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国際登録・公表の延期・拒絶(10〜12条)こくさいとうろくこうひょうのえんききょぜつ

条約 第6章 ハーグ協定ジュネーブ改正協定 短答で12枝

国際登録とは、ハーグ協定のジュネーブ改正協定10条により、国際事務局が国際出願を受理した後直ちに(補正を求めた場合は補正を受理した後直ちに)、公表の延期の有無にかかわらず各意匠を国際登録簿に登録することです。公表の延期とは11条により名義人の請求で国際事務局の公表を所定の期間まで遅らせる仕組みで、拒絶とは12条により指定締約国の官庁が自国法令の保護の条件を満たさない意匠について国際登録の効果を認めない旨を国際事務局に通報することです。

国際事務局に意匠の国際出願が届くと、国際事務局は審査をせずにそのまま国際登録簿に登録し、公表します。各国の官庁はその公表を見て、自国の法律で保護できない意匠なら拒絶を国際事務局に通報します。意匠は公表されると真似されやすいので、名義人は商品の発売に合わせて公表を遅らせる請求ができます。ただし指定した国の中に延期を短くしか認めない国があれば、その一番短い期間に合わせて公表されます。登録・公表・拒絶のそれぞれで「誰が」「いつ」を入れ替えるのが枝の作り方です。

ジュネーブの国際事務局の登録室の場面。先生が国際事務局の職員役(札「国際事務局」)で机に座り、「国際登録簿」と書かれた大きな台帳に「意匠:椅子 国際登録の日=出願日」と記入している。机の脇に「公表の延期の請求あり」と書かれた札の付いた願書と

国際事務局は受理後直ちに、公表の延期があるかどうかにかかわらず各意匠を登録し、国際登録の日は出願日になります

10条(1)は、国際事務局が、国際出願を受理した後直ちに、又は8条により補正を求めている場合には必要な補正を受理した後直ちに、国際出願の対象である各意匠を登録すると定め、その登録は11条の公表が延期されるか否かにかかわらず行われます。「その登録は、第11条に規定の登録の公表が延期されるか否かにかかわらず、なされる」という枝は正しいです。10条(2)により、国際登録の日は原則として国際出願の出願日です。ただし国際事務局が受理した日に5条(2)に関連する不備(審査官庁の締約国が宣言した創作者の表示などの要素の欠落)があれば、その不備の補正を国際事務局が受理した日と出願日のいずれか遅い日になります。創作者の特定に関する表示の不備があるときは「国際事務局が当該不備の補正を受理した日又は国際出願の出願日のいずれか遅い日とされている」という枝は正しいです。9条(3)の出願日の延期を要する不備は出願日自体を動かし、5条(2)の不備は出願日は動かさずに国際登録の日を遅らせるという違いがあります。

国際登録は国際事務局が公表し、その公表は全ての締約国で十分なものとみなされ、写しが各指定官庁に送られます

10条(3)(a)は、国際登録を国際事務局が公表すると定め、その公表は全ての締約国において十分なものとみなされ、名義人は他の方法による公表を求められません。各国でもう一度公報を出させる負担を名義人に負わせないためです。「その公表は、全ての締約国において十分なものとみなされ、名義人が他の方法による公表を求められることはない」という枝は正しいです。同(b)により、国際事務局は公表された国際登録の写しを各指定官庁に送付するので、「国際事務局は、公表された国際登録の写しを指定官庁に送付する」という枝は正しいです。公表前の国際登録は10条(4)により秘密に保たれます。日本ではこの国際公表が意匠法60条の12の補償金請求権の起点になります。

公表の延期は願書で請求でき、短い期間を宣言した指定国が二以上あれば最も短い期間の満了時に公表され、延期中でも名義人はいつでも公表を請求できます

5条(5)と11条(1)により、国際出願には公表の延期の請求を含めることができ、「国際出願には、公表の延期についての請求を含めることができる」という枝は正しいです。延期の期間は規則で定める所定の期間が上限ですが、自国法令が所定の期間より短い延期しか認めない旨を宣言で通告した締約国を指定しているときは、その国の期間に従い、そのような締約国が二以上あれば、宣言で通告された期間のうち最も短い期間の満了の時に公表されます。すべての指定国で未公表のまま保護の判断をさせるわけにいかないので、一番短い国に合わせるのです。「当該締約国の宣言において通告された最も長い期間の満了の時に公表される」という枝は誤りです。公表の延期を認めない旨を宣言した締約国を指定したときは、国際事務局が出願人に通知し、所定の期間内にその指定を取り下げなければ延期の請求がなかったものとして扱われます。11条(4)により、名義人は延期の期間中いつでも、意匠の一部又は全部の公表を請求でき、「公表の延期の期間中いつでも、国際登録の対象である意匠の一部又は全部の公表を請求することができる」という枝は正しいです。11条(6)により、延期の期間が満了したときは所定の手数料の支払を条件に公表され、手数料が所定の方法で支払われなければ国際登録は取り消され、公表されません。「手数料が所定の方法により支払われないときには、国際登録は、取り消され、及び公表されない」という枝は正しいです。

横軸の時系列を中心にした図。先生が先生役(札「先生」)で横軸の上に立ち、指し棒で札を示している。横軸の左端に札「国際登録」、その右に3本の札「指定国A:延期を短く宣言(短い)」「指定国B:延期を短く宣言(やや長い)」「規則の所定の期間(上限
  • 延期の請求国際出願に含めます(5条(5)・11条(1))。公表の延期を認めない国を指定したときは、指定を取り下げなければ請求がなかったものとして扱われます
  • 延期の期間規則で定める所定の期間が上限で、短い期間を宣言した指定国があればその期間、二以上あれば最も短い期間です
  • 延期中にできること名義人はいつでも一部又は全部の公表を請求できます。公表前の内容は国際事務局が秘密に保ちます
  • 延期の満了所定の手数料の支払を条件に公表します。支払がなければ国際登録は取り消され、公表されません

指定締約国の官庁は自国法令の保護の条件を満たさない意匠を拒絶できますが、形式や記載事項の要件を理由にはできず、拒絶はいつでも取り下げられます

12条(1)は、指定締約国の官庁が、自国の法令に基づく保護の付与の条件を満たしていない意匠について、国際登録の一部又は全部の効果を拒絶することができると定めます。ただし、国際出願の形式若しくは記載事項に関する要件であって協定若しくは規則に定めるもの、又はそれに追加的な若しくは異なる要件が自国法令上満たされていないことを理由に拒絶することはできません。方式は国際事務局が協定と規則に沿って点検済みなので、各国が独自の方式要件を持ち出すことを禁じているのです。形式又は記載事項に関する要件を理由に「国際登録の一部又は全部の効果を拒絶することができない」という枝は正しいです。12条(2)により、拒絶は所定の期間内に、すべての理由を記載した通報で国際事務局に対して行い、12条(3)により、国際事務局が拒絶の通報の写しを遅滞なく名義人に送付します。名義人は拒絶した官庁の国の出願人と同じ救済(再審査、審判、不服申立て)を受けられます。拒絶した官庁が「名義人に対しその拒絶の通報の写しを送付する」という枝は、写しを送るのが国際事務局なので誤りです。12条(4)により、拒絶はそれを通報した官庁がいつでも一部又は全部について取り下げることができ、国際事務局に通報した後は「その一部又は全部についての拒絶を取り下げることができない」という枝は誤りです。日本国特許庁が拒絶の通報をする場合の国内手続は意匠法60条の6以下の国際意匠登録出願の特例で定まります。

指定締約国の特許庁の意匠審査室の場面。先生が審査官役(札「指定締約国の官庁(審査官)」)で机に座り、「国際登録の写し:意匠 椅子」と書かれた書類を見ながら「拒絶の通報(国際事務局あて)理由:新規性なし」と書かれた封筒を手にしている。机の端に
ハーグ協定のジュネーブ改正協定10条

[公表](a) 国際登録は、国際事務局が公表する。

ハーグ協定のジュネーブ改正協定12条(1)

[拒絶する権利]指定締約国の官庁は、国際登録の対象である意匠の一部又は全部が当該指定締約国の法令に基づく保護の付与のための条件を満たしていない場合には、当該指定締約国の領域における国際登録の一部又は全部の効果を拒絶することができる。ただし、いずれの官庁も、国際出願の形式若しくは記載事項に関する要件であって、この改正協定若しくは規則に定めるもの又は当該要件に追加的な若しくは当該要件と異なる要件が当該指定締約国の法令の規定を満たしていないことを理由に国際登録の一部又は全部の効果を拒絶することができない。

試験ではこう問われる

  1. 登録は受理後直ちに、公表の延期「されるか否かにかかわらず、なされる」
  2. 国際登録の日は出願日。5条(2)の不備があれば「補正を受理した日又は国際出願の出願日のいずれか遅い日」
  3. 公表は国際事務局が行い「全ての締約国において十分なものとみなされ」、写しを指定官庁に送付する
  4. 延期を短く宣言した指定国が二以上なら「最も短い」期間の満了時に公表。「最も長い期間の満了の時に」という枝は誤り
  5. 名義人は延期中「いつでも」公表を請求できる。延期満了時の手数料不払なら「取り消され、及び公表されない」
  6. 拒絶は自国法令の保護の条件だけ。形式・記載事項の要件を理由には「拒絶することができない」
  7. 拒絶の通報の写しを名義人に送るのは国際事務局。拒絶した官庁が送るという枝は誤り
  8. 拒絶はいつでも取り下げられる。「取り下げることができない」という枝は誤り

この用語が問われた枝

令和元年度 問46 枝ロ正しい

国際事務局は、国際出願を受理した後直ちに、又は第8条の規定に従って補正をするよう求めている場合には必要な補正を受理した後直ちに、国際出願の対象である意匠を登録する。その登録は、第11条に規定の登録の公表が延期されるか否かにかかわらず、なされる。

令和6年度 問46 枝ロ正しい

「協定」において、国際登録の日は、国際事務局が国際出願を受理した日において、当該国際出願に第5条(2)の規定に関連する不備であって意匠の創作者の特定に関する表示の不備がある場合には、国際事務局が当該不備の補正を受理した日又は国際出願の出願日のいずれか遅い日とされている。

令和元年度 問46 枝ハ正しい

国際登録は、国際事務局が公表し、その公表は、全ての締約国において十分なものとみなされ、名義人が他の方法による公表を求められることはない。

令和4年度 問46 枝ハ正しい

国際事務局は、公表された国際登録の写しを指定官庁に送付する。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

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