1取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
3第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
4前項の期間は、不変期間とする。
5審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。
6審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。
この条文が問われた枝 25問
誤り。違うのは「当該審決において無効とされた全ての請求項を対象としなければならない」の部分である。請求項ごとに請求された無効審判の審決は請求項ごとに確定するから、訴えも請求項ごとに提起できる。
123条1項後段は、二以上の請求項に係る特許については請求項ごとに特許無効審判を請求することができると定め、167条の2第1項3号は、請求項ごとに審判の請求がされた場合には審決は当該請求項ごとに確定すると定める。185条も、二以上の請求項に係る特許又は特許権については123条3項、125条などの適用において請求項ごとに特許がされ又は特許権があるものとみなしている。請求項ごとに独立した特許があるのと同じに扱う以上、無効とすべき旨の審決も請求項ごとに独立した審決の集まりであり、178条1項の審決に対する訴えも、特許権者が争いたい請求項に係る部分だけを対象として提起することができる。訴えの対象から外した請求項についての審決は、出訴期間の経過により先に確定する。したがって、無効とされた全ての請求項を訴えの対象としなければならないとする枝はずれている。

審決は、審判事件ごとに確定する。ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。
- 原則:審決は審判事件ごとに確定する
- 請求項ごとに無効審判が請求され、一群の請求項ごとに訂正の請求がされた場合:当該一群の請求項ごとに確定する(1号)
- 一群の請求項ごとに訂正審判が請求された場合:当該一群の請求項ごとに確定する(2号)
- 請求項ごとに審判が請求され、1号に当たらない場合:当該請求項ごとに確定する(3号)
- 取消判決が一群の請求項の一部について確定したとき:審判官はその他の請求項についての審決も取り消す(181条2項後段)
誤り。違うのは「参加を申請してその申請を拒否された者は、当該特許異議の申立てについての取消決定に対する訴えを提起することができない」の部分である。178条2項は、審理に参加を申請してその申請を拒否された者にも訴えの提起を認めている。
178条2項は、取消決定又は審決に対する訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り提起することができると定める。119条1項により、特許権に関し利害関係を有する者は特許権者を補助するため特許異議の申立てについての審理に参加することができるが、参加の申請が拒否されると、その者は審理に関与できないまま取消決定の効果を受けることになる。参加を認められなかった判断の当否も含めて争う道を閉ざすのは不当であるから、178条2項は参加人と並べて参加を拒否された者にも原告適格を与えている。取消決定に対する訴えは特許権者だけが起こせるのではなく、参加人や参加を拒否された者も提起できるのであり、本枝は条文が明示している者を除いている点で誤っている。なお維持決定には114条5項により不服を申し立てることができない。

前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
- 管轄:東京高等裁判所の専属管轄である(1項)。知的財産高等裁判所が扱う
- 原告:当事者、参加人、参加を申請して拒否された者に限る(2項)
- 出訴期間:決定又は審決の謄本の送達があった日から30日の不変期間である(3項・4項)。遠隔又は交通不便の地にある者のため審判長は職権で附加期間を定められる(5項)
- 対象外:審判を請求できる事項に関する訴えは提起できない(6項)
正しい。63条1項は取消決定に対する訴えを東京高等裁判所の専属管轄とし、同条2項で準用する特許法178条2項により、当事者、参加人のほか、登録異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者も訴えを提起することができる。
63条1項は、取消決定又は審決に対する訴えは東京高等裁判所の専属管轄とすると定め、同条2項は特許法178条2項から6項までを準用する。準用される特許法178条2項は、この訴えは当事者、参加人又は当該異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り提起することができるとする。取消決定が確定すると43条の3第3項により商標権は初めから存在しなかったものとみなされるから、商標権者には裁判所で争う道が要り、審理に参加した者も自己の利益のために決定を争える。参加の申請を拒否された者まで原告適格を認めるのは、参加を認めない判断に不服を申し立てる手段が他になく、決定に対する発言の機会を失った者にも裁判所で争う道を残す必要があるからである。したがって商標権者及び参加人のみならず、参加を申請してその申請を拒否された者も東京高等裁判所に訴えを提起することができる。

前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
正しい。178条3項は審決の謄本の送達があった日から30日を経過した後は訴えを提起できないと定め、4項でこれを不変期間とし、5項で審判長が附加期間を定めることができるとしている。
178条3項は、審決又は決定に対する訴えは、審決又は決定の謄本の送達があった日から30日を経過した後は、提起することができないと定める。4項はこの期間を不変期間とし、5項は、審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、この不変期間については附加期間を定めることができると定める。出訴期間を短い不変期間にしているのは、審決の確定時期を早く定めて特許権の帰趨を安定させるためであり、裁判所や特許庁の裁量で延ばせる期間ではない。例外は附加期間だけで、これは審判長が職権で定めるものであるから、附加期間が定められた場合を除けば謄本の送達から30日以内に限られる。不服のある当事者が提起できることは178条2項が定める。枝は3項から5項をそのまま並べたものである。

第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
- 管轄:東京高等裁判所の専属管轄(1項)
- 原告:当事者、参加人、参加を申請して拒否された者(2項)
- 期間:謄本の送達があった日から30日で、不変期間(3項・4項)
- 附加期間:遠隔又は交通不便の地にある者のため、審判長が職権で定める(5項)
誤り。違うのは「当該決定に対し、裁判所に訴えを提起することができる」の部分である。参加の申請についての決定には149条5項で不服を申し立てることができず、拒否された者は178条2項により審決に対する訴えで争う。
149条3項は、参加の申請があったときは、その申請をした者が参加しようとする審判の審判官が審判により決定をすると定め、同条5項は、その決定又はその不作為に対しては不服を申し立てることができないと定める。参加の許否を独立に争わせると本案の審判が止まってしまうので、この決定自体への不服申立てを封じたものである。また178条1項が東京高等裁判所の専属管轄とする訴えの対象は、取消決定又は審決と、特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は訂正の請求書の却下の決定に限られており、参加の申請を拒否する決定は含まれていない。その代わりに178条2項は、参加を申請してその申請を拒否された者に審決に対する訴えの原告適格を与えており、通常実施権者であると認められなかったという参加拒否の当否は、審決に対する訴えの中で判断される。したがって拒否の決定に対して直接に訴えを提起することはできない。

第三項の決定又はその不作為に対しては、不服を申し立てることができない。
誤り。違うのは「当該審判の審決に対する訴えを提起することはできない」の部分である。178条2項は、審判に参加を申請してその申請を拒否された者も審決に対する訴えを提起できると定める。
178条2項は、取消決定又は審決に対する訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り提起することができると定める。参加の申請を拒否された者を原告に加えたのは、149条5項が参加の許否の決定に対する不服申立てを認めていないため、拒否された者が審判の手続に加われないまま、審決の結果を争う道まで閉ざされることを避けるためである。参加の許否は審決に対する訴えの中で審理されることになる。特許権についての通常実施権者は、148条3項の審判の結果について利害関係を有する者として補助参加を申請できる立場にあり、申請を拒否されれば178条2項の参加を申請してその申請を拒否された者に当たる。したがって通常実施権者も審決に対する訴えを提起することができ、枝はこれを否定している点で誤っている。

前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
誤り。違うのは「行政不服審査法の規定による審査請求をすることができる」の部分である。取消決定は195条の4により行政不服審査法の審査請求の対象から除かれ、不服は東京高等裁判所への訴えで争う。
195条の4は、査定、取消決定若しくは審決及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書若しくは訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができないと定める。取消決定は3人又は5人の審判官の合議体が準司法的な手続で判断したものであり、これを一般の行政処分と同じく行政庁内部の審査請求でやり直させる意味に乏しいため、特許法は不服の道を裁判所への訴えに一本化している。すなわち178条1項により取消決定に対する訴えは東京高等裁判所の専属管轄とされ、同条2項により当事者、参加人又は参加を拒否された者に限って提起できる。本枝は取消決定に対して行政不服審査法の審査請求ができるとしているが、195条の4が明文で排除している点が条文と食い違う。

査定、取消決定若しくは審決及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書若しくは第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。
誤り。違うのは「その特許無効審判の請求をした者の全員が共同して提起しなければならない」の部分である。178条2項は当事者に訴えの提起を認めており、共同審判請求人の一人でも不成立審決の取消訴訟を提起できる。
178条2項は、審決に対する訴えは当事者、参加人又は参加を申請してその申請を拒否された者に限り提起することができると定める。共同して無効審判を請求した者はそれぞれが審判の当事者であるから、各自がこの要件を満たす。請求は成り立たない旨の審決を取り消す訴えは、無効審判の請求人の側から特許の存続を争うものであり、一人の請求人の訴えで審決が取り消されれば審判が再開されて他の請求人にも利益が及ぶ一方、提起しなかった者に不利益はないので、全員でそろって訴えなければならない必要はない。判例も、共同審判請求人の一部の者だけで提起した不成立審決の取消訴訟を適法としている。これに対し、特許を無効にすべき旨の審決に対して共有者の特許権者が提起する訴えは、権利の存否を共有者全員について合一に確定する必要があるため、共有者全員で提起しなければならない固有必要的共同訴訟と解されており、本枝はこの場面と混同している。

前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
誤り。違うのは「特許庁の審判を経ることなく、当該特許の無効を確認する訴えを東京高等裁判所に直接提起することができる」の部分である。178条6項により、審判を請求することができる事項に関する訴えは審決に対するものでなければ提起できない。
123条1項6号は、特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたときを無効理由とし、同条2項はこの理由による特許無効審判を特許を受ける権利を有する者に限って請求できるとする。そして178条6項は、審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ提起することができないと定める。特許の有効性は技術と特許法の専門的判断を要するため、まず特許庁の審判官の合議体に判断させ、裁判所はその審決の当否を審決取消訴訟で審理するという二段の構造を採っており、審判を飛ばして裁判所に特許の無効を確認させる道は閉ざされている。甲は特許を受ける権利の移転がなかったことを理由とする以上、特許を受ける権利を有する者として特許無効審判を請求し、不成立の審決を受けてから東京高等裁判所に審決取消訴訟を提起するのが筋である。なお、冒認を理由とするなら74条1項の特許権の移転請求を裁判所に求める道もあり、これは審判事項ではないので直接訴えることができる。

審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。
正しい。178条5項は、審判長が遠隔又は交通不便の地にある者のため職権で出訴期間の不変期間について附加期間を定めることができると定め、特許管理人があることを除外していない。
178条3項は、取消決定又は審決に対する訴えは審決又は決定の謄本の送達があった日から30日を経過した後は提起することができないと定め、4項はこの期間を不変期間とし、5項は、審判長は遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権でこの不変期間について附加期間を定めることができると定める。不変期間は裁判所も特許庁も伸縮できない期間であるが、遠隔地にいる者には送達を受けてから訴えの準備をするまでの時間が足りないことがあるので、審判長の職権による附加期間で手当てしたものである。在外者は8条1項により特許管理人によらなければ手続ができないのが原則であるが、審決取消訴訟は裁判所に対する手続であり、特許管理人がいることで在外者本人の遠隔の事情が消えるわけではない。5項は附加期間を定める相手を遠隔又は交通不便の地にある者とだけ定め、特許管理人の有無で区別していないので、代理権の範囲の制限のない特許管理人を有する在外者についても審判長は附加期間を定めることができる。

審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。
誤り。違うのは「利害関係人である旨を証明すれば、当該審決の取消しを求める訴えを提起することができる」の部分である。178条2項により、審決に対する訴えを提起できるのは当事者、参加人又は参加を申請して拒否された者に限られる。
178条2項は、取消決定又は審決に対する訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り提起することができると定める。審決取消訴訟は審判の続きとして審決の当否を争う手続であるから、原告になれるのは審判の手続に関わった者か、関わろうとして拒まれた者に限るのが筋であり、審判に全く関与しなかった者が審決の段階で初めて登場することは認めていない。利害関係人であることは123条2項で特許無効審判を請求するための要件であって、審決取消訴訟の原告適格の要件ではない。無効審判に関与しなかった利害関係人が不成立の審決に不満を持つなら、自ら別に特許無効審判を請求する道があり、167条の一事不再理も同一の事実及び同一の証拠に基づく請求だけを妨げる。枝は審判の請求人適格と訴えの原告適格を混同している。

前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
誤り。違うのは「何人も、当該決定の取消しを求める訴えを提起することができる」の部分である。114条5項により、特許を維持すべき旨の決定に対しては不服を申し立てることができない。
114条4項は、審判官は特許異議の申立てに係る特許が113条各号のいずれかに該当すると認めないときはその特許を維持すべき旨の決定をしなければならないと定め、5項は、この決定に対しては不服を申し立てることができないとする。特許異議の申立ては、特許庁が自らの処分を見直す公衆審査の制度であり、申立人は見直しのきっかけを与えるにとどまって当事者ではない。維持決定に不満があれば、利害関係人として特許無効審判を請求して改めて争えばよく、それで十分であるから、維持決定そのものへの不服申立てを認めていない。178条1項が東京高等裁判所の専属管轄とする取消決定又は審決に対する訴えのうち、特許異議の申立てで訴えの対象になるのは特許権者が不服を持つ取消決定だけである。枝は、何人も申し立てられるという特許異議の申立ての入口の規律を、決定に対する訴えの出口にまで及ぼしている点がずれている。

前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
- 誰が申し立てるか:特許異議の申立ては何人もできる。特許無効審判は利害関係人に限られ、冒認・共同出願違反は特許を受ける権利を有する者だけが請求できる
- いつまでか:特許異議の申立ては特許掲載公報の発行の日から6月以内である。特許無効審判は特許権の消滅後も請求できる
- 結論と不服:特許異議の申立ては取消決定か維持決定で、維持決定には不服を申し立てられない。特許無効審判は無効審決か不成立審決で、どちらも審決取消訴訟を提起できる
- 審理の方式:特許異議の申立ては書面審理である。特許無効審判は口頭審理が原則である(145条1項)
誤り。違うのは「東京高等裁判所に直接訴えを提起することができない」の部分である。178条1項は120条の5第2項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えを東京高等裁判所の専属管轄とし、特許権者は直接訴えを提起できる。
178条1項は、取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は120条の5第2項若しくは134条の2第1項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とすると定める。訂正の請求書の却下の決定は133条3項の準用により審判長が不適法で補正できない請求書を却下するもので、却下されれば特許権者は特許異議の申立ての中で特許を訂正して取消しを免れる手段を失う。その不利益は取消決定と同じく特許庁の専門的な判断を経たものであるから、通常の行政処分のように地方裁判所から争わせるのではなく、審決と同じく東京高等裁判所に直接出訴させる扱いにしている。したがって特許権者は、訂正の請求書の却下の決定に対して東京高等裁判所に直接訴えを提起することができる。出訴できるのは178条2項の当事者等に限られ、決定の謄本の送達から30日の不変期間が同条3項・4項で定められている。枝は専属管轄の対象に明記された訴えを否定している。

取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
- 取消決定(特許異議の申立て)に対する訴えである。特許を維持すべき旨の決定には不服を申し立てられない(114条5項)
- 審決に対する訴えである。拒絶査定不服審判・無効審判・延長登録無効審判・訂正審判の審決と再審の審決を含む
- 特許異議申立書、審判の請求書、再審の請求書の却下の決定に対する訴えである
- 120条の5第2項・134条の2第1項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えである
- 原告:当事者、参加人、参加を申請して拒否された者に限る(2項)。期間:謄本の送達から30日の不変期間である(3項・4項)
誤り。違うのは「決定の謄本の送達により確定する」の部分である。取消決定に対しては謄本の送達があった日から30日以内に東京高等裁判所に訴えを提起できるので(178条1項・3項)、送達の時には確定せず、出訴期間の経過等によって確定する。
178条1項は取消決定に対する訴えを東京高等裁判所の専属管轄とし、3項はその訴えを決定の謄本の送達があった日から30日を経過した後は提起できないと定める。取消決定は特許権者から特許を奪う処分であるから、裁判所による見直しの機会を保障する必要があり、謄本の送達は出訴期間の起算点にすぎない。送達から30日が経過して訴えが提起されなかったとき、又は訴えが提起されて決定を支持する判決が確定したときに、取消決定は確定する。114条3項は取消決定が確定したときはその特許権は初めから存在しなかったものとみなすと定めており、確定の時期が特許権の遡及消滅の効果と結びついている。これに対して特許を維持すべき旨の決定には114条5項により不服を申し立てることができないので、こちらは謄本の送達により確定する。枝は取消決定について維持決定と同じ扱いをしている点で誤りである。

第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
誤り。違うのは「東京高等裁判所だけでなく、大阪高等裁判所にも提起することができる」の部分である。178条1項により審決に対する訴えは東京高等裁判所の専属管轄であり、特許権者の本社がどこにあっても大阪高等裁判所には提起できない。
178条1項は、取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とすると定める。審決に対する訴えは特許庁という行政庁の専門的な判断を争うものであり、審判を第一審に代わるものと位置づけて高等裁判所から始め、しかも全国の事件を一つの裁判所に集めて判断の統一と専門性の確保を図ったのがこの定めである。専属管轄であるから、民事訴訟法の普通裁判籍のように被告や原告の所在地で管轄が決まることはなく、当事者の合意で他の裁判所に移すこともできない。特許を無効とすべき旨の審決に対する訴えも178条1項の審決に対する訴えであるから、本社が大阪府内にある特許権者であっても東京高等裁判所にだけ提起でき、大阪高等裁判所に提起する余地はない。

取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
- 対象になるもの:取消決定、審決、特許異議申立書と審判若しくは再審の請求書の却下の決定、訂正の請求書の却下の決定
- 対象にならないもの:査定(審判を経る)、審査における補正の却下の決定(53条3項)、特許を維持すべき旨の決定(114条5項)、参加の申請についての決定(149条5項)
- 管轄:東京高等裁判所の専属管轄で、実用新案法でも同じである
正しい。178条4項は出訴期間を不変期間とし、5項は審判長が遠隔又は交通不便の地にある者のため職権で附加期間を定めることができると定める。
178条3項は、審決に対する訴えは審決又は決定の謄本の送達があった日から30日を経過した後は提起することができないと定め、4項はこの期間を不変期間とする。不変期間とは裁判所や特許庁が伸縮できない期間であり、審決の確定時期を早く定めて権利関係を安定させるために、延長を認めない仕組みにしたものである。ただし5項は、審判長は遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができると定める。期間そのものを延ばすのではなく、本来の30日に附加する期間を別に置くという形で、不変期間の建前を保ちながら遠隔地の者の不利益を補うものである。附加期間を定めるのは裁判所ではなく審決をした審判長であり、申立てによらず職権で定める。枝は3項から5項までの定めをそのまま述べており、正しい。

審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。
| 場面 | 定める者 | 仕組み |
|---|---|---|
| 手続の法定期間(4条) | 特許庁長官 | 請求により又は職権で期間を延長する |
| 審判長が指定した期間(5条) | 審判長 | 請求により又は職権で延長する |
| 審決等取消訴訟の出訴期間(178条5項) | 審判長 | 不変期間に職権で附加期間を定める |
誤り。違うのは「審判を請求することなく当該事項に関する訴えを提起することもできる旨の規定がある」の部分である。178条6項は、審判を請求することができる事項に関する訴えは審決に対するものでなければ提起できないと定める。
特許法178条6項は、審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ提起することができないと定め、実用新案法47条2項がこれを準用する。拒絶査定や無効理由の有無のように審判で争える事項については、まず特許庁の審判官による専門的な判断を経させ、その審決を裁判所が審査するという審判前置の仕組みをとっているからである。したがって、審判を請求するか訴えを提起するかを当事者が選べるという規定は特許法にも実用新案法にもなく、枝のいう選択を認める規定があるという前提が誤りである。なお、行政事件訴訟法8条1項は処分の取消しの訴えと審査請求の自由選択を原則とするが、178条6項はその例外として法律で審判前置を定めたものである。

審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。
誤り。違うのは「大阪高等裁判所にも提起することができる」の部分である。実用新案法47条1項も審決に対する訴えを東京高等裁判所の専属管轄としており、大阪高等裁判所には提起できない。
特許法178条1項は、取消決定又は審決に対する訴えと、審判若しくは再審の請求書等の却下の決定に対する訴えを東京高等裁判所の専属管轄とし、実用新案法47条1項も同じ文言で、審決に対する訴え及び審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えを東京高等裁判所の専属管轄と定める。専属管轄としているのは、特許庁の審決という技術的で専門的な行政処分の当否を争う訴えを一つの裁判所(知的財産高等裁判所)に集め、判断の統一と専門性を確保するためであり、当事者の所在地によって管轄を選べる仕組みではない。実用新案法は無審査で登録される権利であるが、無効審判の審決を争う訴えの管轄について特許法と異なる扱いをする理由はなく、大阪高等裁判所に提起できる旨の規定はどちらの法にもない。

審決に対する訴え及び審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
- 対象になるもの:取消決定、審決(拒絶査定不服審判・無効審判・延長登録無効審判・訂正審判・再審)、特許異議申立書と審判若しくは再審の請求書の却下の決定、訂正の請求書の却下の決定である
- 対象にならないもの:査定(審判を経る)、審査における補正の却下の決定(53条3項)、特許を維持すべき旨の決定(114条5項)、参加の申請についての決定(149条5項)である
- 管轄:東京高等裁判所の専属管轄である。実用新案法でも同じで、大阪高等裁判所には提起できない
誤り。違うのは「当該審判の審決に対する訴えを提起することはできない」の部分である。178条2項は参加人に訴えの提起を認めており、参加を申請して許された通常実施権者は参加人として訴えを提起できる。
178条2項は、取消決定又は審決に対する訴えは、当事者、参加人又は特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り提起することができると定める。審決の効力を直接に受けるのは審判の手続に関与した者であり、訴えを提起できる者もその範囲に限って手続を安定させる一方、参加を拒否された者には参加の決定に不服を申し立てる道が無い(149条5項)ので、審決の取消訴訟で争わせるという理屈である。通常実施権者は審判の結果について利害関係を有する者として148条3項により参加できるので、参加を申請して許されれば参加人であり、178条2項の列挙に当たる。単なる利害関係人のままでは提起できないが、参加人となった通常実施権者が訴えを提起できないとする枝は条文の列挙とずれている。参加を申請して拒否された場合にも提起できる点が、参加人と並ぶもう一つの入口である。

前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
- 当事者:審判の請求人・被請求人、拒絶査定不服審判や訂正審判の請求人
- 参加人:148条1項の請求人側の参加人と、同条3項の利害関係人としての参加人
- 参加を申請して拒否された者:参加の申請についての決定には不服を申し立てられない(149条5項)ので、取消訴訟で争う
- 単なる利害関係人:提起できない
誤り。違うのは「審判に参加を申請してその申請を拒否された者には送達する必要はない」の部分である。157条3項は、審決の謄本を当事者、参加人及び参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならないと定めている。
157条3項は、特許庁長官は審決があったときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならないと定める。参加を拒否された者まで送達の相手方に含めているのは、178条2項が審決に対する訴えを提起できる者として、当事者、参加人のほかに、審判に参加を申請してその申請を拒否された者を挙げているからである。参加を拒否された者は参加の決定そのものには不服を申し立てることができないが(149条5項)、審決の取消しを求める訴えで争う道が残されており、その出訴期間は審決の謄本の送達があった日から30日で進行する(178条3項)。送達を受けなければ出訴の機会を実質的に失うので、謄本の送達が義務付けられているのである。したがって参加を拒否された者にも送達しなければならず、送達する必要はないとする本枝は誤りである。なお送達の主体は審判長ではなく特許庁長官である。

特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。
誤り。違うのは「当該登録異議の申立ての審理に参加を申請しなくても、提起することができる」の部分である。取消決定に対する訴えは、当事者、参加人又は参加を申請して拒否された者に限って提起できる(63条2項で準用する特許法178条2項)。
63条2項は、取消決定に対する訴えについて特許法178条2項を準用しており、同項は、訴えは当事者、参加人又は当該異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に限り提起することができると定める。登録異議の申立ては何人もできる手続であるが、取消決定の取消しを求める訴えは、特許庁の審理を経た決定を裁判所で争うものであるから、原告となれる者をその審理に関与した者に絞り、審理に加わらなかった者が後から訴訟だけを起こすことを認めない趣旨である。商標権に関し利害関係を有する者は、43条の7第1項により、決定があるまでは商標権者を補助するため審理に参加することができ、参加人となるか、参加を申請して拒否されれば原告適格を得る。利害関係があるというだけで参加を申請しないまま訴えを提起することはできず、枝は原告となれる者の範囲を広げすぎている。

前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
誤り。違うのは「この訂正の請求書の却下の決定に対して、訴えを提起することはできない」の部分である。178条1項は、120条の5第2項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えを東京高等裁判所の専属管轄として認めている。
120条の5第2項は、特許異議の申立てについて取消理由の通知を受けた特許権者は、審判長が指定した期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができると定め、178条1項は、取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は120条の5第2項若しくは134条の2第1項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは東京高等裁判所の専属管轄とすると定める。訂正の請求書が方式違反などで却下されると、特許権者は取消理由に対して権利を狭めて対抗する機会を失い、そのまま特許が取り消されるおそれがあるから、却下の決定そのものを訴えで争う道を開いたものである。異議の申立てにおける訂正の請求も、無効審判における訂正の請求も、同じ扱いである。本枝は、前半の訂正の請求の要件は条文のとおりであるが、却下の決定に対する訴えを提起できないとしている点が178条1項と食い違う。訴えを提起できないのは、特許を維持すべき旨の決定に対する不服申立てである。

取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
- 取消決定、審決
- 特許異議申立書の却下の決定
- 審判又は再審の請求書の却下の決定
- 120条の5第2項・134条の2第1項の訂正の請求書の却下の決定
- 訴えを提起できないもの:特許を維持すべき旨の決定(114条5項)、参加の申請についての決定(149条5項)
誤り。違うのは「裁判所に当該決定に対する訴えを提起することができる」の部分である。拒絶査定不服審判における補正の却下の決定には独立して不服を申し立てることができず(159条1項で準用する53条3項)、その当否は審決に対する訴えの中で争う。
53条3項は、補正の却下の決定に対しては不服を申し立てることができないと定め、ただし書で、拒絶査定不服審判を請求した場合における審判においてはこの限りでないとする。このただし書は、審査官がした却下の決定を拒絶査定不服審判の中で争えるという意味であり、審判官がした却下の決定に裁判所への訴えを認める趣旨ではない。159条1項はこの53条を拒絶査定不服審判に準用しているから、審判における補正の却下の決定にも独立の不服申立ては認められない。178条1項が東京高等裁判所の専属管轄とする訴えは、取消決定又は審決に対する訴えと、異議申立書、審判や再審の請求書、訂正の請求書の却下の決定に対する訴えであり、明細書等の補正の却下の決定はここに含まれていない。補正の却下は審判の中間的な判断であり、請求人は審決に対する訴えの中で却下の違法を主張することになる。

第一項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。ただし、拒絶査定不服審判を請求した場合における審判においては、この限りでない。
誤り。違うのは「通常実施権を設定すべき範囲について不服があるときは、東京高等裁判所に訴えを提起することができる」の部分である。東京高等裁判所の専属管轄は審決等に対する訴えに限られ、裁定に対する不服はその対象ではない。
実用新案法21条1項・2項により、登録実用新案の実施が継続して3年以上適当にされていないときは、出願の日から4年の経過後に協議を求め、協議が成立しなければ特許庁長官の裁定を請求できるので、枝の前半は正しい。しかし裁定は審判ではなく特許庁長官の行政処分であり、実用新案法47条1項が東京高等裁判所の専属管轄とするのは審決に対する訴えと審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えだけである。裁定に対する不服のうち対価の額については、21条3項が準用する特許法91条の2により審査請求の理由にできず、特許法183条の訴えで相手方当事者を被告として額の増減を求める。通常実施権を設定すべき範囲のような対価以外の不服は、行政不服審査法の審査請求か、裁定の取消しを求める通常の行政事件訴訟によることになり、東京高等裁判所に審決等取消訴訟として提起するものではない。

審決に対する訴え及び審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
- 対価の額:審査請求の理由にできない(91条の2)。裁定の謄本の送達から6月以内に訴えを提起して額の増減を求める(183条)。被告は通常実施権者又は特許権者・専用実施権者であり、特許庁長官ではない(184条)
- 対価以外(設定すべき範囲など):行政不服審査法の審査請求又は行政事件訴訟による。東京高等裁判所の専属管轄ではない
- 審決等取消訴訟(178条):取消決定、審決、請求書等の却下の決定に対する訴えだけが東京高等裁判所の専属管轄である
正しい。実用新案法47条2項が準用する特許法178条3項・4項により出訴期間は審決の謄本の送達があった日から30日の不変期間であるが、同条5項により審判長が遠隔又は交通不便の地にある者のため附加期間を定めることができる。
特許法178条3項は、審決等に対する訴えは審決又は決定の謄本の送達があった日から30日を経過した後は提起できないと定め、同条4項はこの期間を不変期間とする。実用新案法47条2項はこれらの規定を実用新案登録無効審判の審決に対する訴えに準用する。不変期間は裁判所が伸縮できない期間であり、審決の確定時期を早く定める趣旨である。しかし178条5項は、審判長は遠隔又は交通不便の地にある者のため職権で不変期間について附加期間を定めることができると定める。附加期間が定められれば30日を経過した後でも附加期間内であれば訴えを提起できる。また不変期間であるから、民事訴訟法97条の追完により、当事者の責めに帰することができない事由で期間を守れなかったときは事由が消滅した後1週間以内に訴えを提起できる。したがって30日を経過した後でも提起できる場合がある。

審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。






































