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国際登録の効果・拒絶の通報・代替・存続期間と更新(4条・4条の2・5条・6条(1)・7条・8条・9条)こくさいとうろくのこうかきょぜつのつうほうだいたいそんぞくきかんとこうしん

条約 第5章 マドリッド協定議定書 短答で3枝

国際登録の効果とは、マドリッド協定の議定書4条(1)で、国際登録又は領域指定の記録の日から、その標章が関係締約国において、その締約国の官庁に直接登録を求めていたならば与えられたであろう保護と同一の保護を受けるという定めです。拒絶の通報とは、指定締約国の官庁がその保護を与えられないときに、領域指定の通報の日から1年(宣言をした締約国は18月)以内に、すべての理由を記載して国際事務局に行う通報です。

国際登録ができても、それだけで各国の商標権が生まれるわけではありません。指定された国の官庁は、自国に直接出願されたのと同じ目で審査し、登録できない理由があれば国際事務局に拒絶の通報を送ります。黙っていれば保護を認めたことになり、通報の期限を過ぎれば拒絶する権利そのものを失います。各国の審査の自由を残しながら、名義人がいつまでも結果を待たされないように、議定書は拒絶の理由と期限を条文で縛っています。

指定締約国の特許庁の審査室の場面。先生が審査官役(札「指定締約国の官庁(審査官)」)で机に座り、「国際事務局からの領域指定の通報:標章○○ 指定商品 第25類」と書かれた書類を読んでいる。机の端に「拒絶の通報(国際事務局あて)」と書かれた封

国際登録は記録の日から、その締約国に直接登録を求めていたなら与えられたであろう保護と同一の保護を受けます

4条(1)(a)は、国際登録又は領域指定の記録の日から、その標章が関係締約国において、標章登録を当該締約国の官庁に直接求めていたならば与えられたであろう保護と同一の保護を受けると定めます。拒絶の通報がされず、又は拒絶が後に取り下げられれば、記録の日から登録されたのと同じ保護です。「標章登録を当該関係締約国の官庁に直接求めていたならば与えられたであろう保護と同一の保護を与えられる」という枝は正しいです。日本ではこの保護を商標法68条の9以下が国際登録に基づく商標権として受けています。4条の2は、同じ名義人が同じ標章についてある締約国の国内登録を持っているときに、国際登録がその国内登録に代替するものとみなされると定めます。条件は、国際登録の保護の効果が領域指定によってその締約国に及んでいること、国内登録で指定されたすべての商品及びサービスがその締約国に係る国際登録でも指定されていること、その効果が国内登録の日の後に生じていることの三つで、代替は国内登録により生ずるすべての権利を害することなく行われます。代替の条件の一つは「国内登録において指定された全ての商品及びサービスが当該締約国に係る国際登録においても指定されていることである」という枝は正しく、三条件をそろえて「当該国内登録により生ずるすべての権利を害することなく、当該国内登録に代替することができるものとみなされる」という枝も正しいです。

拒絶は直接の出願でもパリ条約上援用できる理由に限られ、類の数を制限する国内法令だけを理由にはできません

5条(1)は、関係法令が認める場合に、指定締約国の官庁が、その締約国では保護を与えることができない旨を拒絶の通報において宣言する権利を有すると定めます。ただし、その拒絶は、その官庁に直接求められた標章登録についてパリ条約上援用することができる理由に基づく場合にのみ行うことができます。国際登録だからという理由で国内出願より厳しくしないためです。さらに、国内法令が登録を認める類の数を制限していることのみを理由として、部分的にであっても保護を拒絶することはできません。5条の2により、紋章・肖像・商号など特定の要素を標章に用いる正当性の証拠書類は、本国官庁による認証及び証明を除いて、いかなる認証及び証明も免除されます。「本国官庁による認証及び証明を除くほか、いかなる認証及び証明も免除される」という枝は正しいです。

拒絶の通報は領域指定の通報の日から1年以内で、宣言した締約国は18月まで延ばせ、期間内に通報しない官庁は拒絶する権利を失います

5条(2)(a)は、拒絶の通報を、関係法令に定める期間内で、かつ国際事務局が領域指定の通報を行った日から1年の期間の満了前に、すべての理由を記載した文書とともに国際事務局に送ることを求めます。同(b)により、締約国は宣言によってこの1年を18月に置き換えることができます。同(c)により、18月の宣言をした締約国は、異議の申立ての結果として行う拒絶については18月の期間の満了後に通報できる旨をあわせて宣言できますが、これは18月の宣言をした国だけの特則です。18月の宣言をしていない締約国では、異議の結果として行う拒絶でも1年の期間内に通報しなければなりません。5条(5)は、所定の期間内に暫定的又は最終的な拒絶の通報をしなかった官庁は、その国際登録について保護を拒絶する権利を失うと定めます。日本は18月の宣言をしており、日本での拒絶の通報と審査の流れは商標法68条の9以下が定めます。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左端に札「国際事務局が領域指定の通報を行った日」、その右に札「1年」、さらに右に札「18月(宣言した締約国)」が立つ。1年の札と18月の札
  • 拒絶の理由その官庁に直接求められた登録についてパリ条約上援用できる理由に限ります。類の数の制限だけを理由に部分的にも拒絶できません
  • 拒絶の期限領域指定の通報の日から1年です。宣言した締約国は18月で、18月の宣言をした締約国はさらに異議に基づく拒絶を18月の後に通報できる旨を宣言できます
  • 期限を過ぎた官庁暫定的又は最終的な拒絶を期間内に通報しなかった官庁は、その国際登録を拒絶する権利を失います
  • 通報の宛先拒絶の通報は国際事務局に送り、国際事務局が名義人に伝えます

存続期間は10年で、10年ごとに更新でき、満了6月前の非公式の通報と割増手数料による6月の猶予があります

6条(1)は、国際登録が10年の期間について効力を有し、更新できると定めます。7条(1)により、更新は直前の存続期間の満了の時から10年ごとで、基本手数料と、該当する場合の追加手数料及び付加手数料を支払うだけで行われます。更新は国際登録の最新の態様にいかなる変更ももたらすものではないので(7条(2))、「国際登録の存続期間の更新は、国際登録の最新の態様にいかなる変更ももたらすものではない」という枝は正しいです。7条(3)により、国際事務局は存続期間が満了する6月前に、名義人とその代理人に非公式の通報で満了の正確な日付を知らせます。「国際登録の存続期間が満了する6月前に非公式の通報を行うことにより、当該存続期間が満了する正確な日付について注意を喚起する」という枝は正しいです。7条(4)により、所定の割増手数料を支払えば更新について6月の猶予期間が認められるので、「6月の猶予期間が国際登録の存続期間の更新について認められる」という枝は正しいです。事後指定で加わった国についても存続期間は国際登録と一体で、事後指定の記録の日から別に10年を数えるのではありません。

商標事務所の相談室の場面。先生が先生役(札「先生」)で机にカレンダーを広げ、カレンダーには「国際登録の日」「満了(10年)」の印と、その6月前に「国際事務局から非公式の通報」、満了の6月後に「割増手数料で更新できる猶予の終わり」の印が付いて

手数料は基本手数料・3類を超える追加手数料・領域指定ごとの付加手数料ですが、個別手数料を宣言した国についてはそれに置き換わります

8条(2)は、国際登録に先立って国際事務局に支払う手数料として、基本手数料、国際分類の類の数が3を超える場合の類ごとの追加手数料、領域指定ごとの付加手数料を定めます。ただし8条(7)により、締約国は、自国が指定されたときに追加手数料及び付加手数料の収入の分配に代えて個別手数料を受け取る旨を宣言でき、その国については付加手数料を要せず個別手数料を支払います。したがって基本手数料・追加手数料・付加手数料を常に前払しなければならないわけではありません。日本は個別手数料を宣言しており、その納付は商標法68条の30にあります。本国官庁は、国際出願や更新について自己の収入とする手数料を出願人・名義人から徴収できますが(8条(1))、国際事務局の定める手数料を自己の収入にはできません。

名義人の変更は新名義人に出願資格があることを条件に国際事務局が記録し、限定の記録は存続期間中いつでも申請できます

9条は、国際登録において指定された商品及びサービスの全部又は一部について、又は国際登録が効力を有する締約国の全部又は一部について名義人の変更があったときに、国際事務局がそれを国際登録簿に記録すると定めます。記録は従前の名義人の請求、又は関係官庁の職権による若しくは利害関係者の求めに応じた請求によって行われ、新たな名義人が2条(1)の国際出願をする資格を有する者であることが条件です。9条の2は、名義人の氏名又は名称の変更、代理人の選任、商品・サービスの限定、放棄、取消しなどを国際事務局が記録すると定めます。限定の記録の申請は国際登録の存続期間中いつでもできます。なお議定書の正文は16条により英語、フランス語及びスペイン語の三言語でひとしく正文とされます。

マドリッド協定の議定書5条

第3条の3(1)又は(2)の規定に基づき国際登録による標章の保護について国際事務局から領域指定の通報を受けた締約国の官庁は、関係法令が認める場合には、当該締約国においては当該標章に対する保護を与えることができない旨を拒絶の通報において宣言する権利を有する。

マドリッド協定の議定書6条(1)

国際事務局における標章登録の存続期間は、10年とし、及び次条に定める条件に従って更新することができる。

マドリッド協定の議定書7条(1)

国際登録の存続期間は、次条(2)に規定する基本手数料並びに、同条(7)に規定する場合を除くほか、同条(2)に規定する追加手数料及び付加手数料の支払のみにより、10年の当該存続期間の満了の時から更に10年間の更新を行うことができる。

試験ではこう問われる

  1. 記録の日から「直接求めていたならば与えられたであろう保護と同一の保護」(4条(1))
  2. 代替(4条の2)の条件は、効果が及んでいる・国内登録の全商品・サービスが国際登録でも指定・効果が国内登録の日の後。「国内登録により生ずるすべての権利を害することなく」代替する
  3. 拒絶は直接出願についてパリ条約上援用できる理由に基づく場合のみ。類の数の制限だけを理由にする拒絶は部分的でも認められない
  4. 期限は領域指定の通報の日から1年、宣言で18月。18月の宣言のない国で異議の結果なら「1年の期間の満了後でも」通報できるという枝は誤り
  5. 期間内に暫定的・最終的な拒絶を通報しない官庁は保護を拒絶する権利を失う(5条(5))
  6. 存続期間10年・10年ごと更新。更新は「最新の態様にいかなる変更ももたらすものではない」。満了6月前の非公式の通報、割増手数料で6月の猶予
  7. 個別手数料の宣言国があるので基本・追加・付加手数料を常に前払するわけではない。本国官庁は国際事務局の手数料を自己の収入にできない
  8. 名義人の変更は新名義人に出願資格があることを条件に国際事務局が記録。限定の記録は「存続期間中いつでも」。正文は英・仏・西の三言語

この用語が問われた枝

令和8年度 問46 枝ホ正しい

「議定書」において、いずれかの締約国の官庁による国内登録の標章が国際登録の対象でもあり、かつ、国内登録と国際登録の名義人が同一である場合には、国際登録による標章の保護の効果が領域指定に基づいて当該締約国に及んでいること、国内登録で指定されたすべての商品及びサービスが当該締約国に係る国際登録においても指定されていること、及び上記効果が国内登録の日の後に生じていることを条件として、当該国際登録は、当該国内登録により生ずるすべての権利を害することなく、当該国内登録に代替することができるものとみなされる。

令和7年度 問46 枝ホ正しい

「議定書」において、国際登録の存続期間の更新は、国際登録の最新の態様にいかなる変更ももたらすものではない。

令和元年度 問46 枝ニ誤り

国際登録の効果を拒絶する官庁は、所定の期間内に、国際事務局にその拒絶を通報するとともに、名義人に対しその拒絶の通報の写しを送付する。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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