弁理士試験の日程・受験資格・受験料|願書の出し方から登録まで
弁理士試験に受験資格の制限はありません。令和8年度の日程(願書受付・短答式・論文式・口述・合格発表)と試験地、受験手数料12,000円を特許印紙で納める根拠、願書の3つの入手方法と郵送のみの提出、合格後の実務修習と日本弁理士会への登録にかかる費用を、弁理士法と特許庁の試験公告で確認して整理します。
弁理士試験を受けようと決めたとき、最初に確かめたいのが「自分は受験できるのか」「いくらかかるのか」「いつ何を出せばよいのか」の3つです。弁理士試験はこのうち最初の問いの答えがとても単純で、あとの2つは年に一度の短い期間に手続が集中するのが特徴です。
結論から言うと、弁理士試験には受験資格の制限がなく、受験手数料は12,000円を特許印紙で納めます。願書はインターネットでも請求できますが、提出は郵送だけで、受付は例年3月上旬から4月上旬の1か月ほどです。合格した後も、実務修習の修了と日本弁理士会への登録を経て初めて弁理士として仕事ができ、その段階にも費用がかかります。
この記事では、条文を e-Gov 法令検索の弁理士法・同施行令・同施行規則で、手続と日程を特許庁の「弁理士試験の概要」と令和8年度の試験公告で、登録と実務修習の費用を日本弁理士会の公表で確認しています。試験の3段階の中身は「弁理士試験とは」で整理しています。
受験資格はない
特許庁の「弁理士試験の概要」は、受験資格について「特にありません」とし、学歴、年齢、国籍などによる制限は一切ないと明記しています。弁理士法も、9条・10条で試験の目的と科目を定めるだけで、受験できる人を絞る規定を置いていません。

つまり、学生でも社会人でも、理系でも文系でも、同じ条件で短答式から受験できます。ただし、段階の間には順番の条件があります。
| 試験 | 受けられる人 |
|---|---|
| 短答式筆記試験 | 誰でも(免除を受ける人は受けない) |
| 論文式筆記試験 | 短答式の合格者(免除者を含む) |
| 口述試験 | 筆記試験の合格者 |
出典:弁理士法10条、特許庁「弁理士試験の概要」
もう1つ区別しておきたいのが、「受験資格」と「弁理士となる資格」の違いです。弁理士法8条は、弁理士となる資格を有しない欠格事由を列挙しており、その中に拘禁刑以上の刑に処せられた者や未成年者などが含まれています。受験には制限がなくても、合格後に登録を受ける段階では欠格事由に当たらないことが必要です。
受験手数料は12,000円
受験手数料の根拠は次のように条文がつながっています。

| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 手数料を納める義務 | 実費を勘案して政令で定める額を納付する | 弁理士法15条1項 |
| 金額 | 12,000円 | 弁理士法施行令2条1項 |
| 納め方 | 受験願書に特許印紙を貼って納付する | 弁理士法施行規則9条 |
| 返還 | 試験を受けなかった場合も返還しない | 弁理士法15条2項 |
特許庁の「弁理士試験の概要」は、収入印紙では受験できないと注意書きしています。特許印紙は郵便局などで扱っているので、願書を書き始める前に用意しておきます。
令和8年度の試験公告も、提出するものとして「12,000円の特許印紙(受験願書の所定の箇所に貼付すること。)」を挙げ、免除の有無で金額を分けていません。短答式が免除されて論文式から受ける年も、口述試験だけを受ける年も、願書を出す年ごとに12,000円を納めることになります。
出典:工業所有権審議会「令和8年度弁理士試験公告」(令和8年1月14日)
願書の入手と提出
弁理士試験は、工業所有権審議会が交付する受験願書でしか申し込めません。インターネット上で申込みが完結する仕組みではなく、「願書を入手する」手続と「願書を郵送で提出する」手続の2段階になっています。
願書を入手する3つの方法
令和8年度の試験公告に沿って整理すると、入手方法は3つです。
| 方法 | 令和8年度の期間 | 手続 |
|---|---|---|
| インターネットで請求 | 2月2日〜3月19日 | 特許庁のウェブサイトから請求。3月2日から順次、登録した住所に印字済みの願書が届く |
| 郵送で請求 | 3月2日〜3月19日(消印有効) | 「弁理士試験受験願書請求」と朱書きした封筒に、宛先を書いた角形2号の返信用封筒(切手不要)を同封して特許庁に送る |
| 窓口で受け取る | 3月2日〜3月31日(行政機関の休日を除く) | 特許庁、日本弁理士会、各経済産業局の知的財産室などで交付 |
出典:工業所有権審議会「令和8年度弁理士試験公告」(令和8年1月14日)
インターネットで請求した場合も、手元に届くのは紙の願書です。特許庁のインターネット願書請求の案内も、受験願書の受付は郵送のみで、特許庁に直接持参しても受け付けないと注意しています。
願書を郵送で提出する
令和8年度の受付期間は3月5日から4月2日まで(消印有効)で、受付開始前に送ることも禁じられていました。願書と同時に交付される封筒を使い、特許庁内の工業所有権審議会会長あてに郵送します。公告は簡易書留を推奨しています。

願書に添えるものは次のとおりです。
- 写真(提出前6か月以内に撮影した、無帽・正面・上半身の縦4.5cm×横3.5cmのもの)
- 12,000円の特許印紙
- 免除を受ける場合は、免除の種類に応じた証明書面
弁理士法施行規則8条2項により、願書には筆記試験の受験地と、論文式で選択する科目を書きます。特許庁の案内では、選択科目の選択問題は願書の提出時に選び、その後は変更できません。免除の証明書面の種類と期限は「弁理士試験の免除一覧」で、選択科目を資格や学位で免除する手続は「選択科目の免除資格と申請手続」でまとめています。
受験案内は、令和8年度は2月下旬までに特許庁のウェブサイトに掲載され、窓口や郵送で願書と一緒にも配布されました。願書を書く前に、その年度の受験案内を一通り読んでおくのが確実です。
願書の段階でつまずきやすい点
特許庁の案内と試験公告から、出願の段階で見落としやすい点を拾っておきます。

| 場面 | 注意すること |
|---|---|
| 期限の逆算 | 受験案内の公告は例年1月中旬。学位や大学院による免除の事前認定は例年2月末が期限で、願書の受付より前に締め切られる |
| 印紙 | 貼るのは特許印紙。収入印紙では受験できない |
| 選択科目 | 願書の提出時に選択問題を1つ選び、その後は変更できない |
| 住所の変更 | 提出後に送付先が変わったときは、特許庁の案内にある「送付先等変更届」で届け出る |
| 特別な配慮 | 持病や障害などで試験中に措置を希望する人は、「特別措置に関する申出書」と医師の診断書などを願書とともに提出する |
| 受験票 | 特許庁の概要では、受験票の発送は例年5月上旬から中旬ごろ |
出典:特許庁「弁理士試験の概要」「弁理士試験の案内」「インターネットによる弁理士試験受験願書請求について」
とくに期限の逆算は、初めて受験する年に間違えやすい点です。願書の受付は3月から4月ですが、選択科目を学位で免除したい人の認定申請は2月末で締め切られます。「願書と一緒に出せばよい」と考えていると、その年は免除を使えず、選択科目を受験するか、翌年に回すことになります。
試験当日は、筆記用具・時計・受験票以外のものを机の上に置けません。ティッシュ、耳栓、目薬、定規、置き時計などは、試験開始前に監督員の確認を受ければ使えると特許庁は案内しています。補聴器や拡大鏡のように、それ以外のものを使いたい場合は、事前に特別措置の申請が必要です。
令和8年度の日程と試験地
試験の日程と試験地は、弁理士法施行規則7条により工業所有権審議会が決定し、あらかじめ官報で公告します。例年1月中旬に公告が出ます。令和8年度の公告の内容は次のとおりでした。

| 試験 | 実施日 | 試験地 | 合格発表(予定) |
|---|---|---|---|
| 短答式筆記試験 | 5月17日(日) | 東京、大阪、仙台、名古屋、福岡 | 6月8日(月) |
| 論文式(必須科目) | 6月28日(日) | 東京、大阪 | 9月18日(金) |
| 論文式(選択科目) | 7月26日(日) | 東京、大阪 | 同上 |
| 口述試験 | 10月17日(土)〜19日(月)のいずれかの日 | 東京 | 11月9日(月)(最終合格) |
出典:工業所有権審議会「令和8年度弁理士試験公告」(令和8年1月14日)
実際の合格発表は、短答式が令和8年6月9日付(合格者459名)、論文式が予定どおり令和8年9月18日付(合格者201名)でした。
出典:工業所有権審議会「令和8年度弁理士試験短答式筆記試験合格発表」(令和8年6月9日)、「令和8年度弁理士試験論文式筆記試験合格発表」(令和8年9月18日)
試験地の「東京」は東京都、「大阪」「仙台」「名古屋」「福岡」はそれぞれの市の近傍を含みます。具体的な会場は4月中に官報で公告されます。令和8年度は4月14日に会場が公告され、短答式の東京会場は立教大学池袋キャンパス、大阪会場は大阪経済大学大隅キャンパスでした(工業所有権審議会「令和8年度弁理士試験の試験会場」、令和8年4月14日公告)。論文式は東京と大阪、口述は東京だけなので、地方から受験する人は、短答式に合格した後の移動と宿泊も計画に入れておきます。
合格後の実務修習と登録
最終合格は、弁理士として働くための条件の一部にすぎません。弁理士法7条は、弁理士試験に合格した者が「第十六条の二第一項の実務修習を修了したもの」を弁理士となる資格を有する者としています。さらに17条により、弁理士となるには日本弁理士会の弁理士登録簿に登録を受けなければなりません。
実務修習
実務修習は、弁理士となるのに必要な技能と高等の専門的応用能力を修得させるための研修で、講義と演習により行われます。弁理士法施行規則21条の2は、1回の実施期間内に次の単位以上を行うと定めています。

| 課程 | 単位数 |
|---|---|
| 弁理士法及び弁理士の職業倫理 | 16 |
| 特許及び実用新案に関する理論及び実務 | 57 |
| 意匠に関する理論及び実務 | 27 |
| 商標に関する理論及び実務 | 30 |
| 工業所有権に関する条約その他の弁理士の業務に関する理論及び実務 | 17 |
単位は30分を1単位とすることが基本です(同条2項)。受講者は、1回の実施期間内にすべての課程の単位を修得しなければなりません(施行規則21条の3)。
一定の実務経験がある人は、課程の一部の免除を申請できます(施行規則21条の4)。
| 対象 | 免除を申請できる課程 |
|---|---|
| 試験合格者で、所属する法人の出願書類の作成事務に専ら3年以上従事した人 | 特許・実用新案、意匠、商標のうち1つ |
| 試験合格者で、出願書類の作成事務の補助業務に専ら5年以上従事した人 | 同上 |
| 試験合格者で、特許庁の審判・審査の事務に通算5年以上従事した人 | 同上 |
| 弁護士となる資格を有する人 | 特許・実用新案から条約等までのすべて |
| 特許庁の審判官・審査官として通算7年以上従事した人 | 特許・実用新案、意匠、商標のうち1つ |
免除の申請は、受講の申請と同時に行います。すべての課程を修得すると、実務修習修了証が交付されます(施行規則21条の9)。
実務修習は経済産業大臣または大臣が指定する指定修習機関が行う仕組みで、日本弁理士会は現在唯一の指定修習機関として実務修習を実施しています。日本弁理士会の案内によると、令和7年度の実務修習は、受講申請の受付が令和7年11月12日から11月19日まで、実施期間が令和7年12月5日から令和8年3月31日まででした。e-ラーニング研修とオンライン集合研修を組み合わせる形で、受講料は118,000円(非課税)でした。
出典:日本弁理士会「令和7年度 実務修習のお知らせ」(令和8年9月26日時点で、同会の「実務修習について」のページに掲載されている最新の案内。令和8年度の案内はまだ掲載されていません)
受講申請の受付は最終合格発表の直後に1週間ほどしかありません。日本弁理士会も、合格発表から締切まで時間が非常に限られていると注意しています。最終合格が見えてきたら、その年度の案内を事前に確認しておきます。
日本弁理士会への登録
実務修習を修了したら、日本弁理士会に登録申請書を提出します(弁理士法18条)。日本弁理士会が公表している登録の費用は次のとおりです。
| 費用 | 金額 | 納め方 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 60,000円 | 申請前に麹町税務署などに納付し、領収証書の原本を申請書に貼付 |
| 登録料 | 35,800円 | 申請前に銀行振込 |
| 登録月の会費 | 15,000円 | 登録料とあわせて振込(計50,800円) |
出典:日本弁理士会「弁理士登録申請について」(令和8年9月26日確認)
登録した後も、日本弁理士会の会費の納付が続きます。申請書類は原則として郵送で、追跡できる方法で送るよう案内されています。
費用を段階ごとに見る
ここまでの費用を、段階ごとに並べます。
| 段階 | 費用 | 出典 |
|---|---|---|
| 受験(毎年) | 受験手数料 12,000円 | 弁理士法施行令2条1項 |
| 実務修習 | 受講料 118,000円(令和7年度) | 日本弁理士会 |
| 登録 | 登録免許税 60,000円 | 日本弁理士会 |
| 登録 | 登録料 35,800円、登録月の会費 15,000円 | 日本弁理士会 |
受験手数料は、受験する年ごとにかかります。短答式から口述まで複数年に分けて受ける人は、その年数分を見込みます。実務修習の受講料は年度ごとに案内されるので、受講する年度の金額を日本弁理士会の案内で確かめてください。
このほかにかかる費用は、教材や講座の費用、論文式・口述試験で東京や大阪へ移動する交通費などで、人によって大きく違います。学習にかける時間と費用の配分は「社会人の弁理士試験の勉強法」でも扱います。登録後にどのような仕事をするかは「弁理士の仕事内容と年収」で整理しています。
まとめ
- 弁理士試験に受験資格の制限はない。学歴・年齢・国籍を問わず短答式から受けられる。ただし登録の段階では弁理士法8条の欠格事由がある
- 受験手数料は12,000円。特許印紙を願書に貼って納め、収入印紙は使えない。受験しなくても返還されない
- 願書はインターネット・郵送・窓口で入手でき、提出は郵送のみ。令和8年度の受付は3月5日から4月2日(消印有効)
- 令和8年度の試験地は、短答式が東京・大阪・仙台・名古屋・福岡、論文式が東京・大阪、口述が東京
- 合格後は日本弁理士会の実務修習(令和7年度の受講料118,000円)を修了し、登録免許税60,000円と登録料・会費50,800円を納めて登録する
過去問ベースの肢別演習で、読んだ内容をそのまま演習に移せます。