1商標権は、設定の登録により発生する。
2第四十条第一項の規定による登録料又は第四十一条の二第一項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする。
3前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を商標公報に掲載しなければならない。
1 商標権者の氏名又は名称及び住所又は居所
2 商標登録出願の番号及び年月日
3 願書に記載した商標
4 指定商品又は指定役務
5 登録番号及び設定の登録の年月日
6 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
4特許庁長官は、前項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した商標公報(以下「商標掲載公報」という。)の発行の日から二月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならない。ただし、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件及び公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある書類又は物件であつて、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものについては、この限りでない。
5特許庁長官は、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件であつて、前項ただし書の規定により特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類又は物件を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
この条文が問われた枝 5問
誤り。違うのは「専用使用権及び通常使用権の設定は、いずれも登録によりその効力を生じる」の部分である。専用使用権の設定は登録が効力発生要件であるが、通常使用権は許諾により成立し、登録はその後の取得者に対する効力の要件にすぎない。
18条1項は「商標権は、設定の登録により発生する」と定め、30条4項で準用する特許法98条1項2号は専用使用権の設定を登録しなければその効力を生じないものとするので、商標権の発生と専用使用権の設定については枝のとおり登録が効力の要件である。専用使用権は商標権者をも排して使用を専有する強い権利であるから、公示を効力発生の条件にしたものである。これに対し31条1項は「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる」と定め、通常使用権は商標権者の許諾によって成立する。同条4項は「通常使用権は、その登録をしたときは、その商標権若しくは専用使用権又はその商標権についての専用使用権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる」とするが、これは登録を後の取得者に対する効力の要件とするものであって、登録がなければ通常使用権が生じないという意味ではない。

通常使用権は、その登録をしたときは、その商標権若しくは専用使用権又はその商標権についての専用使用権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。
| 専用使用権 | 通常使用権 | |
|---|---|---|
| 成立 | 設定行為と登録(登録が効力要件) | 許諾で成立する |
| 内容 | 設定行為の範囲内で登録商標の使用を専有する | 設定行為の範囲内で登録商標の使用をする権利を有する |
| 登録の意味 | 効力発生要件 | その後に商標権・専用使用権を取得した者への対抗要件(当然対抗なし) |
| 移転 | 商標権者の承諾か一般承継に限る | 商標権者(と専用使用権者)の承諾か一般承継に限る |
| 設定・許諾できない商標権 | 4条2項の商標権と地域団体商標 | 無い(令和元年改正で4条2項の商標権も許諾可) |
誤り。違うのは「登録料が納付されない限り、商標権の設定登録を受けることができない」の部分である。セントラルアタック後の再出願は、国際登録の日から10年以内に登録査定又は審決があれば、18条2項にかかわらず登録料の納付無しに設定の登録がされる(68条の35)。
68条の32第1項は、議定書6条(4)の規定により日本国を指定する国際登録が取り消されたときは、その名義人であった者が取り消された商品又は役務について商標登録出願をすることができると定め、68条の35は、この出願については「当該出願に係る国際登録の国際登録の日(国際登録の存続期間の更新がされているときは、直近の更新の日)から十年以内に商標登録をすべき旨の査定又は審決があつたときは、第十八条第二項の規定にかかわらず、商標権の設定の登録をする」と定める。名義人は個別手数料を納めて日本での保護を受けていたのに、本国の基礎出願等の失効という事情で国際登録を失ったにすぎない。そこで再出願について、もとの国際登録の存続期間に当たる10年以内に登録査定があれば、改めて登録料を納めさせずに設定の登録をすることにした。したがって登録料の納付は設定登録の要件ではなく、枝は通常の出願の18条2項をそのまま当てはめた点で誤りである。

第六十八条の三十二第一項又は第六十八条の三十三第一項の規定による商標登録出願については、当該出願に係る国際登録の国際登録の日(国際登録の存続期間の更新がされているときは、直近の更新の日)から十年以内に商標登録をすべき旨の査定又は審決があつたときは、第十八条第二項の規定にかかわらず、商標権の設定の登録をする。
| 通常の商標登録出願 | 旧国際登録に係る商標権の再出願 | |
|---|---|---|
| 15条1号・2号(登録要件・条約) | 適用する | 適用しない(68条の34第2項) |
| 15条3号(5条5項・6条) | 適用する | 適用する |
| 設定の登録 | 登録料の納付があったとき(18条2項) | 国際登録の日から10年以内に査定又は審決があれば登録料無しでされる(68条の35) |
| 存続期間 | 設定の登録の日から10年(19条1項) | 国際登録の日(更新があれば直近の更新の日)から10年(68条の36) |
| 登録異議の申立て | 商標掲載公報の発行の日から2月以内 | もとの登録について申立て無く期間が過ぎていれば対象にならない(68条の37) |
| 無効審判の除斥期間 | 設定の登録の日から5年 | もとの登録について請求できなくなっていれば請求できない(68条の39) |
正しい。18条4項が商標掲載公報の発行の日から2月間の縦覧を定め、同条5項が個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類で秘密保持の必要を認めないものを縦覧に供するときの通知を定めている。
18条4項は、特許庁長官は商標掲載公報の発行の日から2月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならないとし、ただし書で、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件と、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある書類又は物件であって特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものを除いている。登録異議の申立て(43条の2)が公報発行の日から2月間認められるため、その期間に合わせて出願書類を誰でも見られるようにし、異議の申立ての判断材料を与える仕組みである。同条5項は、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類のうち秘密保持の必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、提出した者にその旨及びその理由を通知しなければならないと定め、提出者に対応の機会を与えている。枝は4項と5項をそのまま述べており正しい。

特許庁長官は、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件であつて、前項ただし書の規定により特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類又は物件を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
正しい。18条4項は、商標掲載公報の発行の日から2月間、出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供することを特許庁長官に義務づけ、ただし書で、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類等で特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものを除く。
18条4項は、特許庁長官は、商標掲載公報の発行の日から二月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならないと定め、ただし書で、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件及び公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある書類又は物件であって、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものについてはこの限りでないとする。商標は出願公開の制度がなく、設定の登録の後に商標掲載公報で初めて公示されるので、公報の発行の日から2月以内に何人も申し立てられる登録異議の申立ての準備のために、その間だけ出願書類と附属物件を誰でも閲覧できるようにしたものである。枝は個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件の例外を述べており、条文のただし書はこれに加えて公序良俗を害するおそれがあるものも挙げているが、枝の内容は条文に含まれるので正しい。縦覧の期間が登録異議の申立ての期間と同じ2月である点は、43条の2と対応する。

特許庁長官は、前項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した商標公報(以下「商標掲載公報」という。)の発行の日から二月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならない。ただし、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件及び公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある書類又は物件であつて、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものについては、この限りでない。
正しい。商標権は設定の登録により発生するから(18条1項)、設定の登録があるまでは商標権による保護を受けることができない。
18条1項は、商標権は設定の登録により発生すると定め、同条2項は、商標登録をすべき旨の査定又は審決があった出願について登録料の納付があったときに商標権の設定の登録をすると定める。商標法は、出願された商標を特許庁が審査し、登録要件を満たすものに商標権を設定するという国家の行政処分を媒介として商標を保護する仕組みをとっており、権利の内容と範囲を商標原簿に公示することで取引の安全を確保している。使用の事実と周知性等に基づいて裁判所が個別に保護の可否を判断する不正競争防止法と違い、商標法の保護は登録という処分を経て初めて働くのである。したがって、設定の登録があった後でなければ商標権による保護を受けられないとする枝は正しい。出願中の商標に金銭的請求権(13条の2)が認められるのも、商標権そのものの効力ではなく、設定の登録を条件に行使できる別の権利である。

商標権は、設定の登録により発生する。
















































































