意匠法の短答対策|特許法との違いと独自制度で10問中7点を取る
弁理士試験短答式の意匠法(10問)の対策。特許法と対比して学ぶ理由、意匠法独自の制度(関連意匠・部分意匠・秘密意匠・組物・内装・動的意匠)、準用されていない規定の見つけ方、新規性喪失の例外や先願の違い、目標7点への手順を整理します。
意匠法は短答式で10問出題され、足切りラインは4点です。特許法の理解があれば短期間で仕上がる科目ですが、意匠法にしかない制度が多く、そこを押さえないと6点の壁を超えられません。
結論から言うと、意匠法は「特許法と同じところ」を確認し、「特許法と違うところ」と「意匠法にしかない制度」を集中的に覚える科目です。この記事では、その3つの区分と、意匠法独自の制度、目標7点への手順を整理します。
意匠法を特許法と対比して学ぶ理由
意匠法は、審査・審判・権利の効力などの多くの規定を特許法から準用しています。意匠法の条文を読むと、「特許法第○条の規定は、意匠登録出願に準用する」という形の条文が繰り返し出てきます。

そのため、特許法の該当箇所を理解していれば、意匠法の準用部分は「読み替えの確認」だけで済みます。学習時間を投じるべきは、次の2つです。
- 特許法と扱いが異なる規定(新規性喪失の例外の期間、先願の判断、審査請求制度の有無など)
- 意匠法にしかない制度(関連意匠、部分意匠、組物、内装、秘密意匠、動的意匠など)
短答式の意匠法10問のうち、例年6〜7問はこの2つのどちらかから出題されています。
特許法と違うところ
| 項目 | 特許法 | 意匠法 |
|---|---|---|
| 保護対象 | 発明 | 物品・建築物・画像の形状等(2条) |
| 出願審査請求 | あり(3年以内) | なし(全件審査) |
| 出願公開 | あり(1年6か月) | なし(登録後に公報) |
| 新規性喪失の例外 | 1年以内・証明書30日以内 | 1年以内・証明書30日以内(同じ) |
| 存続期間 | 出願から20年 | 出願から25年 |
| 先願の判断 | 発明の同一性 | 意匠の同一または類似(9条) |
| 権利範囲 | 特許発明の技術的範囲 | 登録意匠およびこれに類似する意匠(23条) |
| 補正の却下 | 決定に対する不服申立ての制度が異なる | 補正却下決定不服審判(47条) |
「類似」の概念が意匠法の中核です。先願(9条)も権利範囲(23条)も、同一だけでなく類似の範囲まで及びます。特許法にはこの概念がないため、特許法から入った受験生が最初に戸惑うところです。
出願審査請求と出願公開がないことも重要です。特許法の「審査請求から3年」「出願公開後の補償金請求権」に対応する制度は意匠法にはありません。過去問では「意匠登録出願にも出願審査請求が必要である」といった誤りの枝が繰り返し出ています。
意匠法にしかない制度
関連意匠(10条)
自己の登録意匠(本意匠)に類似する意匠を、関連意匠として登録できる制度です。令和元年改正で、関連意匠にのみ類似する意匠の登録が認められ、出願可能な期間も本意匠の出願日から10年以内に拡大されました。短答式では次の点が問われます。

- 関連意匠の出願期間(本意匠の出願日から10年以内)
- 関連意匠にのみ類似する意匠を関連意匠として登録できること
- 本意匠と関連意匠の存続期間(関連意匠は基礎意匠=最初に選択した本意匠の出願日から25年。21条2項)
- 本意匠と関連意匠の分離移転の禁止(22条)
部分意匠(2条1項)
物品の部分の形状等を意匠として保護する制度です。「物品の部分」であることを願書で特定します。部分意匠と全体意匠の先後願の関係、部分意匠同士の類否が問われます。
組物の意匠(8条)
同時に使用される2以上の物品で、組物全体として統一があるものを一意匠として出願できる制度です。経済産業省令で定める組物に限られること、令和元年改正で組物の部分意匠が認められたこと、組物の意匠は各構成物品ごとの意匠権ではなく組物全体で一つの意匠権になることが問われます。

内装の意匠(8条の2)
令和元年改正で新設された制度で、店舗や事務所などの内装を構成する物品・建築物・画像が、内装全体として統一的な美感を起こさせるとき、一意匠として出願できます。
秘密意匠(14条)
意匠権の設定登録の日から3年以内の期間を指定して、意匠を秘密にすることを請求できる制度です。請求できる時期(出願と同時、または第1年分の登録料納付と同時)、秘密期間中の権利行使の制限(差止請求には警告が必要、過失の推定が働かない)が頻出です。

動的意匠(6条4項)
物品の形状等がその物品の機能に基づいて変化する場合に、変化の前後の状態を願書で説明して出願する制度です。
準用されていない規定の見つけ方
意匠法の学習で最も効率的なのは、四法対照の条文集で特許法と意匠法を並べ、特許法にあって意匠法で準用されていない規定に印をつけることです。準用されていない規定は、意匠法に対応する制度がない(審査請求、出願公開)か、意匠法独自の規定に置き換わっている(先願、権利範囲)かのどちらかで、いずれも短答式の出題論点です。

たとえば、特許法の拡大先願(29条の2)は意匠法には準用されていません。代わりに意匠法3条の2が、先願の意匠の一部と同一または類似する後願意匠を拒絶する規定を置いています。この3条の2は、出願人が同一の場合に適用除外がある点など、特許法29条の2と似て非なる規定として頻出です。
目標7点への手順
第1段階:特許法との対比表を作る(2週間)
上の「特許法と違うところ」の表を、自分の言葉で作り直します。テキストを読みながら、「特許法では〜だが、意匠法では〜」という形で違いを書き出します。
第2段階:独自制度の過去問を集中的に解く(3週間)
関連意匠・部分意匠・組物・内装・秘密意匠・動的意匠の過去問を、制度ごとにまとめて解きます。各制度で「できること・できないこと・期間・手続」の4点を押さえます。

第3段階:準用部分の読み替えを確認する(2週間)
意匠法の準用条文を、読み替え規定に従って実際に読み替えてみます。「特許法第○条中『特許出願』とあるのは『意匠登録出願』と」の指示を追い、意匠法として意味が通るかを確認します。
第4段階:肢別で回す(継続)
意匠法の過去問全体を肢別で回し、×の枝を潰します。10問中7点を安定させるには、肢別正答率85%以上が目安です。
まとめ
- 意匠法は特許法の準用が多く、特許法の理解があれば短期で仕上がる
- 学習の中心は「特許法と違うところ」と「意匠法にしかない制度」
- 「類似」の概念、審査請求と出願公開がないこと、存続期間25年が基本的な違い
- 関連意匠・部分意匠・組物・内装・秘密意匠・動的意匠の要件と手続が頻出
- 四法対照で「準用されていない規定」に印をつけると、出題論点が浮かび上がる
意匠法と同じく特許法との対比で学ぶ「商標法の短答対策」も、準用されていない規定の把握が鍵になります。
意匠の肢別演習を一覧で一気に○×。解説と条文がその場で開きます。