1実用新案権者又は専用実施権者は、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者(以下「侵害者等」という。)に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2実用新案権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(プログラム等(特許法第二条第四項に規定するプログラム等をいう。次条において同じ。)を含む。以下同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
1実用新案権者又は専用実施権者は、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者(以下「侵害者等」という。)に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2実用新案権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(プログラム等(特許法第二条第四項に規定するプログラム等をいう。次条において同じ。)を含む。以下同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
次に掲げる行為は、当該実用新案権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
1 業として、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
2 登録実用新案に係る物品の製造に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその考案による課題の解決に不可欠なものにつき、その考案が登録実用新案であること及びその物がその考案の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
3 登録実用新案に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為
誤り。違うのは「刑事罰が課されることはない」の部分である。実用新案法56条の侵害の罪は特許法196条のようにみなし侵害を行った者を除くかっこ書を置いておらず、28条のみなし侵害を行った者も56条で処罰される。
実用新案法56条は、実用新案権又は専用実施権を侵害した者は5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定め、同法28条は、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物の生産や譲渡等、課題の解決に不可欠な物を知りながら業として生産や譲渡等をする行為、物品を譲渡等又は輸出のために所持する行為を、実用新案権又は専用実施権を侵害するものとみなすと定める。特許法では196条がかっこ書で101条のみなし侵害を行った者を除き、196条の2がその者を別に5年以下の拘禁刑等に処する二段構えになっているが、これは直接侵害の法定刑を10年以下に引き上げた際にみなし侵害との刑の均衡を図ったものである。実用新案法では直接侵害の法定刑がもともと5年以下であるため56条にかっこ書を置く必要がなく、28条により侵害とみなされる行為を行った者もそのまま56条の侵害した者として処罰される。本枝は、実用新案のみなし侵害には刑事罰がないとしており、条文の構造と食い違う。

実用新案権又は専用実施権を侵害した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
| 特許 | 実用新案 | |
|---|---|---|
| 直接侵害 | 10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、又は併科(196条) | 5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は併科(56条) |
| みなし侵害 | 196条から除かれ、196条の2で5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は併科 | 56条にかっこ書がなく、28条のみなし侵害も56条で同じ刑 |
正しい。実用新案登録を受けられるのは物品の形状、構造又は組合せに係る考案に限られる(3条1項柱書)が、28条1号の「物」にはプログラム等が含まれ、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いるプログラムの生産や譲渡等は侵害とみなされる。
実用新案法3条1項柱書は、産業上利用することができる考案であって物品の形状、構造又は組合せに係るものをした者が実用新案登録を受けることができると定めるから、方法やプログラム自体は登録の対象にならず、形状等に係らない考案の出願は6条の2第1号の補正命令の対象になる。一方、28条1号は、業として、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為を侵害とみなすと定め、かっこ書で、その物がプログラム等である場合には譲渡等に電気通信回線を通じた提供を含むとしているから、「物」にプログラム等が含まれることが前提になっている。登録実用新案に係る物品を製造するためにしか使えないプログラムを供給する行為は、物品の製造という直接侵害を誘発する予備的な行為であり、特許法101条1号と同じ考え方で間接侵害として捕捉される。本枝は、保護対象の限定と間接侵害の両方を条文のとおりに述べており、正しい。

業として、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
正しい。実用新案法28条3号は、登録実用新案に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為を、実用新案権を侵害するものとみなすと定める。
実用新案法28条は、実用新案権又は専用実施権を侵害するものとみなす行為を掲げ、その3号は、登録実用新案に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為を挙げる。所持は考案の実施(2条3項の製造、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出)に当たらないので、本来は実用新案権の効力が及ばないが、譲渡や輸出の目的で侵害品を抱えている段階で止められなければ、市場に出てから追いかけることになり権利の保護が間に合わない。そこで譲渡等又は輸出に向けた所持を、直接侵害の前段階として侵害とみなしたのである。特許法101条3号が物の発明について同じ内容を定めており、実用新案法は物品の考案だけを保護するので方法の発明に関する号を置かない点が違うにすぎない。枝は条文のとおりである。なお、自ら使用するための所持は条文に挙がっていないから、みなし侵害にならない。

登録実用新案に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為
1実用新案権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物品を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、実用新案権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。
1 実用新案権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額に、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物品の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該実用新案権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該実用新案権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額
2 譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(実用新案権者又は専用実施権者が、当該実用新案権者の実用新案権についての専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該実用新案権又は専用実施権に係る登録実用新案の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額
2実用新案権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、実用新案権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3実用新案権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対し、その登録実用新案の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4裁判所は、第一項第二号及び前項に規定する登録実用新案の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、実用新案権者又は専用実施権者が、自己の実用新案権又は専用実施権に係る登録実用新案の実施の対価について、当該実用新案権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該実用新案権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該実用新案権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。
5第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、実用新案権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。
正しい。実用新案技術評価書の提示は、権利者が侵害者等に対して権利を行使するための要件であり(実用新案法29条の2)、56条の侵害の罪の成立要件ではない。
実用新案法29条の2は、実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対しその権利を行使することができないと定める。無審査で登録される実用新案権について、差止めや損害賠償を求める前に審査官の評価を示して相手方に有効性の判断材料を与え、根拠の薄い権利行使を防ぐための要件であり、民事上の権利行使の手続を規律するものである。これに対し同法56条は、実用新案権又は専用実施権を侵害した者を5年以下の拘禁刑等に処すると定めるだけで、評価書の作成や提示を構成要件に含めていない。刑事罰は国家が侵害行為そのものを処罰するものであり、権利者が警告の手順を踏んだかどうかで犯罪の成否が変わるものではない。したがって実用新案権を侵害する行為を行った者は、評価書が作成されていないことを理由として刑事罰を逃れることはできず、本枝は正しい。

実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。
正しい。実用新案技術評価は何人も請求でき(12条1項)、29条の2が求めるのはその登録実用新案に係る実用新案技術評価書の提示であり、誰の請求による評価書かは問われない。
実用新案法12条1項は、実用新案登録出願又は実用新案登録については、何人も特許庁長官に実用新案技術評価を請求することができると定める。無審査で登録される実用新案について、権利者だけでなく実施を考える第三者も有効性の目安を得られるようにする趣旨であり、請求人が権利者でないときは13条3項により謄本が請求人と権利者の双方に送達される。そして29条の2は、実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ侵害者等に対し権利を行使することができないと定める。この要件は、無審査の権利を根拠に相手方を不意打ちしないよう、有効性についての客観的な資料を示させることにあり、その資料が誰の請求で作成されたかは目的と関係がない。したがって第三者の請求による評価書でも、その登録実用新案に係るものであれば提示して警告し、権利を行使することができる。本枝は、この仕組みをそのまま述べており、条文のとおりである。

実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。
誤り。違うのは「警告をした時から30日を経過するまでの間は」の部分である。実用新案法29条の2は評価書を提示して警告をした後でなければ権利を行使できないと定めるだけで、警告の後に期間の経過を待つことは求めていない。
実用新案法29条の2は、実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対しその権利を行使することができないと定める。実用新案は実体審査を経ずに登録されるため、有効性の裏づけのない権利で相手方を威圧することがないよう、審査官が作成した評価書を示して警告することを権利行使の前提にしたものである。条文が求めているのは評価書の提示と警告が権利行使より前であることだけであり、警告から一定の期間が経過するまで権利行使を控えさせる定めはない。したがって、評価書を提示して警告をすれば、その後直ちに差止めや損害賠償の請求ができるので、30日を経過するまで行使できないとする枝は誤りである。評価書に基づかずに権利行使や警告をして登録が無効になれば、29条の3の賠償責任を負う点とあわせて読む。

実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。
正しい。実用新案法26条が特許法71条1項を準用し、登録実用新案の技術的範囲について特許庁に判定を求めることができる。実用新案技術評価書の提示は29条の2の権利行使の要件であって、判定を求める要件ではない。
実用新案法26条は特許法71条から71条の2までを実用新案権に準用しており、実用新案権者は登録実用新案の技術的範囲について特許庁に対し判定を求めることができる。判定は特許庁が技術的範囲について公的な意見を示す制度であり、権利の有効性を問うものではないから、その請求に何らかの前提手続は置かれていない。一方、実用新案法29条の2は、実用新案権者又は専用実施権者は実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ侵害者等に対しその権利を行使することができないと定める。実用新案は無審査で登録されるので、権利の有効性について審査官の評価を示してから権利行使させ、無効な権利による差止めや損害賠償の請求から相手方を守るという理屈であるが、これはあくまで侵害者等に対する権利行使の場面の要件である。判定を求めることは侵害者等に対する権利の行使ではないから、評価の請求前であっても判定を求めることができる。技術的範囲の判定と技術的評価は対象も目的も異なる別の制度である。

特許法第六十九条第一項及び第二項、第七十条から第七十一条の二まで(特許権の効力が及ばない範囲及び特許発明の技術的範囲)、第七十三条(共有)、第七十六条(相続人がない場合の特許権の消滅)、第七十九条(先使用による通常実施権)、第七十九条の二(特許権の移転の登録前の実施による通常実施権)、第八十一条、第八十二条(意匠権の存続期間満了後の通常実施権)、第九十七条第一項(放棄)並びに第九十八条第一項第一号及び第二項(登録の効果)の規定は、実用新案権に準用する。
1実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、実用新案技術評価書の実用新案技術評価(当該実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案が第三条第一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、第三条の二並びに第七条第一項から第三項まで及び第六項の規定により実用新案登録をすることができない旨の評価を受けたものを除く。)に基づきその権利を行使し、又はその警告をしたとき、その他相当の注意をもつてその権利を行使し、又はその警告をしたときは、この限りでない。
2前項の規定は、実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面についてした第十四条の二第一項又は第七項の訂正により実用新案権の設定の登録の際における実用新案登録請求の範囲に記載された考案の範囲に含まれないこととなつた考案についてその権利を行使し、又はその警告をした場合に準用する。
正しい。権利行使の後に実用新案登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、権利者は相手方の損害を賠償する責めに任じ、評価に基づく行使や相当の注意をもってした行使であることを示さない限り免れない(29条の3第1項)。
実用新案法29条の3第1項は、実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対し権利を行使し又は警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その者は権利の行使又は警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずると定め、ただし書で、登録できない旨の評価を受けたものを除く実用新案技術評価に基づいて権利を行使したとき、その他相当の注意をもって権利を行使したときはこの限りでないとする。無審査で登録された権利の行使で相手方が事業の中止などの損害を受け、後に権利が無効になった場合には、権利者に責任を負わせ、免責の事由は権利者の側で示す構造になっている。本枝の無効理由は出願前に頒布された刊行物に記載された考案であること(3条1項3号)であり、かっこ書で除かれる37条1項6号の後発的な理由ではないから、甲は相当の注意をもって行使したことを立証しない限り責任を負う。本枝は、この仕組みをそのまま述べており、条文のとおりである。

実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。
誤り。違うのは「特許法には、特許権者が、侵害者等に対しその権利を行使した場合において、特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その権利の行使により相手方に与えた損害を賠償しなければならない旨の規定があり」の部分である。この規定は実用新案法29条の3にだけあり、特許法にはない。
実用新案法29条の3第1項は、実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その権利の行使又は警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずると定め、ただし書で、登録をすることができない旨の評価ではない実用新案技術評価書に基づいて行使したときや、相当の注意をもって行使したときを除く。実用新案は新規性や進歩性の審査を経ずに登録されるので、無効になる権利を振りかざして相手方に損害を与えるおそれが特許より大きく、権利者に過失がなくても賠償させる責任を置いて権利行使を慎重にさせる仕組みである。特許は実体審査を経て付与されるのでこうした特別の責任を課す理由がなく、特許法には同じ趣旨の規定がない。特許権の行使後に無効審決が確定した場合の責任は民法709条の一般原則によるだけである。

実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、実用新案技術評価書の実用新案技術評価(当該実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案が第三条第一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、第三条の二並びに第七条第一項から第三項まで及び第六項の規定により実用新案登録をすることができない旨の評価を受けたものを除く。)に基づきその権利を行使し、又はその警告をしたとき、その他相当の注意をもつてその権利を行使し、又はその警告をしたときは、この限りでない。
特許法第百四条の二から第百五条まで(具体的態様の明示義務、特許権者等の権利行使の制限、主張の制限及び書類の提出等)及び第百五条の二の十一から第百六条まで(第三者の意見、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し、訴訟記録の閲覧等の請求の通知等、当事者尋問等の公開停止及び信用回復の措置)の規定は、実用新案権又は専用実施権の侵害に準用する。この場合において、同法第百四条の四中「次に掲げる決定又は審決が確定した」とあるのは「第一号に掲げる審決が確定した又は第三号に掲げる訂正があつた」と、「当該決定又は審決が確定した」とあるのは「当該審決が確定した又は訂正があつた」と、同条第三号中「訂正をすべき旨の決定又は審決」とあるのは「実用新案法第十四条の二第一項又は第七項の訂正」と読み替えるものとする。
誤り。違うのは「第三者意見募集制度を利用することができない」の部分である。実用新案法30条は、特許法105条の2の11を実用新案権の侵害に準用している。
特許法105条の2の11は、特許権の侵害に係る訴訟の第一審又は控訴審において、裁判所が当事者の申立てにより、必要があると認めるときに、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し当該事件に関する法の適用その他の必要な事項について意見を記載した書面の提出を求めることができると定める第三者の意見の制度である。実用新案法30条は、特許法104条の2から105条まで及び105条の2の11から106条までの規定を実用新案権又は専用実施権の侵害に準用すると定めており、その中に105条の2の11が含まれている。実用新案権も特許権と同じく技術的な権利であり、侵害訴訟で争われる法の適用の問題は共通するから、具体的態様の明示義務や無効の抗弁、書類の提出命令、秘密保持命令などと並べて第三者の意見の制度も準用したものである。準用から外れているのは105条の2から105条の2の10までの査証であり、第三者の意見はその外側にある。したがって実用新案権の侵害訴訟でもこの制度を利用でき、枝は準用の範囲を読み違えている。

特許法第百四条の二から第百五条まで(具体的態様の明示義務、特許権者等の権利行使の制限、主張の制限及び書類の提出等)及び第百五条の二の十一から第百六条まで(第三者の意見、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し、訴訟記録の閲覧等の請求の通知等、当事者尋問等の公開停止及び信用回復の措置)の規定は、実用新案権又は専用実施権の侵害に準用する。この場合において、同法第百四条の四中「次に掲げる決定又は審決が確定した」とあるのは「第一号に掲げる審決が確定した又は第三号に掲げる訂正があつた」と、「当該決定又は審決が確定した」とあるのは「当該審決が確定した又は訂正があつた」と、同条第三号中「訂正をすべき旨の決定又は審決」とあるのは「実用新案法第十四条の二第一項又は第七項の訂正」と読み替えるものとする。
誤り。違うのは「査証人に対して査証を命じ、証拠の収集をすることができる」の部分である。実用新案法30条は特許法105条の2から105条の2の10までの査証の規定を準用していない。
実用新案法30条は、特許法104条の2から105条まで及び105条の2の11から106条までの規定を実用新案権又は専用実施権の侵害に準用すると定める。この列挙は105条で一度切れ、105条の2の11から再開しているから、その間にある105条の2から105条の2の10まで、すなわち査証の命令、査証人の指定、査証の実施、査証報告書の提出と開示、査証人の義務などの査証に関する一連の規定は準用されていない。査証は相手方の事業所に立ち入って装置を作動させ計測する強い手続であり、実体審査を経ずに登録される実用新案権について同じ手続を認めることは、権利の確実性との釣合いを欠くという判断である。したがって実用新案権の侵害に係る訴訟では、裁判所は査証を命ずることができない。具体的態様の明示義務や書類の提出命令、第三者の意見、秘密保持命令は準用されており、枝はその中に査証も含まれるかのように述べている点で30条の列挙とずれる。

特許法第百四条の二から第百五条まで(具体的態様の明示義務、特許権者等の権利行使の制限、主張の制限及び書類の提出等)及び第百五条の二の十一から第百六条まで(第三者の意見、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し、訴訟記録の閲覧等の請求の通知等、当事者尋問等の公開停止及び信用回復の措置)の規定は、実用新案権又は専用実施権の侵害に準用する。この場合において、同法第百四条の四中「次に掲げる決定又は審決が確定した」とあるのは「第一号に掲げる審決が確定した又は第三号に掲げる訂正があつた」と、「当該決定又は審決が確定した」とあるのは「当該審決が確定した又は訂正があつた」と、同条第三号中「訂正をすべき旨の決定又は審決」とあるのは「実用新案法第十四条の二第一項又は第七項の訂正」と読み替えるものとする。
誤り。違うのは「その侵害の行為について過失があったものと推定される」の部分である。実用新案法30条は特許法103条の過失の推定を準用していないので、実用新案権の侵害では故意又は過失の立証が要る。
特許法103条は、他人の特許権又は専用実施権を侵害した者はその侵害の行為について過失があったものと推定すると定めるが、実用新案法30条が実用新案権の侵害に準用するのは特許法104条の2から105条まで及び105条の2の11から106条までであり、103条はその範囲に入っていない。特許は審査を経て登録され、特許公報で内容が公示されているから、侵害者は特許の存在を知り得たはずだという理屈で過失を推定できる。これに対し実用新案は実体審査を経ずに登録される無審査登録制度であり、登録実用新案の内容が権利として有効かどうかを公報だけで判断することが難しいため、侵害者に過失を推定するだけの基礎がない。そこで過失の推定を外し、損害賠償を求める実用新案権者が民法709条の原則どおり侵害者の故意又は過失を立証しなければならないとしている。29条の2が権利行使に評価書の提示と警告を求めるのも同じ理由である。

特許法第百四条の二から第百五条まで(具体的態様の明示義務、特許権者等の権利行使の制限、主張の制限及び書類の提出等)及び第百五条の二の十一から第百六条まで(第三者の意見、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し、訴訟記録の閲覧等の請求の通知等、当事者尋問等の公開停止及び信用回復の措置)の規定は、実用新案権又は専用実施権の侵害に準用する。