国際登録の効果・無効・変更・存続期間(14〜17条)こくさいとうろくのこうかむこうへんこうそんぞくきかん
国際登録の効果とは、ハーグ協定のジュネーブ改正協定14条で、国際登録が国際登録の日から各指定締約国においてその法令に基づく正規の出願と少なくとも同一の効果を有し、拒絶を通報していない指定締約国では遅くとも拒絶期間の満了の日から保護の付与と同一の効果を有するという定めです。存続期間とは17条で、国際登録が国際登録の日から5年を最初の期間として効果を有し、5年ごとに更新でき、更新を条件に指定締約国での保護が国際登録の日から15年続くという定めです。
国際登録ができた瞬間に各国の意匠権が生まれるわけではありません。まず各指定国で「その国に正規に出願した」のと同じ地位を得て、拒絶の期間を黙って通り過ぎれば「その国で保護が付与された」のと同じ地位に変わります。日本のように審査をする国は、ここで新規性などを審査して拒絶の通報を出します。保護の長さは国際登録の日から5年単位で更新し、最低15年までは更新で伸ばせますが、その国の意匠権がもっと長ければそちらに合わせます。商標のマドリッド協定の議定書が10年単位なのと取り違えないようにします。

国際登録は国際登録の日から正規の出願と少なくとも同一の効果を持ち、拒絶を通報しなかった指定締約国では拒絶期間の満了の日から保護の付与と同一の効果を持ちます
14条(1)は、国際登録が、国際登録の日から、各指定締約国において、その締約国の法令に基づく意匠の保護の付与のための正規の出願と少なくとも同一の効果を有すると定めます。X国が指定締約国で出願人の締約国でないとき、国際登録は「X国の法令に基づく意匠の保護の付与のための正規の出願と少なくとも同一の効果を有する」という枝は正しいです。14条(2)(a)は、その官庁が拒絶を通報していない指定締約国では、国際登録が、遅くとも拒絶を通報するために認められた期間の満了の日から、又は規則に基づく宣言をした締約国では遅くともその宣言で特定された時から、その国の法令に基づく保護の付与と同一の効果を有するとします。拒絶が通報されてから取り下げられたときは、同(b)により遅くとも取下げの日から同じ効果を持ちます。「遅くとも拒絶を通報するためにY国に認められている期間の満了の日から、又はY国が規則に基づいて宣言を行った場合には遅くとも当該宣言において特定された時から」保護の付与と同一の効果を有するという枝は正しいです。日本では意匠法60条の6第1項が、国際公表された国際出願を国際登録の日にされた意匠登録出願とみなし、60条の13により登録査定又は審決の時に設定の登録がされて、国際登録を基礎とした意匠権(60条の14第2項)になります。

審査官庁の締約国は、自国が出願人の締約国である場合に自国の指定が効果を有しない旨を宣言で通告できます
14条(3)(a)は、その官庁が審査官庁である締約国が、宣言により事務局長に対し、自国が出願人の締約国である場合には国際登録における自国の指定が効果を有しない旨を通告できると定めます。自国の国民や居住者が自国での保護を国際登録の形で得ることを、審査の負担や国内出願との整合の観点から認めない選択を各国に残したものです。「自国が出願人の締約国である場合には、国際登録における自国の指定が効果を有しない旨を通告することができる」という枝は正しいです。14条(1)と(2)の枝が「出願人の締約国でないとき」という前提を置いているのは、この自己指定の排除を切り分けるためです。
無効の決定は名義人に防御の機会を適時に与えずにはできず、無効を知った官庁は国際事務局に通報します
15条(1)は、指定締約国の権限のある当局が、国際登録の名義人に自己の権利を防御する機会を適時に与えることなく、その締約国の領域における国際登録の効果の一部又は全部を無効とする決定をすることができないと定めます。国際登録の名義人は各国に代理人を置いていないことが多く、知らないうちに権利を失うことのないよう手続保障を条約で義務づけたものです。「当該国際登録の名義人に自己の権利を防御する機会を適時に与えることなく行うことができない」という枝は正しいです。15条(2)により、無効を知った指定締約国の官庁はその旨を国際事務局に通報するので、無効について「知った場合には、その旨を国際事務局に通報する」という枝は正しいです。
所有権の変更の記録は新権利者が国際出願をする資格を有する場合に限られ、放棄・限定なども国際事務局が記録します
16条(1)は、国際事務局が国際登録簿に記録する事項として、指定締約国及び意匠の一部又は全部についての国際登録の所有権の変更(新権利者が3条の規定に基づいて国際出願をする資格を有する場合に限ります)、名義人の氏名又は名称若しくは住所の変更、代理人の選任、指定締約国の一部又は全部についての放棄、意匠の一部についての限定、無効などを挙げます。資格のない者が譲受けの形で国際登録を手にすれば、3条の資格の定めが空になるからです。「国際登録の所有権の変更を国際登録簿に記録する。ただし、新権利者が国際出願をする資格を有する場合に限る」という枝は正しく、所有権の変更は「新権利者が国際出願をする資格を有しなくても、認められる」という枝は誤りです。16条(2)により、記録は各指定締約国の官庁の登録簿にされた記録と同一の効果を有しますが、締約国は宣言により、所有権の変更の記録については宣言で特定した書類を自国の官庁が受領するまでその効果を有しない旨を通告できます。
存続期間は国際登録の日から5年で5年ごとに更新でき、指定締約国での保護は更新を条件に国際登録の日から15年、国内法がより長ければその期間です
17条(1)は、国際登録が国際登録の日から起算して5年を最初の期間として効果を有すると定め、17条(2)により所定の手続と手数料で5年の期間ごとに更新できます。17条(3)(a)により、指定締約国における保護の存続期間は、国際登録が更新されることを条件として国際登録の日から15年なので、更新は少なくとも2回できます。「5年の期間の更新を少なくとも2回行うことができる」という枝は正しいです。同(b)により、指定締約国の法令が15年を超える保護の存続期間を定めている場合には、更新を条件にその法令に定める期間と同一になります。「国際登録が更新されることを条件として、当該指定締約国の法令に定める期間と同一とする」という枝は正しいです。日本の意匠権の存続期間は意匠法21条1項により意匠登録出願の日から25年で、国際公表された国際出願は60条の6第1項により国際登録の日にされた意匠登録出願とみなされるので、日本を指定した国際登録を基礎とした意匠権の存続期間は国際登録の日から25年です。17条(4)により、更新は指定締約国の一部又は全部について、また意匠の一部又は全部についてすることができ、「指定締約国の一部又は全部及び国際登録の対象である意匠の一部又は全部についてすることができる」という枝は正しいです。

- 正規の出願と同一の効果国際登録の日からです(14条(1))
- 保護の付与と同一の効果拒絶を通報していない指定締約国では遅くとも拒絶期間の満了の日(宣言があればその時)から、拒絶が取り下げられたときは遅くとも取下げの日からです(14条(2))
- 自己指定の排除審査官庁の締約国が、自国が出願人の締約国である場合に自国の指定が効果を有しない旨の宣言ができます(14条(3))
- 存続期間国際登録の日から5年、5年ごとに更新、更新を条件に指定締約国での保護は15年(国内法がより長ければその期間)です(17条)
- マドリッド協定の議定書との違い商標の国際登録は10年で10年ごとの更新です。意匠は5年単位で15年までが条約の最低線です
ハーグ協定のジュネーブ改正協定17条[国際登録の最初の期間]国際登録は、国際登録の日から起算して五年を最初の期間として効果を有する。[国際登録の更新]国際登録は、所定の手続に従い、所定の手数料を支払うことを条件として、更に五年の期間更新することができる。[指定締約国における保護の存続期間](a) 指定締約国における保護の存続期間は、国際登録が更新されることを条件として、(b)の規定が適用される場合を除くほか、国際登録の日から起算して十五年とする。
試験ではこう問われる
- 国際登録の日から「正規の出願と少なくとも同一の効果」。拒絶を通報していない国では「遅くとも拒絶を通報するために」認められた期間の満了の日から保護の付与と同一の効果
- 審査官庁の締約国は「自国が出願人の締約国である場合には、国際登録における自国の指定が効果を有しない旨を通告することができる」
- 無効の決定は「名義人に自己の権利を防御する機会を適時に与えることなく行うことができない」。無効を知った官庁は国際事務局に通報する
- 所有権の変更の記録は新権利者に出願資格がある場合に限る。「資格を有しなくても、認められる」という枝は誤り
- 存続期間は国際登録の日から5年、5年ごと更新。更新を条件に指定締約国での保護は15年で「更新を少なくとも2回行うことができる」
- 国内法が15年を超える期間なら「当該指定締約国の法令に定める期間と同一」。日本は国際登録の日から25年
- 更新は指定締約国の一部・意匠の一部についてもできる(17条(4))
この用語が問われた枝
X国が、指定締約国であって、出願人の締約国でないとき、国際登録は、国際登録の日から、X国において、X国の法令に基づく意匠の保護の付与のための正規の出願と少なくとも同一の効果を有する。
Y国が、指定締約国であって、出願人の締約国でないとき、国際登録は、その官庁が拒絶を通報していないY国において、遅くとも拒絶を通報するためにY国に認められている期間の満了の日から、又はY国が規則に基づいて宣言を行った場合には遅くとも当該宣言において特定された時から、Y国の法令に基づく意匠の保護の付与と同一の効果を有する。
「協定」において、その官庁が審査官庁である締約国は、宣言により、事務局長に対し、自国が出願人の締約国である場合には、国際登録における自国の指定が効果を有しない旨を通告することができるとされている。
指定締約国の領域における国際登録の効果の一部又は全部に関する当該指定締約国の権限のある当局による無効の決定は、当該国際登録の名義人に自己の権利を防御する機会を適時に与えることなく行うことができない。
枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。
この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。