1不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
この条文が問われた枝 20問
誤り。違うのは「乙の石けんA’の廃棄を請求することができる」の部分である。3条2項で請求できるのは侵害の停止又は予防に必要な行為であり、パッケージ上のロゴの抹消で侵害が除去できる以上、中身の石けんの廃棄までは請求できない。
3条2項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者は、差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができると定める。廃棄や除却は差止めの実効性を確保する付随的な請求であり、侵害を止めるのに必要な限度で認められる。乙の販売行為が2条1項2号の著名表示冒用に当たるのは、石けんA’のパッケージに著名なロゴBを表示しているからであり、侵害を組成しているのはロゴが付されたパッケージである。パッケージ上のロゴBを抹消すれば、ロゴのない石けんの販売は不正競争にならず、侵害は除去される。中身の石けんそのものは侵害の行為を組成した物ではなく、その廃棄は侵害の停止又は予防に必要な行為を超える。本枝は石けんの廃棄まで請求できるとしており、3条2項と食い違う。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
正しい。差止めを請求できるのは不正競争によって営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者であり(3条1項)、商品の独占的販売権者も営業上の利益を侵害される者として請求できる場合がある。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。請求主体は商品の開発者や形態の創作者と限定されておらず、不正競争によって自己の営業上の利益を害される者であれば足りる。2条1項3号の形態模倣では、資金と労力を投じて商品を開発し商品化した者が第一に保護されるが、その商品について日本国内での独占的販売権を持つ者は、模倣品の販売によって自らの販売による利益を直接に奪われる立場にあり、開発者と並んで固有の営業上の利益を有する。裁判例も、独占的販売権者が形態模倣について差止めを請求できる場合を認めている。したがって甲は商品開発者ではなくても、丙の模倣品の販売に対して不正競争防止法に基づく差止めを請求することができる場合があり、枝の記述は正しい。単なる小売店のように利益の侵害が間接的な者には認められない。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
誤り。違うのは「差止請求の請求権者となることができない」の部分である。3条1項の営業上の利益は営利事業に限られず、経済収支の計算の上に立って行われる事業を広く含むから、特定非営利活動法人も請求権者になり得る。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その侵害の停止又は予防を請求することができると定め、請求権者を営利を目的とする者に限定していない。この法律の営業は、商法上の商人の営業より広く、経済的な対価を得て反復継続して行われる事業を指し、利益を構成員に分配するかどうかは問わない。不正競争防止法は事業者間の公正な競争の秩序を守る法律であり、非営利の事業者も同じ市場で商品や役務を提供して他の事業者と競争している以上、その事業上の信用や利益が不正競争によって害されれば保護を要するからである。特定非営利活動法人も、有償の事業を行っていればその事業について営業上の利益を有し、周知な名称の冒用などに対して差止めを請求することができる。国や地方公共団体、病院や学校法人も同様である。非営利事業を行っていることを理由に請求権者になれないとする枝は誤っている。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求権者になる:国・地方公共団体、非営利事業者、特定非営利活動法人、周知表示の使用許諾を受けた者など、不正競争によって営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者である
- 請求権者にならない:品質を誤認して買った一般消費者や適格消費者団体である。不正競争防止法に消費者団体訴訟の制度はない
- 相手方の主観:故意・過失も不正の目的も要らない。損害賠償(4条)には故意又は過失が要る
誤り。違うのは「差止請求及び損害賠償請求をすることができない」の部分である。論文の掲載で公知となった後の使用に対する差止めはできないが、公知となる前に乙が行った不正取得と使用は不正競争であり、その損害の賠償は請求できる。
2条6項は、営業秘密を秘密として管理されている事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって公然と知られていないものと定義する。丙の論文が雑誌に掲載されれば技術情報は公然と知られたものとなり、非公知性を失って営業秘密ではなくなるから、その後の乙の使用は営業秘密に係る不正競争に当たらず、将来に向けた侵害の停止又は予防を求める3条1項の差止めは請求できない。しかし4条は、故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責めに任ずると定め、損害賠償は過去の不正競争による損害を填補するものである。乙が論文掲載前に行った不正取得とそれに続く使用は、当時は営業秘密であった情報についての2条1項4号の不正競争であり、その間に甲社が受けた損害の賠償請求権は後に情報が公知になっても消えない。差止めと損害賠償の両方ができないとする枝は誤っている。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- 秘密管理性:秘密として管理されていることである。秘密管理意思が合理的な管理措置によって従業員等に示され、認識できる状態にあることが要る
- 有用性:事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることである。法令違反や反社会的な行為に関する情報は除かれる
- 非公知性:公然と知られていないことである。保有者の管理下以外では一般に入手できない状態をいう
誤り。違うのは「適格消費者団体を通じることにより、甲に対し、不正競争防止法に基づく差止請求及び損害賠償請求を行うことができる」の部分である。差止めと損害賠償を請求できるのは営業上の利益を侵害された者であり(3条1項・4条)、一般消費者は請求主体にならず、不正競争防止法に適格消費者団体による請求の制度もない。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者が侵害の停止又は予防を請求できると定め、4条は故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者がその損害を賠償すると定める。牛肉に鶏肉や豚肉を混ぜたひき肉を牛肉のみを原料とするかのように表示して販売する行為は、商品の品質や内容について誤認させるような表示であり、2条1項20号の不正競争に当たる。しかし請求権を与えられているのは競争上の地位を害された事業者である。誤認して商品を買った一般消費者は営業上の利益を侵害された者ではなく、差止めも損害賠償も請求できない。消費者契約法や景品表示法には適格消費者団体が差止めを請求する制度があるが、不正競争防止法にはその制度がないから、適格消費者団体を通じて請求することもできない。したがって枝は誤っている。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
正しい。技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる無効化装置の譲渡には3条から15条までの規定が適用されないから(19条1項10号)、甲に過失があっても4条の損害賠償を請求することはできない。
2条1項17号は、営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴等を可能とする機能を有する装置を譲渡する行為を不正競争とする。甲が乙に譲渡した装置は丙の技術的制限手段を無効化する機能を有するから、譲渡は形式的には17号に当たる。しかし19条1項10号は、17号及び18号の不正競争のうち、技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等を譲渡する行為には、3条から15条まで、21条及び22条の規定を適用しないと定める。より優れた手段を開発するには既存の手段を無効化して調べる必要があり、研究のための装置の流通まで止めれば技術の発展を妨げるからである。乙は丙より優れた技術的制限手段を自社事業に用いるために研究しようとしており、甲の譲渡は試験又は研究のために用いられる装置の譲渡に当たるから、4条の損害賠償の規定も適用されない。したがって甲に過失があっても丙は損害賠償を請求できず、枝の記述は正しい。

第二条第一項第十七号及び第十八号に掲げる不正競争技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる同項第十七号及び第十八号に規定する装置、これらの号に規定するプログラム若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該プログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為又は技術的制限手段の試験又は研究のために行われるこれらの号に規定する役務を提供する行為
- 1号(1号・2号・20号・22号):普通名称等を普通に用いられる方法で使用・表示する行為である。ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称は除かれる
- 2号(1号・2号・22号):自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為である
- 4号・5号(1号・2号):他人の表示が周知・著名になる前から使用する者とその業務の承継者が、不正の目的でなく使用する行為である
- 6号(3号):日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品の形態模倣品の譲渡等と、譲り受けた時に善意無重過失の譲受人による譲渡等である
- 7号(4号〜9号):取引によって営業秘密を取得した時に善意無重過失の者が、その権原の範囲内で使用・開示する行為である
- 9号(11号〜16号):取引によって限定提供データを取得した時に善意の者が権原の範囲内で開示する行為と、無償で公衆に利用可能な情報と同一の限定提供データの取得・使用・開示である
- 10号(17号・18号):技術的制限手段の試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡等と役務の提供である
正しい。3条1項の差止請求に際しては侵害の停止又は予防に必要な行為を請求でき(同条2項)、ドメイン名に係る不正競争では使用の禁止とともに登録抹消を求めることができる。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止又は予防を請求できると定める。2項は、その請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求できると定める。2条1項19号の不正競争は、ドメイン名を使用する権利の取得、保有、使用のいずれもが行為類型であるから、使用をやめさせるだけでは、保有が続く限り侵害のおそれは消えない。侵害の停止又は予防を実効あるものにするには、ドメイン名の登録を抹消させて保有自体を終わらせる必要があり、これは2項の「その他の侵害の停止又は予防に必要な行為」に当たる。したがって、営業上の利益を侵害された者は、ドメイン名の使用の禁止に加えて登録抹消を請求でき、本枝は正しい。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
- 差止請求:取得・保有・使用の停止又は予防(3条1項)。故意・過失は要らない
- 必要な行為の請求:ドメイン名の登録抹消(3条2項の「侵害の停止又は予防に必要な行為」)
- 損害賠償:4条。使用料相当額を損害の額として請求できる(5条3項5号)
- 請求できないもの:ドメイン名の移転登録。明文の規定がない
- 刑事罰:19号の不正競争には21条の罰則がない
正しい。3条の差止請求で求められるのは侵害の停止又は予防とそれに必要な行為であり、ドメイン名の登録を自己に移転させることを認める規定はないから、移転登録は請求できない。
3条1項は侵害の停止又は予防の請求を、2項はその請求をするに際しての廃棄、除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為の請求を認める。ドメイン名の登録抹消は、侵害者による保有と使用を終わらせる行為であるから侵害の停止又は予防に必要な行為に含まれる。これに対し、ドメイン名の登録を営業上の利益を侵害された者に移転させることは、侵害を止めるのに必要な範囲を超えて、請求者に新たな権利を取得させるものである。不正競争防止法は移転登録を認める明文の規定を置いていない。立法の際にも、商標法などに登録の移転を命じる仕組みがないこととの均衡から移転請求の規定は設けられなかった。したがって、ドメイン名に係る不正競争が認められても、営業上の利益を侵害された者は差止めと登録抹消を請求できるにとどまり、移転登録は請求できない。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
誤り。違うのは「商品Bを販売する者は、更にその者の商品Bを模倣した商品Cを販売する者に対して」差止請求をすることができるとする部分である。形態模倣について差止めを請求できるのは、模倣された商品を自ら商品化した先行者であり、自らが模倣品を販売する者はこれに当たらない。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害の停止又は予防を請求できると定める。2条1項3号の形態模倣の規制は、資金と労力を投下して商品を開発し市場に置いた先行者の成果を、模倣品によって奪われることから守る趣旨であり、3号にいう「他人」とはその開発と商品化を行った者を指す。したがって3号の不正競争によって営業上の利益を侵害される者は、模倣の対象とされた商品を自ら商品化した者に限られると解されている。商品Aの形態を模倣した商品Bを販売する者は、自ら開発投資をして商品化したわけではなく、むしろ商品Aについて3号の不正競争を行っている側である。商品Cが商品Bを模倣したものであっても、商品Bの形態は商品Aに由来するから、商品Bの販売者には保護されるべき商品化の成果がなく、商品Cの販売者に差止請求をすることはできない。差止めを請求できるのは商品Aを商品化した者である。したがって枝は誤りである。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
誤り。違うのは「当該他人が不正競争の目的又は不正の目的を有している場合に限り、当該請求を認容することができる」の部分である。3条の差止請求と廃棄除却の請求には、相手方の目的や故意・過失の要件はない。
不正競争防止法3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その侵害の停止又は予防を請求することができると定め、同条2項は、その請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができると定める。差止めは現に続いている侵害やそのおそれを止めるための救済であり、相手方を非難するためのものではないから、相手方の故意や過失、不正の目的は要件とされておらず、4条の損害賠償に故意又は過失が要るのと対照をなす。不正競争の中には19号のドメイン名のように図利加害目的を要件に含む類型があるが、それは不正競争に該当するかどうかの要件であって、該当した後の差止請求に別途目的を求めるものではない。したがって、侵害の予防に必要な行為の請求を、相手方が不正競争の目的又は不正の目的を有している場合に限って認容できるとする枝は、条文にない要件を加えており誤りである。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
正しい。3条1項の差止請求権者は不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者であり、該当する者を1人に限る定めはないから、複数いればそれぞれが請求権者となる。
不正競争防止法3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。2条1項20号の品質誤認行為は、商品やその広告に原産地、品質、内容などについて誤認させるような表示をする行為であり、特定の他人の表示を冒用するのではなく市場全体の公正な競争を歪める行為であるから、営業上の利益を害されるのは、誤認表示をした者と競争関係にあって顧客を奪われる事業者である。3条1項は請求権者を営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者と定めるだけで、その数を1人に限ったり最も損害の大きい者に絞ったりする定めはなく、差止請求権は侵害を受ける者ごとに生じる。したがって、競争関係にあって営業上の利益を害される者が市場に複数いれば、それぞれが差止めの請求権者となるとする枝は正しい。誤認して商品を買った一般消費者は営業上の利益を害される者ではないので請求権者にならない。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求権者になる:国・地方公共団体、非営利事業者、特定非営利活動法人、周知表示の使用許諾を受けた者など、不正競争によって営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者である
- 請求権者にならない:品質を誤認して買った一般消費者や適格消費者団体である。不正競争防止法に消費者団体訴訟の制度はない
- 相手方の主観:故意・過失も不正の目的も要らない。損害賠償(4条)には故意又は過失が要る
誤り。違うのは「差止めの請求権者となることができない」の部分である。3条1項の請求権者は不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者であり、事業を行う地方公共団体や国も含まれる。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。請求権者を画するのは営業上の利益の侵害であり、主体の種類や営利目的の有無ではない。ここでいう営業は、経済上の収支計算の上に立って継続的に行われる事業を広く含むと解されており、国や地方公共団体も、交通事業や水道事業、公営の施設の運営のように収支計算の上に立つ事業を行う限りでは営業上の利益を持ち、その名称や標章が冒用されて混同が生じれば、侵害を受けた者として差止めを請求できる。非営利の法人や特定非営利活動法人も同じである。したがって地方公共団体や国が請求権者となることができないとする点がずれている。一方、品質を誤認して商品を買った一般の消費者は営業上の利益を持たないので請求権者にならない。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求権者になる:国・地方公共団体、非営利事業者、特定非営利活動法人、周知表示の使用許諾を受けた者など、不正競争によって営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者である
- 請求権者にならない:品質を誤認して買った一般消費者や適格消費者団体である。不正競争防止法に消費者団体訴訟の制度はない
- 相手方の主観:故意・過失は要らない。損害賠償(4条)とは異なる
正しい。商品形態模倣は不正の利益を得る目的で行えば21条3項3号の罰則の対象になるが、信用毀損行為は21条のどの項にも掲げられておらず、差止めと損害賠償などの民事上の救済だけが定められている。出題当時は21条2項3号であった。
不正競争防止法の民事上の救済は、3条の差止請求と4条の損害賠償、14条の信用回復措置が全類型の不正競争を対象とする。これに対し刑事罰は21条が号ごとに対象を限定しており、2条1項3号の商品形態模倣については、21条3項3号が不正の利益を得る目的で同号の不正競争を行ったときを5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はその併科の対象とする。2条1項21号の信用毀損行為は21条のいずれの項にも掲げられておらず、刑事罰の規定はない。虚偽の事実の告知や流布は表現活動に近く、真実かどうかの判断を刑罰で強制すると正当な批判や警告まで萎縮させるおそれがあるため、民事上の救済にとどめ、刑事的には刑法の信用毀損罪や名誉毀損罪に委ねている。商品形態模倣には民事上の救済と刑事罰の両方があり、信用毀損行為には民事上の救済のみが規定されているとする本枝は正しい。

不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行ったとき。
- 1号:不正の目的による周知表示の混同惹起(1号)と誤認惹起表示(20号)である
- 2号:著名表示に係る信用・名声を利用する目的等による著名表示の冒用(2号)である
- 3号:不正の利益を得る目的による商品形態模倣(3号)である
- 4号:不正の利益を得る目的等による技術的制限手段の無効化(17号・18号)である
- 信用毀損行為(21号)とドメイン名の不正取得等(19号)には罰則がない
正しい。3条2項の廃棄・除却の請求は、同条1項の差止請求をするに際して請求できるものであり、模倣に使用した装置の廃棄を単独で請求することはできない。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害の停止又は予防を請求することができると定め、同条2項は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができると定める。廃棄や除却は、差止めの実効性を確保するための付随的な措置であり、侵害の停止や予防という本体の請求があって初めて意味を持つから、本体の請求と切り離して単独で認めることはしない仕組みである。商品形態を模倣するために使用した装置は侵害の行為に供した設備に当たり、その廃棄は2項の請求の対象になるが、模倣商品の販売の差止請求とともに請求する場合に限られる。枝はこの条文の構造のとおりである。特許法100条2項、著作権法112条2項も同じ組立てである。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
誤り。違うのは「一般消費者は、不正競争防止法に基づく損害賠償を請求できる」の部分である。4条の損害賠償を請求できるのは不正競争によって営業上の利益を侵害された者であり、商品を購入した一般消費者はこれに当たらない。
4条は、故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずると定め、3条1項の差止請求も、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者に請求を認める。不正競争防止法は事業者間の公正な競争の確保を目的とし、誤認惹起表示の規定も、正しい表示をして競争している同業者が顧客を奪われる不利益を救済するために置かれているから、請求の主体は営業上の利益を侵害された者に限られる。広告を信じて商品を購入した一般消費者は、品質を誤認して損をしたとしても営業上の利益を害されたわけではなく、不正競争防止法の請求主体にならない。消費者の救済は民法の不法行為や錯誤、消費者契約法など別の仕組みによる。枝は、不正競争が成立する場面であることと、誰が請求できるかとを混同している。

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密又は限定提供データを使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
誤り。違うのは「甲社は、乙が当該スパイスを第三者に譲渡する行為を差し止めることができる」の部分である。2条1項10号で譲渡が不正競争になるのは不正使用行為により生じた物に限られ、甲社自身が製造したスパイスはこれに当たらない。
2条1項10号は、4号から9号までの行為のうち技術上の秘密を使用する行為(不正使用行為)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を不正競争と定める。営業秘密の不正使用によって作られた製品が流通すれば、使用行為を止めても保有者の損害が広がるため、物の流通段階を対象にする規定として置かれたものである。しかし対象はあくまで不正使用行為により生じた物である。乙が窃取したスパイスは、保有者である甲社が自ら製造方法Aを使用して製造した物であり、誰かの不正使用行為により生じた物ではない。したがって乙がそのスパイスを第三者に譲渡しても10号の不正競争には当たらず、3条1項の差止めの対象にもならない。工場への侵入と窃取は刑法や民法で問われる問題であって、営業秘密に係る不正競争とは別である。

第四号から前号までに掲げる行為(技術上の秘密(営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)を使用する行為に限る。以下この号において「不正使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(当該物を譲り受けた者(その譲り受けた時に当該物が不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)が当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を除く。)
正しい。著名な商品等表示を使用した商品の譲渡は2条1項2号の不正競争であり、営業上の利益を侵害された者は3条1項の差止めに際し、3条2項により侵害の行為を組成した物の廃棄を請求できる。
2条1項2号は、自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用した商品を譲渡し、引き渡す行為などを不正競争と定める。3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害の停止又は予防を請求できると定め、同条2項は、その請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求できると定める。販売の停止だけを命じても、著名な表示を付した商品が手元に残っていれば再び市場に出るおそれがあるため、差止めの実効性を保つ手段として廃棄等の請求を認めたものである。廃棄の請求は差止請求をするに際して行う付随的なものであり、単独では請求できない。著名な商品表示を付した商品はまさに侵害の行為を組成した物であるから、販売の差止めとともにその廃棄を請求することができる。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
正しい。3条1項の差止請求権者は不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者であり、ここでの営業は営利事業に限られないから、非営利事業を行う者も信用を害されれば差止めを請求できる。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができると定める。請求権者を画するのは営業上の利益を侵害されたという関係であり、条文は営利を目的とする者に限るという限定を置いていない。不正競争防止法が守る営業は、営利事業に限らず、広く経済上の収支計算の上に立って行われる事業を含むと解されており、国や地方公共団体、特定非営利活動法人、病院や学校などの事業も含まれる。これらの者も信用を害されれば事業の遂行に支障を受けるからである。したがって非営利事業を行う者であっても、他人の不正競争によって信用を害された場合には、その行為の差止めを請求することができる。一方、品質を誤認して商品を買った一般消費者は、営業上の利益を侵害された者ではないから請求権者にならない。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 請求権者になる:国・地方公共団体、非営利事業者、特定非営利活動法人、周知表示の使用許諾を受けた者など、不正競争によって営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者である
- 請求権者にならない:品質を誤認して買った一般消費者や適格消費者団体である。不正競争防止法に消費者団体訴訟の制度はない
- 相手方の主観:故意・過失も不正の目的も要らない。損害賠償(4条)には故意又は過失が要る
誤り。違うのは「甲からAの販売について許諾を受けた丙は、乙に対し、Bの販売の差止めを請求できる」の部分である。3条1項の差止めを請求できるのは不正競争によって営業上の利益を侵害される者であり、3号では商品を自ら開発し商品化した者がこれに当たり、販売の許諾を受けただけの丙は原則として含まれない。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害の停止又は予防を請求することができると定める。2条1項3号の形態模倣は、資金と労力を投下して商品を開発し商品化した先行者の成果が、開発の負担を免れた模倣者によって奪われることを防ぐ規定であるから、営業上の利益を侵害される者は商品を自ら開発・商品化して市場に置いた者である。財布Aを商品化した甲がこれに当たり、甲から販売の許諾を受けただけの丙は、商品化の成果を自らの営業上の利益として保有しているわけではないので、原則として請求主体にならない。独占的な販売権を与えられ、模倣品の流通によって自らの営業上の利益が直接害される者については請求を認めた裁判例があるが、枝は単に販売について許諾を受けた丙としており、独占的な地位は示されていない。したがって丙は乙に対して財布Bの販売の差止めを請求できない。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
正しい。3条2項により、侵害の停止又は予防を請求するに際して侵害の行為を組成した物の廃棄を請求でき、営業秘密を用いて製造された製品は侵害の行為により生じた物としてこれに含まれる。
3条1項は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が、侵害の停止又は予防を請求することができると定め、同条2項は、その請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができると定める。差止めだけでは手元に残った物が流通する危険が消えないため、廃棄と除却が差止請求に付随する形で認められている。営業秘密を使用する不正競争では、不正に取得した製造方法で作られた製品が侵害の行為により生じた物に当たり、かっこ書で明示的に組成した物に含められているので、その製品の廃棄を請求できる。枝は侵害されるおそれのある者が、侵害するおそれのある者に対して、停止又は予防の請求をするに際して廃棄を請求するという3条の構造をそのままなぞっており、正しい。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
- 請求権者になる:国・地方公共団体、非営利事業者、特定非営利活動法人、周知表示の使用許諾を受けた者など、不正競争によって営業上の利益を侵害され又はそのおそれがある者である
- 請求権者にならない:品質を誤認して買った一般消費者や適格消費者団体である。不正競争防止法に消費者団体訴訟の制度はない
- 相手方の主観:故意・過失も不正の目的も要らない。損害賠償(4条)には故意又は過失が要る
- 付随する請求(2項):差止請求をするに際し、組成した物の廃棄、設備の除却、その他の停止又は予防に必要な行為を請求できる































