1商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
この条文が問われた枝 3問
誤り。違うのは「当該地域団体商標に係る商標権に基づき差止請求権を行使することができる」の部分である。36条1項で差止請求ができるのは商標権者又は専用使用権者であり、組合等の構成員は31条の2第1項で登録商標の使用をする権利を有するにとどまる。
36条1項は、商標権者又は専用使用権者が、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。差止請求の主体は商標権者と専用使用権者に限られており、通常使用権者にも認められていない。地域団体商標の商標権者は7条の2第1項の組合等であり、その構成員である地域団体構成員は、31条の2第1項により、当該組合等の定めるところにより指定商品又は指定役務について地域団体商標に係る登録商標の使用をする権利を有するにすぎない。この権利は組合等の内部の定めに基づいて登録商標を使える地位であって、商標権そのものでも専用使用権でもないから、構成員が自己の名で商標権に基づく差止請求をすることはできない。侵害者を差し止めるには商標権者である組合等が36条1項の請求をすることになる。なお地域団体商標に係る商標権には30条1項ただし書で専用使用権を設定できないので、請求の主体は組合等に限られる。

商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
誤り。違うのは「独占的通常使用権者が差止請求権又は損害賠償請求権を行使できる場合はない」の部分である。36条1項の差止請求権は商標権者と専用使用権者に限られるが、損害賠償請求は民法709条の不法行為によるもので、独占的通常使用権者に固有の損害賠償請求を認めた裁判例がある。
36条1項は、商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。差止請求は登録によって公示された排他的な権利に基づく請求であるため、主体は商標権者と専用使用権者に限られ、許諾によって使用する権利を有するにとどまる通常使用権者は、他人に使用させない旨の特約があっても自ら差止めを請求することはできない。これに対し、損害賠償請求は商標法の規定ではなく民法709条の不法行為に基づく請求であり、法律上保護される利益を侵害されて損害を受けた者であれば請求できる。独占的通常使用権者は、商標権者との契約により登録商標を独占して使用できる地位を有しており、侵害者の使用によってその地位から得られる利益を害されるため、裁判例は固有の損害賠償請求を認めている。したがって、損害賠償請求権を行使できる場合はないとする枝は誤りである。

商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
| 請求 | 根拠 | できる者 |
|---|---|---|
| 差止請求 | 36条1項 | 商標権者と専用使用権者である。通常使用権者はできない |
| 損害賠償請求 | 民法709条 | 損害を受けた者である。独占的通常使用権者も固有の損害について請求できる |
| 損害額の推定 | 38条 | 商標権者と専用使用権者である |
誤り。違うのは「差止請求権を行使して当該行為の停止を請求することができる」の部分である。36条1項の差止請求は商標権の侵害に対するもので、登録商標を普通名称として辞書に掲載する行為は25条の使用にも37条の侵害とみなす行為にも当たらない。
25条は、商標権者は指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有すると定め、36条1項は、商標権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して侵害の停止又は予防を請求できるとする。商標権の侵害とは、権原のない者が指定商品又は指定役務について登録商標の使用をすること、又は37条各号の侵害とみなす行為をすることであり、ここでいう使用は2条3項に列挙された、商品若しくは役務に標章を付し、又は商品若しくは役務に関する広告や取引書類に付するなどの行為に限られる。辞書に登録商標を指定商品の普通名称として掲載する行為は、辞書の出版者が自己の商品や役務の出所を示すために標章を使用するものではなく、2条3項のどの号にも、37条各号にも当たらない。登録商標が普通名称化すれば26条1項2号により商標権の効力が及ばなくなるが、商標法はそれを防ぐために辞書への掲載を差し止める規定を置いていない。したがって、差止請求権を行使して掲載の停止を請求できるとする枝は誤りである。

商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。





































