1意匠権は、設定の登録により発生する。
2第四十二条第一項の規定による第一年分の登録料の納付があつたときは、意匠権の設定の登録をする。
3前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。
1 意匠権者の氏名又は名称及び住所又は居所
2 意匠登録出願の番号及び年月日
3 登録番号及び設定の登録の年月日
4 願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容
5 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
4第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する前項第四号に掲げる事項は、同項の規定にかかわらず、第十四条第一項の規定により指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。
この条文が問われた枝 16問
正しい。秘密意匠でも、20条3項各号の事項を記載し特許庁長官の証明を受けた書面を提示して警告した後であれば37条3項の制限が外れて差止めを請求でき、警告後も製造販売を続ける乙には過失があると言えるから損害賠償も請求できる。
37条3項は、秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者は、その意匠に関し20条3項各号に掲げる事項を記載した書面であって特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、差止請求をすることができないと定める。秘密意匠は秘密の期間中は願書と図面等の内容が意匠公報に載らず(20条4項)、第三者は登録意匠の内容を知る手段を持たないので、いきなり差止めを受けないよう、内容を公的に証明した書面での警告を先に要求したものである。裏を返せば、その警告をした後であれば差止請求に支障は無い。損害賠償については、40条ただし書で秘密意匠の侵害には過失の推定が働かないため、甲は乙の故意又は過失を自ら立証する必要があるが、長官の証明を受けた書面で登録意匠の内容を示して警告された後も乙が製造販売を継続しているなら、乙は侵害を知りながら行為を続けており、故意又は過失を認めるに足りる。したがって、甲は乙に対し差止めと損害賠償の請求をすることができ、枝は正しい。

第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面であつて特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、第一項の規定による請求をすることができない。
- 差止請求:20条3項各号の事項を記載し特許庁長官の証明を受けた書面を提示して警告した後でなければできない(37条3項)
- 損害賠償請求:警告は要らないが、40条ただし書で過失の推定が働かず、意匠権者が故意・過失を立証する
- 国際意匠登録出願:秘密意匠の制度は使えない(60条の9)
誤り。違うのは「出願Bは意匠法第3条の2の規定により拒絶される」の部分である。3条の2の先の意匠登録出願は、後の出願の後に意匠公報に掲載されたものに限られるから、図面等を掲載した公報の発行後の出願Bには同条は働かない。
3条の2が先の意匠登録出願として引くのは、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であって当該意匠登録出願後に20条3項又は66条3項の規定により意匠公報に掲載されたものである。後の出願の時点で先願の内容がすでに公報で公開されていれば、その意匠は公知意匠として3条1項の新規性で扱えば足り、未公開の先願の一部との関係を補うために置かれた3条の2を使う必要がないからである。秘密意匠では20条4項により図面等の内容が秘密期間の経過後に掲載されるが、出願Bはその20条3項4号の事項を掲載した公報の発行後にされているので、出願Aは出願Bの後に公報に掲載されたものに当たらない。出願人が同一である点を見るまでもなく、出願Bは3条の2では拒絶されず、意匠イの公知を理由とする3条1項の問題として扱われる。

意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは、その意匠については、前条第一項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。
誤り。違うのは「出願Bは意匠法第3条の2の規定により拒絶されない」の部分である。秘密意匠も秘密期間の経過後に図面等の内容が意匠公報に掲載されるから先の意匠登録出願になり、出願人が甲と乙で異なる以上ただし書も働かないので、出願Bは拒絶される。
3条の2は、後の出願の日前の他の意匠登録出願であって後の出願後に20条3項又は66条3項により意匠公報に掲載されたものを先の意匠登録出願とする。秘密意匠については20条4項により、願書及び図面等の内容は14条1項で指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとされているだけで、掲載されないわけではない。秘密にすることの請求は公開の時期を遅らせる制度であって、先願としての地位を失わせる制度ではないから、秘密意匠も遅れて公報に載った時点で3条の2の先の意匠登録出願になる。出願Bは出願Aの出願後、図面等を除く事項を掲載した公報の発行前にされており、図面等の内容の掲載はさらに後になるので、出願Aは出願Bの後に公報に掲載された出願に当たる。出願人が甲と乙で異なるためただし書の除外もなく、出願Bは3条の2により拒絶される。

第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する前項第四号に掲げる事項は、同項の規定にかかわらず、第十四条第一項の規定により指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。
誤り。違うのは「短い方の秘密請求期間の経過後遅滞なく」の部分である。66条3項後段により、願書及び図面等の内容は、秘密にすることを請求した出願のうち最も長い期間の経過後遅滞なく掲載される。
66条3項は、9条2項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その意匠登録出願について出願人、出願の番号と年月日、願書及び図面等の内容を意匠公報に掲載しなければならないと定め、後段で、その中に14条1項により秘密にすることを請求した出願があるときは、全ての出願に関する願書及び図面等の内容は、拒絶査定の確定の日から指定した期間(秘密を請求した出願が二以上ある場合にはそのうち最も長い期間)の経過後遅滞なく掲載するものとする。協議不成立で拒絶された出願の内容は3条の2の先願として公報で公開する必要があるが、秘密の請求をした出願人の利益を守るため掲載を遅らせ、複数の出願が互いに類似する以上、一方だけ早く載せれば他方の秘密も失われるので、最も長い期間に合わせたのである。短い方の期間の経過後に掲載するとする本枝は誤りである。

前項に規定するもののほか、第九条第二項後段の規定に該当することにより意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その意匠登録出願について、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。この場合において、その意匠登録出願の中に第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠登録出願があるときは、全ての意匠登録出願に関する第三号に掲げる事項は、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した日から同項の規定により指定した期間(秘密にすることを請求した意匠登録出願が二以上ある場合には、そのうち最も長い期間)の経過後遅滞なく掲載するものとする。
誤り。違うのは「意匠公報は発行されない」の部分である。20条4項は秘密意匠の図面等の内容を指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとしており、期間内に意匠権が消滅した場合を除く定めはない。
20条3項は、設定の登録があったときは願書及び図面等の内容を含む事項を意匠公報に掲載しなければならないと定め、20条4項は、14条1項により秘密にすることを請求した意匠に関する図面等の内容は、同項の規定にかかわらず、指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。秘密の請求は掲載の時期を遅らせるだけで、掲載そのものを免除するものではない。設定の登録を受けた意匠は、権利が存続している間は第三者の実施を制約した以上、その内容を事後に公開して公衆の利用に供するのが登録制度の建前であり、権利が途中で消滅しても公開の必要はなくならない。登録料の不納により意匠権が消滅した場合に掲載を省く規定はないから、秘密の期間の経過後に図面等の内容を掲載した公報が発行される。本枝は発行されないとしており誤りである。

第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する前項第四号に掲げる事項は、同項の規定にかかわらず、第十四条第一項の規定により指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。
誤り。違うのは「損害賠償請求のみ行う場合であっても」「意匠法上の要件になっている」の部分である。37条3項が特許庁長官の証明を受けた書面を提示して警告した後でなければできないとするのは、同条1項の差止請求だけである。
37条3項は、秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し20条3項各号に掲げる事項を記載した書面であって特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、「第一項の規定による請求をすることができない」と定める。秘密期間中は意匠の内容が公報に載らず、第三者は自分の実施が登録意匠の範囲に入るかを知る手段がないので、相手方を縛る差止請求に先立って、内容を証明付きの書面で示させるという理屈である。この制限の対象は条文上37条1項の差止請求に限られており、損害賠償請求は民法709条に基づく請求で意匠法に同様の警告の定めはない。秘密意匠について意匠法が損害賠償の場面で置いているのは40条ただし書の過失の推定の除外であり、警告ではない。枝は差止請求をせずに損害賠償請求だけをする場合にまで証明付きの書面による警告を意匠法上の要件としている点がずれている。

第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面であつて特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、第一項の規定による請求をすることができない。
- 差止請求(37条1項):20条3項各号の事項を記載し特許庁長官の証明を受けた書面を提示して警告した後でなければできない(37条3項)
- 損害賠償請求:警告の要件はない。ただし40条ただし書により過失は推定されない
- 差止請求の相手方:侵害する者又は侵害するおそれがある者で、故意・過失は要らない
正しい。3条の2ただし書が同一出願人の後願を救うのは、秘密意匠の図面等を期間経過後に掲載した公報を除いた意匠公報、すなわち設定登録後の最初の公報の発行の日前に出願した場合に限られる。
3条の2は、先の出願の図面等に現された意匠の一部と同一又は類似の後願を拒絶しつつ、ただし書で、出願人が同一であって「第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたとき」を除く。秘密意匠では、設定登録後の最初の公報に図面等を除いた事項が載り、図面等は20条4項により秘密の期間の経過後に改めて公報に載るが、かっこ書きはこの後の公報を除外しているので、同一出願人の後願が救われる基準日は図面等を載せない最初の公報の発行の日である。出願人は自分の先の意匠の内容を知っているので、最初の公報の後まで救う必要がないという理屈である。枝は最初の公報の発行の日から秘密期間終了後の公報の発行の日前までの同一出願人の後願が3条の2で拒絶されるとしており、ただし書のかっこ書きの文言どおりである。

意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは、その意匠については、前条第一項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。ただし、当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて、第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは、この限りでない。
- 先の出願:後の出願の日前の他の意匠登録出願で、後の出願の後に20条3項又は66条3項により意匠公報に掲載されたものである
- 対象:先の出願の願書の記載及び図面・写真・ひな形・見本に現された意匠の一部と同一又は類似の意匠である
- 除外:後の出願人と先の出願人が同一で、先の出願の意匠公報の発行の日前にした出願である。秘密意匠では図面等を載せない最初の公報の発行の日が基準になる
- 効果:拒絶理由(17条1項1号)と無効理由(48条1項1号)になる
誤り。違うのは「出願Aに係る国際公表を根拠に意匠法第3条の2に基づいて拒絶される」の部分である。出願Aは創作容易を理由に拒絶査定が確定しており、20条3項又は66条3項により意匠公報に掲載されることがないから、3条の2の先の意匠登録出願に当たらない。
3条の2の先の意匠登録出願は、後の出願の日前の他の意匠登録出願であって、後の出願後に「第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの」に限られる。20条3項は設定の登録があったときの掲載、66条3項は9条2項後段の協議不成立等により拒絶査定又は審決が確定したときの掲載であり、この二つの場合にだけ先の出願の内容が意匠公報で公になるから、その一部と同一又は類似の後願を拒む根拠になる。日本国を指定した国際出願Aは、国際公表がされたことで60条の6第1項により国際登録の日にされた意匠登録出願とみなされ、出願Bより先の出願ではあるが、公知形状に基づく創作容易を理由とする拒絶査定が確定したのであるから、設定の登録も9条2項後段による拒絶の確定もなく、意匠公報に掲載されることはない。国際事務局による国際公表は意匠公報への掲載ではなく、3条の2の文言に当てはまらない。したがって出願Bは出願Aの国際公表を根拠に3条の2で拒絶されない。

前項に規定するもののほか、第九条第二項後段の規定に該当することにより意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その意匠登録出願について、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。
- 20条3項:意匠権の設定の登録があったときの掲載。秘密意匠は図面等が秘密の期間の経過後に載る(20条4項)
- 66条3項:9条2項後段(同日出願の協議不成立・協議不能)で拒絶査定又は審決が確定したときの掲載
- 当たらないもの:新規性・創作非容易性などを理由に拒絶が確定した出願、取下げ・放棄された出願、国際公表や特許の公報
正しい。関連意匠の出願については10条3項が3条の2ただし書のかっこ書を読み替え、同一人の秘密意匠の先願は図面等を掲載した公報の発行前の出願であれば引用されないから、その発行前にされた出願Bは3条の2で拒絶されない。
3条の2ただし書は、出願人が同一で先の出願の意匠公報の発行の日前の出願には本文を適用しないとする。このただし書のかっこ書は、秘密意匠について20条4項により図面等の内容が掲載された公報を除くので、通常の出願では図面を載せない最初の公報の発行日が除外の基準になる。しかし10条3項は、関連意匠の出願についてこのかっこ書を、図面等の内容が掲載されたものに限ると読み替える。秘密意匠の先願の図面が公開されるまでは同一人の関連意匠の出願を妨げないようにしたものである。出願Cは甲自身の秘密意匠の出願であり、出願Bは図面等を掲載しない最初の公報の発行後、20条3項4号の事項を掲載した公報の発行前にされている。出願人が同一で読み替え後の基準となる公報の発行前の出願であるから、出願Bは出願Cを理由に3条の2で拒絶されない。

第一項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第三条の二ただし書の規定の適用については、同条ただし書中「同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)」とあるのは、「当該先の意匠登録出願について第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求したときは、第二十条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものに限る。)」とする。
- 通常の出願:図面等を載せない最初の公報(20条3項)の発行日が基準で、その後の同一人の出願は秘密期間中でも3条の2で拒絶される
- 関連意匠の出願:10条3項の読み替えにより、図面等を載せた公報(20条4項)の発行日が基準で、その発行前なら拒絶されない
- いずれも出願人が同一であることが前提で、他人の出願には除外がない
正しい。関連意匠の出願については10条3項により3条の2ただし書が読み替えられ、同一出願人の先願が秘密意匠であるときは図面等を掲載した公報の発行の日前に出願すれば3条の2は適用されない。
3条の2は、出願に係る意匠が、その出願の日前の他の出願であって出願後に公報に掲載されたものの図面等に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは登録を受けることができないと定め、ただし書で、出願人が同一であって先の出願が掲載された公報の発行の日前に出願したときはこの限りでないとする。ただし書の括弧書は秘密意匠の秘密期間経過後の公報を除くため、一般の出願では設定登録時の図面を載せない公報の発行で例外が閉じる。しかし10条3項は、関連意匠の出願についてこの括弧書を読み替え、先の出願が秘密意匠であるときは20条4項の図面等を掲載した公報に限るとする。関連意匠の出願は本意匠の出願の日から10年の間に段階的にされるものであり、自己の秘密意匠の図面が公開される前の出願まで妨げる理由がないからである。出願cは関連意匠の出願であり、意匠ニの秘密期間経過後の公報の発行前にされているから、出願dを理由に拒絶されることはなく、本枝は正しい。

第一項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第三条の二ただし書の規定の適用については、同条ただし書中「同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)」とあるのは、「当該先の意匠登録出願について第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求したときは、第二十条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものに限る。)」とする。
| 後の出願 | 例外が及ぶ期限 |
|---|---|
| 通常の出願(3条の2ただし書) | 設定登録時の公報(図面等を載せないもの)の発行の日前 |
| 関連意匠の出願(10条3項の読替え) | 秘密期間経過後の図面等を載せた公報(20条4項)の発行の日前 |
誤り。違うのは「意匠登録前の業としての製造について補償金の支払いを請求できることがある」の部分である。意匠法には出願公開の制度がなく、特許法65条の補償金請求権に当たる規定も準用もない。
特許法65条1項は、出願公開があった後に警告をしたときなどに、警告後特許権の設定の登録前の業としての実施に対して補償金の支払を請求できると定めるが、これは出願公開によって発明の内容が公衆に開示され、登録前に模倣される不利益を埋めるための制度である。意匠法は出願公開の制度を持たず、20条3項により意匠権の設定の登録があったときに初めて願書及び図面等の内容が意匠公報に掲載される。登録前は意匠の内容が公開されていないのだから、公開を前提とする補償金請求権を置く理由がなく、意匠法に相当する規定はなく、特許法65条を準用する規定もない。乙が意匠イと同一の意匠の容器を出願後かつ登録前に製造しても、甲が補償金の支払を請求できる余地はないから、本枝は誤りである。これに対し、国際公表がされる国際意匠登録出願については60条の12が補償金請求権を定めており、この違いが対になる。

前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。
| 出願の種類 | 登録前の公開 | 補償金請求権 |
|---|---|---|
| 国内の意匠登録出願 | なし(設定登録後に意匠公報に掲載) | なし |
| 国際意匠登録出願 | 国際公表 | あり(60条の12、警告後から設定登録前の実施) |
| 特許出願 | 出願公開 | あり(特許法65条) |
誤り。違うのは「願書に記載された意匠に係る物品が掲載される」の部分である。意匠に係る物品は願書の内容であり、秘密の期間中の意匠公報には掲載されない。
20条3項は、設定の登録があったときに意匠公報に掲載する事項として、1号に意匠権者の氏名又は名称及び住所又は居所、2号に意匠登録出願の番号及び年月日、3号に登録番号及び設定の登録の年月日、4号に「願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容」を掲げる。20条4項は、秘密にすることを請求した意匠については、このうち4号に掲げる事項を、指定した期間の経過後遅滞なく掲載すると定める。秘密意匠は、意匠の内容を一定期間公衆に知らせないために設けられた制度であるから、公報から外されるのは意匠そのものが分かる願書と図面等の内容である。意匠に係る物品は6条1項3号により願書に記載する事項であり、4号の願書の内容に当たるので、秘密の期間中の意匠公報には載らず、期間の経過後に掲載される。枝は、1号から3号の事項とともに意匠に係る物品まで掲載されるとした点がずれている。意匠権者や登録番号が載るのは、第三者が権利の存在を知り、14条4項4号の請求で意匠を示してもらえるようにするためである。

第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する前項第四号に掲げる事項は、同項の規定にかかわらず、第十四条第一項の規定により指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。
| 事項 | 秘密の期間中 |
|---|---|
| 意匠権者の氏名又は名称及び住所又は居所(1号) | 掲載される |
| 意匠登録出願の番号及び年月日(2号) | 掲載される |
| 登録番号及び設定の登録の年月日(3号) | 掲載される |
| 願書及び願書に添付した図面等の内容(4号。意匠に係る物品を含む) | 掲載されず、期間の経過後遅滞なく掲載される |
正しい。意匠権は20条1項により設定の登録で発生するが、関連意匠の意匠権の存続期間は21条2項により基礎意匠の出願の日から25年で終了するので、本意匠イの意匠権と同じ日に満了し、それを超えて存続することはない。出題当時は本意匠の設定の登録の日から20年であった。
20条1項は、意匠権は設定の登録により発生すると定めるので、本意匠イの意匠権も関連意匠ロの意匠権も、それぞれの設定の登録の日に別々に発生する。一方で21条1項は意匠権の存続期間を意匠登録出願の日から25年で終了するものとし、同条2項は関連意匠の意匠権の存続期間を、その関連意匠自身の出願の日ではなく、基礎意匠の意匠登録出願の日から25年で終了すると定める。関連意匠は本意匠に類似する意匠として9条の先願の例外で登録を認めたものであり、本意匠の権利が切れた後まで類似の範囲の独占を延ばすことを許すと、関連意匠を順に出願して実質的な存続期間を引き延ばせることになるので、終期を基礎意匠にそろえたのである。意匠ロの本意匠である意匠イが基礎意匠であるから、意匠ロの意匠権は意匠イの意匠権と同じ日に満了し、意匠イの存続期間の満了を超えて存続することはない。出題当時は本意匠の設定の登録の日から20年であったが、同時に満了する点は同じである。

関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。
- 発生:設定の登録の時である(20条1項)。第1年分の登録料の納付があったときに設定の登録をする(同条2項)
- 通常の意匠権:意匠登録出願の日から25年である(21条1項)
- 関連意匠の意匠権:基礎意匠の意匠登録出願の日から25年である(21条2項)。関連意匠自身の出願日や登録日からではない
- 旧法:令和元年改正前の出願は設定の登録の日から20年、関連意匠は本意匠の設定の登録の日から20年であった
誤り。違うのは「意匠法第3条の2の規定により拒絶されることはない」の部分である。同一出願人の除外は、図面等を掲載しない最初の意匠公報の発行の日前にした出願に限られ、その発行の後にした出願Bは秘密の期間中でも除外を受けられない。
3条の2ただし書は、後の出願人と先の出願人が同一の者であって、20条3項の規定により先の出願が掲載された意匠公報の発行の日前に後の出願があったときに限り、同条の適用を除く。そしてかっこ書で、20条4項により願書及び図面等の内容が掲載された公報を除いている。秘密意匠では、設定の登録のときに意匠権者や登録番号などを載せ図面等を載せない公報がまず発行され、秘密の期間の経過後に図面等を載せた公報が改めて発行される。ただし書の基準になるのは最初の公報であり、図面等を載せた後の公報ではない。出願人が同一であれば先の出願の内容を自分で知っているから、公報の発行という外形的な時点で線を引けば足り、図面が公になったかどうかで区切る必要がないからである。甲の出願Bは、図面等を掲載しない最初の公報の発行の日後にされているので、秘密の期間中であってもただし書の除外を受けられず、出願Aの図面に現された自動車のバンパー部分と同一又は類似の意匠ロは3条の2で拒絶されうる。

第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する前項第四号に掲げる事項は、同項の規定にかかわらず、第十四条第一項の規定により指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。
誤り。違うのは「全期間にわたる当該販売行為について、乙に過失があったことが意匠法上推定される」の部分である。40条ただし書により秘密意匠の侵害には過失の推定が働かず、推定が及ぶのは図面等が意匠公報に掲載された平成29年1月31日以後の販売行為に限られる。
40条は、他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者はその侵害の行為について過失があったものと推定すると定め、ただし書で、14条1項により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権又は専用実施権の侵害についてはこの限りでないとする。過失の推定は、登録意匠の内容が意匠公報で公示されており、業として物品を扱う者はそれを調査できるはずだという根拠に立つ。秘密意匠では20条4項により願書と図面等の内容が秘密の期間の経過後に掲載されるので、それまでは第三者が登録意匠の内容を知る手段がなく、推定の根拠が欠ける。したがって推定が働かないのは秘密の期間そのものではなく、図面等が意匠公報に掲載されるまでである。秘密請求期間は平成28年12月31日に終わるが、意匠公報への掲載は平成29年1月31日であるから、1月1日から1月30日までの販売行為には推定が及ばず、甲は乙の故意又は過失を自ら立証しなければならない。1月31日以後の販売行為については公示が整っているので推定が働く。

他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。ただし、第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権又は専用実施権の侵害については、この限りでない。
- 差止請求(37条3項):特許庁長官の証明を受けた20条3項各号の事項を記載した書面を提示して警告した後に限る
- 損害賠償請求:警告は要らないが、40条ただし書で過失の推定が働かないので故意・過失を立証する
- 過失の推定が働かない範囲:秘密の期間の経過後も、図面等が意匠公報に掲載される日より前の実施には推定が及ばない
- 国際意匠登録出願:14条が適用されず、秘密意匠を請求できない(60条の9)
正しい。秘密意匠でも、図面等を載せない最初の意匠公報(平成27年1月)の発行の日前にされた同一出願人甲の出願Cには3条の2ただし書が適用され、意匠ハは登録される場合がある。
3条の2ただし書は、両出願の出願人が同一の者であって、20条3項により先の出願が掲載された意匠公報の発行の日前に後の出願があったときは本文を適用しないと定め、かっこ書で20条4項により図面等が掲載された公報を除いている。したがって秘密意匠の先願について基準となる公報は、設定登録の時に図面等を載せずに発行される最初の意匠公報である。図面の公開が遅れても、出願人自身が先願の存在が公になる前に出願する場面を救済する趣旨は変わらないからである。出願Aの最初の意匠公報は平成27年1月に発行され、出願Cは甲が平成26年12月にした出願であるから、同一出願人でかつ最初の公報の発行の日前の出願であり、ただし書の要件を満たす。したがって3条の2は適用されず、キャップとクリップは非類似の物品で9条の問題もないので、意匠ハは登録される場合がある。

ただし、当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて、第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは、この限りでない。


























































































