二以上の請求項に係る特許又は特許権についての第二十七条第一項第一号、第六十五条第五項(第百八十四条の十第二項において準用する場合を含む。)、第八十条第一項、第九十七条第一項、第九十八条第一項第一号、第百十一条第一項第二号、第百十四条第三項(第百七十四条第一項において準用する場合を含む。)、第百二十三条第三項、第百二十五条、第百二十六条第八項(第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、第百二十八条(第百二十条の五第九項及び第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、第百三十二条第一項(第百七十四条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条、第百七十六条若しくは第百九十三条第二項第五号又は実用新案法第二十条第一項の規定の適用については、請求項ごとに特許がされ、又は特許権があるものとみなす。
この条文が問われた枝 5問
誤り。違うのは「当該審決において無効とされた全ての請求項を対象としなければならない」の部分である。請求項ごとに請求された無効審判の審決は請求項ごとに確定するから、訴えも請求項ごとに提起できる。
123条1項後段は、二以上の請求項に係る特許については請求項ごとに特許無効審判を請求することができると定め、167条の2第1項3号は、請求項ごとに審判の請求がされた場合には審決は当該請求項ごとに確定すると定める。185条も、二以上の請求項に係る特許又は特許権については123条3項、125条などの適用において請求項ごとに特許がされ又は特許権があるものとみなしている。請求項ごとに独立した特許があるのと同じに扱う以上、無効とすべき旨の審決も請求項ごとに独立した審決の集まりであり、178条1項の審決に対する訴えも、特許権者が争いたい請求項に係る部分だけを対象として提起することができる。訴えの対象から外した請求項についての審決は、出訴期間の経過により先に確定する。したがって、無効とされた全ての請求項を訴えの対象としなければならないとする枝はずれている。

審決は、審判事件ごとに確定する。ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。
- 原則:審決は審判事件ごとに確定する
- 請求項ごとに無効審判が請求され、一群の請求項ごとに訂正の請求がされた場合:当該一群の請求項ごとに確定する(1号)
- 一群の請求項ごとに訂正審判が請求された場合:当該一群の請求項ごとに確定する(2号)
- 請求項ごとに審判が請求され、1号に当たらない場合:当該請求項ごとに確定する(3号)
- 取消判決が一群の請求項の一部について確定したとき:審判官はその他の請求項についての審決も取り消す(181条2項後段)
誤り。違うのは「全ての請求項に係る特許権は、初めから存在しなかったものとみなされる」の部分である。特許異議の申立てと取消決定は請求項ごとにされ、取消決定が確定した請求項に係る特許権だけが初めから存在しなかったものとみなされる。
113条後段は、二以上の請求項に係る特許については請求項ごとに特許異議の申立てをすることができると定め、185条は、二以上の請求項に係る特許又は特許権については114条3項の適用において請求項ごとに特許がされ又は特許権があるものとみなしている。請求項ごとに独立した特許があるのと同じに扱う以上、114条2項の取消決定も請求項ごとにされ、同条3項により初めから存在しなかったものとみなされる特許権も、取消決定が確定した請求項に係るものに限られる。全ての請求項に申立てがされても、合議体が一部の請求項についてだけ113条各号に該当すると認めれば、その請求項について取消決定をし、残りの請求項については維持決定をするのであり、取消決定の確定が他の請求項の特許権に及ぶことはない。枝は一部の請求項の取消決定の確定で全ての請求項の特許権が失われるとしており、請求項ごとの扱いとずれている。

何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
正しい。二以上の請求項に係る特許の取消決定は、185条により請求項ごとに特許があるものとみなして扱われるから、特許権者は取り消された請求項に係る部分に対して訴えを提起できる。
114条2項は、特許異議の申立てに係る特許が113条各号のいずれかに該当すると認めるときは取消決定をすると定め、113条柱書後段は二以上の請求項に係る特許については請求項ごとに特許異議の申立てをすることができるとする。185条は、取消決定の確定の効果を定める114条3項などの規定の適用について、請求項ごとに特許がされ又は特許権があるものとみなす。申立ても確定の効果も請求項ごとに扱われる以上、結論である決定も請求項ごとに観念され、一部の請求項だけを取り消しその余を維持する決定ができる。この決定は、取り消された請求項については取消決定であり、178条1項の取消決定に対する訴えの対象になるから、特許権者はその部分だけを東京高等裁判所に訴えることができる。他方で維持された部分は特許を維持すべき旨の決定であり、114条5項により不服を申し立てることができない。枝は特許権者が取り消す部分に対して訴えを提起できるとしており、条文のとおりである。

二以上の請求項に係る特許又は特許権についての第二十七条第一項第一号、第六十五条第五項(第百八十四条の十第二項において準用する場合を含む。)、第八十条第一項、第九十七条第一項、第九十八条第一項第一号、第百十一条第一項第二号、第百十四条第三項(第百七十四条第一項において準用する場合を含む。)、第百二十三条第三項、第百二十五条、第百二十六条第八項(第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、第百二十八条(第百二十条の五第九項及び第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、第百三十二条第一項(第百七十四条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条、第百七十六条若しくは第百九十三条第二項第五号又は実用新案法第二十条第一項の規定の適用については、請求項ごとに特許がされ、又は特許権があるものとみなす。
誤り。違うのは「甲は乙の承諾を得たとしても、請求項1に係る特許権のみを放棄することはできない」の部分である。97条1項の適用については請求項ごとに特許権があるものとみなされるので(185条)、専用実施権者である乙の承諾を得れば請求項1に係る特許権だけを放棄できる。出題当時は通常実施権者の承諾も要件であった(令和3年改正前)。
97条1項は、特許権者は専用実施権者又は質権者があるときはこれらの者の承諾を得た場合に限りその特許権を放棄することができると定め、185条は、二以上の請求項に係る特許権についての97条1項の規定の適用については請求項ごとに特許権があるものとみなすと定める。請求項ごとに別の発明が特許されているので、権利の処分や消滅の場面では請求項を単位として扱うほうが実態に合い、185条が列挙する規定についてその扱いを明文にしている。放棄がその一つであるから、請求項1に係る特許権だけを放棄することは制度上できる。放棄に専用実施権者の承諾を要求するのは、放棄によって専用実施権が消滅して実施者の地位が失われるのを防ぐためであり、乙がそれを承諾しているなら請求項1だけの放棄を妨げる理由はない。したがって、乙の承諾を得ても請求項1のみを放棄できないとする枝は誤りである。

特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。
正しい。126条8項ただし書は特許無効審判により無効にされた後の訂正審判を禁じるが、185条により請求項ごとに特許があるものとみなされるので、無効とされなかった請求項については訂正審判を請求できる。
126条8項は、訂正審判は特許権の消滅後においても請求することができると定め、ただし書で、特許が取消決定により取り消され、又は特許無効審判により無効にされた後はこの限りでないとする。無効にされた特許は125条により初めから存在しなかったものとみなされ、訂正する対象がなくなるからである。そして185条は、二以上の請求項に係る特許については、126条8項の適用について請求項ごとに特許がされたものとみなすと定める。したがって一部の請求項に係る特許を無効にすべき旨の審決が確定しても、無効にされたのはその請求項に係る特許だけであり、無効とされなかった他の請求項に係る特許は依然として存在する。これらの請求項については126条8項ただし書の無効にされた後に当たらず、特許権者は訂正審判を請求して特許請求の範囲の減縮などをすることができる。

訂正審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。ただし、特許が取消決定により取り消され、又は特許無効審判により無効にされた後は、この限りでない。















