弁理士試験AIブートラボ 弁理士AIブートラボ

特許法条約・商標法条約・シンガポール条約・ブダペスト条約・WIPO設立条約・ニース協定とっきょほうじょうやくしょうひょうほうじょうやくしんがぽーるじょうやくぶだぺすとじょうやくわいぽせつりつじょうやくにーすきょうてい

条約 第7章 その他の条約 短答で2枝

特許法条約とは、特許出願の方式と手続を各国で調和させ、出願日の認定の要件や欠落部分の通知などを定める条約です。商標法条約とシンガポール条約は商標の出願・登録手続の調和を、ブダペスト条約は特許手続上の微生物の寄託の国際的承認を、WIPO設立条約は世界知的所有権機関の設置を、ニース協定は商品及びサービスの国際分類をそれぞれ定めます。

条約の問題は、パリ条約・PCT・TRIPS協定・マドリッド協定の議定書・ハーグ協定のジュネーブ改正協定の五つでほぼ埋まりますが、ごくまれに他の条約から一枝だけ出ます。出題されたのは、出願日を決めるときに書類の欠落を出願人に知らせる特許法条約の定めと、商品・サービスの分類が各国の保護の範囲を縛らないというニース協定の定めです。どちらも「手続や分類を世界でそろえるが、権利の中身は各国に委ねる」という、手続調和条約に共通する考え方で読めます。

法律事務所の書庫の場面。先生が先生役(札「先生」)で本棚の前に立ち、本棚には背表紙に「パリ条約」「PCT」「TRIPS協定」「マドリッド協定の議定書」「ハーグ協定のジュネーブ改正協定」と書かれた太い本が並び、その端に薄い本が5冊「特許法条約

特許法条約は出願手続の方式を調和させ、出願日の設定に当たり明細書の一部や図面の欠落を認めた官庁は速やかに出願人に通知します

特許法条約は、特許出願の方式と手続の要件を各国で統一し、出願人が方式の違いで権利を失わないようにする条約で、日本は平成28年に加入しました。5条は出願日の認定を扱い、出願日を得るための要素を、出願の意思の表示、出願人を特定する表示、明細書と見える部分の三つに限ります。5条(5)は、官庁が出願日を設定するに当たり、明細書の一部が出願から欠落していると認められる場合、又は出願が言及している図面が欠落していると認められる場合には、速やかに出願人にその旨を通知すると定めます。欠落に気づかないまま出願日を確定させると、後から補充したときに出願日が繰り下がって出願人に不利になるので、通知を官庁の義務にして補充の機会を与えています。欠落している場合においても「出願人にその旨を通知することを要しない」という枝は誤りです。日本では特許法38条の2が出願日の認定と補完の手続を定め、38条の4がこの条約に合わせて明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の通知と補完を置いています。

特許庁の出願窓口の場面。先生が窓口の職員役(札「官庁(特許庁)」)でカウンターの内側に立ち、「特許出願:明細書(3頁のうち2頁目が欠落) 図1を参照、と書かれているが図面なし」と書かれた書類を手にしている。先生は「欠落の通知」と書かれた紙を

ニース協定の国際分類は、保護の範囲の評価とサービス・マークの承認について同盟国を拘束しません

ニース協定は、標章の登録のための商品及びサービスの国際分類を定める条約で、各同盟国は登録や公告でこの分類を用います。ただし国際分類は、保護の範囲の評価とサービス・マークの承認について同盟国を拘束しません。分類は事務の整理のための道具で、同じ類にあるから類似、別の類だから非類似という判断を各国に強いるものではないからです。国際分類が保護の範囲の評価やサービス・マークの承認について同盟国を拘束するという理解は誤りです。同じ考え方は商標法6条3項が商品及び役務の区分は商品又は役務の類似の範囲を定めるものではないとしていることや、マドリッド協定の議定書4条(1)(b)にも現れています。議定書では、3条(2)により出願人は願書に「可能な場合には」国際分類に従って類を指定するとされており、類の指定は必ず求められるものではありません。「類の指定は、標章に与える保護の範囲を決定するに際して締約国を拘束するものではない」という枝は正しいです。

商標法条約・シンガポール条約・ブダペスト条約・WIPO設立条約は名前と目的を押さえれば足ります

商標法条約は商標の出願と登録の手続を簡素化・調和する条約で、シンガポール条約はそれを電子出願や期間の救済にまで広げて改めたもので、日本は平成28年にシンガポール条約に加入しました。ブダペスト条約は、特許手続上の微生物の寄託について、国際寄託当局への一回の寄託をすべての締約国が承認するという条約です。WIPO設立条約は世界知的所有権機関を設け、パリ条約やベルヌ条約などの管理を担わせる条約で、その事務局長はパリ条約やPCTの各種の通告や寄託の宛先になります。これらは短答で出題された実績がなく、用語集では制度の名前と目的だけを置きます。なお、パリ条約24条(3)(a)により、領域への適用の通告は事務局長による通告の後3月で効力を生じ、事務局長が受領した日にすぐ効力を生ずるものではありません。

  • 特許法条約特許出願の方式・手続の調和。出願日の要素を三つに限り、欠落は速やかに通知(5条(5))。日本は平成28年加入
  • 商標法条約・シンガポール条約商標の出願・登録手続の簡素化と調和。シンガポール条約は電子出願や期間の救済を加えた改訂。日本は平成28年にシンガポール条約に加入
  • ブダペスト条約特許手続上の微生物の寄託の国際的承認。国際寄託当局への寄託を各国が認める
  • WIPO設立条約世界知的所有権機関の設置。各条約の管理と事務局長への通告・寄託の窓口
  • ニース協定商品及びサービスの国際分類。保護の範囲の評価とサービス・マークの承認について同盟国を拘束しない

試験ではこう問われる

  1. 特許法条約5条(5):明細書の一部や言及された図面の欠落を認めた官庁は速やかに出願人に通知する。「通知することを要しない」という枝は誤り
  2. ニース協定の国際分類は保護の範囲の評価及びサービス・マークの承認について同盟国を拘束しない
  3. マドリッド協定の議定書の類の指定は「可能な場合には」で、「必ず」指定しなければならないという枝は誤り。類の指定は保護の範囲を決めるとき締約国を拘束しない
  4. 商標法条約・シンガポール条約は手続の調和、ブダペスト条約は微生物の寄託の国際的承認、WIPO設立条約は機関の設置。出題実績はない

この用語が問われた枝

平成30年度 問50 枝ホ誤り

官庁は、出願日を設定するに当たり、明細書の一部が出願から欠落していると認められる場合又は出願から欠落していると認められる図面に当該出願が言及している場合においても、出願人にその旨を通知することを要しない。

令和7年度 問46 枝ニ正しい

「議定書」において、出願人が国際分類に従って指定した類は、国際事務局が本国官庁と協力して行う調整に服するが、類の指定は、標章に与える保護の範囲を決定するに際して締約国を拘束するものではない。

枝ごとの解説と条文は肢別演習で読めます。

条約を肢別演習で解く

この用語で問われた枝を、解説つきでそのまま解けます。

関連する用語

マドリッド協定議定書

国際出願の資格・本国官庁・国際登録日・領域指定(2条・3条・3条の2・3条の3・4条(2))

国際出願の資格とは、マドリッド協定の議定書2条(1)で、締約国の官庁にした標章登録出願(基礎出願)又はその官庁の登...
パリ条約

パリ条約の総則(1条・12条・19条)

パリ条約の総則とは、この条約が適用される国が工業所有権の保護のための同盟を形成することと、工業所有権の保護の対象・...
PCT 国際段階

国際出願日の認定と欠陥の補充(11条・12条・14条・規則20・26)

国際出願日の認定とは、受理官庁が、国際出願として提出された書類の受理の時に11条(1)の要件が満たされていることを...