この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
この条文が問われた枝 13問
正しい。四法の目的規定のうち需要者の利益の保護を掲げるのは商標法1条だけである。
商標法1条は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とすると定める。特許法1条・実用新案法1条・意匠法1条は、いずれも発明・考案・意匠の保護及び利用を図ることにより創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とするにとどまり、需要者には触れない。特許法等が創作そのものを保護するのに対し、商標法は商標に化体した業務上の信用を保護する法であり、その信用は商標を頼りに商品や役務を選ぶ需要者の側にも利益をもたらすから、商標法だけが需要者の利益を目的として併記しているのである。したがって、条文上「需要者の利益」を規定するのは商標法のみであるとする枝は正しい。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
- 商標を保護することにより:手段である。特許法1条の「発明の保護及び利用を図ることにより」と違い、「利用」を掲げない
- 商標の使用をする者の業務上の信用の維持:直接の目的である。信用は商標そのものではなく、商標を使い続けた者の業務に積み上がる
- もつて産業の発達に寄与:四法に共通する究極の目的である
- あわせて需要者の利益を保護:商標法だけが掲げる目的である
正しい。商標の保護は、同じ商標の付いた商品・役務が同じ出所から同じ品質・質で提供されるという同一性を確保するものであり、品質や質が優れていることまで保証するものではない。
商標法1条は、商標を保護することにより商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを目的とする。商標に化体する信用は、その商標を付した商品や役務が一定の出所から提供され、したがって一定の品質又は質を備えているという需要者の期待の積み重ねであり、商標法が守るのはこの出所表示と品質保証の働きである。品質保証機能といっても、保証されるのは同じ出所から同じ水準で出てくるという同一性であって、その水準が高いことではない。商標登録の要件に商品の品質の優秀さは含まれず(3条・4条)、品質が劣っていても登録や権利の効力に影響しないことからも、商標法が品質の優劣に立ち入らないことが分かる。したがって「商標を保護すること」が品質又は質が優れたものであることまで確保する意味ではないとする枝は正しい。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
- 自他商品・役務の識別機能:すべての機能の土台である
- 出所表示機能:同じ商標の商品・役務は同じ出所から提供されることを示す
- 品質保証機能:同じ出所から同じ品質・質で提供されるという同一性を保証する。品質の優秀さは保証しない
- 広告機能:商標が需要者の購買意欲を引き出す働きである
正しい。商標権は設定の登録により発生するから(18条1項)、設定の登録があるまでは商標権による保護を受けることができない。
18条1項は、商標権は設定の登録により発生すると定め、同条2項は、商標登録をすべき旨の査定又は審決があった出願について登録料の納付があったときに商標権の設定の登録をすると定める。商標法は、出願された商標を特許庁が審査し、登録要件を満たすものに商標権を設定するという国家の行政処分を媒介として商標を保護する仕組みをとっており、権利の内容と範囲を商標原簿に公示することで取引の安全を確保している。使用の事実と周知性等に基づいて裁判所が個別に保護の可否を判断する不正競争防止法と違い、商標法の保護は登録という処分を経て初めて働くのである。したがって、設定の登録があった後でなければ商標権による保護を受けられないとする枝は正しい。出願中の商標に金銭的請求権(13条の2)が認められるのも、商標権そのものの効力ではなく、設定の登録を条件に行使できる別の権利である。

商標権は、設定の登録により発生する。
正しい。商標法も不正競争防止法も、紛らわしい商標の使用による混同という不正な行為に対する法規であり、業務上の信用の維持という目的を共有する。
商標法1条は、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを直接の目的に掲げる。不正競争防止法1条は、事業者間の公正な競争を確保するため不正競争の防止等の措置を講じることを目的とし、同法2条1項1号・2号は他人の周知・著名な商品等表示と同一又は類似の表示を使用して混同を生じさせる行為などを不正競争として差止めや損害賠償の対象にする。他人の商標と紛らわしい商標を不正な競業者が使って出所の混同を生じさせる行為は、商標を使用する者が積み上げた業務上の信用を奪うものであり、両法はこの不正な行為を排除する法規として並存している。商標法が商標権という登録に基づく権利で、不正競争防止法が使用の事実と周知性等に基づく行為規制で守るという仕組みの違いはあるが、業務上の信用を維持するという目的は共通であるから、枝は正しい。

この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
| 観点 | 商標法 | 不正競争防止法 |
|---|---|---|
| 目的 | 業務上の信用の維持と需要者の利益の保護である | 事業者の営業上の利益と業務上の信用の維持が共通する |
| 保護の仕組み | 特許庁の審査を経た商標権の設定登録という行政処分を媒介する | 登録を要さず、周知性・混同のおそれなどを裁判所が個別に判断する |
| 保護の始まり | 設定の登録により商標権が発生する(18条1項) | 使用の事実と周知性等が備わった時から保護される |
正しい。2条1項の定義には識別力の要件がなく、業として商品・役務を扱う者が標章を使用すれば商標に当たるが、1条・2条1項・3条等の趣旨を総合すれば商標の本質的機能は自他商品・役務の識別である。
2条1項は、商標を、標章であって業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの、又は業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするものと定義する。ここには識別力の要件は置かれておらず、定義の上では標章を商品・役務について使用をしさえすれば商標である。しかし1条は商標の使用をする者の業務上の信用の維持と需要者の利益の保護を目的に掲げ、3条1項は普通名称や記述的な標章など需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標を登録から除いている。業務上の信用が商標に積み上がり、需要者がそれを頼りに商品や役務を選べるのは、商標が他人の商品・役務と区別する目印として働くからであり、これらの規定を総合すれば、商標は自他商品・役務の識別を本質的機能とし、出所表示、品質保証、広告の各機能はその上に成り立つ。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
誤り。違うのは「あわせて需要者を保護することを目的とする」の部分である。1条の結びは「需要者の利益を保護すること」であり、「の利益」が欠けている。
商標法1条は、この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とすると定める。商標法が守る対象はまず商標の使用をする者が積み上げた業務上の信用であり、需要者はその信用を頼りに商品や役務を選ぶので、出所の混同を防ぐことで需要者の側に生じる利益が反射的に守られる。条文はこの関係を「需要者の利益」と表して、需要者そのものを保護の客体とは書いていない。枝は「商標を保護することにより」から「産業の発達に寄与し」までは条文どおりであるが、結びを「需要者を保護する」として「の利益」を落としており、文言と一致しない。条文の文言そのものを問う設問であるから、一語の欠落でも誤りになる。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
- 商標を保護することにより:手段である。特許法1条の「発明の保護及び利用を図ることにより」と違い、「利用」を掲げない
- 商標の使用をする者の業務上の信用の維持:直接の目的である。信用は商標そのものではなく、商標を使い続けた者の業務に積み上がる
- もつて産業の発達に寄与:四法に共通する究極の目的である
- あわせて需要者の利益を保護:商標法だけが掲げる目的である。「需要者」や「取引者」に入れ替えた文は条文と一致しない
誤り。違うのは「商標の保護及び利用を図ることにより」の部分である。1条の冒頭は「商標を保護することにより」であり、「利用」は掲げられていない。
商標法1条は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とすると定める。特許法1条・実用新案法1条・意匠法1条はいずれも「保護及び利用を図ることにより」と定め、創作を公開して第三者に利用させることも産業の発達に寄与する道筋として掲げる。これに対して商標は創作ではなく選択物であり、商標法が守るのは商標そのものの価値ではなく商標の使用を通じて蓄積された業務上の信用であるから、第三者による「利用」を目的に掲げる理由がなく、「商標を保護することにより」とだけ定めている。枝は結びの「需要者の利益を保護する」は条文どおりであるが、冒頭を「商標の保護及び利用を図ることにより」としており、条文の文言と一致しない。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
誤り。違うのは「商標の保護及び利用を図ることにより」と「あわせて需要者を保護する」の部分である。1条は「商標を保護することにより」と定め、結びは「需要者の利益」である。
商標法1条は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とすると定める。特許法1条が「発明の保護及び利用を図ることにより」と定めるのは、発明という技術的思想を公開させて第三者に利用させることが産業の発達につながるからであり、公開の代償として独占権を与える仕組みを前提にしている。商標には技術の公開という契機がなく、保護すべきものは商標に化体した業務上の信用であるから、商標法1条は「利用」を掲げず「商標を保護することにより」とだけ定める。枝は冒頭を「商標の保護及び利用を図ることにより」と特許法の形に寄せ、結びも「需要者を保護する」として「の利益」を落としており、二か所で条文と異なる。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
正しい。商標法1条の文言と一字一句一致しており、冒頭は「商標を保護することにより」、結びは「あわせて需要者の利益を保護すること」である。
商標法1条は、この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とすると定める。手段は商標の保護であり、特許法1条のような「利用」は掲げない。直接の目的は商標の使用をする者の業務上の信用の維持であり、信用は商標そのものではなく商標を使い続けた者の業務に積み上がる。究極の目的である産業の発達への寄与は四法に共通するが、「あわせて需要者の利益を保護する」という結びは商標法だけが掲げるものであり、商標の出所表示の働きを通じて需要者が同じ出所の商品や役務を選べることの利益を指す。枝はこの文言をそのまま再現しており、他の枝のように「利用」を加えたり「の利益」を落としたり「取引者」に置き換えたりしていない。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
誤り。違うのは「あわせて取引者を保護することを目的とする」の部分である。1条が掲げるのは「需要者の利益」であり、「取引者」の語は条文にない。
商標法1条は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とすると定める。商標が出所表示の働きをすることで、最終消費者も中間の取引者も、商標を手がかりに同じ出所の商品や役務を選ぶことができ、その選択の利益が守られる。条文はこの利益を受ける者をまとめて「需要者」と表現しており、4条1項10号や15号の「需要者の間に広く認識」「混同を生ずるおそれ」も同じ語で統一されている。需要者には取引者も含まれると解されているが、設問は条文の文言を問うものであり、枝は結びを「取引者を保護する」と置き換えているので、「需要者の利益」という文言と一致しない。

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。








































































