1特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第一項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。
2出願公開は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。ただし、第四号から第六号までに掲げる事項については、当該事項を特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるときは、この限りでない。
1 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2 特許出願の番号及び年月日
3 発明者の氏名及び住所又は居所
4 願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
5 願書に添付した要約書に記載した事項
6 外国語書面出願にあつては、外国語書面及び外国語要約書面に記載した事項
7 出願公開の番号及び年月日
8 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
3特許庁長官は、願書に添付した要約書の記載が第三十六条第七項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、前項第五号の要約書に記載した事項に代えて、自ら作成した事項を特許公報に掲載することができる。
この条文が問われた枝 7問
正しい。出願公開がされていない特許出願について特許掲載公報に要約書の事項を掲載するときは、64条3項が準用され、必要があると認めるときは自ら作成した事項に代えて掲載できる(66条3項5号・4項)。
66条3項は、特許権の設定の登録があったときは各号の事項を特許公報に掲載しなければならないと定め、5号に願書に添付した要約書に記載した事項を挙げるが、ただし書で、その特許出願について出願公開がされているときは5号の事項はこの限りでないとする。出願公開の際に64条2項5号で要約書の事項が既に掲載されているため、二度掲載する必要がないからである。逆に出願公開前に設定の登録がされた場合には特許掲載公報で初めて要約書の事項が公衆に示されるので、同条4項は、64条3項の規定を3項5号の要約書に記載した事項を掲載する場合に準用する。64条3項は、特許庁長官は、要約書の記載が36条7項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、要約書に記載した事項に代えて自ら作成した事項を特許公報に掲載することができると定める。要約書は技術情報の検索に使われるものであるから、出願人の記載が不適切なときに特許庁長官が差し替えられるようにしており、本枝はこの準用の場面をそのまま述べている。

第六十四条第三項の規定は、前項の規定により同項第五号の要約書に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。
誤り。違うのは「出願公開前に当該出願が取り下げられたときは、出願公開されることはない」の部分である。出願公開の請求がされた出願は、取下げの時点で公開の準備が進んでいれば公開される場合がある。
64条1項は、特許庁長官は特許出願の日から1年6月を経過したときは特許掲載公報の発行をしたものを除きその特許出願について出願公開をしなければならないとし、出願公開の請求があったときも同様とすると定める。出願公開は特許庁に係属している出願の内容を公衆に知らせる制度なので、公開前に取り下げられた出願は原則として公開されず、公開請求も64条の2第2項により取り下げることができないだけで、出願自体の取下げを妨げるものではない。しかし特許庁の公報に関する案内では、出願公開の準備が進んで中止できない段階に至っている場合や出願公開の請求がされている場合には、取下げの後でも公開公報が発行されることがあるとされており、65条5項が出願公開の後に取り下げられた出願を前提にしているのも、取下げと公開が前後しうることを示している。公開の請求がされているときに公開が一切されないと言い切る枝は、この運用とずれている。

特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第一項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。
誤り。違うのは「出願A及びBのいずれについても、出願公開されることはない」の部分である。出願Bの出願公開の時期は先の出願Aの日から1年6月で数えるので、出願Bが出願Bの日から1年4月で取り下げたものとみなされる前に出願公開される場合がある。
42条1項は、国内優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から経済産業省令で定める期間(1年4月)を経過した時に取り下げたものとみなすと定める。出願Aは出願Bの基礎とされたので出願Aの日から1年4月で取り下げたものとみなされ、出願公開の1年6月より前に消えるので公開されない。出願Bも出願Cの基礎とされたので出願Bの日から1年4月で取り下げたものとみなされるが、64条1項の出願公開の起算日である特許出願の日は、36条の2第2項のかっこ書により、国内優先権の主張を伴う出願では先の出願の日と読む。出願Bの公開は出願Aの日から1年6月の経過時であり、出願Bが出願Aの日から2月を超えて後にされていれば、出願Bの日から1年4月の取下げ擬制より先に公開の時期が来るので、出願Bは出願公開される。

特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第一項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。
正しい。36条の2第5項により、通知後の省令で定める期間内にも外国語書面の翻訳文が提出されなければ、出願は翻訳文の提出期間の経過の時に取り下げられたものとみなされ、特許庁に係属しない出願は出願公開されない。出題当時は救済の要件が「正当な理由」であった(令和3年改正前)。
36条の2第2項は、外国語書面出願の出願人は出願の日から1年4月以内に外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出しなければならないと定め、3項で提出がなかったときは特許庁長官が通知し、4項で通知を受けた者は省令で定める期間内に限り翻訳文を提出できるとし、5項で、その期間内に外国語書面(図面を除く)の翻訳文の提出がなかったときは、その特許出願は2項本文の期間の経過の時に取り下げられたものとみなすと定める。38条の2第1項の出願日の認定は、外国語書面を明細書とみなして願書の提出日を出願日とする手続であって、翻訳文が無いまま出願を維持する効果まではない。64条1項の出願公開は特許庁に係属している出願についてされるから、取り下げられたものとみなされた出願が公開されることはない。6項は故意でなければ省令で定める期間内に翻訳文を提出できるとするが、枝は救済が働かない前提であるから、出願公開はされない。

前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
正しい。出願審査の請求は48条の3第1項により特許出願の日から3年以内にできるのに対し、優先権の主張を伴う出願の出願公開は優先日から1年6月で行われるから、公開から2年後でも3年の期間内である場合がある。
48条の3第1項は、特許出願があったときは何人もその日から3年以内に出願審査の請求をすることができると定め、64条1項は、特許庁長官は特許出願の日から1年6月を経過したときは出願公開をしなければならないと定める。通常は公開から1年6月後に審査請求の期限が来るが、パリ条約や41条の優先権の主張を伴う出願では、出願公開は優先日から1年6月で行われる。36条の2第2項や43条2項が翻訳文や優先権証明書類等の提出期限を優先日から1年4月としているのは、この公開の時期に合わせたものである。一方、審査請求の3年の期間は41条2項にも挙げられておらず、優先日ではなく現実の特許出願の日から数える。最初の出願から12月後に優先権を主張して出願すれば、出願公開は出願から6月後に行われ、審査請求はその後2年6月までできるので、公開から2年後に請求できる場合がある。

特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。
- 請求できる者:何人も請求できる(1項)
- 期間:特許出願の日から3年以内である。優先日からではない(1項)
- 分割・変更・実用新案登録に基づく特許出願:3年の経過後でも、その出願の日から30日以内に限り請求できる(2項)
- 請求がないとき:出願は取り下げたものとみなされる(4項)。故意でなければ省令で定める期間内に請求できる(5項)
誤り。違うのは「その特許出願人が特許出願を取り下げたとしても、その特許出願は必ず出願公開される」の部分である。64条1項の出願公開は特許庁に係属している特許出願についてするものであり、取り下げられた出願は公開の準備が終わっていた場合を除いて公開されない。
64条1項は、特許庁長官は特許出願の日から1年6月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならず、64条の2第1項の出願公開の請求があったときも同様とすると定める。出願公開は補償金請求権と引き換えに出願の内容を開示する制度であり、対象は特許庁に係属している出願である。出願が取り下げられればその出願は係属を失い、公開によって出願人に与える補償金請求権も生じないので、公開の対象から外れる。出願公開の請求は取り下げることができない(64条の2第2項)が、それは請求を撤回できないという意味であって、出願そのものの取下げを妨げるものではない。ただし特許庁で公開の準備が終わった後に取り下げられた出願は、事務上公開されることがある。したがって請求の後に取り下げられた出願が「必ず」公開されるとはいえず、枝は誤りである。

特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第一項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。
- 請求できる者:特許出願人である。共同出願では全員でする(14条)
- 請求できない場合:既に出願公開されているとき、パリ条約の優先権の主張を伴う出願で優先権証明書類等が提出されていないとき、外国語書面出願で翻訳文が提出されていないとき(1項各号)
- 取下げ:出願公開の請求は取り下げることができない(2項)
- 出願の取下げ:公開前に取り下げられた出願は原則として公開されないが、公開の準備が終わった後は公開されることがある
誤り。違うのは「出願Bを出願した日から1年6月を経過したとき」の部分である。国内優先権の主張を伴う特許出願の出願公開は、先の出願Aの日から1年6月を経過したときに行われる。
64条1項は、特許庁長官は特許出願の日から1年6月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならないと定める。この「特許出願の日」は36条の2第2項のかっこ書で定義され、41条1項の優先権の主張を伴う特許出願にあっては先の出願の日とし、同かっこ書は64条1項においても同じとする。国内優先権を主張すると先の出願Aは42条1項により1年4月で取り下げたものとみなされ公開されないから、出願Bの公開を出願Bの日から数えると、発明イが第三者に知られる時期が優先権を使わない場合より後ろにずれてしまう。先の出願の日を基準にすれば、優先権を主張してもしなくても発明イは同じ時期に公開され、第三者の予測可能性が保たれる。本枝は公開の起算日を出願Bの日としている点が条文と食い違う。

特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第一項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。
- 国内優先権の主張を伴う特許出願:先の出願の日
- パリ条約による優先権の主張を伴う特許出願:最初の出願の日(4条C(4)でみなされた出願・4条A(2)で認められた出願を含む)
- 二以上の優先権の主張を伴う特許出願:基礎とした出願の日のうち最先の日
- この定義は外国語書面の翻訳文の提出期間(1年4月)と出願公開の時期(1年6月、64条1項)に共通して使われる














