1特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
この条文が問われた枝 12問
誤り。違うのは「その侵害の行為に供した設備の除却を求めることはできない」の部分である。差止請求に際しては、侵害の行為により生じた物の廃棄のほか、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求できる(100条2項)。
100条1項は、特許権者又は専用実施権者は自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定め、2項は、その請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができると定める。同項のかっこ書は、物を生産する方法の特許発明にあっては侵害の行為により生じた物を含むとしており、方法の特許でも生産された物の廃棄を求められる。差止めの判決が出ても、侵害品や専用の設備が手元に残っていれば侵害を再開するのは容易であるから、停止や予防を実効あるものにするために物の除去まで認めたという理屈である。したがって物を生産する方法の発明の特許権者は、生じた物の廃棄に加えて、侵害の行為に供した設備の除却も請求できる。枝は廃棄だけを認めて除却を否定しており、2項の列挙とずれる。

特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
正しい。37条1項は差止請求の主体を意匠権者又は専用実施権者と並べており、実施の範囲や地域に制限を設けずに専用実施権を設定した意匠権者も差止請求権を失わない。
37条1項は、「意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」と定める。23条ただし書により専用実施権を設定した範囲では意匠権者自身は実施をする権利を専有しなくなるが、意匠権そのものは意匠権者に残り、第三者の無断実施は専用実施権の侵害であると同時に意匠権の侵害である。同じ構造の特許法100条1項について判例(最判平成17年6月17日)は、文言上制限の根拠がなく、特許権者にも実施料収入の確保などの利益があるとして差止請求権を認めており、37条1項も同じ文言で意匠権者と専用実施権者を並べている。甲が範囲や地域を限らずに乙に専用実施権を設定していても、丙の侵害行為に対して甲は意匠権者として差止めを請求できる。枝はその場合に甲が差止請求権を行使できるとしており、条文と判例の趣旨に沿っている。

意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求できる者:意匠権者又は専用実施権者である。通常実施権者は含まれない
- 専用実施権を設定した意匠権者:差止請求権を失わない(特許法100条1項についての最判平成17年6月17日の趣旨)
- 相手方:侵害する者又は侵害するおそれがある者で、故意・過失は要らない
- 秘密意匠の制限(3項):特許庁長官の証明を受けた書面を提示して警告した後でなければ請求できない
正しい。100条2項は、差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができると定める。
100条1項は、特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定め、同条2項は、その請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができると定める。侵害の停止を命じられても侵害品や専用の製造設備が手元に残っていれば侵害が繰り返されるおそれがあるため、差止めの実効性を保つ付随的な請求として認めたものである。2項の請求は1項の差止請求に際してするものであり、単独では請求できない点が条文の構造である。物を生産する方法の特許発明では、侵害の行為により生じた物も廃棄の対象に含まれる(同項かっこ書)。枝は100条2項をそのまま述べている。

特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
誤り。違うのは「被告が自己に過失がないことを主張立証すれば、原告の請求は棄却される」の部分である。100条1項の差止請求は侵害の事実があれば足り、故意・過失を要件としない。
100条1項は、特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。この請求権は、侵害者の主観を問わず、現に侵害があるか侵害のおそれがあるという客観的な状態を止めさせるためのものであり、条文にも故意又は過失は要件として挙げられていない。過失が問題になるのは民法709条の損害賠償請求であり、特許法はそこでも103条で侵害者に過失があったものと推定して特許権者の立証を軽くしている。したがって侵害の停止を求める訴訟で、被告が自己に過失がないことを主張立証しても、侵害の事実が認められる限り請求は認容される。本枝は損害賠償の要件である過失を差止請求に持ち込んでおり、100条1項の構造と食い違う。

特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
| 差止請求(100条) | 損害賠償請求(民法709条) | |
|---|---|---|
| 主観的要件 | 不要。侵害又は侵害のおそれがあれば足りる | 故意又は過失が要る。103条で過失を推定 |
| 対象 | 現在の侵害と将来の侵害のおそれ | 過去の侵害による損害 |
| 付随する請求 | 侵害組成物の廃棄・設備の除却等(100条2項) | 損害額の推定(102条)・信用回復措置(106条) |
正しい。101条4号は、方法の発明について業としてその方法の使用にのみ用いる物を生産・譲渡等する行為を侵害とみなし、5号と違って行為者が用途を知っていることを要件にしていない。
101条4号は、特許が方法の発明についてされている場合において、業としてその方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為を特許権を侵害するものとみなすと定める。合金Aは特許イの方法にのみ用いられる物であり、乙は業としてこれを製造して販売しているから、乙の行為は4号の侵害とみなす行為にあたる。5号は、方法の使用に用いる物であって課題の解決に不可欠なものについて、その発明が特許発明であること及びその物が発明の実施に用いられることを知りながら行うことを要件にしているが、これは他の用途もある物を扱う者まで広く侵害者にしないための絞りである。これに対し特許発明の実施以外に使い道のない物を作って売る行為は、それ自体が特許発明の実施を招くほかに意味を持たないから、4号は主観を問わない。乙が合金Aの用途を知らなかったとしても侵害とみなされる以上、甲は100条1項により製造の差止めを請求できる。

特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
| 対象 | 物の発明 | 方法の発明 | 主観 |
|---|---|---|---|
| にのみ用いる物の生産・譲渡等・輸入・譲渡等の申出 | 1号 | 4号 | 問わない |
| 課題の解決に不可欠な物(広く一般に流通する物を除く)の生産・譲渡等・輸入・譲渡等の申出 | 2号 | 5号 | 特許発明であること及び実施に用いられることを知りながら |
| 譲渡等又は輸出のための所持 | 3号 | 6号(物を生産する方法) | 問わない |
誤り。違うのは「甲は、丁に対して製品Bの在庫の廃棄を請求することができない」の部分である。物を生産する方法の発明ではその方法により生産した物の譲渡も実施であり、100条2項は侵害の行為により生じた物の廃棄を請求できると定める。
2条3項3号は、物を生産する方法の発明の実施に、その方法の使用のほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為を含める。特許イは合金Aを用いて製品Bを製造する方法の発明であるから、丙が特許イの方法で製造した製品Bを業として販売する丁の行為は、丁自身が方法を使っていなくても特許イの実施にあたり、実施権を持たない丁は特許権を侵害している。100条2項は、特許権者は差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄を請求することができると定め、かっこ書で物を生産する方法の特許発明にあっては侵害の行為により生じた物を含むと明記する。方法の発明では侵害の行為を組成した物が観念しにくいので、その方法で生産された物を廃棄の対象に取り込んだものである。丁が持つ製品Bの在庫は特許イの方法により生じた物であり、販売の差止めとともにその廃棄を請求できる。

特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
誤り。違うのは「甲は、丁に対して当該製品Bの輸入の差止を請求することができない」の部分である。2条3項3号は物を生産する方法の発明の実施にその方法により生産した物の輸入を含めており、生産地が外国であっても輸入は国内での実施にあたる。
2条3項3号は、物を生産する方法の発明にあっては、その方法の使用をする行為のほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為を実施と定める。特許権の効力は日本国内の行為にしか及ばないから、丙が外国で特許イの方法を使って製品Bを製造する行為自体は甲の特許権を侵害しない。しかし条文は「その方法により生産した物」とだけ定め、生産が国内で行われたことを要件にしていない。外国で特許方法により作られた物の輸入を自由にすれば、方法の特許は国外に生産を移すだけで容易に迂回され、国内の特許権者の市場が奪われるので、生産地を問わず輸入の時点で国内での実施として捕捉する仕組みになっている。丁は業として製品Bを輸入して国内で販売しており、その輸入は特許イの実施であるから、実施権を持たない丁に対して甲は100条1項により輸入の差止めを請求できる。

物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
- 物の発明(プログラム等を含む):生産・使用・譲渡等・輸出・輸入・譲渡等の申出である
- 方法の発明:その方法の使用だけである
- 物を生産する方法の発明:方法の使用に加え、その方法により生産した物の使用・譲渡等・輸出・輸入・譲渡等の申出である。生産地は問わない
誤り。違うのは「差止請求権の行使をすることができない」の部分である。100条1項は特許権者の差止請求を専用実施権の設定で制限しておらず、特許権者は全部の範囲に専用実施権を設定した後も差止請求権を行使できる。
100条1項は、特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定め、特許権者の請求について専用実施権を設定した場合の除外を置いていない。68条ただし書により、専用実施権者が実施を専有する範囲では特許権者自身は実施できなくなるが、特許権そのものは特許権者に残っており、第三者の無断実施は専用実施権の侵害であると同時に特許権の侵害でもある。最高裁も、特許権者は専用実施権を設定したときであっても当該特許権に基づく差止請求権を行使することができると判断している(最判平成17年6月17日)。専用実施権が消滅すれば特許権者は再び実施できる地位にあり、その間も侵害を放置させる理由はないからである。枝は、全部の範囲に専用実施権を設定した甲が差止請求権を行使できないとする点で、100条1項の文言とずれている。

特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
誤り。違うのは「製造していることだけを立証すれば、その侵害者に対し、当該侵害品の譲渡や輸出の差止が必ず認められる」の部分である。100条1項の差止請求は、停止又は予防を求める行為について侵害又は侵害のおそれがあることを要件とする。
100条1項は、特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。特許発明の実施は2条3項1号により生産、使用、譲渡等、輸出、輸入、譲渡等の申出のそれぞれが独立した行為であり、差止めは行為ごとに、現にその行為による侵害があるか、又はそのおそれがあることを前提に認められる。製造を立証すれば生産の差止めは認められるが、譲渡や輸出の差止めを求めるには、譲渡や輸出が現に行われているか、少なくともそのおそれがあることを特許権者が立証する必要がある。製造の事実から譲渡や輸出のおそれが推認されることは多いとしても、立証の対象が別である以上、製造だけを立証すれば必ず認められるとは言えない。差止めに故意過失は要らないが、侵害又はそのおそれという要件は外れない。

特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
誤り。違うのは「いずれの請求においても、当該特許権を侵害したことについての被告の故意又は過失を立証する必要がある」の部分である。100条の差止請求は侵害者の故意又は過失を要件としない。
100条1項は、特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定め、相手方の主観については何も求めていない。特許権は独占権であるから、侵害が続いている状態そのものを止めることに意味があり、相手が知らずに実施していたとしても止めさせる必要があるからである。これに対し損害賠償は民法709条の不法行為に基づくもので、故意又は過失が要件になるが、特許法103条が他人の特許権を侵害した者はその侵害の行為について過失があったものと推定すると定めているので、原告が過失を立証する必要はなく、被告が無過失を立証しなければならない。したがって差止請求では故意又は過失そのものが要件にならず、損害賠償請求でも原告の側に立証の負担はないので、いずれの請求でも原告が立証を要するとする本枝は二重に誤っている。

特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
| 請求 | 根拠 | 故意・過失 |
|---|---|---|
| 差止請求 | 特許法100条1項 | 要件ではない。侵害するおそれがある者にも請求できる |
| 損害賠償請求 | 民法709条 | 要件である。ただし特許法103条で過失が推定され、被告が無過失を立証する |
正しい。100条2項は、差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができると定めている。
100条2項は、特許権者又は専用実施権者は、1項の差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができると定める。製造販売の停止を命じただけでは、侵害品の在庫や専用の製造設備が残っている限り侵害が再開されるおそれが消えないので、停止や予防の実効を確保するために、物の廃棄と設備の除却まで請求できるようにしたものである。本枝は製造販売の停止という1項の差止請求に併せて設備の除却を求める場面であり、まさに2項の定めるところである。この廃棄や除却の請求は1項の請求をするに際してする付随的なものであるから、差止請求と切り離して除却だけを単独で求めることはできない。なお物を生産する方法の特許発明では、侵害の行為により生じた物も組成した物に含まれ、廃棄の対象になる。

特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
正しい。100条1項は、特許権者又は専用実施権者が、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求できると定める。
100条1項は、特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。現に侵害している者には侵害の停止を、まだ侵害していないが侵害するおそれがある者には侵害の予防を求めることができ、差止請求の相手方は現在の侵害者に限られない。特許権は業として特許発明の実施を専有する権利であり、侵害品の製造設備が整い販売の準備が進んでいるような場合に、実際に侵害が始まるまで手を出せないとすれば権利の保護が後手に回るので、おそれの段階で予防を請求できるようにしたものである。差止めには故意や過失は要らず、この点で103条の過失の推定を介して故意又は過失を要する損害賠償と異なる。同条2項では、請求に際して侵害の行為を組成した物の廃棄や設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為も請求できる。

特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求できる者:特許権者又は専用実施権者である。通常実施権者は請求できない
- 相手方:侵害する者(停止の請求)と侵害するおそれがある者(予防の請求)である
- 付随する請求(2項):侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為である
- 主観的要件:故意・過失は要らない。損害賠償には故意又は過失が要り、103条で過失が推定される




















































































































