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設定登録と登録料の分割納付・回復(18条・40条〜43条・41条の2〜41条の5)せっていとうろくととうろくりょうのぶんかつのうふかいふく

商標 第4章 審査・登録・登録異議 短答で48枝

設定登録とは、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に登録料の納付があったときに特許庁がする商標権の設定の登録で、商標権はこれにより発生します(18条)。登録料の分割納付とは、登録料を前期分割登録料と後期分割登録料に分けて納める仕組みで(41条の2)、後期分割登録料の不納で消滅したものとみなされた商標権は、追納により回復します(41条の3)。

お店の名前について商標登録をすべき旨の査定が届いても、それだけでは商標権はまだありません。査定の謄本の送達から30日以内に登録料を納め、特許庁が設定の登録をしたときに商標権が発生します(18条)。10年先まで使い続けるか分からない商標のために、登録料は前期と後期の5年分ずつに分けて納める分割納付が認められています(41条の2)。後期分を納め忘れると商標権は満了前5年の日に遡って消えたものとみなされますが、追納による回復の道と、その間に使っていた第三者を守る効力の制限が置かれています。

特許庁の窓口の場面。先生が窓口の担当官役(札「特許庁」)でカウンターの内側に座り、「商標原簿」と書かれた大きな台帳を開いて「設定の登録」の欄に記入している。カウンターの外に出願人の男性(札「商標登録出願人」)が立ち、「商標登録をすべき旨の査

商標権は登録料の納付を受けて設定の登録をしたときに発生し、専用使用権の設定も登録が効力要件ですが、通常使用権の登録は対抗要件です

商標権は設定の登録により発生し(18条1項)、40条1項の登録料又は41条の2第1項の前期分割登録料の納付があったときに特許庁が設定の登録をします(18条2項)。登録料は商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に納付しなければならず(41条1項)、特許庁長官は請求により30日以内を限りこの期間を延長できます(同条2項)。この期間内に納付できないときは経済産業省令で定める期間内に限り納付することができ(同条3項)、責めに帰することができない理由があるときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2月)以内で期間の経過後6月以内に納付できます(同条4項)。専用使用権の設定は、30条4項で準用する特許法98条1項2号により、登録しなければ効力を生じません。これに対して通常使用権は商標権者の許諾により成立し(31条1項)、登録はその後に商標権又は専用使用権を取得した者に対しても効力を生じさせるための要件です(同条4項)。そこで、商標権は設定の登録により発生するとしたうえで「専用使用権及び通常使用権の設定は、いずれも登録によりその効力を生じる」という枝は誤りです(通常使用権の登録は対抗要件だからです)。設定の登録があると商標権者の氏名、願書に記載した商標、指定商品又は指定役務、登録番号などが商標掲載公報に掲載され(18条3項)、公報の発行の日から2月間は出願書類が公衆の縦覧に供されます(同条4項)。

  • 商標権の発生設定の登録の時です(18条1項)。査定が届いただけでは発生しません
  • 登録料の納付期限商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内です(41条1項)。請求により30日以内の延長ができます(同条2項)
  • 専用使用権の設定登録が効力発生の要件です(30条4項で準用する特許法98条1項2号)
  • 通常使用権の設定許諾で成立し、登録はその後の商標権・専用使用権の取得者に対する効力の要件です(31条4項)

登録料の額は区分の数で決まり、国に属する商標権には登録料の規定が適用されず、国との共有は持分の定めがあるときだけ持分の割合になります

設定の登録を受ける者は、政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を登録料として納付します(40条1項)。存続期間の更新登録の申請をする者の登録料も同じく区分の数で決まり(同条2項)、更新登録の申請と同時に納付しなければなりません(41条5項)。これらの規定は国に属する商標権には適用しません(40条3項)。商標権が国と国以外の者との共有に係る場合は、持分の定めがあるときに限って、登録料の額に国以外の者の持分の割合を乗じた額をその者が納付します(同条4項)。持分の定めがなければ4項は働かず、国以外の共有者が全額を納めます。「2分の1の額をその地方公共団体が納付すれば足りる」という枝は誤りです(持分の定めがないので40条4項の適用がなく、40条2項の全額を納付する必要があるからです)。

登録料を分割して納付しても存続期間は10年のままで、後期分割登録料の不納は満了前5年の日に遡った消滅になります

設定の登録を受ける者は、40条1項にかかわらず登録料を分割して納付でき、査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に前期分割登録料を、商標権の存続期間の満了前5年までに後期分割登録料を納付します(41条の2第1項)。存続期間は設定の登録の日から10年で終了するという19条1項は変わらないので、「商標権の存続期間は設定登録の日から5年で満了するとみなされる」という枝は誤りで、「存続期間自体が短縮されるものではない」という枝は正しいです。後期分割登録料を納付すべき期間内に納付できないときは、その期間の経過後6月以内に、後期分割登録料と同額の割増登録料(43条3項)とともに追納することができます(41条の2第5項)。この追納に理由は要らず、「その責めに帰することができない理由を要する」という枝は誤りです(責めに帰することができない理由が働くのは、割増登録料を納めなくてよいかどうかの場面だけだからです)。追納できる期間内に後期分割登録料及び割増登録料の納付がなかったときは、その商標権は存続期間の満了前5年の日に遡って消滅したものとみなされます(同条6項)。更新登録の申請をする者も登録料を分割して納付でき、前半分を申請と同時に、後半分を更新後の存続期間の満了前5年までに納付します(同条7項)。後半分には始期の定めがないので、「当該更新登録後の存続期間の満了前5年までであれば、いつでも納付することができる」という枝は正しいです。分割納付が認められるのは商標権の登録料だけで、防護標章登録に基づく権利の登録料(65条の7)にはこの仕組みがないので、「登録料を分割して納付することができない」という枝は正しいです。国際登録に基づく商標権には40条から43条までを適用しないので(68条の30第3項)、登録料に相当する個別手数料は「いかなる場合も分割して納付することができない」という枝も正しいです。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左から順に札「前期分割登録料の納付(査定の謄本の送達から30日以内)」「設定の登録」「満了前5年」「6月以内の追納(後期分割登録料+割増登
  • 前期分割登録料査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に納付します(41条の2第1項)。30日以内の延長と、期間内に納付できないときの納付が認められます(同条2項・3項・4項)
  • 後期分割登録料存続期間の満了前5年までに納付します。経過後6月以内は割増登録料とともに追納できます(同条5項・43条3項)
  • 追納もないとき満了前5年の日に遡って消滅したものとみなされます(同条6項)
  • 更新登録の分割納付前半分は申請と同時、後半分は更新後の存続期間の満了前5年までです(同条7項)
  • 分割納付がないもの防護標章登録に基づく権利の登録料(65条の7)と国際登録に基づく商標権の個別手数料(68条の30第3項)です

追納の期間を過ぎて消滅したものとみなされた商標権は、故意でなければ回復できますが、回復の登録前の第三者の行為には効力が及びません

41条の2第6項で消滅したものとみなされた商標権の原商標権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、後期分割登録料及び割増登録料を追納することができます(41条の3第1項)。ただし、追納できる期間内に故意に納付しなかったと認められる場合は回復できません(同項ただし書)。以前は正当な理由が必要でしたが、令和3年改正で故意でないことに緩められました。追納があったときは、その商標権は存続期間の満了前5年の日の前日の経過の時に遡って存続していたものとみなされます(同条2項)。遡って存続することにすると、消滅したと信じて商標を使い始めた第三者が突然侵害者になってしまうので、回復した商標権の効力は、追納できる期間の経過後から存続していたものとみなされた旨の登録がされる前までの、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用と37条各号に掲げる行為には及びません(41条の4第1項)。登録商標に類似する商標の使用は37条1号の行為なので、回復した商標権の効力はその期間の「当該登録商標に類似する商標の使用には、及ばない」という枝は正しいです。

商店街の店先の場面。先生が先生役(札「先生」)で店の前に立ち、店主の男性(札「第三者」)と話している。店の看板に「登録商標と同じ名前」と書かれた文字。先生の手には「商標原簿:後期分割登録料の追納により商標権が存続していたものとみなされた旨の

利害関係人は納付すべき者の意に反しても登録料を納付できますが、更新登録の申請と同時に納付すべき登録料は除かれます

利害関係人は、納付すべき者の意に反しても登録料を納付することができ(41条の5第1項)、納付すべき者が現に利益を受ける限度でその費用の償還を請求できます(同条2項)。通常使用権者のように商標権が残ることに利益を持つ者が、商標権者の納め忘れで権利を失うことを防ぐための規定で、平成27年改正で新設され、平成28年4月から施行されています。それより前の枝は、利害関係人による納付の規定がない前提で出ています。ただし、更新登録の申請と同時に納付すべき登録料は除かれています。更新登録の申請は商標権者がするもので(19条2項・20条)、申請と切り離して登録料だけを第三者が納めることはできないからです。「更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を納付することができる」という枝は誤りです。防護標章登録に基づく権利の登録料についても、利害関係人は意に反して納付することができ(65条の9)、納付があれば設定の登録がされるので、利害関係人が納付した場合は「防護標章登録に基づく権利の設定の登録はされない」という枝は誤りです。特許法110条は利害関係人その他の者が特許料を納付できるとし、更新の除外もありません。

特許庁の窓口の場面。先生が窓口の担当官役(札「特許庁」)でカウンターの内側に座っている。カウンターの外に通常使用権者の男性(札「利害関係人(通常使用権者)」)が立ち、「後期分割登録料」と書かれた封筒と「更新登録の申請と同時に納付すべき登録料

既納の登録料の返還は過誤納と、満了前5年までに取消決定又は無効審決が確定した場合の後期分割登録料に限られ、満了と後期分の不納による消滅は商標公報に載りません

既納の登録料は、過誤納の登録料(42条1項1号)と、満了前5年までに納付すべき登録料のうち、存続期間の満了前5年までに43条の3第2項の取消決定又は商標登録を無効にすべき旨の審決が確定した場合のもの(同項2号)に限り、納付した者の請求により返還します。後者は、後半の5年分を納めたのに権利が初めからなかったことになった場合で、納めた分を返さないと不公平だからです。「過誤納の登録料に限り、納付した者の請求により返還される」という枝は誤りで、分割納付した登録料でも「それが過誤納によるものであれば、納付した者の請求により、登録料は返還される」という枝は正しいです。返還の請求は、過誤納の登録料は納付した日から1年、2号の登録料は取消決定又は審決が確定した日から6月を経過した後はできません(同条2項)。商標権の消滅は商標公報に掲載しますが、存続期間の満了によるものと41条の2第6項の後期分割登録料の不納によるものは除かれます(75条2項4号)。どちらも商標原簿の記載から期日が分かる消滅だからです。「後期分割登録料の不納による商標権の消滅は、商標公報に掲載されない」という枝は正しく、更新登録の分割納付で後期分が納付されずに遡って消滅したものとみなされた場合に「当該商標権の消滅を、商標公報に掲載しなければならない」という枝は誤りです(41条の2第8項で準用する6項による消滅も75条2項4号で除かれるからです)。

商標法18条1項・2項

商標権は、設定の登録により発生する。
第四十条第一項の規定による登録料又は第四十一条の二第一項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする。

商標法41条の2第6項

前項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間内に後期分割登録料及び第四十三条第三項の規定により納付すべき割増登録料の納付がなかつたときは、その商標権は、存続期間の満了前五年の日に遡つて消滅したものとみなす。

商標法41条の4第1項

前条第二項の規定により回復した商標権の効力は、第四十一条の二第五項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間の経過後前条第二項の規定により商標権が存続していたものとみなされた旨の登録がされる前における次に掲げる行為には、及ばない。
一 当該指定商品又は指定役務についての当該登録商標の使用
二 第三十七条各号に掲げる行為

商標法41条の5第1項

利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料(更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を除く。)を納付することができる。

試験ではこう問われる

  1. 商標権は設定の登録により発生する(18条1項)。専用使用権の設定は登録が効力要件だが、通常使用権の登録は対抗要件。「専用使用権及び通常使用権の設定は、いずれも登録によりその効力を生じる」という枝は誤り
  2. 登録料は国に属する商標権には適用せず、国との共有は持分の定めがあるときだけ持分割合(40条3項・4項)。持分の定めがないのに「2分の1の額をその地方公共団体が納付すれば足りる」という枝は誤り
  3. 分割納付しても存続期間は10年(19条1項)。「設定登録の日から5年で満了するとみなされる」という枝は誤りで、「存続期間自体が短縮されるものではない」という枝は正しい
  4. 後期分割登録料は満了前5年までに納付し、経過後6月以内は割増登録料とともに追納できる(41条の2第5項・43条3項)。追納に「その責めに帰することができない理由を要する」という枝は誤り
  5. 更新登録の後期分割登録料は更新後の存続期間の満了前5年までなら「いつでも納付することができる」(41条の2第7項)。防護標章の登録料と国際登録に基づく商標権の個別手数料は分割納付できない
  6. 追納がなければ満了前5年の日に遡って消滅(41条の2第6項)。故意でなければ回復でき(41条の3)、回復した商標権の効力は回復の登録前の登録商標の使用と37条各号の行為には及ばない(41条の4)
  7. 利害関係人は意に反しても登録料を納付できるが(41条の5、平成27年改正で新設)、「更新登録の申請と同時に納付すべき登録料」は除かれる。防護標章の登録料も利害関係人が納付でき、納付があれば設定登録される(65条の9)
  8. 既納の登録料の返還は過誤納と、満了前5年までに取消決定・無効審決が確定した場合の後期分割登録料(42条1項)。「過誤納の登録料に限り」返還されるという枝は誤り。存続期間の満了と後期分の不納による消滅は商標公報に掲載されない(75条2項4号)

この用語が問われた枝

令和8年度 問37 枝ニ誤り

商標権は、設定の登録により発生し、また、専用使用権及び通常使用権の設定は、いずれも登録によりその効力を生じる。

令和8年度 問37 枝イ誤り

国と地方公共団体との共有に係る商標権であって持分の定めがないものについて、その存続期間の更新登録の申請をする場合、商標法第 40条第2項に規定される登録料の金額の2分の1の額をその地方公共団体が納付すれば足りる。

令和元年度 問38 枝ロ誤り

商標権の設定登録時に登録料が分割して納付された場合、商標権の存続期間は設定登録の日から5年で満了するとみなされる。

令和6年度 問37 枝ロ正しい

商標権の設定登録を受ける者が登録料を分割して納付する場合においても、商標権の存続期間は 10 年間であることに変わりがなく、存続期間自体が短縮されるものではない。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

商標を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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