何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
1 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたこと。
2 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたこと。
3 その特許が条約に違反してされたこと。
4 その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたこと。
5 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと。
この条文が問われた枝 18問
誤り。違うのは「当該理由で特許異議の申立てをすることはできない」の部分である。特許が条約に違反してされたことは、113条3号により特許異議の申立ての理由でもある。
113条は、何人も特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り、特許が同条各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができると定め、3号にその特許が条約に違反してされたことを挙げる。条約違反は特許の成立そのものの瑕疵であり、123条1項3号の無効理由であると同時に、特許庁が自ら見直すべき公益的な理由として申立ての理由にも含められている。特許異議の申立ての理由から外れているのは、冒認や共同出願違反のように特許を受ける権利の帰属をめぐる私益的な理由、訂正要件違反、後発的に条約に違反することとなった場合などであり、特許の時点での条約違反はその外にない。したがって、条約違反を理由に無効審判は請求できるが申立てはできないとする枝はずれており、どちらの手続でも争える。

その特許が条約に違反してされたこと。
- 1号:17条の2第3項の要件を満たしていない補正(新規事項の追加)をした特許出願に対してされたことである。外国語書面出願は除かれ、5号で受ける
- 2号:25条、29条、29条の2、32条又は39条1項から4項までに違反してされたことである
- 3号:条約に違反してされたことである
- 4号:36条4項1号又は6項(4号を除く)を満たしていない特許出願に対してされたことである
- 5号:外国語書面出願に係る特許の明細書等に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないことである
- 含まれない理由:冒認、共同出願違反、訂正要件違反、後発的な権利享有の喪失や条約違反は無効審判でしか争えない
誤り。違うのは「申立期間が経過しなければ、審理を開始することができない」の部分である。申立期間の経過前に審理を開始することを禁じる規定は特許法にない。
113条は、特許異議の申立てを特許掲載公報の発行の日から6月以内に限ると定めるが、これは申立てができる期間を区切る規定であって、合議体がいつから審理を始められるかを定めたものではない。114条1項により申立てについての審理及び決定は3人又は5人の審判官の合議体が行い、審理の開始時期を申立期間の経過後に限る条文は置かれていない。むしろ115条2項ただし書は、申立書の申立ての理由等の補正ができる期限を、113条の期間が経過する時又は120条の5第1項の取消理由の通知がある時のいずれか早い時までと定めており、申立期間の経過前に取消理由の通知がされる場合、すなわち期間内に審理が進む場合を法が予定している。複数の申立てをまとめて審理する便宜から期間の経過を待つことはあっても、法律上の制約ではない。したがって、申立期間が経過しなければ審理を開始できないとする枝はずれている。

前項の規定により提出した特許異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、第百十三条に規定する期間が経過する時又は第百二十条の五第一項の規定による通知がある時のいずれか早い時までにした前項第三号に掲げる事項についてする補正は、この限りでない。
誤り。違うのは「全ての請求項に係る特許権は、初めから存在しなかったものとみなされる」の部分である。特許異議の申立てと取消決定は請求項ごとにされ、取消決定が確定した請求項に係る特許権だけが初めから存在しなかったものとみなされる。
113条後段は、二以上の請求項に係る特許については請求項ごとに特許異議の申立てをすることができると定め、185条は、二以上の請求項に係る特許又は特許権については114条3項の適用において請求項ごとに特許がされ又は特許権があるものとみなしている。請求項ごとに独立した特許があるのと同じに扱う以上、114条2項の取消決定も請求項ごとにされ、同条3項により初めから存在しなかったものとみなされる特許権も、取消決定が確定した請求項に係るものに限られる。全ての請求項に申立てがされても、合議体が一部の請求項についてだけ113条各号に該当すると認めれば、その請求項について取消決定をし、残りの請求項については維持決定をするのであり、取消決定の確定が他の請求項の特許権に及ぶことはない。枝は一部の請求項の取消決定の確定で全ての請求項の特許権が失われるとしており、請求項ごとの扱いとずれている。

何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
誤り。違うのは「当該理由に該当するに至った時から存在しなかったものとみなされる場合がある」の部分である。114条3項は取消決定の確定により特許権は初めから存在しなかったものとみなすと定めるだけで、例外はない。
114条3項は、取消決定が確定したときはその特許権は初めから存在しなかったものとみなすと定める。特許異議の申立ての理由は113条各号に限られ、いずれも新規事項の追加、特許要件の違反、条約違反、記載要件の違反、外国語書面との不一致といった特許の成立時点の瑕疵である。特許の後に権利を享有できない者になったことや条約に違反することとなったことのような後発的な理由は113条に含まれておらず、申立てでは争えない。125条ただし書が、123条1項7号の後発的無効理由で無効審決が確定したときは特許権がその理由に該当するに至った時から存在しなかったものとみなすと定めているのは、無効審判にその理由があるからである。特許異議の申立てには後発的な理由がない以上、遡及の時点を分ける必要がなく、114条3項にただし書は置かれていない。枝は125条ただし書の仕組みを取消決定に持ち込んでおり、ずれている。

取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。
| 効果 | 例外 | |
|---|---|---|
| 取消決定の確定(114条3項) | 特許権は初めから存在しなかったものとみなす | ない。113条に後発的な理由が含まれないためである |
| 無効審決の確定(125条) | 特許権は初めから存在しなかったものとみなす | 123条1項7号の後発的無効理由のときは、該当するに至った時から存在しなかったものとみなす |
正しい。特許異議申立書は申立期間の定めがある書類であり、省令で定める信書便の役務により提出したときは、通信日付印により表示された日時が明瞭であればその日時に特許庁に到達したものとみなされる(19条)。
19条は、提出の期間が定められている願書その他の書類を郵便又は省令で定める信書便の役務により提出した場合、郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、日のみが明瞭で時刻が明瞭でないときは表示された日の午後12時に、特許庁に到達したものとみなすと定める。期間内に差し出したのに配達の遅れで期間を徒過することがないよう、到達主義の例外として発信の日時を基準にする規定である。平成14年の信書便法により民間事業者の信書便が認められたことを受け、日本郵便株式会社の郵便だけでなく、一般信書便事業者又は特定信書便事業者の提供する信書便のうち省令で定めるものも対象に加えられた。特許異議申立書は113条1項により特許掲載公報の発行の日から6月以内という提出の期間が定められている書類であるから、信書便物で提出すれば通信日付印の日時に到達したものとみなされる場合がある。

願書又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているものを郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号。以下この条において「信書便法」という。)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)の役務であつて経済産業省令で定めるものにより提出した場合において、その願書又は物件を日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、その郵便物又は信書便法第二条第三項に規定する信書便物(以下この条において「信書便物」という。)の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。
- 対象:提出の期間が定められている願書・書類・物件を、郵便又は省令で定める信書便の役務により提出した場合である
- 郵便物の受領証で差出日時を証明したとき:その日時に到達したものとみなす
- 通信日付印の日時が明瞭なとき:その日時に到達したものとみなす
- 日のみ明瞭で時刻が不明なとき:表示された日の午後12時に到達したものとみなす
- 期間の定めがない書類や窓口への持参・オンライン手続には適用がなく、実際の到達の時が基準である
誤り。違うのは「その訂正が実質上特許請求の範囲を変更するものであることを理由として特許異議の申立てをすることができる場合がある」の部分である。訂正要件の違反は113条各号に掲げられておらず、特許異議の申立ての理由にならない。
113条は、特許異議の申立ての理由を各号に限定して列挙しており、1号の新規事項を追加する補正、2号の25条・29条・29条の2・32条・39条1項から4項までの違反、3号の条約違反、4号の36条4項1号又は6項(4号を除く)の記載要件違反、5号の外国語書面出願の原文新規事項だけである。訂正が126条6項に違反して実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものであることは、123条1項8号で特許無効審判の無効理由とされているが、113条各号には挙げられていない。特許異議の申立ては、特許付与の段階での審査の誤りを公衆の協力で早期に正す制度であるため、理由は特許要件に関わる公益的なものに絞られ、訂正審判の審決という特許後の手続の瑕疵は無効審判で争わせるという切り分けである。したがって申立期間の経過前であっても、訂正要件の違反を理由とする特許異議の申立てはできない。

何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
- 1号:17条の2第3項の要件を満たしていない補正(新規事項の追加)をした特許出願に対してされたこと。外国語書面出願は除かれ、5号で受ける
- 2号:25条、29条、29条の2、32条又は39条1項から4項までに違反してされたこと
- 3号:条約に違反してされたこと
- 4号:36条4項1号又は6項(4号を除く)の要件を満たしていない特許出願に対してされたこと
- 5号:外国語書面出願に係る特許の明細書等に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと
- 含まれない理由:冒認、共同出願違反、訂正要件違反、後発的な権利享有の喪失や条約違反は無効審判でしか争えない
誤り。違うのは「特許異議申立人の氏名又は名称の記載を省略して、「匿名」と表記することができる」の部分である。115条1項1号は特許異議申立書に申立人の氏名又は名称及び住所又は居所を記載しなければならないと定めており、匿名を認める規定はない。
115条1項は、特許異議の申立てをする者は、特許異議申立人及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所、申立てに係る特許の表示、申立ての理由及び必要な証拠の表示を記載した特許異議申立書を特許庁長官に提出しなければならないと定める。113条で何人も申し立てることができるとされているのは、利害関係の有無を問わないという意味であり、申立人が誰であるかを明らかにしなくてよいという意味ではない。申立人は120条の5第5項の意見書の提出や決定の謄本の送達を受ける手続上の主体であり、手数料の納付義務も負うから、その氏名又は名称と住所又は居所は特定されていなければならない。実務上は自己の名を出したくない者が別の者の名義で申し立てることはあるが、それは名義人が申立人になるというだけで、氏名の記載を省略して匿名と表記することを認めたものではない。本枝は条文にない省略を認めている点で誤っている。

特許異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した特許異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。
誤り。違うのは「特許権の設定の登録の日から6月以内に限る旨の規定がある」の部分である。113条の期間は特許掲載公報の発行の日から6月以内であり、起算点は設定の登録の日ではない。
113条柱書は、何人も、特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り、特許庁長官に、特許が各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができると定める。特許異議の申立ては、広く第三者に特許の内容を見てもらい、瑕疵のある特許を早期に取り消して権利を安定させる制度であるから、第三者が特許の内容を知ることができる特許掲載公報の発行を起算点にしなければ意味がない。設定の登録は特許庁の内部の手続であり、登録の日と公報の発行の日との間には時間差があるため、設定の登録の日を起算点にすると第三者が内容を知る前に期間が走り出すことになる。特許法には設定の登録の日から6月以内とする規定はなく、本枝はこの起算点を取り違えている。なお66条3項の特許掲載公報は設定の登録があったときに発行される。

何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
- 誰が:特許異議の申立ては何人もできる。特許無効審判は利害関係人に限られる
- いつまで:特許異議の申立ては特許掲載公報の発行の日から6月以内である。特許無効審判は特許権の消滅後も請求できる
- 理由:特許異議の申立ては113条各号で、冒認・共同出願違反・訂正要件違反は含まない。特許無効審判は123条1項各号である
- 審理の方式:特許異議の申立ては書面審理である。特許無効審判は口頭審理が原則である
- 不服:維持決定には不服を申し立てられない。審決にはどちらも審決取消訴訟を提起できる
正しい。38条違反は123条1項2号の無効理由に掲げられているが、113条各号の特許異議の申立ての理由には掲げられていない。
123条1項2号は、特許が25条、29条、29条の2、32条、38条又は39条1項から4項までの規定に違反してされたときを無効理由とし、38条違反については74条1項の請求に基づく移転の登録があったときを除くとする。一方113条2号は、特許が25条、29条、29条の2、32条又は39条1項から4項までの規定に違反してされたことを申立ての理由とし、38条を列挙していない。共同出願違反や冒認は、本来の権利者が誰かという私人間の権利の帰属に関わる事由であり、何人も申し立てられる公衆審査の手続で取り上げるのは適当でないため、特許を受ける権利を有する者に限って無効審判で争わせることにしたものである(123条2項)。同じ理由で冒認(123条1項6号)も申立ての理由から外れている。本枝はこの違いをそのまま述べている。

その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
- 共同出願違反(38条):123条1項2号。74条1項の移転の登録があれば除かれる
- 冒認(特許を受ける権利を有しない者の出願):123条1項6号。74条1項の移転の登録があれば除かれる
- 後発的な権利享有の喪失・条約違反:123条1項7号
- 訂正要件違反:123条1項8号
- どちらにも含まれないもの:発明の単一性(37条)、補正の要件のうち17条の2第4項〜6項、36条6項4号
誤り。違うのは「6月が経過した後に、申立ての理由について要旨を変更する補正をすることができる場合がある」の部分である。申立ての理由の要旨変更が許されるのは、113条の期間の経過か取消理由通知のいずれか早い時までに限られる(115条2項)。
115条2項は、特許異議申立書の補正はその要旨を変更するものであってはならないと定め、ただし書で、113条に規定する期間が経過する時又は120条の5第1項の規定による通知がある時のいずれか早い時までにした申立ての理由及び必要な証拠の表示についてする補正に限って要旨変更を許す。113条の期間は特許掲載公報の発行の日から6月であるから、その期間内であれば新たな理由や証拠を追加できるが、期間が経過した後は、取消理由の通知の有無にかかわらず要旨変更の補正はできない。申立期間を6月に区切った趣旨は、特許権の安定を早期に確保することにあり、期間経過後に理由の追加を認めればその趣旨が崩れるため、要旨変更の補正を申立期間の内側に閉じ込めている。本枝は、6月経過後にも要旨変更ができる場合があるとしているが、ただし書の「いずれか早い時まで」という構造からそのような場合は生じない点が条文と食い違う。

前項の規定により提出した特許異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、第百十三条に規定する期間が経過する時又は第百二十条の五第一項の規定による通知がある時のいずれか早い時までにした前項第三号に掲げる事項についてする補正は、この限りでない。
誤り。違うのは「そのことを理由として特許異議の申立てをすることができる」の部分である。113条各号に冒認出願は掲げられておらず、特許を受ける権利を有しない者の出願に対する特許は無効審判でしか争えない。
113条1項は、何人も特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り、特許が同項各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができると定め、各号には新規事項の追加、25条・29条・29条の2・32条・39条1項から4項までの違反、条約違反、記載要件違反、外国語書面出願の原文新規事項を挙げる。これに対し、特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたことは123条1項6号の無効理由であって、113条には置かれていない。特許異議の申立ては何人もできる公衆審査の制度であるから、その理由は公報を見れば誰でも判断できる公益的な特許要件に限られ、誰が真の権利者かという私人の間の権利の帰属の問題は、同条2項で特許を受ける権利を有する者だけが請求できる無効審判と、74条の移転請求に委ねられている。したがって冒認を理由とする特許異議の申立てはできず、本枝は誤りである。

何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
- 1号:17条の2第3項の要件を満たしていない補正(新規事項の追加)をした特許出願に対してされたことである。外国語書面出願は除かれ、5号で受ける
- 2号:25条(外国人の権利の享有)、29条、29条の2、32条又は39条1項から4項までに違反してされたことである
- 3号:条約に違反してされたことである
- 4号:36条4項1号(実施可能要件)又は6項(4号の簡潔性を除く記載要件)を満たしていない特許出願に対してされたことである
- 5号:外国語書面出願に係る特許の明細書等に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないことである
- 含まれない理由:冒認(123条1項6号)、共同出願違反(同項2号のうち38条)、訂正要件違反(同項8号)、後発的な権利享有の喪失や条約違反(同項7号)は無効審判でしか争えない
誤り。違うのは「特許異議申立期間が経過する時まではいつでも」の部分である。要旨を変更する補正ができるのは、113条の期間が経過する時又は120条の5第1項の通知がある時のいずれか早い時までである。
115条2項は、特許異議申立書の補正はその要旨を変更するものであってはならないと定めたうえで、ただし書で、113条に規定する期間が経過する時又は120条の5第1項の規定による通知がある時のいずれか早い時までにした申立ての理由及び必要な証拠の表示についての補正はこの限りでないとする。申立ての期間内なら申立てをし直せるから理由の差し替えも認める一方、審判長が取消しの理由を通知して特許権者に意見書と訂正の請求の機会を与えた後に理由を入れ替えられると、特許権者の防御が空振りになり審理も振り出しに戻るため、通知があればその時点で要旨の変更を締め切る趣旨である。したがって、申立期間が残っていても、先に取消理由の通知があれば要旨を変更する補正はできない。枝は、申立期間の経過までは通知の有無にかかわらずいつでもできるとする点で、ただし書の「いずれか早い時まで」とずれている。

前項の規定により提出した特許異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、第百十三条に規定する期間が経過する時又は第百二十条の五第一項の規定による通知がある時のいずれか早い時までにした前項第三号に掲げる事項についてする補正は、この限りでない。
誤り。違うのは「特許権の設定の登録の日から6月以内に限る旨の規定がある」の部分である。113条は特許掲載公報の発行の日から6月以内に限ると定めており、起算点は設定の登録の日ではない。
113条は、何人も、特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り、特許庁長官に、特許が各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができると定める。特許異議の申立ては、特許公報を見た第三者からの情報によって特許庁が自らの審査をやり直す制度であるから、第三者が特許の内容を知ることができるようになる時点、すなわち特許掲載公報の発行の日を起算点にしなければ申立ての機会を実質的に保障できない。特許権は66条1項により設定の登録で発生し、公報の発行はその後になるので、設定の登録の日を起算点にすると公報が出る前に期間が進んでしまう。6月という長さは同じでも、起算点を設定の登録の日と定めた規定は特許法にはない。したがって、設定の登録の日から6月以内に限る旨の規定があるとする枝は誤りである。特許無効審判は特許権の消滅後でも請求できる点で、期間を限った異議の申立てと対照をなす。

何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
正しい。113条4号は36条6項の要件違反を特許異議の申立ての理由とするが、かっこ書で4号(経済産業省令で定めるところによる記載)を除いており、3号(請求項ごとの記載が簡潔であること)は除かれていない。
113条4号は、その特許が36条4項1号又は6項(4号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたことを特許異議の申立ての理由とする。36条6項は特許請求の範囲の記載要件として、1号のサポート要件、2号の明確性、3号の請求項ごとの記載の簡潔性、4号のその他経済産業省令で定めるところによる記載を並べるが、4号の委任省令要件は請求項の記載形式を整えるための要件であり、違反があっても権利範囲の公示に実質的な支障を生まないから、特許後に権利を覆す理由からは外された。これに対し3号の簡潔性は、記載が冗長で第三者が権利範囲を読み取りにくくなることを防ぐ要件であり、1号・2号と並んで特許後も問える。したがって6項4号の違反を理由とする申立てはできないが、6項3号の違反を理由とする申立てはできるという枝は、113条4号のかっこ書のとおりである。123条1項4号の無効理由も同じく4号を除く。

その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたこと。
| 要件 | 拒絶理由(49条4号) | 異議・無効理由(113条4号・123条1項4号) |
|---|---|---|
| 36条4項1号 実施可能要件 | なる | なる |
| 36条4項2号 先行技術文献開示 | 48条の7の通知を経てなる | ならない |
| 36条6項1〜3号 サポート・明確性・簡潔性 | なる | なる |
| 36条6項4号 委任省令要件 | なる | ならない |
| 37条 発明の単一性 | なる | ならない |
正しい。114条3項は、取消決定が確定したときはその特許権は初めから存在しなかったものとみなすと定め、無効審判の125条ただし書のような後発的理由の例外はない。
114条3項は、取消決定が確定したときは、その特許権は初めから存在しなかったものとみなすと定める。特許異議の申立ての理由は113条各号に限られ、1号の新規事項の追加、2号の25条・29条・29条の2・32条・39条違反、3号の条約違反、4号の記載要件違反、5号の外国語書面出願の原文の範囲外の記載は、いずれも特許がされた時点で既に存在していた瑕疵である。特許は本来与えられるべきでなかったのであるから、取消しの効果を特許権の発生の時まで遡らせるのが筋であり、理由によって遡及の有無を分ける必要がない。これに対して125条ただし書は、特許が後発的に123条1項7号に該当するに至った場合にはその時から存在しなかったものとみなすが、この後発的理由は異議の申立ての理由に含まれていないため、特許異議の申立てには同様のただし書が置かれていない。本枝は、取消しの理由のいかんにかかわらず遡及すると述べており、条文のとおりである。

取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。
- 1号:17条の2第3項の要件を満たしていない補正(新規事項の追加)をした特許出願に対してされたことである。外国語書面出願は除かれ、5号で受ける
- 2号:25条、29条、29条の2、32条又は39条1項から4項までに違反してされたことである
- 3号:条約に違反してされたことである
- 4号:36条4項1号又は6項(4号を除く)の要件を満たしていない特許出願に対してされたことである
- 5号:外国語書面出願に係る特許の明細書等に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないことである
- 含まれない理由:冒認・共同出願違反(123条1項6号・2号の38条)、訂正要件違反(同8号)、後発的理由(同7号)である
正しい。113条1号は、17条の2第3項の要件を満たしていない補正を理由とする特許異議の申立てから外国語書面出願をかっこ書で除いており、同条5号も外国語書面に記載した事項の範囲内にある限り当たらないから、翻訳文の範囲を超えることだけを理由に取消決定がされることはない。
17条の2第3項は、誤訳訂正書を提出してする場合を除き、補正は願書に最初に添付した明細書等の範囲内でしなければならないと定め、外国語書面出願ではその基準を外国語書面の翻訳文に置く。この要件に反する補正は49条1号の拒絶理由であり、113条1号でも特許異議の申立ての理由になるが、同号は「外国語書面出願を除く。」とかっこ書で外している。外国語書面出願で特許の後に問われるのは、113条5号のとおり明細書等に記載した事項が外国語書面の範囲内にあるかどうかであり、原文の範囲に収まっている以上は同号にも当たらない。出願時の開示である外国語書面の範囲を超えていなければ第三者の予測を裏切らず、翻訳文の範囲を超える瑕疵は審査で拒絶理由として扱えば足りるという理屈である。したがって枝のとおり、翻訳文の範囲を超えることだけを理由に取消決定がされることはない。123条1項1号・5号の無効理由も同じ組立てである。

その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたこと。
| 補正の瑕疵 | 拒絶理由(49条) | 特許異議の申立て(113条) | 無効理由(123条1項) |
|---|---|---|---|
| 通常の出願で願書に最初に添付した明細書等の範囲を超えた補正 | 1号で拒絶理由である | 1号で申立ての理由である | 1号で無効理由である |
| 外国語書面出願で翻訳文の範囲を超えた補正(17条の2第3項) | 1号で拒絶理由である | 1号のかっこ書で除かれる | 1号のかっこ書で除かれる |
| 外国語書面出願で外国語書面の範囲を超えた記載 | 6号で拒絶理由である | 5号で申立ての理由である | 5号で無効理由である |































































