1第三条から第十五条まで、第二十一条及び第二十二条の規定は、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない。
1 第二条第一項第一号、第二号、第二十号及び第二十二号に掲げる不正競争商品若しくは営業の普通名称(ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって、普通名称となったものを除く。)若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業について慣用されている商品等表示(以下「普通名称等」と総称する。)を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし、又は普通名称等を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同項第二十号及び第二十二号に掲げる不正競争の場合にあっては、普通名称等を普通に用いられる方法で表示をし、又は使用して役務を提供する行為を含む。)
2 第二条第一項第一号、第二号及び第二十二号に掲げる不正競争自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同号に掲げる不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使用して役務を提供する行為を含む。)
3 第二条第一項第一号及び第二号に掲げる不正競争商標法第四条第四項に規定する場合において商標登録がされた結果又は同法第八条第一項ただし書、第二項ただし書若しくは第五項ただし書の規定により商標登録がされた結果、同一の商品若しくは役務について使用(同法第二条第三項に規定する使用をいう。以下この号において同じ。)をする類似の登録商標(同法第二条第五項に規定する登録商標をいう。以下この号及び次項第二号において同じ。)又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一若しくは類似の登録商標に係る商標権が異なった商標権者に属することとなった場合において、その一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が不正の目的でなく当該登録商標の使用をする行為
4 第二条第一項第一号に掲げる不正競争他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
5 第二条第一項第二号に掲げる不正競争他人の商品等表示が著名になる前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
6 第二条第一項第三号に掲げる不正競争次のいずれかに掲げる行為
ア 日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
ィ 他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
7 第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争取引によって営業秘密を取得した者(その取得した時にその営業秘密について営業秘密不正開示行為であること又はその営業秘密について営業秘密不正取得行為若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用し、又は開示する行為
8 第二条第一項第十号に掲げる不正競争第十五条第一項の規定により同項に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
9 第二条第一項第十一号から第十六号までに掲げる不正競争次のいずれかに掲げる行為
ア 取引によって限定提供データを取得した者(その取得した時にその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為であること又はその限定提供データについて限定提供データ不正取得行為若しくは限定提供データ不正開示行為が介在したことを知らない者に限る。)がその取引によって取得した権原の範囲内においてその限定提供データを開示する行為
ィ その相当量蓄積されている情報が無償で公衆に利用可能となっている情報と同一の限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
10 第二条第一項第十七号及び第十八号に掲げる不正競争技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる同項第十七号及び第十八号に規定する装置、これらの号に規定するプログラム若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該プログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為又は技術的制限手段の試験又は研究のために行われるこれらの号に規定する役務を提供する行為
2前項第二号から第四号までに定める行為によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、次の各号に掲げる行為の区分に応じて当該各号に定める者に対し、自己の商品又は営業との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
1 前項第二号に定める行為自己の氏名を使用する者(自己の氏名を使用した商品を自ら譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する者を含む。)
2 前項第三号に定める行為同号の一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者及び通常使用権者
3 前項第四号に定める行為他人の商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用する者及びその商品等表示に係る業務を承継した者(その商品等表示を使用した商品を自ら譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する者を含む。)
この条文が問われた枝 27問
正しい。周知となる前から不正の目的でなく使用する者の業務を承継した丙の使用は19条1項4号で差止請求の適用除外となるが、甲は19条2項3号により承継者丙にも混同防止表示の付加を請求できる。
19条1項4号は、2条1項1号の不正競争のうち、他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者が、その商品等表示を不正の目的でなく使用する行為について、3条から15条までの規定を適用しないと定める。先に使い始めた者とその業務の承継者には、他人の表示が後から周知になっても使用をやめる理由がないからである。もっとも表示が並び立てば需要者の混同は残るため、19条2項3号は、その表示を使用する者及びその業務を承継した者に対し、自己の商品又は営業との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求できると定める。乙は表示イが周知となる前から不正の目的でなく使用を開始し、丙はその業務を承継して不正の目的でなく使用しているから、甲は丙に差止めを請求できず、混同防止表示の付加のみ請求できる。本枝はそのとおりである。

第二条第一項第一号に掲げる不正競争 他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「差止めを請求することはできない」の部分である。形態模倣の規制が及ばなくなるのは日本国内において最初に販売された日から3年を経過した商品であり、甲のランプは日本での販売から1年しか経っていない。
2条1項3号の形態模倣には3条1項の差止請求ができるが、19条1項6号イは、日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品について、その形態を模倣した商品を譲渡等する行為には3条から15条までを適用しないと定める。形態模倣の規制は先行者の開発投資の回収を守る趣旨で期間を短く区切り、起算点を日本の市場で売り出された日に置いている。条文が日本国内においてと明記している以上、外国での販売開始日は起算点にならない。甲は米国では4年前から販売しているが、日本国内で最初に販売したのは1年前であるから、3年はまだ経過しておらず、適用除外には当たらない。したがって乙が形のそっくりなランプの販売を始めれば、甲は3条1項の差止めを請求することができる。本枝は米国での販売開始日を起算点にして保護期間が過ぎたかのように扱っている点がずれている。

日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「営業秘密に係る不正競争に該当するとして、差止請求の対象となり得る」の部分である。取引により善意無重過失で営業秘密を取得した者がその権原の範囲内で使用・開示する行為には、19条1項7号により差止請求等の規定が適用されない。
取得後に不正取得の介在を知って使用する行為は2条1項6号の不正競争に当たる。しかし19条1項7号は、4号から9号までの不正競争のうち、取引によって営業秘密を取得した者で、その取得した時に不正取得行為等の介在を知らず、かつ知らないことにつき重大な過失がない者が、その取引によって取得した権原の範囲内において営業秘密を使用し、又は開示する行為には、3条から15条までの規定を適用しないと定める。取引の安全を守る趣旨であり、事後に悪意になっても、契約で得た権原の範囲内にとどまる限り差止めも損害賠償も及ばない。本枝は、権原の範囲内の使用であっても差止請求の対象となり得るとしており、7号の適用除外を落としている点がずれている。権原の範囲を超えて使用・開示すれば、その部分は6号の不正競争として差止めの対象になる。

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争 取引によって営業秘密を取得した者(その取得した時にその営業秘密について営業秘密不正開示行為であること又はその営業秘密について営業秘密不正取得行為若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「限定提供データに係る不正競争防止法上の規制の対象とならない」の部分である。19条1項9号ロの適用除外は無償で公衆に利用可能となっている情報と同一の限定提供データに限られ、利用料を払えば使える情報は無償ではない。
19条1項9号ロは、2条1項11号から16号までの不正競争について、その相当量蓄積されている情報が無償で公衆に利用可能となっている情報と同一の限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為には3条から15条までの規定を適用しないと定める。誰でも無償で手に入る情報と同じ内容のデータであれば、保有者がそれを限定提供データとして囲い込んでも守るべき投資がなく、取得や使用を規制する理由がないからである。これに対して一定の利用料を払えば誰でも自由に使える情報は、対価を払わない者には利用できない有償の情報であり、提供者はデータの収集と整備に投じた費用を利用料で回収しているから、無償で公衆に利用可能となっている情報には当たらない。したがってそれと同一の限定提供データを不正の手段で取得する行為などはなお規制の対象であり、枝は誤っている。

その相当量蓄積されている情報が無償で公衆に利用可能となっている情報と同一の限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
- 限定提供性:業として特定の者に提供する情報である。特定の者は条件を満たして提供を受ける者で、数の多寡を問わない
- 相当量蓄積・管理性:電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されていることである
- 有用性:技術上又は営業上の情報であることである
- 除外:営業秘密(2条6項)は除かれる。令和5年改正前は秘密として管理されているものが除かれていた
誤り。違うのは「全て不正競争として、差止請求の対象となる」の部分である。取得後に不正取得の介在を知った使用は6号の不正競争になるが、取引によって善意無重過失で取得した者がその取引で取得した権原の範囲内で使用する行為には差止めの規定が適用されない(19条1項7号)。
2条1項6号は、営業秘密を取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその営業秘密を使用し又は開示する行為を不正競争とする。丙は取得の時に不正アクセスの介在を知らなかったが、甲の通知で知った後の使用は6号の不正競争となるのが原則である。しかし19条1項7号は、取引によって営業秘密を取得した者で、取得の時に不正取得行為や不正開示行為の介在を知らず、かつ知らないことについて重大な過失がない者が、その取引によって取得した権原の範囲内で営業秘密を使用し又は開示する行為には、3条から15条までを適用しないと定める。善意で取得した者の事業を後から止めれば取引の安全を害するため、権原の範囲内の使用は差止めの対象から外されている。丙が乙との取引によって取得していれば、悪意となった後でも権原の範囲内の使用は差止めを受けず、全てが差止請求の対象となるとする枝は誤っている。

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争取引によって営業秘密を取得した者(その取得した時にその営業秘密について営業秘密不正開示行為であること又はその営業秘密について営業秘密不正取得行為若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用し、又は開示する行為
正しい。技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる無効化装置の譲渡には3条から15条までの規定が適用されないから(19条1項10号)、甲に過失があっても4条の損害賠償を請求することはできない。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置を譲渡する行為を不正競争とする。甲が乙に譲渡した装置は丙の技術的制限手段を無効化する機能を有するから、譲渡は形式的には17号に当たる。しかし19条1項10号は、17号及び18号の不正競争のうち、技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等を譲渡する行為には、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。より優れた手段を開発するには既存の手段を無効化して調べる必要があり、研究のための装置の流通まで止めれば技術の発展を妨げるからである。乙は丙より優れた技術的制限手段を自社事業に用いるために研究しようとしており、甲の譲渡は試験又は研究のために用いられる装置の譲渡に当たるから、4条の損害賠償の規定も適用されない。したがって甲に過失があっても丙は損害賠償を請求できず、枝の記述は正しい。

第二条第一項第十七号及び第十八号に掲げる不正競争技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる同項第十七号及び第十八号に規定する装置、これらの号に規定するプログラム若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該プログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為又は技術的制限手段の試験又は研究のために行われるこれらの号に規定する役務を提供する行為
- 1号(1号・2号・20号・22号):普通名称等を普通に用いられる方法で使用・表示する行為である。ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称は除かれる
- 2号(1号・2号・22号):自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為である
- 4号・5号(1号・2号):他人の表示が周知・著名になる前から使用する者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である
- 6号(3号):日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品の形態模倣品の譲渡等と、譲り受けた時に善意無重過失の譲受人による譲渡等である
- 7号(4号〜9号):取引によって営業秘密を取得した時に善意無重過失の者が、その権原の範囲内で使用・開示する行為である
- 9号(11号〜16号):取引によって限定提供データを取得した時に善意の者が権原の範囲内で開示する行為と、無償で公衆に利用可能な情報と同一の限定提供データの取得・使用・開示である
- 10号(17号・18号):技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡等と役務の提供である
正しい。19条1項6号イは日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品を保護から外すが、販売開始前の展示会への出品が投下資本の回収の着手と認められれば、その日が起算日とされることがある。
19条1項6号イは、2条1項3号の商品形態模倣のうち、日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品についてその形態を模倣した商品を譲渡等する行為には、差止めや損害賠償などの3条から15条までの規定を適用しないと定める。形態模倣の規律は先行者が投下した資本を回収する期間を確保するものであり、3年で期間を区切っている。起算日である最初に販売された日は、先行者が商品を市場に置いて回収を始めた日を意味するから、小売店での販売開始に限られない。商品展示会に完成した商品を出品し、取引先からの受注を受け付けるなど投下資本の回収に着手したと評価できる場合には、裁判例でもその出品の日が最初に販売された日とされている。したがって、損害賠償請求の対象となる期間は原則として最初の販売日から3年までであるが、実際の販売開始前の展示会への出品日から3年までと認められることもあり、本枝は正しい。

日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- イ:日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の形態の模倣。外国での販売日は起算日にならない
- 最初に販売された日は、展示会への出品などで投下資本の回収に着手した日と認められることがある
- ロ:模倣商品を譲り受けた時に模倣商品であることを知らず、知らないことに重大な過失がない者が譲渡等する行為
- 適用されなくなるのは3条から15条までの民事の規定と21条・22条の罰則
誤り。違うのは「混同により損害を被り得る消費者を代表する団体にも与えられる」の部分である。19条2項の混同防止表示付加請求ができるのは、営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者に限られる。
19条2項は、同条1項2号から4号までに定める行為、すなわち自己の氏名の使用や先使用などの適用除外に当たる行為によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、その行為をする者に対し、自己の商品又は営業との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求できると定める。適用除外によって差止めを求められなくなる周知表示の主体に、せめて混同を防ぐ表示を求める手段を残したものであり、請求権者は差止請求権者と同じく営業上の利益を害される事業者である。不正競争防止法は事業者間の公正な競争の確保を目的とし(1条)、消費者の利益は公正な競争の結果として守られるにとどまるから、差止請求(3条)も損害賠償請求(4条)も混同防止表示付加請求も、消費者やその団体には与えられていない。本枝は、混同の被害を受け得るという理由で消費者団体に請求権を広げている点で条文とずれている。

前項第二号から第四号までに定める行為によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、次の各号に掲げる行為の区分に応じて当該各号に定める者に対し、自己の商品又は営業との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
- 請求できる者:19条1項2号から4号までの行為によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者
- 対象となる行為:自己の氏名の不正の目的でない使用(2号)、商標法上併存することになった登録商標の不正の目的でない使用(3号)、周知となる前からの先使用(4号)
- 請求の内容:自己の商品又は営業との混同を防ぐのに適当な表示を付すこと
- 消費者やその団体には与えられない
正しい。19条1項6号イにより日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の形態模倣は適用除外となり、起算点は保護を求める形態を具備した最初の商品の販売日であって、若干の変更を加えた後続商品の販売日ではない。
19条1項6号イは、2条1項3号の商品形態模倣について、日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為には差止めや損害賠償などの規定を適用しないと定める。形態模倣の規制は、権利の取得を要せずに形態を保護する代わりに、先行者が投資を回収するのに必要な3年に限って模倣を禁じるものである。起算点となる商品は、保護を求める形態を最初に具備して販売された商品である。東京高判平成12年2月17日は、同じ形態を備えつつ若干の変更を加えた後続商品が販売されても、その販売日から新たに3年が始まるのではないとした。後続商品ごとに起算し直せば、小さな変更の繰り返しで保護期間を際限なく延ばせてしまうからである。枝の販売行為は最初の商品の販売から3年を経過しているため規制の対象にならない。

日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「無料で少数の親しい友人のみに譲渡したにすぎない場合は、甲の譲渡行為は、技術的制限手段に係る不正競争に該当しない」の部分である。2条1項17号の譲渡は有償であることも相手が多数であることも要件としていない。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げる機能を有する装置やプログラムを記録した記録媒体を譲渡し、引き渡し、展示し、輸出し、又は輸入する行為などを不正競争とする。地上デジタル放送に付された録画回数の制限は放送事業者が営業上用いている技術的制限手段であり、それを回避することのみを可能とするプログラムを記録したUSBメモリは同号の記録媒体に当たる。譲渡について条文は対価や相手の数を限定しておらず、無料であっても少数の友人に対してであっても譲渡である。回避の手段は一人の手に渡っても複製されて広まるおそれがあるからである。19条1項10号が技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡を除外しているが、枝の譲渡はそれにも当たらない。したがって甲の譲渡行為は17号の不正競争に該当する。

この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
- 制限の対象:影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理、影像、音、プログラムその他の情報の記録(2条8項)
- 17号:営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げる装置・プログラム・指令符号の譲渡等と、効果を妨げる役務の提供
- 18号:特定の者以外の者に視聴等をさせないために用いている技術的制限手段について、特定の者以外の者への譲渡等と役務の提供
- 対象外:装置の製造と、自ら回避する行為は列挙されていない。有償・無償、相手の数は問わない
- 適用除外:技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡等(19条1項10号)
誤り。違うのは「その者の商品等表示が、他人の商品等表示が需要者の間で周知になる前から需要者の間で周知になっている必要がある」の部分である。先使用の適用除外は、他人の表示が周知になる前から不正の目的でなく使用していれば足り、先使用者自身の表示の周知性は要件でない。出題当時は19条1項3号であり、令和5年改正で4号になった。
19条1項4号は、2条1項1号の不正競争について、他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその業務を承継した者が、その商品等表示を不正の目的でなく使用する行為には、差止請求から罰則までの規定を適用しないと定める。周知表示混同惹起行為の規制は、周知になった表示に後からただ乗りする者を排除するものであり、周知になる前から自分の表示として使っていた者は、他人の信用を利用したわけではないから規制の対象から外す趣旨である。条文が求めるのは、他人の表示が周知になる前からの使用と、不正の目的がないことの二つであり、先使用者自身の表示が需要者の間に広く認識されていることは求められていない。商標法32条1項の先使用権が先使用者の商標の周知性を要件とするのと異なる。したがって先使用者の表示の周知性を要するとする枝は誤りである。

第二条第一項第一号に掲げる不正競争他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
- 1号(1号・2号・20号・22号):普通名称等を普通に用いられる方法で使用・表示する行為である。ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称は除かれる
- 2号(1号・2号・22号):自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為である
- 4号(1号):他人の表示が需要者の間に広く認識される前から同一・類似の表示を使用する者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である。令和5年改正前は3号
- 5号(2号):他人の表示が著名になる前から使用する者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である。令和5年改正前は4号
誤り。違うのは「どのような目的で使用するかにかかわらず」の部分である。自己の氏名の使用が適用除外になるのは不正の目的でなく使用する場合に限られる(19条1項2号)。
19条1項2号は、2条1項1号、2号及び22号の不正競争について、自己の氏名を不正の目的でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡等する行為には、差止請求から罰則までの規定を適用しないと定める。不正の目的とは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。人は自分の氏名を営業に使う正当な利益を持つから、たまたま他人の周知又は著名な表示と同じ氏名であっても使用を認めるのが原則であるが、他人の表示の信用にただ乗りする目的や他人を害する目的で氏名を使う者まで保護する理由はない。そこで条文は不正の目的でない使用に限って適用除外とし、不正の目的がある場合は商品等表示に係る不正競争として差止めや損害賠償の対象にしている。したがって目的を問わず規制の対象とならないとする枝は誤りである。

第二条第一項第一号、第二号及び第二十二号に掲げる不正競争自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同号に掲げる不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使用して役務を提供する行為を含む。)
誤り。違うのは「その氏名が著名人と同一であっても、ドメイン名に係る不正競争に該当することはない」の部分である。特定商品等表示には人の業務に係る氏名が含まれ、自己の氏名の使用を除外する19条1項2号は19号に及ばない。
不正競争防止法2条1項19号は、他人の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメイン名を図利加害目的で取得し、保有し、又は使用する行為を不正競争とし、特定商品等表示には人の業務に係る氏名が含まれる。著名人の氏名はその者の業務に係る氏名として特定商品等表示に当たり得るから、自己の氏名と同一であっても、著名人の名声を利用して転売する目的や著名人に損害を加える目的でそのドメイン名を取得すれば、19号の不正競争に該当する。19条1項2号は、自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為について差止めや損害賠償の規定を適用しないと定めるが、その対象は2条1項1号、2号及び22号の不正競争に限られ、19号は掲げられていない。19号は目的の要件を備えているため、不正の目的でない自己の氏名の使用は初めから該当せず、適用除外を置く必要がないからである。したがって、自己の氏名からなるドメイン名であれば常に該当しないとする枝は誤りである。

第二条第一項第一号、第二号及び第二十二号に掲げる不正競争 自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同号に掲げる不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使用して役務を提供する行為を含む。)
誤り。違うのは「それ以降その営業秘密を使用する行為は常に不正競争防止法上の規制の対象となる」の部分である。取引で善意無重過失で取得した者がその権原の範囲内で使用する行為は19条1項7号で適用が除外される。出題当時は19条1項6号であった(令和5年改正前)。
不正競争防止法2条1項6号は、その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争と定める。取得の時には善意無重過失であった者も、後から不正取得の介在を知れば、それ以降の使用や開示は6号に当たる。しかし19条1項7号は、取引によって営業秘密を取得した者で、取得した時に不正取得行為や不正開示行為の介在を知らず、かつ知らないことにつき重大な過失がない者が、その取引によって取得した権原の範囲内で営業秘密を使用し、又は開示する行為には、差止めや損害賠償などの規定を適用しないと定める。対価を払って正当に取引した者の取引の安全を守るためであり、権原の範囲内であれば後から事情を知っても使い続けることができる。したがって、不正取得の介在を知った後の使用が常に規制の対象になるとする枝は、この適用除外を見落としており誤りである。

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争 取引によって営業秘密を取得した者(その取得した時にその営業秘密について営業秘密不正開示行為であること又はその営業秘密について営業秘密不正取得行為若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「商品Bを消費者向けにレンタルする営業を行うことは、不正競争に該当しない」の部分である。模倣品の貸渡しは2条1項3号の不正競争であり、模倣品と知って譲り受けた乙には19条1項6号ロの適用除外がない。出題当時は19条1項5号ロであった。
2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡するだけでなく貸し渡す行為も不正競争とするから、商品Bを消費者向けにレンタルする営業は模倣品の貸渡しに当たる。ただし19条1項6号ロは、模倣した商品を譲り受けた者のうち、譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ知らないことにつき重大な過失がない者が、その商品を譲渡し、貸し渡すなどの行為について3条から15条までの規定を適用しないとする。模倣品かどうかは外見では分からないことが多いため、善意無重過失で仕入れた流通業者を保護して取引の安全を図る趣旨であり、この除外は譲受け時の善意無重過失を要件とする。乙は商品BがロボットAの模倣品であることを知りながら譲り受けているから除外を受けられず、乙のレンタル営業は不正競争に該当する。不正競争に該当しないとする点がずれている。

他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
正しい。19条1項5号は、他人の表示が著名になる前から不正の目的でなく使用する者の行為に2条1項2号の差止め等の規定を適用しないと定め、先使用者自身の表示の周知性を要件としていない。出題当時は19条1項4号であった(令和5年改正前)。
19条1項5号は、2条1項2号の不正競争のうち、他人の商品等表示が著名になる前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者がこれを不正の目的でなく使用する行為について、3条から15条までと21条・22条の規定を適用しないと定める。著名表示の保護は、表示が著名になった後にその名声にただ乗りする者を排除するものであり、著名になる前から正当に使っていた者の営業まで奪う理由がないからである。同号の要件は、著名になる前からの使用と不正の目的がないことの二つであり、先使用者自身の表示が需要者の間に広く認識されていることは掲げられていない。乙が表示Aの著名化より前から不正の目的なく使用していれば、表示Aが著名性を獲得した時点で乙の表示が周知でなくても2条1項2号の規定は適用されない。商標法32条の先使用権が先使用者の商標の周知性を求めるのと違う点である。

第二条第一項第二号に掲げる不正競争他人の商品等表示が著名になる前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「乙の販売している菓子の普通名称である場合には、乙の行為が不正競争となることはない」の部分である。19条1項1号の適用除外は普通名称を普通に用いられる方法で使用する場合に限られ、特殊な独自のデザインを施した使用には及ばない。
19条1項1号は、2条1項1号・2号・20号・22号の不正競争のうち、商品若しくは営業の普通名称を普通に用いられる方法で使用し、又は表示をする行為について、3条から15条までと21条・22条の規定を適用しないと定める。普通名称は誰もが商品を呼ぶために使う語であって、特定の者に独占させると取引に支障が出るから除外されるのであり、その趣旨が及ぶのは、普通名称をその語として普通に書く態様に限られる。特殊な独自のデザインを施した表示は、語の意味ではなく表示の姿で需要者の注意を引くものであり、普通に用いられる方法での使用に当たらない。したがって表示Aが乙の菓子の普通名称であっても適用除外にはならず、周知の表示Aと類似し甲の商品と混同を生じさせれば2条1項1号の不正競争となりうる。普通名称であれば不正競争となることはないとする枝は、「普通に用いられる方法で」という限定を落としている点でずれている。

第二条第一項第一号、第二号、第二十号及び第二十二号に掲げる不正競争商品若しくは営業の普通名称(ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって、普通名称となったものを除く。)若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業について慣用されている商品等表示(以下「普通名称等」と総称する。)を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし、又は普通名称等を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同項第二十号及び第二十二号に掲げる不正競争の場合にあっては、普通名称等を普通に用いられる方法で表示をし、又は使用して役務を提供する行為を含む。)
正しい。19条1項4号は、他人の表示が周知になる前から不正の目的でなく使用する者だけでなく、その表示に係る業務を承継した者の使用にも2条1項1号の差止め等の規定を適用しないと定める。出題当時は19条1項3号であった(令和5年改正前)。
19条1項4号は、2条1項1号の不正競争のうち、他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者が、その商品等表示を不正の目的でなく使用する行為について、3条から15条までと21条・22条の規定を適用しないと定める。周知になる前から正当に使っていた者の営業を奪う理由はなく、その営業が承継されたときに承継人が表示を使えなければ先使用者の営業の価値が失われるため、同号は先使用者本人に加えて業務を承継した者を明文で掲げ、不正の目的でなく使用する限り同じ扱いとする。甲が表示Aの周知前から不正の目的なく表示Bを使用していれば、甲から業務を承継した乙も、不正の目的がない限り表示Bを使用できる。表示Aの主体は、甲や乙に対し混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求できる(19条2項)。

第二条第一項第一号に掲げる不正競争他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
誤り。違うのは「その後、甲が当該営業秘密を使用したとしても、不正競争とならない」の部分である。取得の時に善意でも、取得した後に不正取得行為の介在を知って使用する行為は2条1項6号の不正競争に当たる。
2条1項5号は、営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで営業秘密を取得する行為とその使用・開示を不正競争とし、6号は、その取得した後に不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその営業秘密を使用し、又は開示する行為を不正競争とする。6号は取得の時には善意無重過失であった転得者でも、後から不正取得の介在を知れば、それ以後の使用と開示を不正競争とするものであり、奪われた営業秘密が善意の転得を一度はさむだけで自由に使えるようになることを防いでいる。甲は丙から取得した時には知らなかったが、報道で丙による不正取得行為の介在を知ったのであるから、その後の使用は6号に当たる。取引によって取得した権原の範囲内の使用であれば19条1項7号で適用除外になるが、枝はそうした限定なしに不正競争とならないと言い切っている点でずれている。

その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「需要者はその発泡性ぶどう酒がシャンパーニュ産であると誤認しない」ので適用除外となるという部分である。ぶどうを原料とする物の原産地の名称は、普通名称となったものでも19条1項1号のかっこ書で除外の対象から外されている。
19条1項1号は、商品若しくは営業の普通名称を普通に用いられる方法で使用し、又は表示をする行為について、2条1項20号の誤認惹起表示を含む不正競争に関する規定を適用しないと定めるが、そのかっこ書で、ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって普通名称となったものを除いている。シャンパンのようなぶどう酒の産地名は、普通名称のように使われるようになっても産地の信用と結びついたままであり、産地名を原産地の表示として守る国際的な約束に合わせて、普通名称化を理由とする除外を認めないという理屈である。したがって甲州産と付記して需要者が誤認しないかどうかを論じるまでもなく、甲州産シャンパンの表示に1号の除外は働かず、原産地について誤認させるような表示として2条1項20号の不正競争に当たり得る。出題当時は誤認惹起表示が2条1項14号に置かれていた(平成30年改正前)が、かっこ書の仕組みは同じである。

商品若しくは営業の普通名称(ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって、普通名称となったものを除く。)若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業について慣用されている商品等表示(以下「普通名称等」と総称する。)を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし、又は普通名称等を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
正しい。自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為は19条1項2号により2条1項1号の適用が除外され、その氏名が他人の商品等表示として周知であることは除外の妨げにならない。
19条1項2号は、2条1項1号、2号及び22号に掲げる不正競争のうち、自己の氏名を不正の目的でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡する等の行為について、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。不正の目的とは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。自分の氏名を自分の商品や営業に使うことは人格に結びついた当然の利益であり、たまたま同じ氏名が他人の商品等表示として周知になったからといって、その使用を混同惹起行為として差し止められるのは酷だという理屈である。1号の混同惹起行為は他人の表示が周知であることを前提に成立するのだから、除外の場面はまさに氏名が他人の周知な商品等表示と重なる場合であり、周知であることは除外を妨げる事情にならない。要件は不正の目的がないことだけであるから、枝のとおり適用除外となる。周知表示の側に残るのは、19条2項の混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことの請求である。

自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同号に掲げる不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使用して役務を提供する行為を含む。)
正しい。日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の形態を模倣した商品の譲渡は、19条1項6号イにより2条1項3号の不正競争に関する規定の適用が除外される。
19条1項6号イは、2条1項3号に掲げる不正競争のうち、日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為に、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。形態模倣の規定は、商品化に投じた資金や労力を先行者が回収する機会を守るためのものであって、意匠登録のような審査を経ない代わりに、保護を投下資本の回収に通常必要な期間に限るという理屈である。起算点は日本国内で最初に販売された日であり、外国での販売日や模倣品の販売日ではない。枝はこの3年を経過した商品の形態を模倣した商品の譲渡であるから、6号イのとおり適用除外となる。出題当時は19条1項5号イに置かれていた(令和5年改正前)。

日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
- イ:日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の形態模倣品の譲渡等である。起算点は外国での販売日でも模倣品の販売日でもない
- ロ:模倣品を譲り受けた時に模倣品であることを知らず、かつ知らないことに重大な過失がない者による譲渡等である。後から知っても責任を負わない
- 除外されるのは3条から15条までの民事の規定と21条・22条の罰則である
正しい。19条1項2号から4号までの除外により営業上の利益を侵害されるおそれがある者は、19条2項により、使用する者に対して混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求できる。
19条2項は、19条1項2号から4号までに定める行為によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、自己の氏名を使用する者、併存する登録商標の商標権者等、先使用者及びその業務の承継者に対し、自己の商品又は営業との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができると定める。自己の氏名の使用や周知前からの先使用は、不正の目的がない限り差止めや損害賠償の対象から外されるが、その結果として需要者の混同が放置されると周知表示を持つ側の営業が損なわれるので、使用を認めたまま混同だけを取り除く手段として、表示の付加を請求できるようにした仕組みである。枝は、他人の周知な商品等表示と同一の商品等表示の使用について2条1項1号の適用が除外される場合であるから、2号の自己の氏名又は4号の先使用の場面であり、営業上の利益を侵害されるおそれのある者が使用者に対して混同防止表示を付すよう請求できる。出題当時は先使用が19条1項3号で、19条2項の対象は2号と3号であった(令和5年改正前)。

前項第二号から第四号までに定める行為によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、次の各号に掲げる行為の区分に応じて当該各号に定める者に対し、自己の商品又は営業との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
正しい。他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前から同一の商品等表示を使用する者が不正の目的でなく使用する行為は、19条1項4号により2条1項1号の不正競争に関する規定の適用が除外される。
19条1項4号は、2条1項1号に掲げる不正競争のうち、他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその業務を承継した者が、その商品等表示を不正の目的でなく使用する行為について、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。1号の混同惹起行為は他人の表示が周知になった時点で成立し得るが、周知になる前から自分の表示として使ってきた者まで差止めや損害賠償の対象にすると、先に使い始めた者の営業が後から周知になった他人の表示に追い出される結果になるので、不正の目的がない限り使用を続けられるようにした仕組みである。枝は周知性を獲得する以前からの同一の商品等表示の使用で、不正の目的がないから、4号の要件をすべて満たす。先使用者の側の表示が周知である必要はなく、商標法32条の先使用権のように自分の表示が周知であることまでは求められていない。出題当時は19条1項3号に置かれていた(令和5年改正前)。

他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
- 1号(1号・2号・20号・22号):普通名称等を普通に用いられる方法で使用・表示する行為である。ぶどうを原料とする物の原産地の名称は除かれる
- 2号(1号・2号・22号):自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為である
- 3号(1号・2号):商標法4条4項や8条のただし書で併存登録された類似の登録商標を不正の目的でなく使用する行為である(令和5年改正で追加)
- 4号(1号):他人の表示が需要者の間に広く認識される前からの使用者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である
- 5号(2号):他人の表示が著名になる前からの使用者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である
- 2号・3号・4号の除外を受ける者に対しては、19条2項の混同防止表示付加請求ができる
正しい。技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる回避装置の譲渡は19条1項10号の適用除外に当たり、譲受人が営利会社であることや有償であることは除外の妨げにならない。出題当時は19条1項8号であった(平成30年改正前)。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段により制限されている影像の視聴等を、その効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置を譲渡し、引き渡す行為などを不正競争と定める。映画の DVD のコピープロテクションは2条8項の技術的制限手段であり、その回避装置の有償譲渡は本来17号に当たる。しかし19条1項10号は、17号及び18号の不正競争について、技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等を譲渡し、引き渡す行為には3条から15条までの規定を適用しないと定める。制限手段の強度を検証し改良する研究まで妨げると技術の発展を損なうからであり、除外の基準は装置の用途が試験又は研究であることだけである。乙社が営利会社であることも、甲が有償で譲渡したことも条文の要件に挙がっていない。したがってコピープロテクションの研究のために装置を入手した乙社への甲の譲渡は、差止めや損害賠償の対象とならない。

第二条第一項第十七号及び第十八号に掲げる不正競争技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる同項第十七号及び第十八号に規定する装置、これらの号に規定するプログラム若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該プログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為又は技術的制限手段の試験又は研究のために行われるこれらの号に規定する役務を提供する行為
正しい。取引によって善意無重過失で営業秘密を取得した者がその取引で取得した権原の範囲内で使用する行為には、後に不正取得の介在を知っても19条1項7号により差止め等の規定が適用されない。出題当時は19条1項6号であった(平成30年改正前)。
2条1項6号は、営業秘密を取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその営業秘密を使用する行為を不正競争と定める。丙は乙から開示を受けた時点では善意無重過失であったが、後に窃取の事実を知って使用を続ける以上、形式上は6号に当たる。しかし19条1項7号は、取引によって営業秘密を取得した者で、取得の時に不正取得行為の介在等を知らず、かつ知らないことにつき重大な過失がない者が、その取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用し、又は開示する行為には、3条から15条までの規定を適用しないと定める。善意無重過失で対価を払って取引した者が、後から事情を知っただけで使用を止められるのでは取引の安全が害されるからである。九州地方のみで使用することを条件に開示を受けた丙が九州地方で使用している限り、権原の範囲内の使用であり、差止めや損害賠償の対象にならない。

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争取引によって営業秘密を取得した者(その取得した時にその営業秘密について営業秘密不正開示行為であること又はその営業秘密について営業秘密不正取得行為若しくは営業秘密不正開示行為が介在したことを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用し、又は開示する行為
誤り。違うのは「丁がBを販売する時点で、BがAの模倣品であることを知っていた場合は、不正競争防止法上の責任を負う」の部分である。19条1項6号ロの善意無重過失は譲り受けた時を基準に判断し、その後に模倣品と知って販売しても責任を負わない。出題当時は19条1項5号ロであった(平成30年改正前)。
19条1項6号ロは、他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者で、その譲り受けた時にその商品が模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者が、その商品を譲渡し、展示し、輸出し、輸入する等の行為について、民事の規定と罰則を適用しないと定める。かっこ書の文言が知らず、かつ重大な過失がないことを判断する時点を譲り受けた時と明示しているので、善意無重過失は取得の時点で固定され、その後に模倣品であることを知っても失われない。模倣品と知らずに仕入れた取引者が、後から事情を知った途端に在庫を売れなくなるのでは取引の安全を害するという理屈である。丁は財布Bを譲り受けた時に模倣品であることを知らず、重大な過失もなかったのだから、販売の時点で模倣品と知っていたとしても、丁がBを販売する行為には差止め、損害賠償、罰則のいずれも適用されず、不正競争防止法上の責任を負わない。

他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為