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弁理士試験の免除一覧|科目免除の条件と期間(短答・論文は2年)

試験情報 読了 約11分

弁理士試験の科目免除を一覧で整理。短答式合格の2年免除、大学院28単位による一部科目免除、論文式必須科目の2年免除、選択科目の永続免除、審査官・審判官経験者の免除(口述試験も対象)まで、どの免除が何年続くか、願書での申請手続と期限を、弁理士法11条と特許庁の試験公告で確認します。

弁理士試験は短答式・論文式・口述の3段階を順番に通過する試験ですが、一度合格した段階を翌年以降も受け直す必要はありません。弁理士法11条が、合格した試験や一定の学位・資格・職歴を持つ人に対して、試験の一部を免除する仕組みを置いているからです。

結論から言うと、弁理士試験の免除は「期限つき」と「永続」の2種類に分けて覚えるのが早道です。短答式と論文式(必須科目)の合格による免除は、合格発表の日から2年で切れます。論文式(選択科目)の合格や、学位・公的資格による選択科目の免除は、一度得れば期限がありません。そして口述試験は、特許庁の審判・審査の経験者を除いて免除がありません。どの免除も「申請により」与えられるので、受験願書で申請しなければ使えない点も押さえておきます。

この記事では、条文は e-Gov 法令検索の弁理士法・弁理士法施行規則で、運用は特許庁の弁理士試験のページと令和8年度の試験公告で確認しています。

免除の一覧

弁理士試験の免除の一覧。期限つきの免除と永続する免除がある
弁理士試験の免除の一覧。期限つきの免除と永続する免除がある

弁理士法11条は、免除の対象者と免除される試験を1号から6号までの6つに分けて定めています。受験生が使う場面の多い順に並べ替えると、次のようになります。

免除の種類 根拠 免除される試験 期間
短答式の合格者 11条1号 短答式の全科目 合格発表の日から2年
論文式(必須科目)の合格者 11条2号 論文式の必須科目 合格発表の日から2年
論文式(選択科目)の合格者 11条3号 論文式の選択科目 永続
大学院で工業所有権の科目を修得した人 11条4号 短答式の特実・意匠・商標・条約 大学院修了の日から2年
特許庁の審判・審査の事務に通算5年以上 11条5号 工業所有権の法令と条約の試験(短答式の特実・意匠・商標・条約、論文式の必須科目、口述試験) 定めなし
学位・公的資格を持つ人 11条6号 論文式の選択科目 永続

出典:弁理士法11条、特許庁「弁理士試験の案内」「令和8年度弁理士試験受験案内」

口述試験を免除するのは5号だけです。1号〜4号・6号の免除では口述試験は免除されないので、筆記試験に合格した人は口述試験を受けることになります。

また、11条の柱書は「その申請により」免除すると書いています。免除の要件を満たしていても、自動で適用されるわけではありません。申請の方法は後半の「免除の申請手続」で扱います。

短答式の免除

短答式に合格した人の全部免除(11条1号)

短答式に合格すると、「合格発表の日から起算して二年を経過する日までに行う短答式による試験」が免除されます。短答式の合格発表は例年6月、短答式の試験は例年5月なので、実際には合格した翌年と翌々年の2回分の短答式が免除になります。

短答式に合格すると、合格発表の日から2年、翌年と翌々年の2回分の短答式が免除される
短答式に合格すると、合格発表の日から2年、翌年と翌々年の2回分の短答式が免除される

令和8年度の試験公告では、短答式の免除を受けるための証明書面として「弁理士試験短答式筆記試験合格通知(写し)」が挙げられ、対象は令和6年度と令和7年度の合格者とされています。令和6年度に合格した人は、令和7年度と令和8年度の短答式を受けずに論文式から受験できたことになります。

出典:工業所有権審議会「令和8年度弁理士試験公告」(令和8年1月14日)

免除期間が終わった後に短答式を受け直して合格すれば、そこからまた2年間の免除が始まります。特許庁の「弁理士試験の免除関係に関するQ&A」がこの点を明記しています。

大学院修了者の一部科目免除(11条4号)

大学院の課程を修了し、在学中に経済産業省令で定める工業所有権に関する科目の単位を修得した人は、短答式のうち「工業所有権に関する法令」と「工業所有権に関する条約」の試験が免除されます。必要な単位は、弁理士法施行規則5条が次のように定めています。

大学院で工業所有権の科目を28単位修得した人は、短答式のうち著作権法・不正競争防止法だけを受ける
大学院で工業所有権の科目を28単位修得した人は、短答式のうち著作権法・不正競争防止法だけを受ける
科目 単位数
特許及び実用新案に関する法令に関する科目 8
意匠に関する法令に関する科目 4
商標に関する法令に関する科目 4
工業所有権に関する条約に関する科目 4
上の4つのうち一または複数に関する科目 8

合計すると28単位です。上の4区分は講義によるものに限られ、最後の区分は講義・演習などでもよいとされています(施行規則5条3項・4項)。

特許庁の案内によると、対象は平成20年1月以降に大学院の課程に進学した人で、事前に工業所有権審議会の認定を受ける必要があります。免除されるのは特許・実用新案、意匠、商標、条約の4科目で、著作権法及び不正競争防止法の10問だけを短答式の実施日に35分で受験します。免除を使えるのは大学院の課程を修了した日から2年を経過する日までに行う試験に限られます。

特許庁のQ&Aは、次のような扱いも示しています。

  • 科目名ではなく、授業の方法・内容・成績評価の方法などで対象科目かを判断する
  • 「商標法」と「著作権法」を合わせた科目のように、工業所有権以外の内容を組み合わせた科目は対象にならない
  • 他の大学院との単位互換や、海外の大学院で修得した単位は算入できない

免除者の合格点は5科目を受ける人とは別に示されます。具体的な点数と足切りとの関係は「短答式の合格基準と科目別足切り」で整理しています。

審判官・審査官の経験者(11条5号)

特許庁で審判または審査の事務に通算5年以上従事した人は、「工業所有権に関する法令及び条約について行う試験」が免除されます。口述試験も工業所有権に関する法令について行う試験(弁理士法10条3項)なので、この免除に含まれます。令和8年度の受験案内は、短答式の工業所有権の科目と条約の科目、論文式の必須科目、口述試験の3つについて、この人が申請により免除されると書いています。短答式で受けるのは、大学院修了者と同じく著作権法及び不正競争防止法の科目だけ(試験時間35分)で、あとは論文式の選択科目が残ります。

審判・審査の事務に通算5年以上なら口述試験まで免除され、審判官・審査官として7年以上なら試験を受けずに資格を得る道がある
審判・審査の事務に通算5年以上なら口述試験まで免除され、審判官・審査官として7年以上なら試験を受けずに資格を得る道がある

出典:特許庁「令和8年度弁理士試験受験案内」(令和8年1月)

なお、審判官または審査官として通算7年以上従事した人は、試験を受けなくても実務修習を修了すれば弁理士となる資格を得ます(弁理士法7条3号)。5年と7年の違いは短答式でも問われやすいので、あわせて押さえておきます。

論文式の免除

必須科目の合格者(11条2号)

論文式の必須科目(特許・実用新案、意匠、商標)で審議会が相当と認める成績を得た人は、合格発表の日から起算して2年を経過する日までに行う必須科目の試験が免除されます。論文式の合格発表は例年9月なので、翌年と翌々年の2回分です。

論文式の必須科目は、平均54点を基準に47点未満の科目がなければ、論文式が不合格でも免除が得られる
論文式の必須科目は、平均54点を基準に47点未満の科目がなければ、論文式が不合格でも免除が得られる

ここで大切なのは、免除が「論文式の合格」ではなく「必須科目の成績」に結びついていることです。特許庁のQ&Aによると、必須科目と選択科目は別々に採点され、どちらかを欠席して論文式としては不合格になっても、受験した科目が合格基準を満たしていれば、その科目の免除資格が得られます。

合格基準は、標準偏差で調整した後の各科目の得点の平均が54点を基準とし、47点未満の科目が一つもないことです。1科目だけ大きく崩すと、平均が足りていても必須科目の免除は得られません。

選択科目の合格者(11条3号)

論文式の選択科目で相当と認める成績を得た人は、「その後に当該科目について行う論文式による試験」が免除されます。期限の定めがないので、選択科目は一度合格すれば永続的に免除です。特許庁の案内は、平成20年度以降の合格者に適用すると明記しています。合格基準は、科目の得点(素点)が満点の60%以上です。

学位・公的資格による選択科目の免除(11条6号)

選択科目は、受験せずに免除を受ける道が最も広い科目です。施行規則6条が、次の人を対象にしています。

区分 主な対象
学位 選択科目に関する研究で修士・博士の学位を得て、論文の審査に合格した人。専門職学位は修了要件の論文審査に合格した人
理工系の資格 技術士(技術部門と選択科目で決まる)、一級建築士、第一種・第二種電気主任技術者、薬剤師、電気通信主任技術者、情報処理安全確保支援士、一部の情報処理技術者試験の合格者
法律系の資格 司法試験の合格者、司法書士、行政書士

どの資格がどの科目に当たるか、学位の認定をどう申請するかは、「選択科目の免除資格と申請手続」で一覧にしています。

口述試験の免除は審判・審査の経験者だけ

弁理士法10条3項により、口述試験は筆記試験に合格した人が工業所有権に関する法令について受ける試験です。これを免除するのは、特許庁で審判または審査の事務に通算5年以上従事した人の免除(11条5号)だけです。短答式や論文式に合格したことによる免除、学位・資格による免除には口述試験が含まれないので、それ以外の人は最終合格の前に必ず口述試験を通ります。

ただし、口述試験に不合格になっても、翌年に筆記試験を全部受け直すとは限りません。同じ年に短答式と論文式(必須科目)に合格していれば、それぞれの免除期間はまだ残っています。選択科目も合格または免除済みなら、翌年は短答式と論文式の免除を申請して口述試験から受験する形になります。一方で、短答式の合格が前年のものだった場合は、免除期間の終わりが早く来るので、年度ごとに残りの期間を数えておきます。

口述試験の問われ方と準備は「口述試験の対策」で扱っています。

免除の期限を年度で数える

短答式に合格した年から数えた、免除の使い方の例
短答式に合格した年から数えた、免除の使い方の例

「2年」は年度で数えると混乱しにくくなります。短答式の合格を起点にした例です。

年度 短答式 論文式(必須科目) 選択科目
1年目 受験して合格 受験(不合格でも可) 受験して合格すれば以後免除
2年目 免除(1年目の合格による) 受験 合格済みなら免除
3年目 免除(1年目の合格による最後の年) 受験 合格済みなら免除
4年目 再び受験が必要 3年目までの合格があれば免除 合格済みなら免除

この表から分かるのは、短答式の免除の最後の年に論文式(必須科目)に合格しても、翌年は短答式の免除が切れているという点です。その場合、4年目は論文式(必須科目)が免除されても短答式を受ける必要があります。短答式を受け直す年は、条約と著作権法・不正競争防止法の学習も戻ってくるので、年間の計画を組み直します。

免除の使い方は合格者の構成にも表れています。令和7年度の最終合格者205人のうち、免除を受けて受験した人は191人(93.2%)、免除なしで受験した人は14人(6.8%)でした。

出典:特許庁・工業所有権審議会「令和7年度弁理士試験の結果について」(令和7年11月17日)

この「免除者」には選択科目の学位・資格による免除も含まれるので、全員が段階的に合格したという意味ではありません。それでも、何の免除も持たずに1年で最終合格まで進む人が少数であることは読み取れます。免除を使った複数年の計画は「弁理士試験の合格率と難易度」で具体的に扱っています。

免除で誤解しやすい点

特許庁のQ&Aと案内から、受験生が取り違えやすい点を拾っておきます。

免除は点数をもらう制度ではなく、免除者は著作権法・不正競争防止法の10問の得点だけで合否が決まる
免除は点数をもらう制度ではなく、免除者は著作権法・不正競争防止法の10問の得点だけで合否が決まる

免除は点数をもらう制度ではない。大学院の一部科目免除について、特許庁のQ&Aは、免除科目分の点数を与えるものではなく、その科目を受験しなくてよいという意味だと答えています。免除者は著作権法・不正競争防止法の試験だけで合否が決まるので、10問のうち何問取れるかがそのまま結果になります。

論文式は必須と選択を別々に扱う。論文式の合格には必須科目と選択科目の両方で合格基準を満たす必要がありますが、免除は科目ごとに付きます。今年は必須科目に集中し、選択科目は翌年以降に回す、という受け方もできます。

選択科目の選択は願書で決まる。特許庁の案内では、選択問題は受験願書の提出時に選び、その後は変更できないとされています。免除を申請するか、どの選択問題で受けるかは、願書を書く前に決めておきます。なお、令和9年度から選択問題が15から9に再編されますが、特許庁は免除対象分野の変更はないとしています。

古い認定も引き継がれる。平成28年1月1日以前または平成21年1月1日以前に旧選択科目で免除の認定を受けた人は、それぞれ対応する現在の選択科目が免除されると特許庁のQ&Aが示しています。

免除の申請手続

免除を使うには、受験願書で申請します。弁理士法施行規則8条3項は、免除を受けようとする人は受験願書にその旨を記載し、該当することを証する書面を添付しなければならないとしています。

免除は自動では付かないので、受験願書に免除の旨を書き、証明書面を添えて郵送で申請する
免除は自動では付かないので、受験願書に免除の旨を書き、証明書面を添えて郵送で申請する

令和8年度の試験公告で指定された主な証明書面は次のとおりです。

免除の種類 願書に添付する書面
短答式の合格(11条1号) 短答式筆記試験合格通知(写し)
論文式必須科目・選択科目の合格(11条2号・3号) 論文式筆記試験科目免除資格通知(写し)
大学院の一部科目免除(11条4号) 一部科目免除資格認定通知書(写し)など
審判・審査の経験(11条5号) 特許庁長官が証明する書面
学位・公的資格(11条6号) 選択科目免除資格認定通知書(写し)や各資格の証明書

出典:工業所有権審議会「令和8年度弁理士試験公告」(令和8年1月14日)

手続で見落としやすい点を4つ挙げます。

  1. 事前の認定が必要な免除がある。大学院の一部科目免除と、学位による選択科目免除は、願書の前に工業所有権審議会の認定を受けます。令和8年度の試験に適用する認定申請の締切は令和8年2月27日(消印有効)でした。例年2月末が期限です
  2. 証明書に発行日の条件がある。令和8年度は、審判・審査の経験の証明や、技術士・一級建築士・司法書士などの資格の証明書面について、試験公告の日から願書受付の最終日までに発行されたものに限るとされていました
  3. 通知書を紛失したら再発行を申請する。合格通知や免除資格通知は、特許庁の「免除資格通知等の再発行」の手続で再発行を受けられます。願書の受付期間に間に合うよう早めに動きます
  4. 願書は郵送のみ。受付期間は令和8年度で3月5日から4月2日まで(消印有効)で、特許庁への持参は受け付けられません

受験願書の入手方法や受験手数料など、願書そのものの手続は「受験資格と受験料、願書の出し方」でまとめています。

よくある質問

弁理士試験の科目免除とは何ですか

短答式・論文式・口述試験のうち、一定の要件を満たす人について申請により一部または全部を免除する制度です(弁理士法11条)。短答式合格者の短答式免除、論文式必須科目合格者の必須科目免除、選択科目合格者の選択科目免除、大学院修了者の短答式一部免除、特許庁の審判・審査経験者の免除、学位・公的資格による選択科目免除の6種類があります。

免除は自動で適用されますか

されません。11条の柱書は「その申請により」免除すると定めています。願書に免除資格を記載し、証明書面を添付する必要があります。

短答式の免除は何年続きますか

短答式に合格した年の合格発表の日から2年です。論文式の必須科目も同じく2年です。選択科目の免除は期限がなく、合格すれば以後ずっと免除されます。

口述試験が免除されることはありますか

特許庁で審判または審査の事務に通算5年以上従事した人(11条5号)だけです。それ以外の免除では口述試験は免除されません。

まとめ

  • 免除は弁理士法11条の6つ。期限つき(短答式・論文式必須科目・大学院の一部科目免除)と、永続(選択科目の合格・学位・公的資格)に分かれる
  • 短答式と論文式(必須科目)の合格による免除は、合格発表の日から2年。実際には翌年と翌々年の2回分
  • 大学院で工業所有権の科目を28単位修得した人は、修了から2年間、短答式の4科目が免除され、著作権法・不正競争防止法だけを受ける
  • 選択科目は合格すれば永続免除。学位や技術士・薬剤師・司法書士などの資格でも免除される
  • 口述試験を免除するのは審判・審査の経験(通算5年以上)だけ。口述で不合格でも、同じ年に短答式・論文式に合格していれば、翌年は口述から受けられる
  • 免除は願書での申請が必要。事前の認定は例年2月末が期限で、証明書面には発行日の条件がある
読んだあとに、今日の1問を

過去問ベースの肢別演習で、読んだ内容をそのまま演習に移せます。

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