著作権法・不正競争防止法の短答対策|範囲が広い科目を頻出論点だけで6点にする
弁理士試験短答式の著作権法・不正競争防止法(10問)の対策。著作物性・著作者・著作者人格権・著作権の支分権・権利制限規定・保護期間、不競法2条1項各号の不正競争類型と適用除外を、深追いせず頻出論点に絞って6点を取る方法を整理します。
著作権法及び不正競争防止法は、短答式で10問出題され、足切りラインは4点です。著作権法だけで120条を超える条文があり、不正競争防止法も改正が続く分野です。範囲の広さに対して配点が10問しかないため、深追いすると時間が溶ける科目です。
結論から言うと、この科目は「網羅」を諦め、過去問で繰り返し問われている論点に絞って6点を取るのが合理的です。この記事では、著作権法と不正競争防止法それぞれの出題比率、頻出論点、絞り込みの基準、目標6点への手順を整理します。
出題比率
10問のうち、著作権法が6〜7問、不正競争防止法が3〜4問というのが例年の配分です。著作権法の比重が大きいものの、不正競争防止法は論点が限られているため、3〜4問を確実に取りやすい科目でもあります。
著作権法の頻出論点
著作物性(2条1項1号・10条)
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」という定義の各要件と、10条の著作物の例示が問われます。

- 事実やデータそのものは著作物ではない(新聞記事の見出し、時刻表など)
- プログラムは著作物だが、プログラム言語・規約・解法は保護されない(10条3項)
- 編集著作物(12条)とデータベースの著作物(12条の2)の違い
- 二次的著作物(2条1項11号)と、原著作物の著作者の権利(28条)
著作者と著作権の帰属(14条〜16条)

- 職務著作(15条)の要件。法人等の発意、業務従事者、職務上作成、法人等の名義で公表(プログラムは名義不要)、契約・就業規則に別段の定めがないこと
- 共同著作物(2条1項12号)と、共同著作物の権利行使(64条・65条)
- 映画の著作物の著作者(16条)と著作権の帰属(29条)
著作者人格権(18条〜20条)
公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つと、それぞれの例外です。著作者人格権は一身専属で譲渡できない(59条)こと、著作者の死後も一定の保護がある(60条)ことが問われます。
著作権の支分権(21条〜28条)
複製権・上演権・演奏権・上映権・公衆送信権・口述権・展示権・頒布権・譲渡権・貸与権・翻訳権等の内容です。特に、譲渡権の消尽(26条の2第2項)、頒布権が映画の著作物にのみ認められること、貸与権が映画以外の著作物に認められることが頻出です。
権利制限規定(30条〜50条)
著作権法で最も出題が多い分野です。すべての条文を覚えるのは非効率で、次の条文に絞ります。

| 条文 | 内容 | 頻出ポイント |
|---|---|---|
| 30条 | 私的使用のための複製 | 公衆用設置自動複製機器の除外、違法ダウンロードの除外 |
| 32条 | 引用 | 公正な慣行、目的上正当な範囲、出所明示 |
| 35条 | 学校その他の教育機関における複製等 | 営利目的の教育機関は対象外 |
| 38条 | 営利を目的としない上演等 | 非営利・無料・無報酬の3要件 |
| 46条 | 公開の美術の著作物等の利用 | 彫刻の複製や販売目的の複製は除外 |
| 47条の5 | 電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等 | 検索サービス等 |
権利制限規定は、「何が許されるか」だけでなく「例外の例外」(許されない場合)が問われます。
保護期間(51条〜58条)
- 原則:著作者の死後70年
- 無名・変名の著作物、団体名義の著作物:公表後70年
- 映画の著作物:公表後70年
- 計算方法:死亡・公表の翌年1月1日から起算(57条)
平成30年のTPP関連改正で50年から70年に延長された経緯があり、古い過去問では正誤が変わっています。

著作隣接権(89条〜)
実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者の権利です。実演家人格権(氏名表示権・同一性保持権。公表権はない)、レコード製作者の権利の内容、保護期間(実演・レコードは70年、放送は50年)が問われます。
不正競争防止法の頻出論点
不正競争防止法は、2条1項各号に列挙された「不正競争」の類型が出題の中心です。
| 号 | 類型 | 頻出ポイント |
|---|---|---|
| 1号 | 周知表示混同惹起行為 | 周知性と混同のおそれが要件 |
| 2号 | 著名表示冒用行為 | 著名性が要件。混同は不要 |
| 3号 | 商品形態模倣行為 | 日本国内で最初に販売された日から3年で適用除外(19条1項6号イ)。商品の機能を確保するために不可欠な形態は除外 |
| 4号〜10号 | 営業秘密に関する行為 | 秘密管理性・有用性・非公知性の3要件 |
| 11号〜16号 | 限定提供データに関する行為 | 平成30年改正で新設 |
| 17号・18号 | 技術的制限手段に関する行為 | プロテクト回避装置の提供等 |
| 19号 | ドメイン名の不正取得等 | 不正の利益を得る目的等が要件 |
| 20号 | 誤認惹起行為 | 原産地・品質等の誤認表示 |
| 21号 | 信用毀損行為 | 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実 |
| 22号 | 代理人等の商標冒用行為 | パリ条約同盟国の商標の権利者の代理人等 |
このうち、1号・2号・3号と営業秘密(4号〜10号)で出題の大半を占めます。
もうひとつの頻出分野は適用除外(19条)です。普通名称・慣用表示の使用、自己の氏名の使用、先使用、商品形態模倣の3年経過後などが、1号・2号・3号の適用除外として問われます。
絞り込みの基準
この科目で深追いを避けるための基準です。

やる:上に挙げた頻出論点。過去10年で3回以上出ている論点。
やらない:著作権等管理事業法、出版権の細部、裁定制度の手続、私的録音録画補償金の細部、不競法の国際的な適用関係。これらは過去10年で1回出るかどうかで、10問中の1問を取るために数十時間を投じる価値はありません。
判断に迷ったら:過去問の出題回数で決めます。肢別演習で同じ論点の枝が5つ以上あれば「やる」、1〜2つなら「やらない」です。
目標6点への手順
第1段階:著作権法の骨格(2週間)
著作物性→著作者→著作者人格権→著作権の支分権→権利制限→保護期間の順で、テキストの該当部分だけを読み、単元ごとに過去問を解きます。
第2段階:権利制限規定を条文で読む(1週間)
30条・32条・35条・38条・46条・47条の5を条文で読み、「何が許され、何が許されないか」を表にします。
第3段階:不競法2条1項各号と19条(1週間)
各号の要件と適用除外を表にし、過去問を号ごとに解きます。
第4段階:肢別で回す(継続)
科目全体を肢別で回し、×の枝を潰します。10問中6点なら肢別正答率75%で足ります。85%を目指して時間を投じるより、その時間を特許法に回す方が総合点は上がります。

まとめ
- 著作権法6〜7問、不競法3〜4問。範囲が広いので頻出論点に絞る
- 著作権法は著作物性、職務著作、著作者人格権、支分権、権利制限、保護期間70年
- 不競法は2条1項1号・2号・3号と営業秘密、19条の適用除外
- 「やらない」を決める基準は過去10年での出題回数
- 目標は6点。肢別正答率75%で足り、それ以上は特許法に時間を回す
各科目の目標点と足切りの全体像は「短答式の合格基準と科目別足切りの攻略法」で整理しています。
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