国際実用新案登録出願の特例(実48条の3〜16)こくさいじつようしんあんとうろくしゅつがんのとくれい
国際実用新案登録出願の特例とは、国際出願日が認められ日本国を指定国に含む国際出願のうち実用新案登録出願に係るものを国際出願日にされた実用新案登録出願とみなし(実用新案法48条の3)、翻訳文・国内書面・登録料の提出、図面の提出、補正、実用新案技術評価の請求の時期などを国際出願の流れに合わせて読み替えた実用新案法48条の4から48条の16までの規定です。特許法184条の3以下と同じ骨組みですが、審査のない実用新案に合わせて国内処理の請求・登録料・技術評価の点が違います。
日本について実用新案の保護を求めた出願人は、日本では実用新案登録出願として国内段階に入ります。実用新案は無審査で登録され、図面が必ず要り、出願と同時に3年分の登録料を納め、権利行使の前に技術評価書が要るという特許にない仕組みを持っています。そこで実用新案法48条の3から48条の16までは、特許法184条の3以下の国内移行の骨組みを写したうえで、図面の提出、登録料の納付期限、技術評価の請求の時期、国内処理基準時の決め方を実用新案の流れに合わせて定めています。

日本について実用新案の保護を求めた国際出願は国際出願日にされた実用新案登録出願とみなされ、翻訳文と国内書面に加えて登録料を国内書面提出期間内に納め、国内処理基準時は国内処理の請求の時で決まります
48条の3第1項は、国際出願日が認められ日本国を指定国に含む国際出願のうち実用新案登録出願に係るものを、その国際出願日にされた実用新案登録出願とみなします。実用新案の保護を求めたものだけが対象です。現行の規則では、願書の提出で指定国で受けられる全ての種類の保護を求めたものとされ(規則4.9(a))、特許でなく実用新案として扱ってほしい出願人は国内移行の手続の際に特許庁にその旨を表示します(規則49の2.1(a))。外国語実用新案登録出願の翻訳文(48条の4)と国内書面(48条の5第1項)は特許法184条の4・184条の5と同じ形で、優先日から2年6月の国内書面提出期間と翻訳文提出特例期間、明細書等翻訳文の不提出による取下げ擬制も同じです。違いは、国内書面提出期間内に32条1項の登録料と54条2項の手数料を納めることが加わる点(48条の5第2項5号・6号)と、国内処理基準時の決め方です。実用新案には出願審査の請求がないので、48条の4第6項は、国内書面提出期間の満了時か、期間内に出願人がPCT23条(2)又は40条(2)の請求(国内処理の請求)をしたときはその時を国内処理基準時とします。国内処理の請求は、国内書面(外国語なら翻訳文も)を出し、登録料と手数料を納めた後でなければできません(48条の5第4項)。
国際出願日に図面を含まない国際実用新案登録出願は国内処理基準時の属する日までに図面を提出し、その提出は2条の2第1項の補正とみなされるだけで、出願日は動かず国際出願日に提出されたものともみなされません
実用新案登録出願には図面が必須ですが(5条2項)、PCTでは図面は必要な場合にだけ要求されるので、図面のない国際出願が日本に移行することがあります。48条の7第1項は、その出願人に国内処理基準時の属する日までに図面を特許庁長官に提出させ、提出がなければ長官が相当の期間を指定して提出を命じ(同条2項)、命令に応じなければ却下できます(同条3項)。図面の提出(図面に添えて簡単な説明を出したときはその説明も)は2条の2第1項の手続の補正とみなされ、同項ただし書の時期制限は適用されません(同条4項)。「図面に添えて当該図面の簡単な説明を提出することができ」、その提出が補正とみなされるという枝は正しいです。国際出願日はPCT11条で確定しているので、図面を後から出しても出願日は変わらず、「その国際実用新案登録出願の出願日は、当該図面を提出した日となる」という枝は誤りです。反対に、図面を国際出願日に提出されたものとみなす規定もないので、「この図面は、国際出願日において提出されたものとみなされる」という枝も誤りです。補正とみなされる以上、図面は国際出願日における明細書等の範囲内でなければならず、範囲外なら2条の2第2項違反として無効理由(37条1項1号)になります。

補正は国内書面・翻訳文・登録料・手数料の後にでき、PCT28条・41条の補正には出願の日からの時期制限がかからず、外国語実用新案登録出願の範囲は国際出願日における明細書等が基準です
48条の8第4項は特許法184条の12第1項を準用し、日本語実用新案登録出願は国内書面と登録料・手数料の後、外国語実用新案登録出願はそれに翻訳文の提出を加えた後でなければ補正できないとします。特許と違って国内処理基準時の経過は要りません。外国語実用新案登録出願について、書面と翻訳文を提出し「所定の手数料及び登録料を納付した後でなければ」補正できないという枝は正しいです。通常の実用新案登録出願では2条の2第1項ただし書により経済産業省令で定める期間を過ぎると明細書等の補正ができませんが、国際実用新案登録出願はその期間が過ぎてから国内段階に入るのが普通なので、48条の8第2項はPCT28条(1)・41条(1)に基づく補正にただし書を適用しないとします。したがって、「国際出願日から1月を経過した後は、願書に添付した明細書の補正をすることができる場合はない」という枝は誤りです。補正できる範囲は、外国語実用新案登録出願では2条の2第2項の「願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面」を国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面と読み替えます(48条の8第3項)。「国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」という枝は正しく、その範囲内にないことは48条の14により無効理由になります。国際段階の19条補正・34条補正の取り込みは48条の15第1項で特許法184条の7・184条の8を準用し、日本語実用新案登録出願は補正書の写しで補正がされたものとみなされます。外国語実用新案登録出願の19条補正は48条の4第2項・48条の6第3項により補正後の請求の範囲の翻訳文が実用新案登録請求の範囲とみなされる仕組みなので、「当該翻訳文により補正がされたものとみなされる」という枝は誤りです。
第1年から第3年までの登録料は出願と同時ではなく国内書面提出期間内(国内処理の請求をしたときはその時まで)に一時に納付し、実用新案技術評価の請求は国内処理基準時を経過した後に何人もでき、出願人にも例外はありません
32条1項は第1年から第3年までの登録料を実用新案登録出願と同時に一時に納付させますが、国際出願の時に日本の登録料は納められません。48条の12はこの「実用新案登録出願と同時」を国内書面提出期間内(国内処理の請求をした場合はその請求の時まで)と読み替えます。期間内であればよいので、「国内書面の提出と同時に一時に納付しなければならない」という枝は誤りです。32条3項により特許庁長官は納付すべき者の請求で30日以内を限り期間を延長できるので、「登録料を納付すべき者の請求により、この期間は延長することができる」という枝は正しいです。実用新案技術評価は12条1項により何人もいつでも請求できますが、国際実用新案登録出願は翻訳文や図面が揃う前に評価のしようがないため、48条の13は「何人も」を「国内処理基準時を経過した後、何人も」と読み替えます。「国内処理基準時を経過した後、何人も、特許庁長官に、実用新案技術評価を請求することができる」という枝は正しいです。この制限は出願人にもかかるので、出願人は「国内処理基準時を経過しなくても、特許庁長官に請求することができる」という枝は誤りで、国際実用新案登録出願について「何人もいつでも実用新案技術評価を請求することができる」という枝も誤りです。

国際特許出願との違い
| 国際特許出願(特許法184条の3以下) | 国際実用新案登録出願(実用新案法48条の3以下) | |
|---|---|---|
| 国内処理基準時 | 国内書面提出期間の満了時、期間内に出願審査の請求をすればその時(184条の4第6項) | 国内書面提出期間の満了時、期間内に国内処理の請求をすればその時(48条の4第6項) |
| 期間内に納めるもの | 手数料(195条2項) | 登録料(32条1項、第1年から第3年分)と手数料(54条2項) |
| 補正の時期 | 日本語は国内書面と手数料の後。外国語はそれに翻訳文と国内処理基準時の経過(184条の12第1項) | 日本語は国内書面と登録料・手数料の後。外国語はそれに翻訳文(48条の8第4項)。国内処理基準時の経過は不要 |
| 図面 | 出願時に無くてもよい | 国際出願日に含まれていなければ国内処理基準時の属する日までに提出(48条の7) |
| 審査・評価 | 出願人の出願審査の請求は国内書面・翻訳文・手数料の後(184条の17) | 技術評価の請求は国内処理基準時を経過した後、何人も(48条の13) |
3条の2の読替え、国内優先権の特例、特許出願への変更、在外者の特許管理人、受理官庁の拒否に対する決定の申出は特許法と同じ形で置かれています
48条の9は3条の2の他の出願が国際出願であるときに実用新案掲載公報の発行・出願公開に国際公開を加え、対比する書面を国際出願日における明細書等に読み替え、翻訳文の不提出で取り下げられたものとみなされた外国語の出願を除きます。48条の10第1項は国内優先権について8条1項ただし書・4項と9条2項を適用しないので、先の特許出願に仮専用実施権者がいても「当該仮専用実施権を有する者の承諾を得なくてよい」という枝は正しいです。48条の11は特許出願とみなされた国際出願を実用新案登録出願に変更するには特許法184条の5第1項の国内書面(外国語特許出願は翻訳文も)と手数料の後でなければならないとし、反対向きの変更は特許法184条の16が実用新案法48条の5第1項の国内書面と手数料の後と定めます。48条の15第2項は在外者の特許管理人の特例(特許法184条の11)を、同条3項は新規性喪失の例外の特例(特許法184条の14)を準用します。48条の16は受理官庁の拒否や取下げの宣言を受けた出願人が特許庁長官に決定を申し出る手続で、正当でない旨の決定があれば国際出願日となるべき日にされた実用新案登録出願とみなされます。
実用新案法48条の7第1項国際実用新案登録出願の出願人は、国際出願が国際出願日において図面を含んでいないものであるときは、国内処理基準時の属する日までに、図面を特許庁長官に提出しなければならない。
実用新案法48条の7第4項第一項の規定により又は第二項の規定による命令に基づいてされた図面の提出(図面に添えて当該図面の簡単な説明を提出したときは、当該図面及び当該説明の提出)は、第二条の二第一項の規定による手続の補正とみなす。この場合において、同項ただし書の規定は、適用しない。
実用新案法48条の8第2項国際実用新案登録出願についてする条約第二十八条(1)又は第四十一条(1)の規定に基づく補正については、第二条の二第一項ただし書の規定は、適用しない。
実用新案法48条の13国際実用新案登録出願に係る実用新案技術評価の請求については、第十二条第一項中「何人も」とあるのは、「第四十八条の四第六項に規定する国内処理基準時を経過した後、何人も」とする。
試験ではこう問われる
- 日本について実用新案の保護を求めた国際出願だけが国際実用新案登録出願になる(48条の3第1項)。保護の種類は国内移行の手続の際に表示する(規則49の2.1(a))。国内処理基準時は国内処理の請求の時(48条の4第6項)で、出願審査の請求ではない
- 図面を含まない国際出願は国内処理基準時の属する日までに図面を提出し、提出は2条の2第1項の補正とみなされる(48条の7第4項)。国際出願日に提出されたものとみなす規定も、出願日が図面の提出日になる規定もない
- 図面の提出がなければ長官が相当の期間を指定して命じ、応じなければ却下できる(48条の7第2項・3項)
- 補正は国内書面・翻訳文・登録料・手数料の後(48条の8第4項)。国内処理基準時の経過は要らない。PCT28条・41条の補正には2条の2第1項ただし書の時期制限がかからない(48条の8第2項)
- 外国語実用新案登録出願の補正の範囲は国際出願日における明細書等(48条の8第3項)。範囲外は無効理由(48条の14)。19条補正後の請求の範囲の翻訳文は実用新案登録請求の範囲とみなされるのであって、補正がされたものとみなすのは日本語出願の補正書の写し
- 第1年から第3年分の登録料は国内書面提出期間内(国内処理の請求をしたときはその時まで)に一時に納付(48条の12)。「国内書面の提出と同時」ではない。請求により30日以内で延長できる(32条3項)
- 技術評価の請求は国内処理基準時を経過した後、何人も(48条の13)。出願人にも例外はない
- 国内優先権で先の出願の仮専用実施権者の承諾は不要(48条の10第1項)。特許出願への変更は国内書面と手数料の後(特許法184条の16)
この用語が問われた枝
国際実用新案登録出願の出願人は、国際出願が国際出願日において図面を含んでいないものであるときは、国内処理基準時の属する日までに、図面を特許庁長官に提出しなければならないが、この図面は、国際出願日において提出されたものとみなされる。
国際実用新案登録出願について、国際出願が国際出願日において図面を含んでいないものであるとき、図面を特許庁長官に提出しなければならないが、図面に添えて当該図面の簡単な説明を提出することができ、当該図面及び当該説明の提出は、実用新案法第2条の2第1項の規定による手続の補正とみなされる。
国際実用新案登録出願は、国際出願日から1月を経過した後は、願書に添付した明細書の補正をすることができる場合はない。
外国語実用新案登録出願に係る明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をするときは、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。
この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。