で定める期間内に出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければなりません(16条)。国際商標登録出願では、この期間は日本国を指定する領域指定の通報が行われた日から1年6月で、「日本国を指定する領域指定の通報が行われた日から1年6月の期間内に拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない」という枝は正しいです。指定商品や商標の補正が要旨を変更するものとして決定で却下されたときは、決定の謄本の送達があった日から3月を経過するまで査定をしてはならず(16条の2第3項)、出願人が45条1項の審判を請求したときはその審決が確定するまで審査を中止します(同条4項)。補正却下決定不服審判の請求期間を確保するためなので、「当該決定の謄本の送達があった日から3月を経過しなくても、当該商標登録出願について査定を行うことができる」という枝は誤りです。拒絶査定不服審判で請求に理由があるときにも16条が準用され、「政令で定める期間内に原査定の理由と異なる拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の審決をしなければならない」という枝は正しいです(55条の2第2項)。拒絶理由は指定商品ごとに判断するので、ある指定商品を削除する補正をしても、残った商品について別の拒絶理由が残ることがあります。「指定商品aを削除する補正をしたとしても、当該出願が商品の品質に関する他の拒絶理由を有するときがある」という枝は正しいです。

横軸の時系列を中心にした図。先生が審査官役(札「審査官」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から順に札「補正(指定商品の変更)」「補正の却下の決定(16条の2第1項)」「決定の謄本の送達」「3月」「査定」が立ち、「決定の謄本

防護標章登録出願と国際登録の取消し後の再出願では、15条の読替えと適用除外があります

防護標章登録出願の審査には14条から15条の2までと16条から17条の2までが準用され、15条1号の登録要件は「64条」に、3号の「5条5項又は6条1項若しくは2項」は「6条1項又は2項」に読み替えられます(68条2項)。防護標章は登録商標と同一の標章を出すものなので、5条5項の商標の特定は防護標章登録出願の拒絶理由になりません。「音を記録した物件が防護標章登録を受けようとする標章を特定できないものである場合、商標法第5条第5項の規定により拒絶される」という枝は誤りです。防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願の審査にも14条と15条の2が準用されるので(65条の5)、「商標法第14条(審査官による審査)及び同法第15条の2(拒絶理由の通知)の規定が準用されていない」という枝は誤りです。国際登録が取り消された後の68条の32・68条の33の商標登録出願のうち、国際登録に係る商標権であったものについての再出願には、15条1号・2号を適用しません(68条の34第2項)。すでに実体審査を経て登録されていた商標だからです。「商標法第15条第2号にいう条約の規定により商標登録をすることができないものであるときは、それを理由として当該出願は拒絶される」という枝は誤りです。

商標法15条

審査官は、商標登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一 その商標登録出願に係る商標が第三条、第四条第一項、第七条の二第一項、第八条第二項若しくは第五項、第五十一条第二項(第五十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項において準用する特許法第二十五条の規定により商標登録をすることができないものであるとき。
二 その商標登録出願に係る商標が条約の規定により商標登録をすることができないものであるとき。
三 その商標登録出願が第五条第五項又は第六条第一項若しくは第二項に規定する要件を満たしていないとき。

商標法15条の3第2項

前項の通知が既にされている場合であつて、当該他人の商標が商標登録されたときは、前条の通知をすることを要しない。

商標法16条

審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない。

商標法16条の2第3項

第一項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から三月を経過するまでは、当該商標登録出願について査定をしてはならない。

試験ではこう問われる

  1. 拒絶理由(15条1号)の先願規定は8条2項・5項だけ。8条1項違反は「商標登録出願の拒絶理由とはならない」が、異議理由・無効理由にはなる
  2. 6条1項・2項違反は拒絶理由(15条3号)だけ。「登録異議申立理由又は無効理由のいずれにも該当しない」が正しく、区分違反が「無効理由にも該当する」という枝は誤り
  3. 冒認は無効理由(46条1項4号)だけ。条約違反と冒認が「いずれも登録異議の申立ての理由及び商標登録の無効の審判の請求の理由となる」という枝は誤り。代理人の不正登録は53条の2の取消審判
  4. 7条の2第4項の書類の不提出は方式の補正命令・却下で処理する。審査官が「商標法第15条第1号(拒絶の査定)に該当する旨の通知をしなければならない」という枝は誤り
  5. 15条の3の通知が既にされていれば、先願が登録されても「改めて、商標法第15条の2における拒絶理由の通知をしなければならない」わけではない(15条の3第2項)
  6. 登録査定は政令で定める期間内に拒絶理由を発見しないとき。国際商標登録出願は領域指定の通報の日から1年6月。拒絶査定不服審判で理由があるときも16条準用(55条の2第2項)
  7. 補正却下の決定後は謄本送達から3月を経過するまで査定できない(16条の2第3項)。「3月を経過しなくても」査定できるという枝は誤り
  8. 防護標章登録出願では15条3号を6条1項・2項だけに読み替える(68条2項)ので5条5項違反は拒絶理由でない。旧国際登録に係る商標権の再出願には15条1号・2号を適用しない(68条の34第2項)

この用語が問われた枝

平成28年度 問34 枝ホ正しい

商標法第8条第1項(先願)の規定に違反する場合、登録異議の申立ての理由及び商標登録の無効の理由となるが、商標登録出願の拒絶理由とはならない。

平成30年度 問36 枝ニ正しい

商標登録出願が一商標一出願の原則(商標法第6条第1項及び第2項)に違反することは、拒絶理由に該当するが、登録異議申立理由又は無効理由のいずれにも該当しない。

令和5年度 問38 枝ハ正しい

一商標一出願の原則(商標法第6条第1項)に違反して商標登録がされたとしても、そのことを理由として、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することはできない。

令和6年度 問36 枝ホ誤り

商標登録出願が、政令で定める商品及び役務の区分に従ってその商品又は役務が指定されなかったことは、拒絶理由だけではなく、無効理由にも該当する。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

商標を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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